ロシアの動物を12種類紹介していきます。国を代表する熊はもちろんのこと、ウラジーミル・プーチンと一悶着あった虎までを見ていきましょう。
ロシアほど広い国土を有する国は他にありません。
その大きさは日本が45個もすっぽりと入るほどで、そこには幅広い気候環境や非常に多種多様な動植物が存在しているのです。
そんなロシアにおいて、ロシアならではと言える動物とはどのようなものなのでしょうか?
この記事では、ロシアならではの動物として12種類を一覧にして紹介していきます。
ロシアの動物1:ユーラシアヒグマ
日本にもいるエゾヒグマと同じ「ヒグマ」の亜種で、茶色の体毛と3m近くなる体長、そして最大で500kgにもなる体重で知られる巨大なユーラシアヒグマは、ロシアやかつてのソビエト連邦にとってはシンボル的存在の動物。
16世紀以降、ロシアの文化や文学ではこのユーラシアヒグマをモチーフにしたシンボルが良く取り入れられており、また、強いロシアを象徴する動物としても描かれます。
例えば、1980年に開催されたモスクワオリンピックでは、ユーラシアヒグマをモチーフにしたマスコットキャラクター「ミーシャ」が採用されました。
ちなみに、ユーラシアヒグマの多くは、ユーラシア大陸をヨーロッパとアジアに分ける境界線とされるウラル山脈の東側に生息しています。
ロシアの動物2:アムールヒョウ
アムールヒョウは元々、ロシア、中国、韓国に生息していたものの、現在ではロシア東部のアムール川流域と中国吉林省にしか生息していない生き物。
人間によって保護されている個体と野生の個体を合わせても全世界で100匹未満しかいないと言われる絶滅危惧種であり希少種です。
過去にロシアで原油パイプライン計画が持ち上がった際、このアムールヒョウの生息地を脅かしかねないというのを理由に計画が中止されるなど、ロシアも個多数の保護へ神経を尖らせている動物だと言えるでしょう。
体長は120cm前後で、体重は40kg前後、シカやイノシシを主食とし、他にもノウサギやニワトリなどの小動物を食べます。
ロシアの動物3:クロテン
クロテンは、イタチ科テン属に属し、ロシア、中国、朝鮮半島、日本、ヨーロッパ東部まで広く分布し、ロシアでは主に森林地域で見つけることが出来る小型の哺乳類。
尻尾を除いた頭から胴体までの長さは約50cm。20cm弱の尻尾を持ちます。
木の実から小動物まで様々なものを食べる雑種の動物で、時には自分よりも大きな生き物を捕食することさえあります。
一方で、クロテンは古くから高級毛皮の対象として重宝されてきた歴史を持ち、ロシアではかつてロシア帝国によってシベリアに住んでいたクロテンが狩猟され、その毛皮はヨーロッパへ多く輸出されていました。
ロシアの動物4:ユーラシアカワウソ
ユーラシアカワウソは、ツンドラ地帯を除くユーラシア大陸全域に生息し、一部は北アフリカやインドネシアのスマトラ島などに生息するため、決してロシア原産の動物とは言えないかもしれませんが、広大なユーラシア大陸に位置するロシアでは良く見かけます。
体長は大きなもので70cmぐらい、尻尾の長さは40cm弱。通常、オスはメスより体が大きく、最大で体重24kg近い個体が報告されています。
また、同じカワウソの仲間であるカナダカワウソに似ているものの、比較するとユーラシアカワウソの方が首が短いのが特徴。
肉食性で主に魚を食べますが、魚が獲れない時は代わりに両生類や鳥類などを食べることもあります。
ロシアの動物5:シベリアン・ハスキー
けっしてロシアの大自然に住むわけではありませんが、ロシアのシベリア周辺を起源とするためロシア原産の動物と言えるのがシベリアン・ハスキー。
そのオオカミのような外見から、世界的にも非常に有名で人気がある犬で、また、極寒の地域で人間の生活を支えるように飼いならされてきた結果、犬ぞり用の犬として大活躍してきました。
体重は20〜28kgの間の中型犬で、さまざまな犬種のDNA解析によって、現存する犬種では最も古い種類に属することが判明しています。
ロシアの動物6:キタオットセイ
アメリカ西部からロシア東部の北太平洋、そしてオホーツク海やベーリング海に生息するキタオトセイは、一種だけでアシカ科キタオットセイ属を構成し、一般的には単に「オットセイ」と呼ばれる動物。
ロシアが領有する主に海洋地域で確認出来るため、ロシアの動物と言えなくもない動物で、全長は210cm強、体重は大きな個体で300kg近くにもなり、魚やイカを主食とします。
一方で、過去数千年の間、人間によって、毛皮や食用のために狩りの対象になってきました。
そして、近現代で狩猟技術が発達して商業化が進んだ結果、乱獲が起きてしまい、その結果、以前に比べて現在は生息数が激減。
