キリバス共和国を紹介していきます。地図や歴史など確認から、行き方や現地でのアクティビティなどの観光情報までを確認していきましょう。
太平洋には複数の島によって構成される群島国家が多く存在しますが、その中の一つにキリバス共和国と呼ばれる国があります。
非常に広大な領域に散らばった多くの島からなるのが特徴で、その美しさから観光地の一つとしても知られる国です。
また、歴史の中で日本によって一時的に占領されたこともあり、日本人にとっては浅からぬ関係をもった場所だったりするのです。
そのキリバス共和国について、基本的な知識から歴史、そして行き方を含めた観光情報までを紹介していきます。
キリバス共和国とは?
キリバス共和国、通称「キリバス」は、太平洋の真ん中に位置する、複数の島で構成されている国。
かつてはイギリスの植民地だったこともあり、現在もイギリスとその植民地であった独立主権国家から成る緩やかな国家連合「イギリス連邦」に加盟しています。
オーシャン島、フェニックス諸島、ライン諸島の一部から成り、そこに含まれる33の島のうち、オーシャン島を除いた32島は環礁(環の形をしたサンゴ礁)で、さらに20の島は有人島。
各島は350万㎢の広範囲に渡って散らばっており、その総面積は811㎢になります。
一方で、およそ11.5万人の人口のうち90%以上はギルバート諸島に住み、残りはライン諸島に住むため、この2つの諸島の間に位置するフェニックス諸島には人は住んでいないとされます。
そして、キリバス共和国の首都と政府公官庁は、ギルバート諸島北部のタラワ環礁(タワラ)に属する、バイリキ島、アンボ島、ベティオ島などに置かれ、このタラワが名実ともにキリバスの首都となっています。
キリバス共和国の場所を地図で確認してみよう
キリバスの位置関係を理解するためにも、その場所を地図で確認しておきましょう。
まず、上の地図で見るとわかる通り、キリバス共和国は太平洋のちょうど真ん中あたりに浮かび、西へずっと行くとパプアニューギニアへ、南西に下っていくとオーストラリアへ、そして、南南西に下っていくとニュージーランドへぶつかります(どれも5000km前後離れている)。
一方で、キリバスを拡大した地図を見ると、西にギルバート諸島(Gilbert Islands)が、中央にフェニックス諸島(Phoenix Islands)が、そして東にライン諸島(Line Islands)が位置するのが分かります。
キリバスの人・言語・宗教
キリバスに住んでいる人たちは人種的に「ミクロネシア人」と呼ばれる人々。
他にも、ビキニ環礁が含まれることで有名な太平洋に浮かぶマーシャル諸島共和国や、ミクロネシア連邦に住む人々と同じです。
そして、キリバスでの公用語は英語とキリバス語で、キリバス語は周辺地域で話されるミクロネシア諸語に属する言葉。
さらに、歴史の中でヨーロッパ人による布教活動が行われた結果、主要な宗教は土着の信仰や習慣が混ざったキリスト教となっています。
キリバスの地理的特徴
キリバス共和国には多くの環礁が含まれるわけですが、その中でも最大となるキリスィマスィ環礁(クリスマス島)はライン諸島に属し、その面積はなんと388㎢と、キリバスの国土のおよそ半分を占めるのが特徴。
この広い面積によって、キリスィマスィ環礁は1950年代から1960年代にかけ、アメリカとイギリスの核兵器実験場(大気圏内核実験)として使われ、現在は人工衛星の追跡基地が複数置かれる他、大きなココナッツ農園と養魚場があります。
そして、ギルバート諸島の近くにある孤島のバナバ島は海抜87mで、キリバスでは一番高い場所。
バナバ島以外の環礁は8mより高いものは無く、海面の高さの変化に影響されやすい状態にあります。
一方で、人口が集中するギルバート諸島の平均降水量は北部で3000mm、南部では1000mmと様々ですが、どの場所でも定期的な干ばつが起こる傾向にあり、また、気温は通常、27℃から32℃の間です。
加えて、キリバスの地理的特徴の一つとして、どの島にもココヤシが見られる点を挙げられるでしょう。
海産物と共にココナッツは木の実だけでなく、その樹液も村の人々にとってとても大切な食料で、他にも収穫された樹液は料理に使われたり、飲み物として飲まれたりします。
さらに、発酵させるとアルコール飲料になるため、島の人々にとっては非常に大切です。
キリバスの歴史
