アフリカの音楽を11スタイル紹介していきます。それぞれの特徴や歴史、そしてリズムを、動画と合わせて確認していきましょう。
アフリカと一言にされがちですが、アフリカ大陸には非常に多くの国があり、また多様な民族背景を持った人々が住んでいます。
そのため、文化もまた多様であり、文化に関連する音楽もまた、アフリカ大陸では独自に多くが発展してきました。
この記事ではそんなアフリカ音楽の中から11のスタイルを厳選してピックアップし、動画と共にそれぞれの特徴や歴史を簡単に紹介していきます。
- アフリカの音楽1:ンバカンガ(Mbaqanga)
- アフリカの音楽2:スークース(Soukous)
- アフリカの音楽3:ベンガ(Benga)
- アフリカの音楽4:ジュジュ(Juju)
- アフリカの音楽5:チムレンガ(Chimurenga)
- アフリカの音楽6:ウボンゴ(Ubongo)
- アフリカの音楽7:インキラニャ(Inkiranya)
- アフリカの音楽8:ソマリジャズ(Somali Jazz)
- アフリカの音楽9:ンバラ(Mbalax)
- アフリカの音楽10:パームワイン(Palm Wine)
- アフリカの音楽11:グナワ(Gnawa)
- 合わせて読みたい世界雑学記事
- アフリカの音楽11選|特徴・歴史・リズムを動画と一緒に確認!のまとめ
アフリカの音楽1:ンバカンガ(Mbaqanga)
ンバカンガまたはムバカンガ(Mbaqanga)は、1960年初期の南アフリカ共和国に由来する音楽スタイル。
ズールー語で「お粥」を意味する言葉であることから分かる通り、現地に住むズールー族の音楽を起源としています。
元々は下層階級の人々の間で絶大な人気を博し、彼らにとっては精神的な糧となっていたと言われ、非合法の酒場(シビーン)やクラブで盛んに流されていました。
おそらくアフリカにおいては最も激しいポップミュージックで、ノックアウト・ダウンビートとうめくような低音の激しい反復楽節、そこに追加された滑らかなボーカルのハーモニーが特徴です。
アフリカの音楽2:スークース(Soukous)
スークース(Soukous)は、アフリカのルンバから派生したダンス音楽のジャンル。
その起源は1930年代後期のコンゴ(現在のコンゴ民主共和国)に遡ります。
また、アフリカの中でも西アフリカ地域では「コンゴ」として知られていたり、ケニアやウガンダ、タンザニアといった東部では「リンガラ」として、そして、ザンビアとジンバブエでは「ルンバ」として知られているなど、アフリカ大陸諸国によってその呼び名が変わります。
1989年に亡くなったフランコ・ルアンボ(Franco Luambo, 別名:ルアンボ・マキアディ)は、30年にわたって彼のバンド「オーケー・ジャズ」を率いてスークースを演奏していたことで知られ、スークース音楽を代表するバンドでした。
後に「トゥポク・ジャズ」と名前を変えたこのバンドは元々、キューバ音楽を演奏していましたが、フランコは故郷ベルギー領コンゴのリズムやモチーフを効果的に取り入れ、「ギターの魔術師」と呼ばれたのです。
アフリカの音楽3:ベンガ(Benga)
1940年代後半から60年代にかけて、ケニアの首都ナイロビで発展してきたベンガは、主にルオ族の間で親しまれてきた伝統音楽がベースとなるギター音楽。
そのケニアの伝統音楽に加え、コンゴのスークースやキューバのダンスミュージックなどにも大きな影響を受けてきました。
ベンガで用いられるニャティティは、ケニアの伝統的な弦楽器で、現地では伝統的に宗教的な慣習や歴史的な賛歌に用いられてきました。
1960年代後半になると、ベンガ音楽の有名なバンドが形成され、そのバンドを通して1970年代から80年代には東アフリカを中心に広まっていきました。
アフリカの音楽4:ジュジュ(Juju)
ジュジュ(Juju)は、上で紹介したコンゴのスークースと並び、アフリカ大陸において新しいポップジャンルとして知られる音楽。
ナイジェリアからは様々なスタイルが誕生。
ジャイジャ、フュージ、オズィディ、パームワイン、ハイライフ、アフロビートなど多くが西アフリカ中に広がりましたが、その中の1つがジュジュです。
野生的なリズムを持ちながらも、ギターやドラム、シンセサイザーなど、現代的なスタイルを持ち合わせているのが特徴です。
ジュジュの音楽を知る上で、ここではレ・ザマゾンヌ・ダフリク(Les Amazones d’Afrique)というグループを紹介しておきましょう。
メンバーは全員が西アフリカ出身の女性ミュージシャンで、ジェンダー平等のために活動しています。
アフリカの音楽5:チムレンガ(Chimurenga)
チムレンガ(Chimurenga)は解放闘争の中で生まれた音楽スタイル。
1970年代、ジンバブエの多数派であるショナ人の音楽家が、ムビラ(親指ピアノ)のチャイミング、繰り返すメロディ、リズムに基づいて作りました。
ショナ人の言葉ショナ語では「自由」を意味します。
チムレンガの中で使用されるムビラは、ビラと呼ばれる徹夜の宗教儀式で使われる聖なる楽器で、祖先の精霊と結びつくために演奏されることで知られます。
