海外移住の準備に関して、具体的なステップを8つに分けて紹介しながら解説していきます。海外移住経験者によるわかりやすい準備ステップです。
人口減少や年金問題など、ここ最近は将来の問題について良く報道されるようになった日本ですが、この現状に対して不安になる人の中には「海外移住」を考え始める人もいるかもしれません。
また、それとは関係なく、以前から前向きに「海外で暮らしてみたい」と考えて海外移住を希望している人もいるはずです。
私(筆者)は大学と大学院を海外で過ごし、現在はアルメニアに拠点を置いて活動していることもあり、周りには外国へ移住して仕事をしたり、現地生活を楽しんでいる日本人が比較的多くいます。
そこで、私個人の経験や、友人、知人達の話を参考にしながら、海外移住を実現させるための準備のステップについて語っていこうと思います。
興味あれば参考にしてください。
海外移住を実現するための8つの準備ステップ
海外移住の準備1:なんで海外移住なのか今一度確認しておくべき
海外移住を考え始めるのはすごく良いことですが、そもそも「なんで海外移住をしたいのか?」また「海外移住するべきなのか?」について再度確認した方がいいです。
- 海外移住じゃないと実現できない目的があるのか?
- その目的は日本じゃ実現不可能なのか?
などを明確にしておいてください。
日本と違って外国で仕事をしたり生活するのは、現地では外国人となる日本人にとってそれなりに大きなハンデとなることが多く、例えばその国の人たちが使える保険が利用出来なかったり、現地の言葉が喋れないことで仕事が見つかりにくいなど、日本とは違う困難が存在します。
海外移住で実現したいことが明確になってないと、このような困難な状況に陥った場合に踏ん張りが効かなくなりやすいので、まずは大前提として海外移住が本当に必要かどうかを確認しておくべきです。
海外移住の準備2:移住先の候補を絞っていく
海外移住と言ってもその候補となる国はたくさんあるので、どの国へ移住したいのかを絞っていく必要があります。
もともと特定の国へ海外移住を希望していた人は別として、候補となる国が特にない人は次の点などを踏まえて絞っていきましょう(多くても3ヵ国)。
- 自分が興味のある地域や国は?
- その国との繋がりを持っているか?
- 現地の言葉は使えるか?
- 公的な健康保険や社会保険は十分か?
- 無料それとも有料?
- 治安は問題ないか?
- 医療水準は?
- 仕事は得られそうか?
- 平均的な給料は?またその場合の生活水準は?
- 生活費は?
- キャリアは伸ばせるのか?
全ての条件に当てはまる必要はないですが、自分が海外移住先を決定する上での確認項目としては参考になると思います。
また他にも人によっては、日本食が食べれるか?コンタクトレンズが手に入るか?といった細かい確認もしておいた方が良さそうです。
ちなみに私は現在アルメニアに拠点を置いているわけですが、この決定をしたのは以下の理由からです。
- 妻がアルメニア人(移住する前は日本で知り合って日本で暮らしていた)
- アルメニアにはそれなりに強いコネクションがあった
- 2009年にアルメニアへ始めてきた際にLeadership School FoundationというNGOを共同創業者として立ち上げている
- これによって、現地の政財界で既に広いネットワークがあった
- 英語が使えれば首都のエレバンにいる限りなんとかなる
- 物価の安いアルメニアでは収入が途絶えてもなんとかやっていける程度の金融資産があった
- 社会・医療保険は外国の物で代用出来た
- 日本ほどではないにしろ病院を選べば医療水準は比較的高い
- 治安はとても良い
海外移住の準備3:移住先候補の文化を知る
移住先の候補を絞ったら、次に候補先の文化や習慣などについてしっかりと調べておくことが大切だと思います。
その国の生活様式や価値観が自分のものとどれだけ違うのかを確認し、その違いを受け入れられるのかを見ていきましょう。
特に、ここでの情報収集が、実際に現地へいった後にどれだけスムーズに移住先のコミュニティへ馴染めるかに大きく影響してきます。
また、もしも日本に移住先の国出身の人がいたら、
- 直接会って色々と話を聞く
- その国出身の人が集まるコミュニティに参加させてもらう
などすると、現地のことを知れる上に対象国に愛着が湧いてくるのでおすすめです。
私の場合はアルメニアへ初めて来る前にはオーストラリアにいたんですが、当時、オーストラリアに住むアルメニア人達のコミュニティに参加させてもらっていました。
オーストラリア生まれのアルメニア人とアルメニア生まれのアルメニア人では、文化や習慣が全く異なるので、結局アルメニアに到着してから速攻でカルチャーショックを受けたわけですが(笑)。
また、この段階で移住先の対象国を一つに絞れるなら絞っておきましょう。
海外移住の準備4:資金面の準備
移住先の文化や習慣を理解してより具体的に移住先での生活のイメージが湧いてきたら、移住に必要な資金を準備し始める段階です。
この際に必要な資金に関しては、
- 移住先の物価や想定される生活費はいくらか?
