エコビジネス(グリーンビジネス/環境ビジネス)について知っていますか?参考となる事例やアイデアも合わせて詳しく見ていきます。
今や、地球の環境悪化は、人工的な原因によって引き起こされていることが確実視され始めています。
そのため、今日では世界のあらゆる場所で環境対策が唱えられ、これまでの利益のみを追求したビジネスモデルから、より環境に配慮したビジネスモデルへシフトする企業も現れています。
そして、このような状況下で生まれたコンセプトがエコビジネス(グリーンビジネスまたは環境ビジネスとも呼ばれる)というビジネスモデルで、これからの世界ではとても重要になってくるはずです。
- このエコビジネスとは具体的にどのようなビジネスを指すのか?
- また、参考に出来る事例やアイデアにはどのようなものがあるのか?
詳しく紹介していきたいと思います。
エコビジネス(グリーンビジネス/環境ビジネス)とは?
エコビジネスとは、「エコロジービジネス」、「グリーンビジネス」または「環境ビジネス」とも呼ばれることがあるビジネスモデル。
環境の改善に貢献する財やサービスを提供するビジネス
(引用:コトバンク)
や
環境保全ニーズに対応し、環境負荷を抑えたり環境を改善するビジネス
(引用:経済・ビジネス基本用語4000語辞典)
または
「水、待機、土壌などの環境に与える影響」と「廃棄物、騒音、エコシステムに関連する問題」を計画、予防、削減、最小化し、改善する製品と、サービスを提供する活動から構成されるもの
(引用:国際協力用語集【第4版】)
などと定義されるもの。
つまり、簡単に言えば、「環境問題を解決したり、環境を改善したりするビジネス全般」のことです。
エコビジネス(環境ビジネス)の分野
エコビジネス(環境ビジネス)を大まかに分けると、以下の3つの分野または活動が含まれることになります。
- 環境汚染管理
- 環境汚染を防止するための資材やサービスの提供または、そのための活動など
- 環境負荷低減技術および製品
- 現在利用されている製品やサービスに比べて、より環境に対する負荷の低い製品や技術の開発・提供など
- 資源有効利用
- 資源をより効率的に使うための技術、素材、サービスなどの提供
エコビジネス(環境ビジネス)の市場予想から将来性
環境省の調査によると、2016年の時点で環境産業の国内市場規模は104兆2,199億円となって過去最大を記録。
この数字は前年比で3.6%の増加であり、また、2000年の市場規模(57兆9,259億円)と比較しておよそ1.8倍の規模になっています。
近年温暖化などの影響で、より環境に対して優しい製品やサービスの開発が注目されるなか、エコビジネスの市場規模は今後も拡大していくと考えられ、この分野でのビジネス展開は大きな可能性を秘めていると言えるのです。
また、今後は急成長するアジア各国でも環境問題の意識が強まってくると予想され、日本で開発したエコビジネスの製品やサービスを輸出や技術移転することで、ビジネスの拡大が出来るとも考えられます。
エコビジネス(グリーンビジネス/環境ビジネス)の事例・参考例
見てきたように、今日、世界のマーケットは、より環境に対しての問題意識を抱えながら関心を高めており、この分野で起業することは大きなチャンスと言えます。
そこで、ここから、ビジネスとしてお金を稼ぎながらも同時に地球を救うための参考例として、いくつかのアイデアや事例を挙げていきたいと思います。
エコビジネス事例・参考例1:グリーン・ベンチャーキャピタル
グリーン・ベンチャーキャピタル(Green Venture Capital:GVC)は、持続的かつエコフレンドリーなビジネスに重点を置いたベンチャーキャピタルのこと。
通常のベンチャーキャピタルのように、ただのスタートアップに投資するのではなく、環境に力を入れるスタートアップへ積極的に投資していくのが大きな違いです。
エコビジネス事例・参考例2:エコフレンドリーな小売ビジネス
商品を購入するとポイントが付与されるようなプログラムは、小売ビジネスで一般的。
そこで、このプログラムを利用した小売ビジネスも、ビジネスモデルとして良いでしょう。
例えば、一つの事例としてEcoPlumというeコマースサイトが参考になるかも。
このEcoPlumのプラットフォーム上で消費者が商品を購入すると、エコチップスというポイントを手に入れることが出来、消費者はエコフレンドリーな懸賞に変えたり、様々な環境運動への寄付に変えることが可能。
また、
- 販売する商品もエコフレンドリーな商品に限定する
- 環境に優しいパッケージがされた物に限定する
- 提携する会社も環境意識を持ったところに限定する
などといった取り組みをすることで、環境意識の高いユーザーの支持を集められ、一定規模のビジネスとして成立するようになるかと思います。
エコビジネス事例・参考例3:オーガニック・ケータリング
各イベントや企業へ弁当などを配達するようなケータリングビジネスをエコビジネスに変えるのも、これからの社会ではニーズが大きくなるかもしれません。
例えば、化学肥料が一切使われていないオーガニック食材のみで作られた弁当(パッケージも環境に配慮したものにすると尚良し)を、ケータリングするビジネスモデルはいかがでしょう?
