インド洋の貴婦人と呼ばれるモーリシャス共和国について詳しく紹介していきます。基本情報から観光情報までを合わせて見ていきましょう。
世界にはとても美しい景色を持つ場所がいくつもありますが、中には「天国はこの島をモデルにして作られた」とか「インド洋の貴婦人」などとさえ言われるほど美しい国があります。
その名は「モーリシャス共和国」。
観光地としても世界的に名前が知られた島国で、その地理的な理由からアフリカに含まれます。
しかし、アフリカ大陸にある他のアフリカ諸国とは異なる表情を見せ、また、歴史的な理由からそこに住む人々も変わっています。
この記事では、そんなモーリシャスについて、地図上における場所を含めた基本的な情報から、行き方などの観光情報、そして、それ以外のちょっとした豆知識までを紹介していきます。
モーリシャス共和国とは?
モーリシャス、または正式名称を「モーリシャス共和国」とは、西インド洋に浮かぶマダガスカルから900㎞ほど東にいったところにある島国。
分類上はアフリカに属する国家となり、アフリカ大陸からはおよそ2000km東へ離れ、マスカレン諸島に位置する群島国家です。
主島であるモーリシャス島(面積:1864.8㎢)、そこから東へ560kmほどのところにあるロドリゲス島(面積:104㎢)、アガレガ諸島やセントブランドン岩礁に加えて、その他、無数の無人島から成り立ち、国全体の国土を合わせた総面積は2040㎢。
そこに、およそ130万人の人々が暮らし、主島であるモーリシャス島に位置する首都ポートルイスは同国では最大の都市であり、また、その立地から湾岸都市としての機能も持ちます。
地図で見るモーリシャス共和国
モーリシャス共和国の位置関係について、地図を用いて具体的に確認していきましょう。
上の地図で確認すると分かる通り、2000km離れたモーリシャス島とアフリカ大陸の間には、日本の国土のおよそ1.6倍の面積を持つ巨大な島国マダガスカルが横たわります。
一方で、モーリシャス島から南西へ少し離れた所には、同じぐらいの大きさの島がもう一つあるのが分かるかと思いますが、これはレユニオン島でモーリシャスではなくフランス領です。
また、もう少し拡大した地図を見てみましょう。
この地図で確認出来るように、東へ離れたところに小さな島が浮かんでいますが、これがモーリシャス共和国において2番目に大きなロドリゲス島で、モーリシャス島からの距離で見ると、レユニオン島よりも5倍近く離れています。
さらに、あまりにも面積が小さいため上に地図では分かりにくいですが、主島であるモーリシャス島の周辺、特に北方には複数のさらに小さな島が浮かんでいます。
モーリシャスの人々
モーリシャスの自然の美しさもさることながら、モーリシャスの人々が、この国をさらに興味深い場所にしています。
モーリシャスの国籍を持つ人々は、人種的にも民族的にも様々な背景を持つ上に、モーリシャスには先住民と呼ばれる人々がいなく、彼らのルーツは他の地域にあるため、一言で「モーリシャス人」と言い表すのが難しいのが特徴なのです。
人口の約2/3を占めて最大のグループになるのはインド系(印僑)の人々で、彼らの先祖は19世紀の奴隷制度廃止後に、契約労働者としてこの地へやってきたおよそ50万人ほどの人たちでした。
2番目に大きなグループは、アフリカ系と白人系の混血であるクレオールで、その人口の割合は27%。
クレオール達の先祖は自発的にやってきた移民とは言い難く、砂糖のプランテーションで働くために、アフリカやマダカスカルから連れて来られた人々です。
そして、モーリシャス人口の約3%は中国人の商人。
それに加えて、1715年からおよそ1世紀、イギリスに占領されるまでの間、フランスの植民地となっていたこともあり、フランス系の人々も2%います。
モーリシャスの言語
モーリシャスには正式に定まった公用語というのは存在していません。
しかし、フランスやイギリスの占領地となっていた歴史を持つことから、フランス語と英語が事実上の公用語となっています。
(モーリシャス・クレオール語)
ただし、大多数のモーリシャス人は、フランス語をベースに発達したモーリシャス・クレオール語を母語として育つこともあり、日常会話ではモーリシャス・クレオール語が用いられる場合が多々あります。
モーリシャスの宗教
モーリシャス人口の多数派を占めるのはインドからやってきた印僑達であるため、同国における最大者の宗教はおよそ半数の人が信仰するヒンドゥー教。
これによりモーリシャスは、ヒンドゥー教徒が多数派を占める唯一のアフリカ国家となっています。
そして、ヨーロッパ列強の植民地となっていたことから、キリスト教が同国のおよそ1/3の人々に信仰されています。
それ以外に、イスラム教や他の宗教も存在します。
モーリシャス島について
モーリシャスを目指すほとんどの人にとって、その主な目的地はモーリシャス島でしょう。
