日本では春の訪れとともにひらひらと美しく舞う蝶達が徐々に姿を現してきますが、この蝶はヒマラヤの高山から熱帯雨林にかけて世界中に2万種近く存在すると言われています。
そんな数多く存在する蝶の種類の中でも、最も美しい蝶と呼ばれる3つの蝶々達「世界三大美蝶」を知っていますか?
この記事では世界一美しい蝶々とされる世界三大美蝶について紹介していきます。
世界一美しい蝶々「世界三大美蝶」とは?
世界三大美蝶① ミイロタテハ属
世界三大美蝶の1つはミイロタテハ属(学名:Agrias)に含まれる蝶々達。
このミイロタテハ属には同じ種内であっても変異によって異なる亜種や変形といった多様性が存在するため、それら全てを指し示すことになります(同じ亜種であってさえも個体によって翅の模様が違うことがある)。
日本ではミイロタテハと呼ばれるものの、外国では学名そのままに「アグリアス」として有名です。
主に中米から南米にかけて分布しており、赤橙色が目立つ個体がいると思ったら深くて美しい青色に輝くもの、はたまた水色が基調で黒の斑点が目立つものなど、その変化は多様です。
そして、大きさは開翅時の長さ(開翅長)で7〜12cm。
南米の熱帯雨林から山地にかけての一部の地域に局所的に生息しており、姿が確認される場所では非常に大量のミイロタテハ達を見かけることが出来ます。
さらに、興味深い特徴の1つが、他の多くの蝶のように花の蜜を食用にするのではなく、動物や人間の糞、他にも動物の死体などに集まってそれらの液を吸うという食性です。
一方で、幼虫は葉からコカインの成分が抽出出来るコカノキを食樹として育ちます。
世界三大美蝶② モルフォルチョウ属
世界一美しい蝶々のうちの1つとして世界的にも有名でかつ世界三大美蝶にも含まれるのが、「モルフォルチョウ」として知られるモルフォルチョウ属の蝶々達。
「属」とついていることから分かる通り、ミイロタテハ達と同じようにモルフォルチョウ属に含まれる全ての蝶々の総称で、北米南部から南米にかけての森林におよそ80種が存在しています。
ミイロタテハ属と同じように亜種や変形によって色は異なるものの、最も有名なモルフォルチョウ属の代表色と言えば水色または青に光り輝く金属光沢の色でしょう。
これは、色素ではなくあくまでも翅についている鱗粉に光があたることで人間の目にはそのように映るのです。
そして、モルフォルチョウの大きさは亜種や変形によって異なるものの、タイヨウモルフォと呼ばれるブラジルに生息する種は開翅長が20cm近くにも及び、南米最大級であると同時に西半球で最大の蝶となります。
ちなみに、モルフォルチョウもまた他の蝶とは違い、成虫は花の蜜よりも腐った果実や動物の死骸、他にもキノコなどを好んで食用とし、一方の幼虫はマメ科の植物を食べます。
世界三大美蝶③ トリバネアゲハ(トリバネチョウ)
世界三大美蝶の最後の一角であるトリバネアゲハに関しては、他の世界三大美蝶であるミイロタテハ属やモルフォルチョウ属と違い、ここではあえて「属」をつけていません。
というのも、トリバネアゲハと呼ばれる場合、狭義ではトリバネアゲハ属に含まれる亜種や変形の蝶々を指すものの、最近ではトリバネアゲハ属の近縁であるアカエリトリバネアゲハ属とキシタアゲハ属に含まれる蝶々も合わせて一括りに「トリバネアゲハ」と呼ぶことが多いからです。
そのため、ここではトリバネアゲハとは、
- トリバネアゲハ属
- アカエリトリバネアゲハ属
- キシタアゲハ属
に含まれる30〜90種(専門家によって意見が違う)の蝶々の総称であるとまずは断っておきます。
このトリバネアゲハは属によって分布領域が異なるものの、基本的には東南アジアの熱帯雨林を中心に生息していますが、トリバネアゲハ属のごく一部はオーストラリア北部の熱帯域に、またキシタアゲハ属の一部は台湾とインドにも生息していることが確認されています。
また、トリバネアゲハはどれも大型の蝶であることで知られ、中でもトリバネアゲハ属のアレクサンドラトリバネアゲハは開翅長が28cmにも達し、世界最大の蝶としても有名だったりします。
そして、トリバネアゲハもまた亜種や変形によってその美しい色が異なってきますが、多くは主に黄色または緑色をベースにした発光色を持っているのが特徴で、好みはあるもののゴクラクトリバネアゲハと呼ばれる種は「世界で最も美しい蝶」とさえ呼ばれることがあります。
ちなみに、他の2つの世界三大美蝶達とは違い、トリバネアゲハは多くの蝶と同じように花の蜜を餌とし、幼虫はウマノスズクサなどのつる性植物を食べて成長していきます。