世界の地震大国を10ヵ国ピックアップして紹介していきます。それぞれの国で地震が起きやすい理由や、過去に起きた大地震の例などを確認していきましょう。
地殻から急激に発したエネルギーによって生じる地震は、地割れ、液状化、地滑り、津波、家屋崩壊などを引き起こし、場合によっては多くの人の命を奪ってしまいます。
そして世界には、地震が非常に発生しやすい国があり、他の国ではありえないほどの被害を、これまで何度も経験してきているのです。
この記事では、地震が起こりやすい地震大国として有名な10ヵ国をピックアップし、地震が多発する理由や、過去に起きた大地震の例などを紹介していきたいと思います。
世界の地震大国1:トルコ
ヨーロッパとアジアにまたがり、かつて栄えたオスマン帝国を前身とするトルコは、アラビア、ユーラシア、アフリカの3つのプレートの間に位置し、加えて多くの断層を持っている国。
そのため、地理的に考えると、いつ地震が起きてもおかしくない場所にあり、長い歴史の中で多くの大地震が発生してきた地震大国です。
近年起きた大地震としては、1999年8月17日にトルコ西部を襲ったマグニチュード7.6のイズミット地震があります。
この大地震は、世界最長で横ずれ断層の一つ「北アナトリア断層」の西方に沿って発生。
わずか37秒間の揺れで死者およそ1万7千人、負傷者は5万人以上、そして50万人以上が家を失い、20世紀で最も甚大な被害をもたらした地震の一つとして知られます。
世界の地震大国2:メキシコ
地理的には北アメリカ大陸の南部に位置し、中央アメリカの国の一つに分類されることがあるメキシコも、地震大国として世界的に有名な国。
これまでに何度も、大規模な地震に見舞われています。
ココスプレート、太平洋プレート、北アメリカプレートという3つの大きな地殻プレートの上に位置し、これらのプレートが動くことで地震や火山活動が活発化することから、メキシコは世界でも有数の地震大国の一つとなっているのです。
過去には1985年に起きたマグニチュード8.1のメキシコ地震によって、震源から300km以上離れているにも関わらず、首都メキシコシティは壊滅的な被害を受けました。
メキシコシティはテスココ湖を埋め立てた土地に作られており、地下は水分が含まれる軟弱な地盤であったなど、いくつかの地理的な理由が重なり、4000人以上の死者が出てしまったのです。
また、2017年にはマグニチュード7.1の大地震が起こり、メキシコシティなどで複数の建物が倒壊し、200万人以上が停電状態に陥り、この地震による死者の数は200人以上に上りました。
世界の地震大国3:エルサルバドル
北アメリカ大陸と南アメリカ大陸の真ん中辺りに位置する中央アメリカの小国エルサルバドルは、メキシコと同じように地震によって甚大な被害を受けてきた地震大国の一つです。
過去100年の間に、およそ10年に一度は大地震が起きていると言われるほどで、2001年は二つの大地震が起きたことでも有名です。
その地震はそれぞれ、1月13日と2月13日に起き、マグニチュード7.7と6.6を観測。
異なるプレートで起きた二つの地震によって、伝統的な方法で建てられた多くの家屋が大地震によって被害を受け、また、それぞれ800人と250人の死者が出てしまいました。
ちなみに、この時の地震による死者の多くは地滑りによるものであり、これによって、
- 揺れが激しい地滑り危険地帯における急速な人口拡大
- 状態を悪化させる森林伐採
- 無秩序な都市開発
の3つが、エルサルバドルにおける地震リスクを高めている理由として明らかになったのです。
世界の地震大国4:エクアドル
南アメリカ大陸の北西部に位置し、西は大西洋に面するエクアドルは、南アメリカプレートとナスカプレートの間にまたがるため、国土の中には活火山がいくつもあり、大地震の危険が極めて高い国として有名です。
エクアドルで発生する地震は、
- プレートの境界でおきる沈み込み現象によるもの
- 南アメリカプレートとナスカプレートの変形によるもの
- 火山活動によるもの
の3つに分類できるとされます。
