韓国の国花について見ていきましょう。憲法で公式に定められているわけではないものの、韓国には事実上の国花「ムクゲ」があります。
世界中にある国の中には、正式に国のシンボルとして「国花」を定めているところがあります。
では、日本の隣国である韓国ではどうでしょうか?
韓国の国章を始めとしたシンボルやマークを見ると、よく「花」のモチーフが採用されていますが、これは韓国の国花なのでしょうか?
この記事では、韓国の国花について詳しく見ていきたいと思います。
韓国の文化を理解する上でも役立つと思うので、興味があったら確認してみましょう。
韓国の国花とは?
韓国の国花について簡潔に結論から述べると、韓国政府や憲法によって公式または正式に定められていたり発表されているわけではないものの、世間一般的に韓国の国花とされているのは「ムクゲ」、朝鮮語では「ムグンファ」と呼ばれる花。
朝鮮語で「ムグン」とは「永遠」または「無限の豊かさ」を意味すことから、ムクゲの花には「不死のシンボル」とされる象徴的な意義が含まれています。
そんなムクゲの基本種は、ピンクから淡い紫の色調の花に濃い赤紫の中心部を持つ美しい花で、アオイ科フヨウ属の落葉樹。
中国中南部および南東部原産とされますが、アジアほぼ全域を含めた広域で知られており、韓国を象徴する花であること、また、見た目が野生のバラの一部に似ていることなどから「コリアンローズ」と呼ばれることもあります。
(韓国の大統領の旗:ムクゲの両側に一対の鳳凰が配置されている)
そして、公式には国花と指定されているわけではないにも関わらず、
- 国章に使われている
- 韓国の国歌の中で韓国はムクゲの花に詩的に例えられている
- 大韓民国の行政区画の記章の中にはムクゲが使われているものもある
と言ったことから、ムクゲは韓国において事実上の国花となっており、さらに言えば韓国人にとってこの花は一般的に、「朝鮮民族」の伝統的シンボルとなっているとも言えるのです。
ちなみに、韓国においてムクゲは、昔から庭木として育てられており、葉は煎じてハーブティーとされ、花は食用とされていたという文化的・歴史的背景を持ちます。
韓国の国花「ムクゲ」について少し詳しく見ていこう
ムクゲは直立性の落葉樹で、樹全体としては花瓶のような形をしており、高さは2~4メートルほど。
花の色は多くの場合ピンクですが、濃いピンク(ほぼ紫に近い)、淡いピンク、または白の花をつけるものもあり、中心には先端が黄色くなっている白い雄しべが突き出しています。
そして、個々の花は短命で1日しか持たないのが特徴です(※ただし、中には2日以上咲いているものもあるため、完全な1日花ではない)。
一方で、樹全体としてはたくさんのつぼみをつけるため、夏の開花シーズン、特に7月から9月にかけては継続的に、多くの花を楽しむことが出来るとして知られています。
また、ムクゲは空気汚染、高温、多湿、痩せた土壌、渇水に対する耐性が強いため、都心部はもちろんのこと、それ以外の多くの郊外へも上手く順応し、強くて生命力のある植物なのです。
ムクゲの花の詳細
ムクゲに咲く花は、5枚の花びらからなります。
そして、栽培品種などを始め、種によって違いますが、
- 白
- 赤
- 紫
- 藤色
- スミレ色
- 青の単色または二色
といった花びらの色が存在します。
花の大きさはおおよそ5〜10cm程度で、5枚の花びらの台座部分からは雄しべが中心に向かって伸びているのが特徴です。
ちなみに、ムクゲの花は単一でも最大10cm程度とそれなりに大きく、さらに樹全体では無数の花を咲かせるため、比較的柔らかく柔軟な幹を持つムクゲの木には、開花シーズンの夏になると重しが掛かることになります。
すると、大きく成長したムクゲの木の中には、夏に多くの花を開花させた結果、幹が地面に向けて途中から曲がってしまうものも出てきます。
観賞用や園芸用の庭木として人気があるムクゲ
ムクゲは今日、観賞用や園芸用の低木として人気があります。
また、韓国を始めとしたアジアだけでなく、18世紀頃にはすでにムクゲは「Althea frutex」または「Syrian ketmia」と呼ばれ、英国庭園や北米の植民地ではよく見られる庭木となっていました。
このような背景から、現在は非常に多くの栽培品種が出回っているわけですが、以下はその中のいくつかの例です。
- 宗旦(そうたん)
- 日の丸(ひのまる)
- 白一重(しろひとえ)
- 大徳寺一重(だいとくじひとえ)
- 大徳寺花笠(だいとくじはながさ)
- 赤花笠(あかはながさ)
- 白花笠(しろはながさ)
- 紫盃(しはい)
- ブルーバード
- レインボー
- ピンク・デライト
- ダイアナ
- レディ・スタンレイ
- ブラッシングブライド
- アーデンス
- ウッドブリッジ
ちなみに、今日までムクゲが世界中で栽培されてきたのは、取り扱いが非常に簡単なのにも関わらず、開花シーズンには見事な花を咲かせるからという特徴に依るところが大きいと言えるでしょう。
しかし、16世紀頃、ムクゲがヨーロッパの庭園に紹介されて栽培されるようになった当初、この植物は、
冬期または戸外の庭園では、覆いがなくては長くは持たない。長期にわたって栽培するには、大型の植木鉢または桶に植え、屋内または暖かい地下室に保存すべきである
とされ、取り扱いが難しく、大変な注意と面倒を必要とする植物だと考えられた時期があったようです。
しかし、17世紀の終わり頃になると、ムクゲの強さを理解する人も現れ始め、その結果、18世紀になるとイギリスと北米の植民地(当時のアメリカはまだイギリスの植民地だった)で、当たり前の様に目にするほどにまでなっていたのです。
ムクゲ以外にも韓国で国民に愛される花々
韓国国内において、夏は花々が咲き誇るピークシーズン。
しかし、開花時期を迎える花の種類こそ少なくなるものの、春や秋に開花を迎えるものも数多くあります。
このように、韓国にはムクゲ以外にも多くの花があるわけですが、こういった花の中には多くの韓国人に愛されているものがいくつか存在します。
具体的には、
- チョウセンレンギョウ
- カラムラサキツツジ
- 韓国アベリア
- 桜
- マグノリア
- イチョウ
- プルサティラ・コリアナ
- メギ
- ゲンチアナ
- ツバキ
などです。
他にも、誕生日やバレンタインデー、その他の祝い事の際に韓国の人々は、チューリップや赤いバラ、白いユリ、ガーベラ、 スターゲイザー・リリー(百合の一種)、グラジオラスなどを贈り物として選ぶことが比較的よくあります。
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韓国の国花はムクゲ!その特徴から庭木としての歴史裏話までのまとめ
韓国の国花について見てきました。
韓国には公式には定められていないものの、事実上の国花として世界的にも認知されているムクゲの花があります。
このムクゲの花は、韓国を象徴するシンボル的存在として、様々な場面で利用されているので、韓国文化に親しむためにも知っておくと良いでしょう。