アマゾン先住民族|ヤマノミ族や未接触部族などの生活・歴史・現状

アマゾン先住民族について見ていきます。ヤマノミ族を始めとしたメジャーな民族グループや未接触部族など、現地に住む先住民達の生活や歴史、そして現状などを確認してみましょう。

スポンサーリンク

アマゾン熱帯雨林と言えば、南アメリカ大陸北部の東西に大きく広がり、世界最大の面積を持つ熱帯雨林。

非常に多くの動植物が生息しており、中にはこの地でしか見つからない固有種も数多く含まれています。

そしてこの状況は人間に関しても同じだと言え、アマゾン地域では非常に多くの先住民族グループが確認されているのです。

この記事では、そんなアマゾン先住民族に関して詳しく見ていこうと思います。

ただし、アマゾンは7つの国をまたがり、細かく見ていくとそれぞれの国によって状況が異なると考えられるため、ここではアマゾン熱帯雨林の60%が位置するブラジルを主な軸として見ていきます。

スポンサーリンク
スポンサーリンク

アマゾンの先住民族グループの数や居住区

今日のブラジルには約305の先住民族のグループが存在すると考えられており、その人口は合計で90万人。これは、ブラジルの全人口の約0.4〜0.45%相当。

ブラジル政府はブラジル全土において国土の13%、690の区画を先住民族達の土地として認め、先住民の人々が伝統的な暮らしを送れるように積極的な政策を打ち出しています。

しかし、これらの居留地の98.5%はアマゾンの熱帯雨林地域にあるためか、先住民人口の約半分はアマゾン地域外で暮らしている、つまり、先住民居留地として割り当てられた土地の1.5%に先住民達の約半数が固まって生活しているのです。

ちなみに、非常に多くの集団がいるわけですが、基本的にアマゾン先住民グループの多くの人口は1,000に満ちません。

例えば、アクンツ族は10人も満たず、アワ族は450人程度しかいないとされています。

知っておきたいいくつかのアマゾン先住民族達

アマゾン先住民と呼ばれる人々の中には非常に多くのグループが存在するため、全てについて触れるのは難しいですが、その中でも知っておくと良さそうないくつかのグループについて見ていきましょう。

ヨーロッパの入植者達と最初に交流を持ったアマゾン先住民族グループ

まず、アマゾン熱帯雨林地域外のサバンナや大西洋岸森林地域には、「グアラニ族」や「カインガング族」が暮らし、また北西部の乾燥した内陸地帯には「パタソ族」や「トゥピナンバ族」などが居住しています。

(グアラニ族の男性)

これらの部族は、1500年にヨーロッパからの入植者がブラジルに上陸した時、最初に交流を持った人々です。

それから何百年もの間、先住民とヨーロッパからの移民の交流は増え続け、その地域範囲も拡大していきました。

最大の人口や土地を持つアマゾン先住民族グループ

ヨーロッパからの入植者は先住民の土地を奪い、不当な侵入を繰り返しました。しかし、それでもほとんどの部族は、頑なに独自の言語と慣習を守り続けたのです。

その結果、今日最も大きなアマゾン先住民グループはグアラニ族で、約51,000人の人口を抱えていると考えられています。

しかし、この部族が所有する土地は非常に限られたものです。

過去100年間のうちに、グアラニ族の土地のほとんどが取り上げられ、彼らの伝統的な土地の多くは、広大な牧場や大豆畑、サトウキビのプランテーションなどに変えられてしまったのです。

現在、グアラニ族の多くは狭い保留地に押し込められて暮らしており、高速道路の脇にブルーシートのテントを立てて生活している者もいるとされます。

(ヤノマミ族のイラスト)

一方で、最も広大な土地を持つアマゾンの先住民族はヤノマミ族

ヤノマミ族はアマゾン北部に約94,000㎢もの土地を保有しており、これは北海道以上で、ハンガリーの国土に匹敵する大きさです。

アマゾン地域に住む未接触部族

未接触部族とは「外界と接触していない部族」のこと。

つまり、「自らの選択または周囲の状況によって、ファーストコンタクトないし生活に大きな影響を与える接触をより巨大な文明(特に現代文明)と行っていない部族」のことですが、今日のアマゾンには約100の未接触部族が暮らしているのではないかと考えられています。

Uncontacted Amazon Tribe First ever aerial footage

その中には数百人の人口を抱えるものもあり、ブラジルのアクレ州境付近の僻地や、ペルー国境沿いのジャヴァリ谷の保留地に居住しています。

また、アマゾン全体に散らばって暮らしている部族がいますが、そのほとんどは20世紀のゴム産業と農業の発達によって絶滅してしまいました。

それ以外にも遊牧民であるカワヒヴァ族のように、森林伐採や農園の広がりを逃れるようにして移動を続けている人々も存在します。

アマゾン先住民族達の生活とは?