また、近年に起こった大地震の例を挙げると、
- 2014年8月12日に首都キトで起こったマグニチュード5.1の地震
- その後マグニチュード4.3の余震に見舞われ、2人が死亡し、8人が負傷した
- 2016年4月16日にエスメラルダス県ムイスネ付近で起きたマグニチュード7.8の地震
- 死者661人、負傷者16,600人、行方不明者58人の大惨事となった
- 2018年9月7日にグアヤキル周辺を震源とするマグニチュード6.2の地震
などがあります。
世界の地震大国5:インドネシア
東南アジアに位置するインドネシアは、大小様々な島からなる群島国家で、地震に関しても良く耳にするであろう地震災害の多い国の一つ。
ジャワ島に位置する首都ジャカルタは不安定な場所にあると言え、大地震が起きた時は首都から麻痺してしまう可能性があるとして知られます。
環太平洋火山帯(太平洋を取り巻く火山帯)の上にあるというだけでなく、都市の半分近くが海抜より低い位置にある上、柔らかい土壌で埋め立てをしているため、大きな地震が発生すると建物倒壊だけでなく、液状化を起こす可能性まであり、その海抜の低さから深刻な洪水も心配されるのです。
過去に起きた有名な大地震災害と言えば、2004年のスマトラ島沖地震で、12月26日にインドネシアのスマトラ島西岸沖を震源として発生しました。
インドプレートがビルマプレートの下に沈み込みことでこの大地震が生じ、インド洋沿岸のほとんどの地域において、甚大な被害をもたらした津波(30mの高さになった場所もある)を引き起こしたのは有名です。
ちなみに、スマトラ島沖地震での死者は14カ国で23万人。
そのなかでもインドネシアは最も大きな被害を受け、約17万人の死者がでました。
世界の地震大国6:フィリピン
大小いくつかの島から成る東南アジアの国フィリピンは、太平洋プレートの端に位置し、その地帯は歴史的に地震が多く発生してきたことで知られます。
特に、首都マニラは地震による大きな災害被害が懸念される地域で、その一つとして環太平洋火山帯があるため、大地震の際には火山噴火が引き起こされる可能性があることが挙げられます。
さらにもう一つ、マニラの土壌は柔らかいため、大地震が起きた場合に液状化が起きてしまう可能性もあります。
ちなみに、近年、フィリピンで起こった地震の一例として、2013年10月15日に起きたマグニチュード7.1の地震があります。
フィリピンの国家災害リスク軽減管理評議会(NDRRMC)の公式発表によれば、この地震による死者は222人、行方不明者は8人、負傷者は976人でした。
また、7万3千以上の建造物が損壊し、そのうち1万4500以上が全壊したとされます。
さらに、2017年4月8日には、単発での規模は小さいものの、マグニチュード5の地震が30分の間に3回連続してマニラ付近で起こるなどしています。
世界の地震大国7:パキスタン
インドの北西に位置する南アジアの国パキスタンは、地質学的にインドプレートとユーラシアプレートがぶつかる地帯で、ヒマラヤ山脈の端から約200㎞北に位置する地震大国。
同国の南側は、岩石のオフィオライト(地殻変動などによりそのプレートの断面が地表に露出するようになったもの)が地表に露出している一帯が確認されているなど、地震の発生頻度が高いことが分かります。
実際にこの地域は断層の動きによって、ヒマラヤ山脈周辺のなかで最も高い頻度で大規模な地震が起きていると言われ、2000年以降だけでも、マグニチュード6以上の大地震が4回も発生(2019年1月現在)。
例えば、カシミール地方で2005年10月に発生したマグニチュード7.6の地震では、7万3千人以上の死者が出る、大惨事を引き起こしました。
また、この時に多くの家屋も倒壊したため、数十万人の人々が寒い冬を乗り越えるために支援を必要としたのです。
そして2013年9月には、マグニチュード7.7の大地震が起き、2005年の地震と比べれば被害が少なかったものの、それでも500人以上が死亡、600人以上が負傷したと言われます。
世界の地震大国8:インド