先住民達とヨーロッパ人の接触
キリバスには、紀元前2000年頃からミクロネシア系の人々が定住し始めました。
もともとライン諸島には定住せず、ギルバート諸島と孤島であるバナバ島に人々が住み着きます。
そして16世紀に、スペインの探検家達はキリバスの島をいくつか発見しましたが、その島々のほとんどを海図に記すこともなく、そこまで重要な島だと考えられていませんでした。
しかし、19世紀に入るとヨーロッパから最初に捕鯨船が、そして次にココナッツオイルの商人達がキリバスにやって来るようになり、それによってキリバスは海図に記され、また、ギルバート諸島の島民達は同地域の様々な場所にある農園で働かされ始めました。
イギリス植民地時代
それから少しした1892年、ギルバート諸島はイギリスの保護領となり、そしてバナバ島はその豊かなリン鉱床が発見されると、1900年に保護領に併合されます。
そして、1916年にギルバート諸島とバナバ島は、現在のツバルであるエリス諸島と一緒に「ギルバートおよびエリス諸島」という名のイギリス植民地となりました。
植民地はその後、フェニックス諸島とライン諸島の大部分を占めるまでに広がり、一時はトケラウ(現在はニュージーランド領の自治領)まで及びます。
またこの頃、キリスト教の宣教活動が行われていきました。
日本の占領から独立国家となるまで
第二次世界大戦中、キリバスの島々は日本によって一時占領されましたが、後に連合国軍によって日本は撤退させられます。
そして、大戦後は引き続きイギリス植民地の状態が続き、1956年から1962年には、ライン諸島に含まれるキリスィマスィ環礁(クリスマス島)が、イギリスとアメリカによる核実験場となったのです。
しかし1971年には、イギリス植民地からイギリス領自治領と変更され、そして1978年に「ギルバートおよびエリス諸島」を構成していたエリス諸島がツバルとして独立。
その結果、翌年の1979年にキリバスも「キリバス共和国」としてイギリスから独立することとなりました。
キリバス共和国観光情報
基本情報から歴史までを紹介してきましたが、キリバス共和国はまた、美しい海やビーチ、そして息を呑むような自然風景が豊富にあり、観光地としても魅力的な場所。
ここからは、キリバスへ観光に行ってみたいと考えている人向けに、ちょっとした観光情報を紹介していきます。
キリバス共和国で絶対行くべき観光名所5選
キリバスに行くなら、まずは次の5つの観光名所を抑えておくのが良いかと思います。
クリスマス島
キリスィマスィ環礁やキリスィマスィ島としても知られるクリスマス島は、すでに紹介したように、キリバスの東側を構成するライン諸島の一部であり、キリバス共和国においては最大の土地面積を持つ島。
イギリスのジェームズ・クック船長が1777年のクリスマスイブにこの島を発見し、そこからこの名前がつきました。
(出典:wikipedia)
クリスマス島では多くのアクティビティが可能。
例えば、この島は世界で最もバードウォッチングに適した場所の1とされ、一年中、多くの海鳥がここへ来ます。
実際、バードウォッチングのパッケージがついたホテルもあることから、バードウォッチングに対しての力の入れようが分かるでしょう。
また他にも、スキューバダイビングに行って、透明な青い水と未開発の自然の中で多くの種類の魚やカメ、さらには第二次世界大戦の船の残骸を観察しながら楽しめます。
また、釣り好きにもおすすめで、帰りには現地の美しい手工芸品を購入してみましょう。
ファニング島
地元の人々からはタブアエラン島としても知られるファニング島も、可能なら訪れてみたい場所。
この美しい島には数多くのビーチがあり、そこで好きなことをして時間を過ごしたり、心穏やかに休暇を楽しんだりすることができます。
また、その自然は人の手が加わっておらず、保護区である点もポイント。美しい自然を写真に納めるためにも、カメラを持っていくのが良いでしょう。
ただし、この島には店もレストランも、そしてホテルも無い点は覚えておくことが大切。
もしも訪れたいなら、滞在しているホテルにボートを出してもらうように頼む必要があります。
タラワ
タラワはキリバス共和国の首都。
相互に連結した非常に小さな島々の集まり(環礁)で、ブーメランの形をしています。
