エヴェレスト(エベレスト)またはチョモランマと言えば、世界最高峰クラスの山々が連なるヒマラヤ山脈の中でも最も高い、世界最高峰の山として知られています。
では、このネパールと中国の国境上にあるエヴェレスト山の標高はどれほど高いのでしょうか?
最新の数値からこれまで挙げられてきた異なる数値までを一覧にしながら、エヴェレストの標高(高さ)について解説していきます。
エヴェレストの標高(海抜)はどのぐらい?
エヴェレストの標高(高さ) | 8,848.86m |
エヴェレストの標高(高さ)は8,848.86mです。
少し前までエヴェレストの高さとして用いられていた数値は一般的に8,848mでしたが、2020年に中国とネパールが合同で行った、中国が独自に展開している衛星測位システム「北斗」とGPSによる測定によって、8,848.86mという従来よりも86cmほど高い数値がより正確な標高であることが確認されました。
エヴェレストの標高(高さ)は現在まで微妙に異なってきている
しかし、上記で挙げたエヴェレストの標高とされる数値の違いや変化というのは、決して新しいものではありません。
というのも、これまでもエヴェレストの標高とされた数値は度々新しい候補が挙げられてきたり、さらに現在でさえ絶え間ない地殻変動によって微妙に毎年変動していると考えられるからです。
例えば、1954〜1955年にインド測量局が異なる12箇所でエヴェレストの標高を計測して得られた8,848mとという数値が一般に認めらるかなり以前の1856年には、アンドリュー・ウォー(Andrew Waugh)の計測によって、エヴェレストの標高は8,840mであると推測されました。
また、1950年代中盤のインド測量局による計測後も数々の測量が行われ、1999年にアメリカのエヴェレスト探検隊がGPSを用いて行った計測では、頂上にある岩のてっぺんの高さは8,850mと測量されたり、2005年に中国の国家測絵地理信息局が行った測量では8,844.43m(±21cm)と推定されたりと、微妙に異なる結果が導きだされてきたのです。
以下へ、エヴェレストの標高の数値として導き出された主だったものを表にしておきましょう。
年 | 計測値(m) | 計測主 |
1856 | 8,840 | アンドリュー・ウォー |
1954-55 | 8,848 | インド測量局 |
1975 | 8,848.13 | 中国の測量 |
1999 | 8,850 | アメリカのエヴェレスト探検隊 |
2005 | 8,844.43(±0.21) | 中国国家測絵地理信息局 |
2020 | 8,848.86 | 中国・ネパール |
さらに、上でも述べた通り、地殻変動によってエヴェレストの標高は毎年微妙に変わっていると考えられるのです。
エヴェレストの高さを様々なものと比較してみると?
エヴェレストの標高について理解した上で、その高さをいくつかのものと比較してみましょう。
スカイツリーの約14倍の高さ
日本において最も高い高さを誇る建造物と言えば、東京にある東京スカイツリーですが、エヴェレストはこのスカイツリーのおよそ14倍の高さとなります。
スカイツリーの高さは634mであるため、エヴェレストの標高「8,848.86」を用いて計算すると、
- 8,848.86 ÷ 634 = 13.957
となるからです。
富士山の高さの2.34倍
また、日本最高峰となる富士山の標高は3,776mとなることから、エヴェレストの標高は富士山の約2.34倍の高さとなります。
- 8,848.86 ÷ 3,776 = 2.343
エヴェレストは「純粋な高さ」では比較すると世界一の山ではない?
また、ちょっとした興味深い比較として、ハワイにあるマヌア・ケア山という火山とも比較しておきましょう。
マヌア・ケアの標高は現在、4,207.3mと考えられており、標高だけで比較するとエヴェレストの方が2倍以上も高く、エヴェレストが世界一「高い」山となるかもしれません。
しかし、マヌア・ケアの裾野(山の基礎の部分)は太平洋の海洋底にあり、実はこの海洋底からマヌア・ケアの頂上までを図ると、10,000m以上の高さがあると考えられているのです。
ちなみに、マヌア・ケアがある海洋底に関しては正確な測量がされておらず、おおよそにしか定められていないため、その推定の高さも9,966mから17,205mまで幅広くなっています。