- 移住先でも仕事をするのか?
- 事前に仕事を確保するのか?
- 現地に赴いてから仕事を探すのか?
- 私のようにFIRE生活を送るのか?
- FIRE生活をするなら滞在先で必要な年間の支出×25倍が基本(詳しくはFIREのの基本の4%ルールの部分を確認)
- 金融資産を運用した利回りだけで暮らすのか?
などによっても異なってきますが、基本的には事前に仕事を確保出来る場合は、必要となる資金を最も低く抑えることが可能です。
また、一つ言えるのは海外移住に必要な資金に関しては、移住先が絞れた段階ですぐに準備し始めるのがいいです。
出来る限り早く前倒しして準備し始めることで、実際に海外移住をする時期も早めることになります。
それと、アパートを借りる場合、国によっては半年間や一年間分の前払い制が一般的なこともあるので、この点も調べておいた方がいいです。
仕事探し
ちなみに、事前に仕事を確保したい場合はもちろん、現地に移ってから仕事を確保しようと考えている人も、とりあえず仕事に関して行く前に一通り調べておいた方がいいです。
移住先で仕事をしないと生活出来ない場合は、仕事を見つけられない限り移住生活を続けることが出来なくなってしまうので、念のために事前に調査しておくのが大切だからです。
仕事を「確保する」または「とりあえず調査しておく」のいずれにしろ、次のような方法があります。
- 海外の仕事を斡旋してくれる人材会社へ相談する
- 一つではなくて複数の会社に登録する方がベターです
- 海外の仕事を紹介しているサイトを確認する
- 複数のサイトを確認しておきましょう
- 移住先のクラシファイド(掲示板)のサイトで仕事がないか探してみる
- 世界で最大のクラシファイドであるクレイグスリストは世界各地をカバーしているので、まずはここで該当の移住先で仕事があるか探しているのは有効だと思います
- 移住先に住んでいる日本人や現地の人にコンタクトしてみる
- FacebookやTwitterなどのSNSを利用するのは一つの方法です
- InterNationsというサイトを利用してみるのもおすすめです
ちなみに、事前に仕事を確保したい場合、私は「海外の仕事を斡旋してくれる人材会社へ相談する」方法を強くおすすめします。
他の方法だと、国によっては詐欺まがいの物も混ざっていたりするので、実際に移住してみたら仕事がなくて困った状況になりかねないです。
なので、よっぽど現地に信頼出来る人や友人がいない限り、事前に仕事を確保するなら専門の人材会社へ相談するのが安全です。
過去に海外就職に関して相談させてもらった経験から言うと、私はJACリクルートメントが、サービスや仕事が見つかる可能性の面で最も良いと思います。
海外移住の準備5:決断する
必要な資金面の準備が出来たら(事前に仕事を確保したい人は、資金に加えて採用通知が手元に届いてから)、海外移住をするかどうか最終判断しましょう。
実は、この段階と言うのが人によっては一番難しい部分だと思います。
現地に関して調査していたり、仕事の面接を受けたり、資金を貯めている時は夢を描いて他のことは気にせずに行動しやすいですが、いざ実際に移住できる段階になると、いきなり海外移住のリスクやデメリットが頭に浮かんできて心配になることが多々あります。
ただ、心配しすぎると結局は海外移住をしないで終わってしまうので、ここまで準備が整ったなら、後ろを振り返ることなく即行動を起こすべきだと思います。
海外移住のメリットとデメリットに関しては、私の経験から感じたことをまとめた記事があるので参考にしてください。
海外移住の準備6:ビザ発給手続きと住む場所の確保
ビザの発給手続き
海外移住を決断したらビザ発給の続きを行っていきましょう。
通常の観光目的での滞在と違い、長期で現地に住む場合は日本人であってもビザの申請をして発給してもらう必要があります。
ビザの発給に関しては、国によって条件や発給に掛かる期間などが異なってきますが、基本的には早めに申請をするに越したことはないです。
