マリアナ海溝の深海生物|マリアナスネイルフィッシュやクラゲダコ等

マリアナ海溝に生息する深海生物を17種紹介していきます。マリアナスネイルフィッシュと呼ばれる魚から、クラゲダコと呼ばれる奇妙なタコまで、興味が尽きない生き物たちです。

西太平洋に浮かぶマリアナ諸島の近く、日本とフィリピンのちょうど間ぐらいにあるマリアナ海溝は、その最深部が10000mを超える世界一深い海として有名。

その深さは富士山の2.5個分ぐらいの高さと同じで、科学がこれだけ進んだ人間にとってもまだまだ未知なことがたくさん眠っている場所なのです。

そんなマリアナ海溝には一方で、非常に不思議で不気味で興味深い深海生物がおり、過酷な環境に適応した独特な特徴を持っているとして注目を集めています。

この記事では、そんなマリアナ海溝に生息する深海生物を17種ピックアップして、それぞれ簡単に紹介していきます。

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マリアナ海溝の生物1:チューブワーム

(出典:wikipedia

チューブワームはその名の通り、チューブのような棲菅(せいかん)と呼ばれる巣の中に住み、その入り口から頭を覗かせる姿が特徴的な生き物です。

体長は約1.5mにもなり、深海の熱水噴射孔などに棲息。そこから発生する硫黄水素などを取り込んだら体内に共生している細菌が有機物を作りだし、その有機物を栄養として生きています。

マリアナ海溝の生物2:ムネエソの仲間

ムネエソは英語でHatchetfishと呼ばれますが、この「Hatchet」とは「まさかり」という意味。

つまり、ムネエソとはその名の通り、身体の形が非常に薄く刃のようであることに由来しています。

(出典:wikipedia

深海を主な生息域として、深いところでは水深1500m辺りに生息し、ムネエソに含まれる一部の種類はマリアナ海溝でも見つかっています。

その特徴は、深海であってもわずかな光を捉えるための上向きの目を有している点で、これによって、上からやってくる生き物を捕食することができるのです。

また、身体の側部と腹部に発光器を有しているだけでなく、上からの光を反射することで海の闇に隠れることが出来、上面下面の両面にいる捕食者から自分の身を守り、かつ深海でも獲物をとらえることが可能になっています。

マリアナ海溝の生物3:ジュウモンジダコ

英語では「ダンボ・オクトパス(dumbo octopuses)」と呼ばれるジュウモンジダコは、ディズニー映画のキャラクター「ダンボ」が持つ耳に姿が似ていることから名付けられた深海生物。

Rare Dumbo Octopus Shows Off for Deep-sea Submersible | National Geographic

垂れ下がった「耳」のような部分は実際にはヒレで、深海を泳ぐ際には大きな耳を使って飛ぶダンボのような姿になるのが特徴です。

このジュウモンジダコはマリアナ海溝以外の世界中の深海、1000〜4800mの領域に主に生息しているとされますが、中にはおよそ7000m付近にも生息している種類が確認されており、タコの中ではもっとも深海に生息する生き物となります。

マリアナ海溝の生物4:クシクラゲ

名前に「クラゲ」と含まれているものの、分類上はいわゆるクラゲ類とは異なるクシクラゲは、100以上の細かい種類を含み、沿岸部から深海部、もちろんマリアナ海溝にも生息している生物。

身体は透明で、動く際に光を反射して発光する小さな櫛状のスジを有しており、きらめく虹のような外観がなんとも素敵。

一方で、体に骨は含まれておらず身体の95%は水分で出来ています。

また、2本の触手を使って食べ物を口に入れることが出来る上、共食いをすることもあり、場合によっては自身より大きな他のクシクラゲを捕食することがあります。

マリアナ海溝の生物5:クラゲダコ

Behavior of Amphitretus pelagicus.

