ブラジルの人種状況や割合を探っていきましょう。白人、パルド、黒人、アジア人、ブラジル先住民の5つの大きな人種グループに焦点を当てて、ブラジルの人種について学んでいきます。
南アメリカ大陸一の規模を誇る国ブラジルには、2億人を超える人々が住み、そこには非常に多くの民族的背景を持った人々が共存しています。
またこのことは同時に、人種的に見た場合にもいくつかのグループを確認出来るということであり、これによってブラジルはいわゆる「人種のるつぼ」と化しているのです。
そんなブラジルには、一体どのような人種が存在するのでしょうか?
この記事では、ブラジルの人口を構成する5つの主要人種グループに焦点を当て、その割合と、各人種グループの特徴や状況などを見ていきたいと思います。
ブラジルの人口・人種状況の概要
ブラジルはおよそ850万㎢を誇る面積を持ち、人口数は2億を超えるなど、国土と人口規模共に世界で5番目に大きなく、また南アメリカそしてラテンアメリカにおいては最も大きな国。
国境は大西洋、そしてエクアドルとチリを除いた南米の国々に面しています。
そんなブラジルは、
- アメリカ大陸の先住民
- 植民地時代にポルトガルを始めとしたヨーロッパからやってきた入植者達
- 奴隷として連れてこられたアフリカ人達
- その後にやってきたアジア系の移民
など、近代の歴史の中で複数の人種が入り混じることとなった人種のるつぼとして有名。
そのため、細かく見れば非常に多くの民族が共存する国であることが分かりますが、人種を大別すると主な5つのグループを確認することができ、その5つの主要グループの割合は以下の通りです。
順位 | 人種名 | 人種ごとの割合 |
1 | ブランコス(白人系ブラジル人) | 47.73% |
2 | パルド(白人・先住民・アフリカ系の混合) | 43.13% |
3 | プレトス(黒人系ブラジル人) | 7.61% |
4 | アマレロス(アジア系ブラジル人) | 1.09% |
5 | インディジナ(先住民系ブラジル人) | 0.43% |
(2010年ブラジル国税調査の結果:参照:Largest Ethnic Groups in Brazil)
ブラジルの主だった5つの人種についてさらに詳しく見ていこう
ブラジルの人種状況並びに、5つの主要な人種の割合を見てきましたが、ここからは、ブラジルの人口を構成する主な5つの人種グループに関して、さらに詳しく掘り下げていきたいと思います。
ブラジルの人種① ブランコス(白人系ブラジル人)
一般的に「白人系ブラジル人」として称される人種ブランコスは、国の人口の47.73%を占める多数派の人種グループ。
ブラジル国内にはおよそ1億人弱のブランコスが暮らしているため、ブラジルは南半球の国としては最大の白人系人種を抱える国であり、また、アメリカ大陸に存在する国の中でもアメリカについで2番目に多くの白人系人種を抱えています。
このように、多数派が白人系であるブラジルでは至るところでブランコスを確認することが出来、特にブラジル南部(主にサンタカタリーナ、リオグランデ・ド・スル、パラナ、サンパウロなど)は白人系人種が多い地区として有名です。
そして、この白人系人種はヨーロッパにルーツを持ち、多くは植民地時代に開拓者として入植したポルトガルを筆頭に、他にもイタリア、スペイン、ドイツなどから移民がやってきました。
ただし、中には大枠ではヨーロッパ人と同じコーカソイド人種に含まれるレバント(東部地中海沿岸地方)のアラブ人や、ユダヤ人などをルーツに持つ人も存在します。
また、植民地時代を終えてブラジルが独立して以降、移民としてブラジルで生活を構えたヨーロッパ人達も、白人系ブラジル人の人口増加に貢献しました。
ブラジルの人種② パルド(白人・先住民・アフリカ系の混合)
褐色系を意味する「パルド」は基本的に、ブラジル先住民、ヨーロッパ系、アフリカ系の混血とされる人々の総称。
ヨーロッパからの移民男性と、アメリカの先住民(ネイティブアメリカン)の女性や、アフリカから連れてこられた奴隷女性の間に子供が誕生したのが、このパルドと呼ばれる人種グループの起源です。
また、パルドとされる人々の中でも混血具合によって外見には大きな幅があり、すべてのタイプの髪、目、肌の色の人がいますが、一般的にはヨーロッパの白人ほどは肌が白くなく、また、アフリカの黒人ほどは肌が黒くない「茶色」または「褐色」の肌を持つ人々を指します。
