ルビコン川を渡るという言葉の意味や使い方について見ていきます。また、この言葉とシーザーの関係から分かる由来についても触れておきます。
「ルビコン川を渡る」の意味や使い方を確認していきます。
また、ルビコン川を渡るという言葉が、なぜ現在使われている意味になったのか、当時のローマ帝国の歴史を振り返り、シーザーとの関係や由来なども詳しく掘り下げていきます。
日本語の意味だけでなく、その背景にある世界の歴史までも理解することで、より言葉に親しみを得られるはずです。
ルビコン川を渡るの意味とは?
ルビコン川を渡る(るびこんがわをわたる)の意味とは、
ある重大な決断・行動をすることのたとえ
(引用:故事ことわざ辞典)
とか
後戻りのできない覚悟を決める。
(引用:手作り言葉辞典)
というもの。
つまり、重大な決断をする局面(生死を分けるレベルも含む)において、覚悟を決めて行動を起こすことを意味する際に用いられる言葉(ことわざ)です。
ルビコン川を渡るの使い方例
ルビコン川を渡るの使い方として、いくつかの参考例を挙げておきます。
- ルビコン川を渡る決意で、勝てるかどうか分からない勝負に挑む。
- 人生を変えたいならルビコン川を渡る覚悟で独立しよう。
- こうなったら後戻りは出来ない、ルビコン川を渡るしかない!
- ルビコン川を渡る覚悟さえあれば、なんでも出来るはずだ。
- 世界へ挑戦したいなら、ルビコン川を渡る覚悟を持って日本を出ろ!
ルビコン川を渡るの由来とシーザーの関係
「ルビコン川を渡る」というのは、シーザー(カエサル)と当時のローマに由来する言葉。
その由来を歴史から紐解いていきましょう。
当時大混乱していたローマと鎮圧に貢献した3人
紀元前70年頃、当時のローマは国内に多くの矛盾を抱えるようになっていました。
その矛盾とは、大量の奴隷を国内に入れたため、一部の商人や大地主はどんどん儲かっていったのに対して、一般の農民の多くは、安い労働力や国外から輸入した安い穀物に対抗出来ずに失業し、社会の中に大きな格差が生まれてしまっていたというもの。
結果、剣闘士スパルタクスが紀元前73年に蜂起してそれに多くの人が追随し、ローマは大混乱に陥りますが、スパルタクスの死によりどうにか鎮圧されます。
その後、軍人ポンペイウスと、経済界を支持層に持つクラッスス、平民から人気があったシーザー(カエサル)の3人によって政治がコントロールされる「三頭政治」が、紀元前60年に確立します。
ポンペイウスの陰謀に対抗するためにルビコン川を渡ったシーザー
しかし、クラッススが死んでしまうと、当時国外の様々な地を平定して大きな実績を残していたカエサルに恐れをなし、ポンペイウスは元老院と手を結び、カエサルの遠征を中止する命令を出します。
そこでカエサルがローマへ戻るために、軍も一緒に引き連れて渡ったのがルビコン川であり、この時にカエサルは有名な「賽は投げられた(さいはなげられた)」という言葉と共に、ルビコン川を渡ります。
(ルビコン川)
ちなみにルビコン川はイタリア北西部に位置し、一つの境界線として認識されていた場所です。
当時は軍を引き連れてルビコン川を渡ることは禁止されていた
ではなぜ、「ルビコン川を渡る」というのが、「後戻り出来ない覚悟」であったかというと、当時のローマの法律では、軍隊を率いてルビコン川以南に渡るというのはいわゆる反逆にあたり、それに関わった将軍から一般兵までが無法者として扱われ、死刑に値すると言われていたから。
これが、当時のカエサルにとって、
- ルビコン川を渡る → 死をも覚悟して渡る
という重要な決断であったため、結果として「ルビコン川を渡る」が、
- ある重大な決断・行動をする
- 後戻りのできない覚悟を決める
という意味を持つことになった所以です。
結局ポンペイウスは逃げてしまった
ポンペイウス一戦を交える覚悟でルビコン川を渡ったカエサルですが、市民から絶大な支持を得ていたため、圧倒的人気でローマに迎え入れられます。
一方ポンペイウスはその人気を見て恐れをなし、ローマからギリシャへと逃げ出してしまい、後戻りの出来ない覚悟で凱旋したシーザーは一頭体制になり、ここにカエサルの独裁体制が出来上がります。
また、ポンペイウスは最終的にエジプトまで逃げていったものの、その地で暗殺され生涯を終えることになります。
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「ルビコン川を渡る」の意味と使い方からシーザーとの関係や由来までのまとめ
ルビコン川を渡るという言葉の意味や使い方、そしてその背景にある由来などを紹介してきました。
重大な覚悟を決める際には、ルビコン川を渡るという言葉と同時に、その裏側で起こった出来事にも頭を巡らしてみましょう。
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