ブラジルの国旗について詳しく見ていきます。そのデザインや色に込められた意味から描かれた文字が象徴することなど、ブラジル国旗について知りたければ必見です。
世界各国にはそれぞれ独特の国旗がありますが、南米最大の国ブラジルの国旗とはどのような旗でしょうか?
緑地の中央に大きな黄色のひし形があり、そのなかには27の小さい星が描かれた青い球体があり、その球体を横断する白い帯には緑字でORDEM E PROGRESSOと書かれています。
ある意味で非常に独特なデザインを持ったブラジルの国旗の意味とはなんなのか?
それぞれの色に込められた思いや文字の意味、そして、このブラジルの国旗が変容していった歴史からちょっとした豆知識までを紹介していきます。
ブラジルの国旗の意味と色
ブラジルの国旗は世界に存在する数々の国旗のなかでも、比較的変わったデザインだと言えるでしょう。
旗には、
- 黄色いひし形
- 青色の球体
- 青色の球体に散りばめられた白い星々
- 青色の球体を横断している白色の帯
- 白色の帯に描かれた「ORDEM E PROGRESSO」という文言
- 緑色の国旗の下地(背景)
の6つのユニークな要素が描かれています。
そして、これら黄色、青色、白色、緑色のいずれかで描かれた6つの要素はそれぞれ意味を持っており、また、ブラジルの特徴や歴史を象徴しているのです。
ブラジル国旗の色とデザインが象徴する意味
ブラジル国旗を構成している各要素の意味は、その色を合わせて以下の通りだとされます。
- 下地の緑
- ブラジル初代皇帝ペデロ1世のブラガンサ家
- 黄色のひし形
- ペデロ1世の王妃マリア・レオポルディナのハプスブルグ家
- 中央の丸い青色
- 現在の共和政が樹立された日の朝に見えるリオデジャネイロの空
- 白色の帯
- 天球上における太陽の見かけ上の通り道である黄道
- 青色の球体に散りばめられた白い星々
- ブラジルにある27の州(ブラジル連邦共和国を構成する26州と1連邦直轄区)
しかし、現在では国旗の下地になる緑色はブラジルの国土の多くを占める「熱帯雨林やその他の大自然」を、黄色はブラジルの富である「豊かな土壌や金」を示していると言われることが多くなっています。
さらに、上に挙げた5つの要素以外にも一つ、ブラジルの国旗には「白色の帯に描かれた”ORDEM E PROGRESSO“という文言」があるわけですが、この文字に込められた意味は次の通りです。
ブラジル国旗のORDEM E PROGRESSOに込められた意味
ブラジル国旗中央の白い帯に描かれた「ORDEM E PROGRESSO」という文字は、ブラジルの国家としてのモットーを意味しています。
そのモットーとは、英語で「Order and Progress」。
日本語に訳すと、
- 「秩序と進歩」
という意味です。
実は、この標語「秩序と進歩」は、実証主義のモットーとしてよく知られています。
またこれは、フランスの哲学者であるオーギュスト・コントによる、
L’amour pour principe, l’ordre pour base, et le progrès pour but.
