ロシアの川を見ていきましょう。世界的にもその名前が知られるヴォルガ川やアムール川を始め、規模は小さいけどロシアにとっては重要な川など、9つの川を確認していきます。
ロシアはユーラシア大陸に位置する世界で最も大きな国であり、その広大な国土はウラル川を境に、アジア地域とヨーロッパ地域にまたがって存在しています。
大国ロシアにはたくさんの川が流れ、北極海やバルト海、他にも黒海、カスピ海、太平洋など、様々な海へ注いでおり、中には優れた交易路として、また、歴史の中で社会が発展してきた重要な拠点として、その存在感を知らしめています。
この記事では、ロシアに流れる数ある川の中からも知っておきたい9つの川を厳選し、一覧にして紹介していきます。
ロシアの川1:ヴォルガ川
ヴォルガ川はヨーロッパ地域では最も長い川であるだけでなく、ロシア文明を育んできた、ロシアにとっては最も重要な川である上に重要な交易路。
ロシアの西部(ヨーロッパ側)を流れ、ロシアの最も大きな都市上位20か所のうちの約半分はヴォルガ川の流域に位置しており、その中には首都のモスクワも含まれています。
現在でもロシアの河川貨物の2/3はこのヴォルガ川とその支流によって運送されていると言われ、「ロシアの母なる川」とさえ言われほど重要。
また、全長3690kmは日本の東西よりも長く、世界最大の国土を誇るロシアに相応しい川だと言えるでしょう。
ロシアの川2:モスクワ川
モスクワ川は、ロシア西部のスモレンスク州とモスクワ州を流れるヴォルガ川水系に属するオカ川の支流で、その長さは503km。
ロシアの首都モスクワはこの川の水域にあり、モスクワの街の優れた建造物の多くは、モスクワ川の流域に建てられているなど、モスクワと一体となって美しい街並みを形成しています。
例えば、有名なクレムリンやノヴォデヴィチ女子修道院、救世主ハリストス大聖堂などを見学する際には、この川の岸を歩いていくことも多いでしょう。
さらに、モスクワ市の境界には数十個に及ぶ橋がかかっており、それらがこの川を美しく彩り、ロシアで最も優れた光景の1つとなっています。
ちなみに、1930年代に建てられたモスクワ運河は、モスクワ川と北に位置するヴォルガ川をつなぐ役割を果たしています。
また、モスクワ川は最終的にオカ川と合流し、その後にオカ川はヴォルガ川と合流してカスピ海へ流れていきます。
ロシアの川3:オビ川
オビ川は、ロシアの中でも東のアジア側の水域を支配する川の1つで、シベリア西部の低地に位置しており、北極海へ繋がるオビ湾へと流れていきます。
オビ川の全長は、どの川を本流とみなすかによって変わり、エルティシ川を本流とした場合は約5570km、カトゥニ川を本流とした場合は3650kmと、その長さはヨーロッパでは最長となるヴォルガ川に匹敵または凌ぐほど。
さらにオビ川が注ぐオビ湾自体もおよそ1000kmに及ぶ長さを持ち、半島を2つに分けるように流れています。
ちなみに、エルティンシ川が本流とされた場合は、このオビ川がロシアで最長の川となります(ただし、この場合でも、ヨーロッパ最長の川はヨーロッパ地域に位置するヴォルガ川であることには変わりない)。
ジグザグの形をした地形や複数の支流があるおかげで、この川はシベリア鉄道が開通するまで、シベリアを横断するにあたって有効な移動手段として重宝されていました。
また現在、この川へ至る方法としては鉄道が利用されており、予算的にも優れた方法となっています。
ロシアの川4:レナ川
レナ川はロシアのアジア側にあるシベリア東部を流れる川。
バイカル山脈に水源を持ち、イルクーツク州とサハ共和国を流れて北極海のラプテフ海へ注ぐこの川は、その長さが4400kmに達することから、オビ川の本流が正式にエルティンシ川とされない限り、ロシア国内にある川としては最長の川となります。
極寒のシベリアにあるため、冬には厚い氷で表面が覆われるものの、一方では周辺に大規模な都市が少ないため、貴重な自然が残っている美しい川でもあり、氷が解ける夏にはクルーズ船がこの川を行き交いしています。
ちなみに、ソ連の産みの親と言えるウラジーミル・レーニンの「レーニン」は、「レナ川の人」を意味するニックネームだと考えられています。
ロシアの川5:ウラル川