現在は絶滅危惧種に分類され、また、1985年以降は商業目的の捕獲が禁止されています。
ロシアの動物7:オナガゴーラル
ウシ科に属し、別名をチョウセンカモシカと言うオナガゴーラルは、朝鮮半島から中国北東部、そしてロシア南東部の、東アジア地域の一部に生息する動物。
体長は110cm前後で山岳地帯に棲み、40kmにも及ぶ移動を難なくこなすことが出来ます。
また、メスや若いオスは、通常2頭以上の群れを成して生活しますが、年配のオスは独りで暮らすのを好むことで知られ、草から果物まで、幅広い植物を食べる草食動物です。
そんなオナガゴーラルもまた、食用や毛皮目的で狩猟され、さらに自然破壊などが進んだ結果、現在は絶滅危惧種に数えられています。
ロシアの動物8:オオヤマネコ
別名シベリアオオヤマネコと呼ばれることからも分かる通り、ロシアにおいては主に寒いシベリアの森林に生息する中型のヤマネコ。
標高5500mにもなる高山地域にも生息しており、体長は110cm前後で体重は25kg前後。
他にも幾つかの種がいるオオヤマネコ属の中では最大種とされ、リスや野ウサギなどの小型の哺乳類や鳥を主食としています。
他の地域、例えば西ヨーロッパの国や北欧地域にも生息していますが、オオヤマネコの90%以上はシベリアに生息していることから、ロシアのシベリア地域を代表する動物の一つだと言えるでしょう。
ロシアの動物9:ツンドラオオカミ
ツンドラオオカミまたはシベリアオオカミは、ユーラシア大陸のツンドラ地域に住む固有種で、125cm前後の体長と、40kg前後の体重を持つオオカミの仲間。
他種のオオカミと同じように、群れを成して狩りをしながら生活し、また、群れ全体を支配する、第一位のつがいを頂点とした特徴的な社会階層構造を持っています。
一方で、毛皮で珍重されてきたことに加え、農民の家畜を襲う恐れがあることから人間に殺されてきたこともあり、種の保存という点から危険に晒されていると懸念が挙がっています。
ロシアの動物10:コウノトリ
東アジア地域からロシア南東部に生息するコウノトリは、日本でも「赤ちゃんを運んでくる鳥」として知られる鳥。
魚を主食とし、それ以外の昆虫、カエル、げっ歯動物なども食べ、全長は110cmほど。
以前は東アジア地域に広く生息していたものの、人間の都市開発による自然破壊や乱獲などによって数を減らしており、現在の個体数は2000〜3000と少ない絶滅危惧種です。
特にロシアでは、春にたまに発生する火災によってコウノトリの生息地が焼失してしまうことがあり、それに伴う個体数の減少が課題になっています。
ロシアの動物11:シロイルカ
別名ベルーガとしても知られるシロイルカは、北極近辺の冷たく澄んだ海に生息している水棲生物で、ロシアでは北極海に繋がる河口でも姿が確認されることがあります。
体長は5m前後と、通常のイルカと比べて少し大きめなために「シロクジラ」と呼ばれることもあり、また、可愛い外見から水族館では人気者。
一方で、自然界に住むシロイルカは、主食となるタラを追い求めて時には水深1000mほどまで潜水し、通常は10頭程度の群れを成して共同生活を送ることで知られます。
ちなみに、別名の「ベルーガ」とは、ロシア語で「白い」を意味する単語が起源になっています。
ロシアの動物12:アムールトラ
ロシア極東の沿岸地域やアムール川流域など、現在はロシアの一部でしか確認出来ないアムール虎は、3mを超す全長と最大350kmにもなる体重から、ネコ科の動物としては最大級のサイズを誇るロシアの動物。
以前はロシアの大部分に生息していましたが、人間による自然破壊、それに伴う餌不足、そして生息地の減少によって、著しく数を減らしており、現在野生に住む個体は500頭程度だと言われる絶滅危惧種です。
そんなアムールトラは以前、ロシアのウラジーミル・プーチンと一緒に話題になったことがありました。
当時、プーチンとテレビ局のクルー数名が一緒に、研究調査の対象となっていたアムールトラの捕獲現場を訪れていた時、鎖で繋がれていたと考えられていたトラが鎖から外れており、カメラマンの一人に向かってきました。
それに対してプーチンは素早く麻酔銃をトラに撃ち、アムールトラを身動き一つ出来ない状態にして制し、危険な状況を回避したのです。
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ロシアの動物|国を象徴する熊からプーチンとやりあった虎までのまとめ
ロシアの動物として12種類をピックアップして紹介してきました。
紹介した多くの動物は他の国でも確認出来ることがありますが、多くがロシアに生息していたり、ロシアを象徴する動物であったりすることから、ロシアならではの動物と言えるでしょう。