カモノハシは卵をなぜ産卵するのか?その理由から生き残った理由までを解説

カモノハシは卵をなぜ産卵するのでしょうか?その理由から、未だにこのカモノハシを含めた単孔類と呼ばれる哺乳類が存在する理由までを解説します。

カモノハシとは、現存する哺乳類としては唯一卵を産む動物として分類される単孔類と呼ばれるグループに属する生き物。

アヒルにラッコ、ビーバー、そしてヘビやトカゲが合体したような姿が特徴的で、飼い猫ほどの大きさであるカモノハシは、主にオーストラリアの東海岸地域にある淡水の湖や河川に生息します。

そんなカモノハシのメスは、交尾を終えた後、産卵をして一匹で子どもを育てることとなります。

巣穴を掘ることからはじまり、産卵を控えたカモノハシは巣穴に潜り身を隠し、交尾を終えてから27日ほど経過した頃に2から4個の軟らかい卵を産卵するのです。

そして、産卵後10日ほどカモノハシのお母さんは卵は抱卵すると、とても小さくて毛もなく、視力もほとんどない赤ちゃんが孵化。カモノハシには乳首がないため、カモノハシの赤ちゃんは母親の腹部から汗のようににじみでてたまった母乳を飲むこととなります。

そんなカモノハシですが、他の哺乳類は産卵しないのに、なぜ「卵」を産卵するのでしょうか?

この記事では、その謎と未だにこの単孔類が生き延びている理由に迫っていきたいと思います。

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カモノハシはなぜ卵を産むのか?

カモノハシはなぜ卵を産むのでしょうか?

それは、進化において「いち早く爬虫類的段階から分岐したから」と言えるでしょう。

哺乳類は爬虫類から進化してきましたが、その過程で多くは、より生存可能性を高めるために卵を「産卵」する形ではなく胎児をお腹に宿すという「出産」を選択してきました。

しかし、単孔類であるカモノハシは、爬虫類的段階から哺乳類が進化する進化過程において「早い段階で分岐した」ことで、卵を産卵するという特徴を残すことになったと考えられるのです。

つまり言い換えれば、爬虫類的な特徴を残した哺乳類の1つがカモノハシであると言えるでしょう。

例えば他にも、爬虫類と同様に、尿、糞、生殖の3つは全て総排出腔と呼ばれる器官を通して行われるといった特徴を有しています。

カモノハシを含めた卵を産む哺乳類「単孔類」はなぜまだ存在するのか?

この答えを単刀直入に簡潔に述べるなら、

卵から産まれ、カモのようなくちばしをもつカモノハシやハリモグラの祖先は、水中に移動することで天敵から逃れられた

と考えられるからです。

卵を産む哺乳類は2科しかいない

卵を産む哺乳類は現在地球上に2科のグループしか存在しません。

カモのようなくちばしをもつカモノハシと、ハリモグラ科(合計4種が存在)の2つで、この二つの科を合わせても世界で5種類の動物しかいません。

これら「単孔類」は一時期、オーストラリア大陸を支配していましたが、7100万年から5400万年前に有袋類によって一掃されてしまいました。

そして、この過程でカモノハシとハリモグラの祖先は水中生活を選び、それによって絶滅を免れたと考えられているのです。

カモノハシの祖先が水中生活を選んだ謎をより深く見ていこう

有袋類はオーストラリアに向かう前、アジアからアメリカ大陸、そして南極大陸へと移動していきました。

オーストラリアの首都キャンベラにあるオーストラリア国立大学の進化生物学者マシュー・フィリップス氏によると、有袋類はオーストラリアでの圧倒的な繁栄をみるに、移動の間あらゆる動物との生存競争を経てきたと考えられます。

そこででてくるのが、

どうやって単孔類は生き延びたのか?

という疑問です。

フィリップス氏らの研究グループによると、卵を産むカモノハシとハリモグラが有袋類の侵略を免れたのは、その祖先たちが有袋類の追ってこられない水中に逃れたからと言います。

というのも、有袋類は産まれると数週間は定期的に乳を吸わなければ生きられません。

そのため、仮に有袋類の母親達が長い時間水中に入っていては、産まれたばかりの子どもは溺れてしまいます。

この有袋類の弱点は一方で、水中に生活圏を移したカモノハシやハリモグラの祖先に安全な生活場所を確保させることになったのです。

ハリモグラは陸に生息しているが?

この説は「水陸両性のカモノハシ」に関して言えば妥当に聞こえます。

しかし、ハリモグラのほうは陸上でのみ生活をします。

そこで研究者らは遺伝子を調査。

ハリモグラはわずか1900万年前から4800万年前に、カモノハシから分かれて進化したものだと突き止めたのでした。

つまり、ハリモグラは半水生の祖先を持ち、地上で生活するようになったのはごく最近だということです。

実際、

  • 流線型の体
  • 水中で舵の働きができる突き出た後ろ足
  • 胚の段階で見られるカモのくちばしのような輪郭

といった、カモノハシと似た水陸両性の祖先をもつことを示す特徴がハリモグラにはあります。

現在のところ、ハリモグラが水中生物から変異したことを証拠づけるような化石は発見されていませんが、研究者らは運がよければ将来的にオーストラリアでハリモグラの化石が発掘され、カモノハシからの分化を証拠づけられると期待しています。

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カモノハシは卵をなぜ産卵するのか?その理由から生き残った理由までを解説のまとめ

カモノハシが卵を産む理由から、未だにカモノハシを含めた単孔類と呼ばれる哺乳類が生存している理由についてまでを見てきました。

カモノハシと卵の関係は、ある意味で進化の多様性を示す特徴だと言えるでしょう。

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