まるでタコとクラゲを足して2で割ったかのような体を持ち、体が透明になることで幽霊のように捕食者から簡単に身を隠すことが出来るこの生き物は、深いところでは2000mもの深海で生息が確認されているクラゲダコ。

最大25cm程度になる8本の腕の間は透明な膜で繋がっており、それを広げて深い海を漂う姿は、クラゲとほとんど見分けが付きません。

一方で、獲物を狩る際には透明な体を生かして暗闇に隠れ、バレないように近づいて捕食します。

マリアナ海溝の生物6:ユビアシクラゲ

水深600〜1500mの領域で確認されているユビアシクラゲは、研究者から愛情をこめて「大きな赤い物」と呼ばれる深海生物。

(出典:wikipedia

直径は75cmに達して4〜7本の口腕を有し、他の深海生物とは異なり透明ではなく、太く肉厚で赤みがかった体を持つのが特徴です。

ちなみに、1990年半ばに発見された後、2003年に新種に指定された比較的新しい種として知られ、2003年の時点ではまだ23個体しか発見されていなかった生き物です。

マリアナ海溝の生物7:オニキンメ

オニキンメはまるでホラー映画から飛び出してきた様な姿が強烈な、マリアナ海溝を含めたほぼ全世界の外洋の深海域、500〜3000mに生息する魚。

体に対する牙の大きさが、海の生物としては最大であると言われ、その長い牙のせいで、顎を閉じても口は完全には閉じずに常に隙間が空いてしまいます。

また、視力は悪いため、振動と水の動きを感知したら、獲物に体当たりするようにして近づき、仕留めると考えられています。

ただし、恐ろしげな外見とは裏腹に、その体長は最大でも15cm前後にしかなりません。

マリアナ海溝の生物8:ヒレナガチョウチンアンコウ

ヒレナガチョウチンアンコウは、餌を誘うために用いられる頭部の誘引突起(発光器)を特徴を持つチョウチンアンコウ類に属する深海魚の一種で、マリアナ海溝を含めた深海1000mから2000mぐらいの領域に生息する生物。

(出典:wikipedia

非常に奇怪で恐ろしい外見をもていますが、そのサイズは小さく、体長は最大でも15cmほど。

さらに、これもメスだけで、オスはメスより圧倒的に小さい1cm前後程度しかありません。

また、ヒレナガチョウチンアンコウのオスは、交尾のプロセスにおいてメスの身体に咬みつき、生殖するために永久にメスと同化することでも知られています。

マリアナ海溝の生物9:クロアンコウ

マリアナ海溝にも生息していると考えられているクロアンコウは、とても恐ろしい姿を有しているため、英語では「Black Seadeveil Anglerfish(黒い海の悪魔のチョウチンアンコウ)」と呼ばれることもある生き物。

(出典:wikipedia

アンコウの一種で、他のアンコウと同様に頭部に光る突起物を持ち、この突起物をランタンのように用いて近づいてきた獲物を大きな顎で捕らえます。

一方で、その体長はメスで最大18cm程度、オスは3cm程度ですが、クロアンコウの口はとても大きく、自分の体よりも大きな獲物を捕らえることが出来ると言われます。

マリアナ海溝の生物10:ゾンビワーム

学術名を「オセダックス」として知られるこの深海生物は、通称ゾンビワームと呼ばれるマリアナ海溝にも生息する深海生物。

(出典:wikipedia

その名前に現れている通り、死んだクジラの骨をむさぼり食う生き物です

ただし、口を持たないためにむさぼり食うという表現は必ずしも正しくはなく、骨を溶かす酸を分泌し、骨から溶け出す脂肪分やタンパク質をエネルギーに変えながら活動しています。

また、ゾンビワームのメスが骨を食する一方、オスはメスの体内に生息している精子ドナーに過ぎないというのも特徴的です。

マリアナ海溝の生物11:ディープ・シー・ドラゴンフィッシュ

Dragon with massive teeth: the Deep Sea Dragonfish or Viperfish

大きな牙と、獲物と仲間を引き付ける発光器を身体側面に有し、まるでドラゴンのように長い体で深海を泳いでいるのがディープ・シー・ドラゴンフィッシュと呼ばれる生き物。

マリアナ海溝も含めたいくつかの地域の深海に生息するとされ、最も深い場所では海面からおよそ1500mの領域で確認されています。

下顎には長い突起とその先には発光器を有し、釣竿のように用いて獲物を捕まえるのが特徴で、体長は15cmほどです。

マリアナ海溝の生物12:ミツクリザメ

ミツクリザメは突き出した平らな鼻面と口先が特徴的。

下歯が31~62本、上歯が35~53本生えており、しかも、口を開くともう一つの口が出てくるような恐ろしい外見は、拡張可能な顎によるもので、この拡張する顎を使って餌を捕らえます。

