世界には花を咲かせる植物が20万種近くあると考えられています。
では、この20万種近くある「花」の中でも、世界で最も小さな花と考えられている花はどんな花なのでしょうか?
この記事では世界一小さい花(世界最小の花)について解説していきたいと思います。
世界一小さい花(世界最小の花)を咲かせる植物とは?
世界最小の花を咲かせる植物、それが英語では「Watermeal(ウォーターミール)」と呼ばれるミジンコウキクサ。
主に東アジアから東南アジア、南アジアの熱帯から温帯域、さらにはアフリカや南北アフリカで見られるこの鮮やかな緑色の楕円形の植物は、0.3~0.8 x 0.2~0.5mmほどの米粒よりも小さな大きさを持ちます。
また、厚さは0.2–0.6 mm、重さは約150µg(0.15mg)。
根・茎・葉に分かれていない「葉状体」だけから構成されている特徴を持つ、ウキクサ亜科ミジンコウキクサ属に属する水生植物の一種です。
淡水の湖沼などに大量に浮遊し、根を持たず、主株の一端から新しい部分が伸びて繁殖し、花はほとんど咲かくことがありません。
この希にしか咲かないミジンコウキクサの花こそが、世界一小さい花(世界最小の花)と考えられているのです。
世界一小さい花「ミジンコウキクサの花」の大きさとは?
ミジンコウキクサの花の大きさ | 0.1–0.2 mm |
世界最小の花「ミジンコウキクサの花」の大きさは、たったの0.1~0.2mmほどしかありません。
本体となる葉状体の上面の中央にある「花孔」と呼ばれる窪みの中に、雄しべと雌しべが一つずつあり、それがミジンコウキクサの花と言われるものになります。
また、日本に分布するミジンコウキクサが花をつける時期は主に夏ですが、開花自体がとても希であるため、その花を確認出来ることはほとんどありません。
加えて、ミジンコウキクサの花は他の花と同じように実を付けることがありますが、実が出来ること自体も非常に希です。
ちなみに、ミジンコウキクサは花に加えてその実でも「世界最小」の称号を得ています。
世界一小さい花は将来人類へ大きく貢献するかもしれない
そんなミジンコウキクサですが、将来、人類へ様々な面で大きく貢献するかもしれないポテンシャルを秘めています。
例えば、水に浮くことで、成長に必要なミネラルやその他の有機栄養素を素早く吸収することが出来るミジンコウキクサの能力は、特に、下水処理や農地からの流出で除去しなければならないリン酸塩や窒素を吸収する点で優れており、環境浄化の目的で有望視されています。
また、下水や家畜の排泄物を食べても毒素を残さないので、飼料や作物の肥料やバイオマス資源として利用することができます。
さらに、一部の国ではすでに利用され始めていますが、ミジンコウキクサはタンパク質を約44%と多く含むなど、食用としても期待されているのです。
他にも、以下のような利用が考えられています。
- 化石燃料に代わる再生可能で持続可能な燃料
- バイオプラスチックの原料
- ワクチンなどの低コストの医薬品への応用