自然愛好家、健康に気をつけている人、環境意識が高い人や会社などを魅きつけ、他のケータリングサービスと一線を画すことが出来るはずです。
エコビジネス事例・参考例4:インク詰め替えビジネス
インク詰め替えビジネスとは、その名前からわかる通り、使用済みのインクカートリッジにインクを補充するビジネスのこと。
通常、インクがなくなると、プリンターの製造元が認めている正規のインクカートリッジを再購入して、以前のカートリッジは廃棄することが多いかと思います。
しかし、その場合、埋立地に持っていく廃棄物が増え、また土壌汚染にもつながります。
そこで、使用済みのインクカートリッジに穴を開けてインクを補充する方法を採用すれば、インクカートリッジを再利用でき、無駄なゴミを減らすことが可能になります。
このビジネスモデルは、日本だと価格の面から成立しにくいかもしれませんが、海外、特に発展途上国などでは、現地の所得に比べて正規のインクカートリッジの価格が高いため、価格を抑えられるインク詰め替えビジネスは、スモールビジネスとして成立しやすいのではないでしょうか。
エコビジネス事例・参考例5:持続可能な建設材料
建物の建設にエコフレンドリーな材料を利用していくというのも、エコビジネスとして良いでしょう。
例えば、Axionという鉄道路線の建設に携わっている会社では、線路のつなぎ目に鉄やコンクリートではなく、消費者が捨てたプラスチックをリサイクルした材料を利用しています。
建設会社に従事しているのであれば、建設材料をエコフレンドリーな物に変え、そのことを消費者へしっかり示していくことで、新しいビジネスチャンスが生まれるかもしれません。
エコビジネス事例・参考例6:エコフレンドリー・ビューティサロン
もし美容に興味があるなら、環境に優しい美容ビジネスを始めるのがいいかもしれません。
最近、オーガニックな材料や環境に優しい材料のみを使用した美容製品が市場にもたくさん出回るようになってきましたが、そういったエコフレンドリーな商品だけを利用したビューティーサロンやネイルサロンを開設してみるのは新しいビジネスになると思います。
特に、美を気にする多くの女性には「自然」というキーワードが刺さるはずです。
エコビジネス事例・参考例7:エコフレンドリーなイベント企画会社
大小を問わず、イベントは大量の浪費物を生み出し、環境へ悪影響を与えることが少なくありません。
そこで、環境に配慮したイベント運営を企画する専門会社を立ち上げてみるのも一つのビジネスモデルかと思います。
例えば、
- エコフレンドリーな会場の選定
- 環境に優しい材料の選定
- 環境に配慮した運営の企画
- 会場までの移動は公共の乗り物にして排気ガスの削減をする
- 無駄な電力消費を抑える
- ゴミが無造作に捨てられないようにする など
といった企画力を強みにした会社です。
このような、他のイベント企画会社にはない強みを持つことで、環境への意識が高い企業へアプローチしやすくなり、市場でも優位に立てる可能性があります。
エコビジネス事例・参考例8:グリーン・家事代行サービス
家事の代行サービスはすでにたくさん存在していますが、そこへ「環境に優しい」というコンセプトを加えた家事代行サービスを考えて見るのも一手かもしれません。
道具は全て自然素材で、また環境に優しい製品や洗剤を使い、キッチンやお風呂の汚れを落としたり、洋服を洗濯するサービスです。
特に小さな子供を抱えた富裕層の中には、このようなサービスを好む家庭が多いと思うので、通常の家事代行サービスより高めに価格設定しても成り立つ可能性があります。
エコビジネス事例・参考例9:エコサイクル家具
多くの家庭には、古くなっていらなくなった家具があります。
そこで、そういった家具を超安く買い取って分解し、新しい家具を組み立てて再販売するといったビジネスを検討してみると良いかもしれません。
そうすることで、ゴミを減らすことに繋がるだけでなく、ビジネス視点でも原材料を安く抑えられる上に、エコフレンドリーを強調することで販売価格を引き上げることが出来るので、販売先さえ見つけられれば魅力のあるビジネスモデルになると思います。
エコビジネス事例・参考例10:エコ・コンサルティング
もしも環境学やエコビジネスに詳しく、ビジネスを始めたいけど十分な資金がなかったり、自分でオペレーションするのは自信が無いというならば、エコ・コンサルティングのサービスを始めてみるのはいかがでしょうか?
例えば、ある企業が環境に優しい商品、サービス、仕組み、活動などに興味がある場合、コンサルタントして相談に乗って環境に詳しい専門的知識からアドバイスをしていくのです。
日本国内にはまだエコビジネスのコンサルタントは少ないと思うので、環境とビジネスに詳しい人にとってはチャンスがあるかと思います。
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エコビジネス(グリーンビジネス/環境ビジネス)とは?事例やアイデアも紹介していくのまとめ
地球環境が毎年のように悪化している現在では、エコビジネスの考えは非常に重要になっていくはずで、同時に大きなチャンスが待っていると言えます。
エコビジネスに興味があれば、起業を検討してみると良いかもしれません。
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