Rare Footage Of Goblin Shark With Alien-like Jaws | SHARK WEEK

また、このミツクリザメは、およそ1億2500万年もの間ほとんど姿を変えていないと言われる太古の生き物としても知られ、これは、生き延びるためにほとんどの時間を深海の海底で過ごし、大きく姿を変えなかったというのが理由です。

そんなミツクリザメは、マリアナ海溝も含めた水深1000m前後の深海に生息していますが、より表層の海で確認されることもあります。

マリアナ海溝の生物13:デメニギス

デメニギスの頭部をよく観察してみてください。

Fish With Transparent Head Filmed | National Geographic

目のように見えるものは実際には鼻孔で、頭部の透明な傘の中にある緑色の球体が目になります。

まさに、SF映画やファンタジー映画に出てきそうな姿をしており、望遠鏡のような筒状に突き出した両目は非常に高感度で、深海の真っ暗闇の中でも獲物を認識することが出来ます。

また、マリアナ海溝を含めた太平洋北部の海域に分布しているとされ、水深400〜800mを主な生息域として暮らしています。

ちなみに、大きなヒレを有していますが、これはあくまでもバランスを取るためで、捕食する時以外はほとんど動くことなく水中を漂っています。

マリアナ海溝の生物14:ホウライエソ

「深海のギャング」と呼ばれるホウライエソは、水深500〜2500mの深海に生息し、その大きくて恐ろしい牙が特徴的。

(出典:wikipedia

下顎から生える牙はとても大きく、口の中におさまりません。

また、前方の背びれが長く伸び、下腹部には発光器が並んでいるのも特徴です。

そんなホウライエソは体長が35cm近くにもなり、深海に住みながらも比較的速く泳ぎ、その力強い顎で獲物を捕まえると考えられています。

マリアナ海溝の生物15:ラブカ

映画「シン・ゴジラ」の中に出てきたゴジラ第二形態のモデルとなったとしても注目を浴びたラブカは、マリアナ海溝を含めた太平洋の深海に生息するサメの一種。

Chlamydoselachus anguineus

ウナギにヒレが生えたような細い身体をしており、喉部分にいくつもの「鰓裂(さいれつ)」と呼ばれる裂け目があるのが特徴で、これがシンゴジラ第二形態の姿へ影響を与えました。

またラブカは、ほとんど姿を変えないで数百万年生きてきたと考えられており、「生きている化石」とも呼ばれています。

25列の歯を有しており、他のサメとは違って蛇のように獲物を捕らえると考えられています。

マリアナ海溝の生物16:ヨコエビ

名前にこそエビとありますが、エビとは違う生き物であるヨコエビは、ダンゴムシやフナムシなどに近い、体長5mmから1cmくらいの非常に小さな生き物。

(出典:wikipedia

非常に広範囲な環境に適応しており、世界中には9000以上の種類が存在。

その中にはマリアナ海溝の最深部である、水深10000mを超えるチャレンジャー海溝に生息するものも確認されています。

深海においては海底に沈んだ生き物の死骸などの分解者として、また、他の生き物の餌として重要な存在です。

マリアナ海溝の生物17:マリアナスネイルフィッシュ

マリアナスネイルフィッシュは、マリアナ海溝の水深7000mほど、中には8178mの地点でも確認されている、超深海に住む体長30cmほどの魚。

(出典:pinterest

白みがかった半透明の体は柔軟でぶよぶよとしており、頭部が広く尻尾の方は狭くなる、まるでオタマジャクシのような体系を持っているのが特徴です。

この超深海においては最上位に位置する捕食者で、深海にいる小さなヨコエビを捕らえる姿が確認されています。

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マリアナ海溝の深海生物|マリアナスネイルフィッシュやクラゲダコ等のまとめ

世界一深いマリアナ海溝に生息する深海生物を17種紹介してきました。

深海に関する調査はまだまだ始まったばかり。そのため、これからも、マリアナ海溝に生息する驚きの生き物たちが多く発見されていくはずです。

世界のことって面白いよね!By 世界雑学ノート!

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