ロシアを南北に横断してヨーロッパ側とアジア側を分ける境界線の北側にあるウラル山脈から、カスピ海まで注ぐウラル川は、およそ2500kmに渡ってロシアとカザフスタンを流れ、最後にはカスピへ注ぐ国際河川。
ヨーロッパとアジアを分けるように流れるこの川は、暖かい時期は流れが強い一方で、冬になると凍り付いてしまうことでも知られます。
また、かつてはヤイク川と呼ばれていました。
一方、ウラル川に沿って広がるロシアの町には、オルスク、オレンブルク、マグニトゴルスクなどがありますが、観光に適した名所・名跡はほとんどありません。
ただし、ロシアの大自然を満喫するためには、川下りを検討してみたい川であると言えるかもしれません。
ロシアの川6:エニセイ川
エニセイ川は、ロシアのアジア側を流れて北極海に注ぐ、巨大な水系を形成する川で、全ての支流を含めた長さは5500km、支流を含めない場合でも3438kmと、ロシアの川としては上位に入る長さを誇ります。
さらに、流域面積はロシアはもとよりユーラシア大陸全土で見ても最大と言われ、北極海に流れ込む水系では最大。
モンゴルから北へ流れ、そしてロシアのシベリア中央部を貫くようにして進んでいき、最終的には北極海のエニセイ湾へ注ぐのです。
また、エニセイ川の中流部には水力発電用のダムが建設されており、周辺地域の産業を支える上では非常に重要な存在ともなっています。
そんなエニセイ川の名前は、17世紀頃にこの流域に入植したコサック達によって呼ばれ始めたのに由来するとされます。
ロシアの川7:ドン川
ロシアを代表するヴォルガ川やシベリア地域を流れる巨大ないくつかの川と比べて、およそ1950kmの長さしかないドン川は、迫力の点では見劣りしますが、ロシアを流れる川としては主要な川の1つです。
ロシアのヨーロッパ側を流れ、モスクワの南東のトゥーラという都市の周辺から始まり、その後、南へ向かって黒海の一部アゾフ海へ注ぎます。
この流域は遊牧民族として知られるスキタイ人の発祥地であったり、コサックの中でもドン・コサックと呼ばれる集団が勢力を拡大していった場所であったりするだけでなく、黒海へと繋がる重要な交易ルートとして歴史の中で重宝されてきたことから、ロシアにとっては重要なのです。
現在も、交易ルートとして重宝されています。
ロシアの川8:ネヴァ川
ネヴァ川は、ロシアの古都でありモスクワに次いで第二の都市であるサンクトペテルブルクの三角州を流れていき、最終的にはフィンランド湾東端のネヴァ湾に注ぐ川。
また、川はヨーロッパ最大のラドガ湖につながっていることでも知られます。
サンクトペテルブルクは、ロシア帝国創設以降からロシア革命時までの間、ロシアの首都だったこともあり、長年、ロシアの中心地として機能してきました。
ここには豊かな水路が広がっていることから、サンクトペテルブルクは「北のベニス」と呼ばれることさえある美しい街です。
モスクワと同じように町中の多くの名所は川から見ることができ、例えば、有名な冬宮殿やエルミタージュ美術館、旧海軍省、夏の庭園などが含まれます。
そんなネヴァ川は、74kmほどの長さしかありません。
ロシアの川9:アムール川
アムール川は、ロシアやモンゴルにもまたがっているものの、その主要部分は中国国内にあるため、どちらかと言えばロシアの川よりも中国の川として知られる国際河川。
中国では黒龍江として知られ、上流部の支流も含めれば上流部分の支流を含めた延長は4368km〜4444km、含めない場合でも2824kmと、世界的に見ても長い川です。
また、ロシアのアムール州、ユダヤ自治州、ハバロフスク地方と中国の黒龍江省との国境を形成していることでも知られ、川沿いにはハバロフスクや黒河市など、地方の中心的都市が建設されています。
2つの豊かな川であるシルカ川とアルグン川が合流して出来ており、名前にもある黒い水が意味するこの川にはミネラルが豊富で漁業資源が豊富。
さらに、建設当時は世界最長の鉄橋として、また、アムール川の奇跡とさえ言われることがあった、2.5kmを超えるハバロフスク橋が、ハバロフスク地方を通るアムール川には掛かっています。
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ロシアにはヴォルガ川以外にも巨大な川がいくつもあり、また一方では小さいながらも重要な川がいくつもあるのです。