ウルルの意味は地球のへそと呼ばれるエアーズロックと周辺のこと?

ウルルの意味について探っていきます。地球のへそと呼ばれるエアーズロックや、その周辺に関して理解を深めるためにも参考になるはずです。

オーストラリアの観光名所の一つに、エアーズロックまたはウルルと呼ばれる場所があります。

そこは「地球のへそ」や「大地のおへそ」と呼ばれたりと、何かと深い意味を持っている場所であるような印象を受けます。

そのため、ウルルまたはエアーズロックに興味を持った人の中には、一体全体「ウルル」という言葉にどのような意味が含まれるのか、気になったという人もいるはずです。

そこで、ウルルの意味について深く掘り下げていこうと思います。

また、意味だけでなく、ウルルに関して知っておきたいいくつかの知識も紹介しておくので参考にしてください。

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ウルルが本来指し示すものとは?

ウルルに含まれる意味を探っていくにあたって、まずは、非常に重要な「ウルルの解釈に関する一般的な間違いの訂正」をしていきたいと思います。

ウルルの別名として一般的に知られる「エアーズロック」は、イギリスの探検家ウィリアム・ゴスが、当時(1873年)の南オーストラリア植民地の首相であった、ヘンリー・エアーズにちなんで名付けたもので、その後、本国のイギリスを通して世界に広まっていくことになったわけです。

一方で、一般的には、オーストラリアの先住民アボリジニの言葉で、エアーズロックを「ウルル(Ululu)」と呼ぶとして知られていますが、実は「エアーズロック=ウルル」というのは厳密には間違いです。

というもの、「ウルル」は単にエアーズロックだけを意味する名称ではなく本来は、

  • エアーズロック周辺の地域も含めた呼び名

であるから。

また、ウルルを理解する上で大切なのが、この「ウルル」はアボリジニの中でも、エアーズロックが位置している地に住むアボリジニの部族「ヤンクンチャチャラ(Yankunytjatjara)」が使っている、ヤンクンチャチャラ語に含まれる単語であるという点。

そのため、ヤンクンチャチャラ達の観点で「ウルル」は実際のところ、

  • ヤンクンチャチャラ族に含まれる亜部族の人々(エステートグループと呼ばれる)が住む、広大な土地

を指しているのです。

このように、ウルルが本来意味する対象とはエアーズロックだけではなく、「ヤンクンチャチャラの亜部族エステート族の人々が住むエアーズロック周辺の地域」であることが分かります。

つまり言い換えれば、「場所」を指す言葉ということになります。

「ウルル」にもっと深い意味はあるのか?

では、「ウルル」には上記の場所を示す以外に、より深い意味があるのでしょうか?

日本ではウルルまたはエラーズロックのことを、「地球のへそ」と描写されたりすることから、ウルルには場所を指す以外にも何か神聖な意味が含まれてそうな感じがします。

また、書籍によっては、「偉大な石」や「日陰の場所」という意味があると描写されることもあるようです。

しかし、結論から先に述べると、

  • ウルルは場所の名前であり、それ以外に特別な意味は何もない

というのが答えになります。

その点について、人類学者のアマンダ・マークハムの記事を参考に、以下で解説していきましょう。

アマンダ・マークハムによるウルルの意味の調査結果

アマンダ・マークハムはまず、ウルルの意味を調査するにあたり、アリススプリングス(エアーズロックの近くにある都市)の有名な歴史家、リチャード・キンバー(Richard Kimber)を含めた、数名の著名人と、高度な言語通訳スキルを持つヤンクンチャチャラ人数名に、ウルルの意味について聞き取り調査を行いました。

すると、全員から得られた回答は、

  • ウルルは場所の名前」であり「特別な意味は何もない

というものでした。

また、1970年代に同地域の所有権を明確するため、この土地について調査を行ったロバート・ロートンによる歴史学と人類学の研究を調べた結果、過去にも異なる人々から、上記の答えをサポートする、以下のような回答を得ていたことが判明します。

  • 1950年代にビル・ハーニー(Bill Harney)という人物がウルルを訪れた際、ウルルの管理をしているアボリジニ人に、ウルルは「場所の名前」だと告げられた。
  • アボリジニ達の土地返還要求に関して、アボリジニの長老全員へのインタビューを実施した人類学者ロバート・ロートンも、ウルルは「場所の名前」であると発表していた。