これらの島々は通常、橋で繋がっていますが、いくつかの島々にたどり着くためにはボートに乗らないといけないかもしれません。
もしも滞在して島の文化を経験したいなら、タラワの南部(サウスタラワ)に宿泊することをおすすめします。
逆に、喧騒から離れて過ごしたいのなら北部(ノースタラワ)を選びましょう。
タワラにはキリバスの文化や歴史を展示する歴史的に重要な施設の多くがあり、他にも第二次世界大戦の戦場跡など、文化的な面でおすすめ。
もちろん、セーリング体験や釣りなどのアクティビティも可能です。
数々の離島
キリバスに属する離島もまた、可能なら訪れてみたい場所。
キリバスの離島の多くは、キリバスの自然がそのまま残っており、中でも、以下の離島は比較的アクセスが簡単で良いかと思います。
- アベイアン島
- 釣りのアクティビティがおすすめ
- ブタリタリ島
- キリバスで最も緑豊かな島と言われている
- 第二次世界大戦の残骸でも有名
- アベママ島
- シュノーケリングなどのアクティビティに最適
- 泳ぐことに適している
- タビテウエア島
- 長い島で人口が比較的多い
第二次世界大戦時の主な戦地
第二次世界大戦中、アメリカ軍と日本軍の血なまぐさい戦いがキリバスとその周辺の島々で起こりました。
この歴史を感じるためにも、タワラ、ブタリタリ、アベママといった、当時の主要な戦闘場所を訪れてみるのも良いでしょう。
錆びた戦車や壊れた戦艦などを見ることが出来、また、これらの地域でダイビングをすると、海中に当時の難破船などを確認することが出来ます。
キリバスに行ったら試したいアクティビティ
また、上で紹介した観光名所を訪れるだけでなく、以下のようなアクティビティを楽しむのも、キリバスへ観光に行くなら検討してみましょう。
サウスタワラの雑踏を楽しむ
キリバスを訪れる人の多くは、首都を通り過ぎて各島の砂浜へと直行してしまいます。
せわしないサウスタワラは一番きれいな街とは言えず、せっかくビーチを楽しみに来たならベストな場所とは言えません。
しかし、地元の市場を探索し、地元の人に出会ったりするなど、地元の生活を知るためにはもってこいの場所です。
水中にある「財宝」を探索する
キリバスは世界最大の環状に出来上がったサンゴ礁「環礁」が沢山あるため、ダイバーにとっては夢のような場所でしょう。
そのため、せっかくキリバスに来たなら、ただビーチでのんびりとするだけでなく、その海中にあるサンゴの庭園を楽しむためにも、海に潜ってみるのがおすすめです。
キリバスを上空から眺めてみる
キリバスの全貌をつかむ最適な方法は、各地にある小さな飛行機に乗って、上空から島々を眺める遊覧観光。
アベイアン、アベママ、マイアナ、タワラで可能ですが、他の島々も希望により訪れることが出来るかもしれないので、興味があれば現地で尋ねてみましょう。
地元の文化に浸る
キリバスの各村には、「マネアバ」と呼ばれるコミュニティセンターまたは集会所のようなものが存在します。
このマネアバは、キリバスの各村における中心的存在で、キリバスの基礎を為すものです。そのため、キリバスの村を訪れるなら、このマネアバを訪問してみるのも良いでしょう。
なかには観光客が、伝統ダンスや歌、物語の読み聞かせを楽しめる場所もあります。
キリバスへの行き方
キリバスへは日本から直行便が出ていないため、その行き方としては幾つかの経由地をまたいで現地へ飛行機で入ることになります。
また、キリバス共和国の国際空港は、首都であるタワラに作られたボンリキ国際空港と、キリバス最大の島であるクリスマス島に作られたカシディー国際空港があるので、最終的な目的地に合わせて到着する空港を決める必要があります。
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キリバス共和国|基本知識(地図や歴史)から行き方などの観光情報のまとめ
キリバス共和国について、歴史や観光情報も含めて詳しく見てきました。
キリバスは、近年の温暖化による海面上昇により、沈む危険性に直面しています。
そのため、キリバス政府は国の将来と住民の安全に備え、特別な技術を持った人々に他国へ移住するよう勧めたり、太平洋にある他の土地を購入したり、海上に人工島を作ることなど計画して、また実践しているものもあります。
そのため、もしもキリバスへ興味があるのなら、島々が沈んでしまう前に訪れる必要があると言えるでしょう。