- 行き先の国の大使館に問い合わせる
- 必要書類について確認する
- 書類を集めたら申請する
というステップでビザの申請手続きを行っていきましょう。
長期滞在のビザは発給されるまでに時間が掛かることが多いので、ギリギリになって焦らないように、少なくとも1か月から2か月の余裕をみて申請するのがいいです。
一方で、仕事を確保をしている場合は、新しい職場がビザ取得を代行してくれる場合がほとんどなので、その指示に従って申請に必要な書類を集めていきましょう。
住む場所の確保
ビザが発給される前、申請が終わったタイミングで、移住先での生活場所を探し始めるのが良いです。
自分が探している条件にピッタリの家はなかなかすぐに見つからない場合もあるので、ある程度事前にいくつかの候補を洗い出しておきましょう。
実際の契約は現地へ行ってからというのがほとんどです。
また、仕事を確保している人は、現地の会社がアパートを提供してくれたり探したりしてくれることもあります。
ただしいずれにせよ、最初の数日から1週間ぐらいは、Airbnb、ホステル、ホテル暮らしをするパターンが多いです。
さらに、最悪渡航日までに住む場所が見つからなくても、とりあえず安いAirbnbやホステルに滞在して現地で住む場所を探せば、1週間もあれば見つかると思うので、そこまで心配する必要はないと思います。
具体的な見つけ方は、
- 現地の不動産会社のHPを確認する
- クレイグスリストなどの掲示板を確認する
- 現地の人が集まるFacebookページなどを確認する
- 現地で頼れる人がいるならいくつか候補を探しておいてもらう
といった感じで、希望する住まいを探します。
そしてもしも見つかったら、事前に現地の不動産会社やエージェントなどとアポをとって、渡航してからすぐに候補となる不動産を訪問して確認できるようにしておくのが良いです。
海外移住の準備7:日本側の整理を行う
ビザが発給されて住居の候補も決まったら、日本から長期で離れる上でやっておくべき書類や各種整理をしていきます。
- 住民票を抜く(海外転出届け)
- 一年以上海外に住む海外移住の場合は基本的には抜いておきましょう
- 住民票を抜くと健康保険からも抜けます
- 国民年金をどうするか決める
- 抜けるのか?海外にいながらも払うのか?
- 税金の支払いを行う
- 移住する年に発生した所得に関して、移住する直前までに発生した額の申告と所得税の支払いが必要です
- その他書類の情報変更
- 国内の銀行やその他のサービスを使い続ける場合は、登録住所や連絡先を実家にしてきましょう
また、賃貸などに住んでいる場合、引っ越し作業と解約が必要になってきます。
海外移住の準備8:実際に海外移住する!
準備段階の7番目まで終了したら、後は実際に海外移住するだけです。
飛行機のチケットを買って、移住に必要なものを現地へ送ったりスーツケースにしまい、心の準備をして日本を飛び立ちましょう。
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海外移住の準備を具体的なステップを追って解説してみるのまとめ
海外移住に必要な準備を、多くの人が踏んでいくであるステップを追いながら解説してみたわけですが、海外移住を前向きに検討し始めた人は参考にしてください。
最後に、準備の中には含めませんでしたが、とても大切なポイントを二つほど挙げておきます。
- 家族や友人にも海外移住について知らせる
- 海外移住をするなら周囲の人へ報告するのを忘れずに
- 特に大切な人たちへは、確定する前の段階から少しずつ伝えていった方がいいと思います
- 十分な時間を確保する
- 海外移住は重大な決断なので焦りは禁物です
- 実現するまでに必要な時間は、3ヵ月、1年、5年、10年でも関係ないです
- 自分に適切な海外移住の条件を整えて、それに必要な準備へ時間を当てていくことが大切です