さらに、アマンダ・マークハムは、より主張を強めるために、ヤンクンチャチャラ族の長老やエスノグラフィー(民族誌学)の専門家に聴取しますが、同様の回答が返ってきました。

これら数々の調査の結果、アマンダ・マークハムは、アボリジニによるエアーズロックの呼び名「ウルル」は、「間違いなく場所の名前であり、特に意味はない」と結論付けました。

ただし、陰影と何かしらのつながりがあるかもしれない

ただし、ウルルの語源はもしかしたら「陰影」に、何かしらつながりがあるかもしれないとも示唆しています。

というのも第一に、ウルル(Ululu)の「ul-」という音は、オーストラリア中央部に住むいくつかのアボリジニ部族の言語で「陰影」を意味するから。

そして第二に、岩の南西側(国立公園本部近く)には、陰影を意味する名前がついている場所がいくつか存在しているから。

一方で、「ウルル(Ululu)」という言葉が、陰影と何らかのつながりがある可能性はあるものの、調査のため聞き込みをしたアボリジニの男性達からは、ウルルにそのような意味が含まれていると示す回答は得られなかったそうです。

聖地ウルル(エアーズロック)に関して知っておきたプラスα

ウルルの意味について議論してきましたが、聖地としてのウルルに関して、知っておきたいプラスαの知識もいくつかまとめておきます。

アボリジニ達にとってのウルルはどのような存在なのか、もう少しだけ理解出来るかもしれません。

ウルルが聖なる地である理由

ウルルやエアーズロックがアボリジニにとって聖なる地であるというのは良くしられていますが、なぜ、そもそも聖なる地とされているのでしょうか?

アボリジニ達の間では夢幻時(Dreamtime)と呼ばれる、「今もその魂が生きているとされる神聖な祖先による万物想像の時」という神話的概念があります。

そして、この夢幻時の先祖達の魂がやってくるのが、ウルルにある多くの聖地だと考えられており、これが、ウルルやエアーズロックが聖なる地であるとされる理由なのです。

一枚岩なのに多くの名前と場所がある

エアーズロックには、同じような洞窟や谷があり、一見するとどこも似ているため、観光客は気に留めることはないかもしれませんが、アボリジニの人々にとっては別。

それぞれの洞窟や滝、または谷やエアーズロックの頂上に位置する特定の場所にさえ、異なった特別な名前が付けられています。

このことからも、アボリジニにとってウルルにある多くの場所が、聖なる地であることが分かります。

エアーズロックの中でも聖地とそれ以外が区別されている

アボリジニのヤンクンチャチャラ族やピチャンチャラ族の人々は、エアーズロック全体をスピリチュアルな意味をもつ重要な存在と考えています。

一方で、エアーズロックを細かく分け、聖地とそれ以外の場所とにはっきりと区別しています。

エアーズロックは全体としては常にとても神聖な存在であると同時に、部分ごとで見ると聖地ではない場所も含んでいるのです。

本来は限られた人間のみが登頂できない場所だった

現在では観光客でも誰でもエアーズロックへ登山出来ますが、アボリジニの本音では登って欲しくないというのが本音であり、2019年10月26日からは実際に、観光客向けの登山は禁止されることになりました。

これは、上でも触れた通り、エアーズロックは全体として、アボリジニにとっては神聖な場所であるからというだけではなく、本来は伝統的に、特別な儀式を受けた年配の男性しか岩に登頂してはいけないとされていたからです。

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ウルルの意味は地球のへそと呼ばれるエアーズロックと周辺のこと?のまとめ

オーストラリアの観光名所の一つ、ウルルが意味するところは単に場所であることが理解出来たかと思います。

また、ウルルがアボリジニ達にとって、神聖で重要な場所であることに関する理解も少しだけ深められたかもしれません。

アボリジニ達は、アボリジニではない人達がアボリジニの聖地に行ってみたいと思っていることは認識しています。

しかし、本当は自分たち以外の人々には入ってほしくないと思っている場所もたくさんあります。

もしもオーストラリアへ観光へ行き、エアーズロックを訪れるのであれば、場所の名前と聖地の区別なども事前に確認しておくのが良いかもしれません。

世界のことって面白いよね!By 世界雑学ノート!

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