その美しさを表現するために、「天国はこの島をモデルに作られた」とか「インド洋の貴婦人」と言われることがあるほど美しい自然を有し、モーリシャス共和国としてイメージされる場所は、大抵、このモーリシャス島です。
活気のある首都ポートルイスに加え、素晴らしく美しい白浜と、透明で透き通った浅瀬でよく知られ、海岸線付近のビーチの距離は150㎞を超えます。
一方で、モーリシャス島は火山島であるものの、ビーチから離れた場所であっても比較的平らであり、なだらかに傾斜した肥沃な土地が自慢。
そこでは広くサトウキビが栽培され、コクタンやユーカリの木などの森林もあります。
ただし、より内陸へ行くと山々が不規則に連なり、標高もだいたい300mから800mまで変化し、島の南西にある「ビトン・ド・ラ・
また、モーリシャス島には荘厳な淵や滝が無数にあるのが特徴で、それに加えて、モーリシャス周辺の海は世界で3番目に大きいサンゴ礁に守られていたりと、とても魅力的で美しい自然に囲まれているのです(※モーリシャス島はほぼ全周サンゴ礁によって囲まれている)。
モーリシャス観光
モーリシャスへ訪れる人は誰しも暖かい歓迎を受けるでしょう。
ビーチは世界的に有名で、さらに内陸では高原が広がり、島の美しい景観を作っています。
リゾートやウォータースポーツはモーリシャス観光にあたって広く知られていますが、モーリシャスはまた、世界クラスのゴルフ場があったり、モーリシャスの競馬「シャンドマルス競馬」の開催地があったりもします。
他にも魅力的なモーリシャスを探索すれば、さらに多くの体験ができます。
例えば、次のような場所へ行ってみては如何でしょう?
- レユニオン島へのボートツアー
- 数あるモーリシャスアクティビティの中でも代表的なもので、おすすめの水上アドベンチャーです
- タマリン滝
- ハイキング好きには、島の南西にあるタマリン滝を訪れ、その荘厳な滝を眺める体験をぜひお薦めします
- ブラックリバー渓谷
- モーリシャス唯一の国立公園「ブラックリバー渓谷」では、珍しい植物や鳥を観察することが出来るので自然好きにおすすめです
- パンプルムース王立植物園
- とっても美しい熱帯植物による造園を見ることが出来ます
- セブンカラードアース
- 島の南西にある7色に染まった砂丘で自然の神秘を感じれます
- トル・オー・ビッシュ
- モーリシャス島北部の海岸沿いに広がるビーチで、過去には最も目的地として選ばれるビーチとして選ばれたこともあります
さらに、モーリシャスの神髄を追求したい人には、暗い奴隷時代に生まれたセガの音楽やダンスと、異なる国や文化の影響を受けたモーリシャス料理もお奨めします。
ちなみに、美しい自然が広がるモーリシャスは、今は絶滅してしまった飛べない鳥ドードーの記録が残る唯一の地であり、他にも希少な固有種の動植物が多く存在しているんです(※現在、ドードーの姿は国の紋章で目立つように描かれている)。
モーリシャスに存在する2つのユネスコ世界遺産
ちモーリシャスにはユネスコによって世界遺産へ登録された場所が2つ存在するので、この二つを訪れてみるのも、同国についての理解を深める上では良いかもしれません。
ル・モーン・ブラバン
モーリシャスの南西端に位置する半島で、「モーリシャスの文化的景観」として世界文化遺産に登録されている場所。
この半島には標高556mのル・モーン山がそびえ立ち、そこからの見晴らしはとにかく最高だと言われます。
一方で、この世界遺産は過去の不公平を今に伝えている場所でもあったり。
というのも、ル・モーン山は、脱走した奴隷の隠れ場所として使われていたから。木々に覆われた山崖に守られ、奴隷たちは何年も山の上で生活していたのです。
ちなみに、この奴隷の隠れ場所としての歴史が「自由を求めた奴隷たちの戦いのシンボル」として認められ、同地は世界文化遺産として登録されました。
アープラヴァシ・ガート
ポートルイスのトルオー・ファンファロン湾(Trou Fanfaron)の海岸から陸に上がってちょっと行った所には、アープラヴァシ・ガートと呼ばれる世界文化遺産に登録された建造物群が存在します。
ここは奴隷制廃止後に、人手不足解消のために連れてこられたインド人労働者を迎え入れるための施設だった場所で、アープラヴァシ・ガートを中継して労働者達は各地へ送られていきました。
モーリシャスの気候
熱帯気候属するために季節差はほとんどなく、モーリシャスは一年を通して心地よい暖かさです。
夏と冬の2つの季節が存在するのものの、夏の平均気温は25℃弱で冬の平均気温は20℃強と、その差は4℃程度しかありません。
また、モーリシャスには雨季も乾季もなく、時折大雨を伴うサイクロンに見舞われますが、すぐに過ぎ去ります。
ちなみに、モーリシャス共和国は南半球に位置するため、北半球に位置する日本などの国とは季節が逆になります。