世界最大の人口規模を持つ国の一つで、長い歴史を誇るインドもまた、地震大国として知られる国。
インドで地震が多発する理由の一つが、毎年47㎜程度動くインドプレートで、このプレートが動くことで地震が発生しやすくなります。
また、地震大国であるパキスタンやネパールに隣接していることから、周辺地域で起こった地震の影響を受けやすく、また、インド洋に面している南部の沿岸部は津波の被害に合いやすいというリスクにさらされています。
例えば、2001年にはインド西部地震が、52回目の共和国記念日である1月26日に発生しました。
揺れは2分以上続きマグニチュード7.7を記録。死者およそ2万人、負傷者16万6千人、家屋の倒壊数およそ40万にも上る被害を出しました。
さらに、2004年12月26日に起こったスマトラ島沖地震では、津波によって1万5千人ほどのインド人がなくなったと言われます。
そして、2011年にはインドの北東部においてマグニチュード6.9の地震が発生するなど、インドの様々な地域が地震のリスクを抱えているのです。
世界の地震大国9:ネパール
インドの北に位置する内陸国ネパールは、洪水、地滑り、伝染病、火事など、非常に災害の多い国であると同時に、インフラや医療の未整備によって、世界で最も大災害時に命を落とす確率が高い国の一つ。
そんなネパールはまた、世界でも有数の地震活動が活発な地震大国の一つで、過去には大きな地震が幾度にも渡って起きてきました。
そして、ネパールで地震が起きやすい理由を考える上で重要なのが、ネパールを通るヒマラヤ山脈。
ヒマラヤ山脈はインドプレートがユーラシアプレートと衝突し、中央アジアの地に潜りこんだ結果として生まれたもので、この2つの大きな地殻プレートは毎年4‐5cmずつ近づきあっていると言われ、これが、ネパールにおける大地震の大きな原因です。
加えて、先史時代の湖跡である300mの深さの黒い土の層が、カトマンズ盆地の下に埋まっていて、大きな地震が来た時は液状化を引き起こす可能性があり、これもまた、地震が起きた際の災害リスクを高めています。
近年では、2015年に起きたネパール大地震が有名でしょう。
この地震では、死者8千人以上、負傷者2万1千人以上の被害が出た上、歴史的に価値の高い建造物の多くも倒壊または一部が崩壊しました。
さらに、この地震によってエベレストでは雪崩が起き、21人が死亡するなど、山で起きた惨事として歴史的な被害となったのです。
世界の地震大国10:日本
地震多発国としては、おそらく世界に数ある国の中でトップと言っても良いのが日本。
ユーラシアプレート、フィリピン海プレート、太平洋プレート、北アメリカプレートがせめぎ合い、環太平洋造山帯・環太平洋火山帯・環太平洋地震帯と呼ばれる帯の一環をなしている。
そのため、世界全体で放出される地震エネルギーのうち1割から2割が日本の周辺に集中すると言われているほど地震が頻発し、震度1や2クラス程度の地震なら、どこかで毎日のように起きている。
(引用:wikipedia)
と言われるほどの地震大国で、それに加えて400以上の火山が存在し、さらに沿岸部は津波の被害にあうリスクが高いなど、地震とそれに関連する自然災害の発生のしやすさ、また影響の受けやすさでは、最悪な地理的条件を抱えています。
特に、2011年3月11日に発生したマグニチュード9.0の巨大地震「東北地方太平洋沖地震」は、近年の日本を襲ったものの中でも最大規模の被害をもたらし、東日本大震災として歴史に名前を残しています。
インフラが整った日本であっても、その死亡者数は15896人、負傷者数6157人、行方不明者2536人とされ、さらに、原子力発電所がメルトダウンするなど、地震によるものとしては人類史上最悪レベルの被害をもたらしました。
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世界で地震が発生する場所には一定のパターンがあり、地震のほとんどはいくつかの地震帯に集中していることがわかります。
地震が発生しやすい国は他にもありますが、今回挙げた10ヵ国は特に有名だと思います。