愛を原則とし、そして 秩序を基礎とし、進歩を目的とすべし
の句が参考にされたものです。
ブラジル国旗に描かれた星のデザインについて
上でも触れた通りブラジル国旗には27個の星が描かれ、この星々はブラジルにおける26の州と1つの連邦直轄区を表しています。
しかし、これらの星はランダムに配置されているわけではありません。
(出典:wikipedia)
中央の青い球に描かれた星を確認していくと、上の画像の6番が南十字星を作っていると同時に、その周辺の星座を含む正座によって、南半球の象徴的な空を作り出しているのが分かります。
また、7番として描かれている小さな星は南極星です。
これらの星は全てが同じ大きさではなく、実際には5つのサイズで描かれているのが一つの特徴です。
さらに、ブラジルの国旗は歴史の中で幾度にも渡って変容してきましたが、現行モデルの基盤が整ったのは1889年の頃で、当初は21の星しか描かれていませんでした。
その後に新たな州がブラジルに加わったため、1960年には22個へ、1968年には23個へ、そして1992年には現在と同じ27個の星となりました。
ちなみに、帝政時代からブラジル合衆国時代に突入したことを示すために、現行モデルの原型となる国旗が1889年11月19日に制定される前、実はアメリカの国旗と非常に似たデザインが採用された時期が4日間だけありました。
しかし、そのデザインが色が違うだけであまりにもアメリカ合衆国の星条旗と似ていたため、当時のデオドロ・ダ・フォンセカ大統領が拒否し、急遽新しいデザインが用いられたという背景があったりします。
ブラジル国旗の歴史
もともとブラジルの国旗は、現行の物とは全く異なるデザインを持っていました。
例えば、1640年にジョアン四世が初代ポルトガル王となり、その後にブラジルがブラジル公国に昇格すると同時に国旗が制定されたわけですが、当時の国旗は、白の下地に、1495年から1521年までポルトガル王となった「マヌエル1世」の紋章である金色の球体を描いたものでした。
これ以降、幾度も国旗のデザインは変わっていきましたが、1822年にブラジルが帝政時代に入ると、「ブラジル初代皇帝ペデロ1世のブラガンサ家の緑の下地」と、「ペデロ1世の王妃マリア・レオポルディナのハプスブルグ家の黄色のひし形」を基盤としたブラジル帝国の国旗が採用されます。
この時に採用されたデザインは、今日使われている国旗にも反映されていると言えるでしょう。
そして、ブラジル帝国は領土を拡張していったこともあり、そこに含まれる州の数が増えていった結果、1822年末と1870年の二度にわたって改正されていきました。
その後、1889年11月5日に共和制を採用したブラジル合衆国が樹立されると、それまでの帝政時代から決別するためにも、先述したアメリカ合衆国国旗にデザイン面で類似した国旗が4日間だけ採用され、現行のブラジル国旗の原型となる国旗が1889年11月19日に制定されました。
現在使用されているデザインの旗は、1889年11月19日に制定された現行の旗の原型へ微修正を何度か加え、1992年5月11日に制定されたものになります。
ブラジルの国旗にまつわるその他の豆知識
ブラジル国旗のデザインの意味から歴史までを見てきましたが、最後に、その他のブラジル国旗にまつわる豆知識を簡単にまとめておきます。
- 三権広場にはためくブラジルの国旗
- 三権広場とはブラジルの首都ブラジリアにある、周囲を国会議事堂、大統領府、最高裁判所に囲まれた場所ですが、ここには常にブラジル国旗がはためいています
- 重要な場所では毎日国旗が掲揚されて格納さえる
- 大統領宮殿、連邦議会、連邦最高裁判所、上級裁判所、省庁、国の三権府(立法府、行政府、司法府)、在外公館などでは、毎日、ブラジル国旗の掲揚と降納が行われます。
- 使用済みになると国旗の日に焼却される
- 使用済みとなった国旗は軍施設に送られ、毎年、国旗の日として知られる11月19日の特別式典の最中に焼却されます。
- 大統領によって公式追悼発せられると半旗が掲げられる
- 大統領によって喪に服すことが宣言されると半旗として掲げられます。
- このような場合においては常に、国旗をまず旗用ポールの最上部まで上げ、その後に中間地点まで下げることになっています。
- 市長や知事が亡くなったときなどは、地方政府が服喪の決定をすることもあります。
- 国旗の歌
- ブラジルにはブラジル国旗に捧げる「国旗の歌」があり、毎年「国旗の日」に歌われます。
- 他国の国旗と一緒に掲揚される場合のルール
- 他国の国旗が領事館や大使館にある場合を除き、他国の国旗はブラジルの国旗と並んで掲揚される際にブラジル国旗の右側に位置するようにします。
- 複数国の国旗が同時に掲揚・降納されるときには、ブラジルの国旗は一番最初に旗用ポールの最上部まで到達し、また、一番最後にポールの底部に到達することになっています。
- 大統領と副大統領の旗
- ブラジルの国旗以外にも大統領と副大統領には専用の旗が存在します。
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ブラジルの国旗|意味や色そしてデザインや文字について解説のまとめ
ブラジルの国旗の色やデザインが持つ意味から、歴史的な背景までを見てきました。
世界には様々な国の国旗があり、そこには異なる意味が象徴されていますが、ブラジルの国旗も同じようにとても興味深い意味を秘めていることが分かります。