「ジンバブエのライオン」という異名を持つアーティスト「トマス・マプフーモ(Thomas Mapfumo)」がチムレンガの楽曲を大衆向けにし、今日でもバンド「ザ・ブラックス・アンリミテッド」と一緒に演奏しています。
アフリカの音楽6:ウボンゴ(Ubongo)
ウボンゴ(Ubongo)は、ンゴマ、ヴゴ、クンブヲゥヤ、そしてセクシーな上音で奏でられるチャカチャに由来し、東アフリカのスワヒリ文化圏一帯で流行する音楽のジャンル「タアラブ」から多くの要素が取り入れられているのが特徴。
タンザニアにおける恋愛そして結婚のあり方をテーマにした音楽スタイルです。
タンザニア最大の都市ダルエスサラームの都市部貧困層から誕生し、スワヒリ語で「脳の音楽」を意味しながらも心情へ訴える曲として知られます。
その起源によって、社会問題や政治的な課題に対する訴えが歌となっていることが多く、現地ではこれまで物議を醸したこともあります。
アフリカの音楽7:インキラニャ(Inkiranya)
インキラニャ(Inkiranya)は、東アフリカの内陸国であるブルンジを起源とするドラムスタイルのアフリカ音楽。
1960年代に結成されたブルンジ王立太鼓隊は、この音楽スタイルを代表するグループの1つとなっており、子どもの誕生、葬儀そして王の戴冠式といった儀式において演奏を行います。
ちなみに、インキラニャは音楽のスタイルを指す一方で、このブルンジ王立太鼓隊が使う中央の太鼓もインキラニャと呼ばれます。
アフリカの音楽8:ソマリジャズ(Somali Jazz)
東アフリカのアフリカの角と呼ばれる地域にあるソマリアで使用されるソマリ語は、アフリカおよびアラブ諸国の影響を受けながら発展してきましたが、これは現地の音楽に関しても同じです。
また、ヨーロッパ諸国による植民地時代も経験したことから、ソマリアの音楽には西洋の影響を受けて発展するものも現れました。
それが、ソマリジャズ(Somali Jazz)と呼ばれる音楽スタイルです。
イスラムとアフリカに加え、西洋の要素が一体となった力強いスタイルのアフリカ音楽です。
アフリカの音楽9:ンバラ(Mbalax)
1970年代前半に、アフリカのセネガルで誕生したのが「ンバラ(Mbalax)」と呼ばれるアフリカの音楽スタイル。
セネガルで2番目に多い民族とされるセレール族の伝統的なンジュップから派生したという歴史を持ちます。
その派生の過程でキューバのルンバやハイチのコンパなど、他の地域で流行っていた音楽などが融合され、独特なンバラが誕生しました。
1979年には「ダカールのリトルプリンス」と呼ばれたユッス・ンドゥール(Youssou N’Dour)が、バンド「スーパーエトワール」を結成し、セネガルのンバラ・ポップで最も人気のあるシンガーになりました。
そしてその後、ユッスは巨大なレコーディングスタジオをセネガルの首都ダカールに建て、世界中に広めていきました。
アフリカの音楽10:パームワイン(Palm Wine)
アフリカのシエラレオネではマリンガとしても知られるパームワイン(Palm Wine)の歴史は、ポルトガルから航海してきた船員たちが、西アフリカの港町でギターを広めたことに遡ります。
そして、西アフリカのリベリア共和国に住むクル族を中心に、パームワインは発展していきました。
その名前であるパームワインとは「ヤシ酒」を意味し、これは、アフリカにおいて初期のギタリストやパーカッショニストにとって、「ビールの代わりであったヤシの木の発酵した樹液を飲み交わして酒盛りを楽しむ集い」が、演奏の場となっていたことに由来します。
1950年代と60年代になると、多くのパームワイン音楽が人気となり、よく知られるアフリカの音楽スタイルとなっていきました。
アフリカの音楽11:グナワ(Gnawa)
グナワ(Gnawa)はエスノポップまたはグナウィ・ブルース、日本語ではグナワ音楽と呼ばれるアフリカの音楽ジャンル。
イスラム以前のアフリカ伝統音楽と、イスラム神秘主義の音楽を混ぜたスタイルと呼ばれ、スピリチュアルな宗教音楽やリズムが特徴。
儀式用の詩と伝統的な音楽やダンスが組み合わされており、モロッコやアルジェリアに住む民族グナワ人によって奏でられてきました。
昔からモロッコの都市では、バンドグループがカフェで演奏したりしてきたなど、地元で愛されてきました。
ちなみに、マリの都市ティンブクトゥが16世紀にモロッコに奪われると、バンバラ語を話す奴隷がサハラ砂漠を越えて連れてこられましたが、グナワの主な弦楽器シンティまたはジンブリは、大型のバンバラ・ンゴニに似ていることから、グナワ音楽の多くの要素はバンバラ人由来のものであると考えられます。
合わせて読みたい世界雑学記事
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アフリカの音楽11選|特徴・歴史・リズムを動画と一緒に確認!のまとめ
アフリカの音楽を11スタイル紹介してきました。
それぞれが独特な特徴や歴史を持つこれらの音楽は、実際に聞いて見ると非常に興味深いものばかりです。