モーリシャスへの行き方
観光地として有名なだけあって、モーリシャスには多くの国際的な航空会社が乗り継いでおり、日本からモーリシャスへは飛行機を使って行くことになります。
ただし、直行便がないため、例としては以下のような経由地で飛行機を乗り継ぎ、モーリシャスへ入国することになります。
- ドバイ経由
- シンガポール経由
- アムステルダム経由
- ロンドン経由
- パリ経由
- イスタンブール経由
中でも、ドバイ経由の乗り継ぎ便は、他の選択肢より金銭的にもリーゾナブルなことが多い上に、所要時間が比較的少なくて済むので最もおすすめ。
もしも経由地でも観光したいなんていう希望がない場合は、ドバイ経由の行き方が良いかと思います。
ちなみに、日本人の場合はモーリシャスへ入国にあたってビザの必要はありません。
(※2019年2月現在)
現地での支払いに関して
現地通貨はモーリシャスルピー(MUR)。
日本国内ではMURへ両替出来ないため、必要であればユーロやドルへ両替して、現地でMURと交換するのが良いでしょう。
モーリシャス国内には日本円を交換できる場所もありますが、その手数料はピンキリで、割に合わないこともあるのであまりおすすめはしません。
一方で、空港を始め、ATMが多くの場所に設置されているので、クレジットカードがあれば現金を引き出すことも可能。
また諸々の手数料を考えると、カードを使える場所ではクレジットカード支払いにした方が良いかと思います。
ただし、日本のカード会社は海外での使用を制限していることもあるため、その点は事前にカード会社へ確認しておきましょう。
ちなみに、時折ホテルやレストランなどの施設において、外国の通貨で支払うことも出来ますが、これはどちらかというと例外的で、通常はモーリシャスルピーでの支払いが必要です。
モーリシャスに共和国について抑えておきたい豆知識
モーリシャスについて基本知識から観光情報までを見てきましたが、最後にいくつかのちょっとした豆知識を紹介しておきます。
歴史的に多くの民族に入植されてきた場所
現在のモーリシャスには異なる民族背景を持つ人々が住んでいますが、これはモーリシャスの運命とでも言えるのかもしれません。
歴史を振り返ってみると、早ければ10世紀に、モーリシャスはアラブ人やマレー人の船乗りの間で知られていました。
そして、16世紀に初めてポルトガル人によって調査され、その後、オランダ人、フランス人、イギリス人が、それぞれ17世紀、18世紀、19世紀に住みつきました。
そして、1968年に独立を手にしてからは、今の姿となっていきました。
国際情勢的に内戦や隣国との緊張がない数少ない国
現在(2019年2月)、モーリシャスはその地政学的な理由から、そして安定した国内状況から、
- 現在進行中の国際紛争または国内紛争へ無関与
- 隣国との緊張がない
という2つの条件を満たす、世界でも数少ない国。
さすが、「天国はこの島をモデルに作られた」と言われるモーリシャス島を持つだけあります。
ちなみにこの事実を国際情勢学的な視点から見ると、「なぜモーリシャスが常備軍を持たないのか?」という質問に対する一定の回答になるでしょう。
その他にも知っておきたいモーリシャス豆知識
他にもモーリシャスに関しては、次のような豆知識を抑えておくと良さそうです。
(有名な海の中にある幻の滝)
- モーリシャス島は、800万年前に初めて海上に姿を現した
- モーリシャスは、人物の名をとって命名された数少ない国々の一つ
- 17世紀に、オランダのマウリッツ・ファン・ナッサウ王子にちなんでオランダ人によって名付けられた
- モーリシャスはアフリカで最も人口密度が高い国である
- 海の中に「幻の滝」がある
- 空から見るとモーリシャス島の南西部にはまるで海の中に落ちているように見える「幻の滝」がある(半島から何メートルか先で二つに割れた峡谷のように見える)
- これは実際の滝ではなく、堆積物(シルト)と砂の流れ、そして光のあたり加減によって見える現象
- 「天国はこの島をモデルに作られた」と言う言葉はアメリカの作家マーク・トウェインによって言われたらしい
- 彼はモーリシャスについて、「神はモーリシャスを最初に創り、そしてモーリシャスを真似て天国を創った」と述べたと伝えられている
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モーリシャス共和国|観光情報や島の地図から行き方までのまとめ
モーリシャス共和国について、基本情報や観光情報などを含めて詳しく紹介してきました。
モーリシャスでは、海でのシュノーケリングやダイビングはもちろんのこと、ハイキングや文化的なアクティビティなど、とにかくたくさんのアクティビティや時間の使い方が楽しめる場所。
豊かな自然や文化を持つモーリシャスに興味を持ったら、実際に訪れてみると良いかと思います。