※「パルド」の言葉は1872年のブラジルの人口統計から使われるようになり、現在はムラート(白人と黒人の混血)、カフーゾ(黒人とネイティブアメリカンの混血)、カボクロ(白人とネイティブアメリカンの混血)などの混血の人々も指す言葉として使われる。また、茶色または褐色の肌を持つ南アジア系移民などを指すことも多々ある。
そして、上述したようにパルドの人々はブラジル人口の43.13パーセントを占め、人種別にみるとブラジルでは2番目の規模を誇る人種グループです。
ちなみに、実際にはパルドとは違う人種グループに属するのにも関わらず、自らをパルドと考えている、白人、黒人、ロマ人、アラブ人、アジア人もいるとされています。
ブラジルの人種③ プレト(アフリカ系ブラジル人)
プレトまたはアフロ・ブラジリアンと呼ばれる人種は、アフリカ系の特徴を有するブラジル人のこと。
ブラジルは、16世紀から19世紀にかけてアフリカからの奴隷が多く渡った国の一つであり、その期間におよそ400万人もの黒人系奴隷達がやってきたと考えられています。
そして、ブラジル国内での奴隷労働が、このプレト達の生活や家庭のあり方に大きく影響を残し、さらに、奴隷制度が廃止されるまで、アフリカ系人種の人口は特に沿岸部にかけて大きく増加。
結果、今日のブラジルにおける人口の8%弱を黒人系人種の人々で占めるようになりました。
また現在、プレトの多くは北東部に位置するバイーヤ州で生活しています。
一方で、現在のプレトの生活を見ていくと、アフリカから持ち込まれた宗教的慣習が多く残る中、多くはカトリック教が主となるキリスト教徒となっており、また、現在もアフリカを起源とする料理が食に反映されていますが、徐々にポルトガル料理も一般的となってきています。
ブラジルの人種④ アマレロス(アジア系ブラジル人)
ブラジルに存在する主要人種グループの中で、4番目に大きいのがアジア系ブラジル人を指すアマレロス。
世界的に高まった奴隷制廃止運動に呼応してブラジルでも奴隷制度が廃止された結果、ブラジルでは農業労働者が不足する事態になったため、1892年にブラジルは「日本人移民の受け入れ」を表明。
その後、日本とブラジルに正式な外交関係が結ばれ、1908年から始まった日本人のブラジル移民計画が開始。
これ以降にブラジルへ渡った日系人の子孫を主なグループ(日系ブラジル人の数は180万人前後とされる)として、現在、アジアにルーツを持つアマレロスは同国で1.09%、およそ220万人ほどの人口を占めています。
そして、アマレロスに含まれる日系ブラジル人の中には、キリスト教へ改修した者も多くいますが、仏教を信じていたり、日本の神道に由来する宗教を信じる者も多く存在し、また、未だに日本の伝統文化を守っているコミュニティも残っています。
ちなみに、近年では中国からの移民も増えてきており、それによってアマレロスの中には中国語を使用する人々が増えてきています。
また、ブラジルには南アジア(インド周辺地域)からの移民もいますが、彼らはパルドと認識され、アマレロスとしては数えられていません。
ブラジルの人種⑤ インディジナ(先住民系ブラジル人)
ブラジルの主要人種グループ5つの中で、最も人口規模の小さなグループがインディジナ。
ヨーロッパからの入植者達がやってくる以前からブラジルに住んでいる先住民系ブラジル人のことで、ブラジルにおいては最古の人種グループになります。
ただし、ヨーロッパ人が入植してからはブラジルの隅に追いやられ、現在では主に熱帯雨林地域のアマゾン川流域や、特別保留地とされる5つの地域に住んでいます。
また、ヨーロッパからの入植者とブラジル原住民との間に子供が生まれ、純粋な原住民の人口が減少したことも影響し、ブラジルにおけるインディジナの現在の人口割合は0.43%に過ぎません。
しかし、パルドを始め、現在のブラジルに住む多くの人の中に、このインディジナの遺伝子が受け継がれているため、多くのブラジル人の祖先の一つは、このブラジル原住民グループに行き着きます。
この点を考慮すると、純粋なインディジナの人口規模はブラジルにおいて小さいものの、インディジナの遺伝子を持った人々の人口規模は非常に大きいと考えられるのです。
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ブラジルの人種状況と割合|白人・パルド・黒人・アジア人・先住民の5大人種についてのまとめ
ブラジルの人種状況について、主要な5つの人種グループに焦点を絞って見てきました。
ブラジルにはこれ以外にも小さな人種グループを含めれば、まだ複数の人種グループが存在します。
このような状況こそが、ブラジルを人種のるつぼ足らしめる所以であり、数ある国の中でブラジルを特徴的な国にしている理由の一つです。