狩猟採集生活が基本

アマゾン先住民族の多くは、自然から得られるものだけに頼って生活している狩猟採集民族

ただし、一部の植物は育てて食糧や薬とすることも一般的です。

主食となるのはキャッサバ、サツマイモ、トウモロコシ、バナナ、パイナップルなどで、これらは畑で栽培され、木の実やナッツ類、アサイーといった果実、そして蜂蜜などを採取し、肉を食するためにペッカリー(イノシシの一種)、バク、サルや鳥などを目当てとした狩猟が行われます。

そして、狩猟においてほとんどの先住民達は弓矢を使用しますが、中にはマティス族のように、先端に毒が塗られた長い吹き矢を使って獲物を捕まえるグループもいたり、最近では銃の利用も確認されています。

また、アマゾン地域において魚は重要な食糧源。

多くの先住民達は、チンボー(植物)などの毒を使い、魚を刺して捕まえる手段を用います。

さらに、エナウェネ・ナウェ族は、小川をまたいで「ワイティウィナ」と呼ばれる複雑なダムを作ることで有名で、この方法で毎年大量の魚を捕獲し、燻製にして保存可能な食糧とするのです。

移動型狩猟採集生活

アマゾン先住民族の中には、狩猟採集生活をベースとするものの、より頻繁に移動を繰り返す集団も存在します。

例えば、ブラジル北西部に住むアワ族、マク族、そしていくつかの未接触部族達は、小規模な家族ベースの共同体で暮らし、持ち物は最小限に抑え、コンスタントに熱帯雨林内を移動しながら生活しているのです。

また、移動先ですぐに新しい家を建てる技術も持ち合わせており、若木やヤシの木の葉を利用して、ほんの数時間で家を建てることが出来ると言われます。

狩猟生活に必要な膨大な知識を共有する先住民達

数多くの動植物が存在する広大なアマゾンで暮らしていくために、アマゾン先住民達は地形や生態系、狩猟に最も適した場所などに関して、膨大な知識を持っているのが特徴。

例えば、ヤノマミ族は500以上もの植物を育て、食糧や薬、建築材料などに利用し、釣りに利用する毒だけでも9つの異なる植物を使っていると言われたり、トゥカノ族は、150以上に上るキャッサバの種類を見分けることが出来ると言われます。

また、ブラジルで人気のコーラに似た炭酸飲料「ガラナ」は、商業化されるずっと以前から、サテレ・マウェ族によって飲まれてきました。

焙煎したガラナの実を挽いて粉状にし、水と混ぜた飲料を狩りに出かける前に飲むらしく、これによって空腹感が抑えられ、狩猟中にエネルギーが尽きないと考えられています。

ちなみに、この膨大な先住民が持つ知識は今日、アマゾン地域における生態系の多様性保全に対して大きな役割を果たしていると言われます。

アマゾン先住民の伝統的な信仰:アニミズムとシャーマニズム

世界中にいる多くの部族達に見られるように、ブラジル先住民グループの多くは、自分達の土地と精神的にきわめて密接なつながりを持たせています。

このことは、先住民の口述伝承、歴史、宇宙観、神話および儀式に反映されていると言えるでしょう。

また先住民のなかには、精神世界と結びついたり、病気を治すことを目的として、幻覚を誘発する天然の薬を使用する部族もいます。

例えば、ヤノマミ族のシャーマンは、精霊へ呼びかけるために幻覚誘発作用のある粉末を吸入し、カシナワー族およびアシャニンカ族などのシャーマンは、治療行為を行う間、ツル植物から煮出した幻覚誘発作用のある飲料を服飲。

アラウェテー族やアクンツ族は、タバコを吸ったり、嗅ぎタバコを吸入したりします。

一方で、刺激剤や幻覚剤を使用せずに、リズミカルな踊りや手を叩くことによってトランス状態に入る、アワ族などの先住民族達もいます。

ちなみに、アマゾン先住民の多くに見られる信仰の特徴として、子どもから成人への移行に当たっては儀礼や隔離行為を行うことが挙げられます。

例えば、ティクナ族の少女が初潮を迎えると、ジェニパポという植物の着色料で黒くペイントされ、鷲の羽根で装飾を施されます。

少女は四日間、ほぼ寝ずに歌い、踊り、火の上を跳び超える行為を続け、その後、数か月間に渡って隔離されるのです。

そしてその間、少女は民族の歴史について教えられ、将来担う責任について知らされます。

近現代史におけるブラジル先住民族の歴史

ヨーロッパ人との接触によって多くの先住民達の命が奪われた

アマゾン先住民の歴史には、残忍な行為、奴隷、暴力、病気および虐殺という特徴があります。

1500年に、ヨーロッパ人の入植者らが初めてやって来た際、現在のブラジルにあたる土地には、推定1100万人の先住民が暮らし、およそ2000の部族が存在していました。

しかし、ヨーロッパ人との最初の接触から100年も経たずして、先住民の90%が、主にインフルエンザ、麻疹、天然痘など、入植者が持ち込んだ病気によって亡くなってしまったのです。

それ以降、さらに何千もの先住民が亡くなり、天然ゴムやサトウキビ栽培のプランテーションで奴隷として働かされました。

20世紀に入って状況はさらに悪化した

20世紀に入ると、アマゾン先住民達を取り巻く環境は変わらないどころか、むしろ酷くなっていきました。

1950年代までには先住民の人口はかなり減少していたこともあり、当時は1980年までに先住民が絶滅するだろうとする予測もあったほどで、20世紀中には平均すると、毎年1部族ずつ絶滅したと言えるのです。

例えば、1963年に起きた「Massacre at 11th Parallel(北緯11度線の大虐殺)」として知られる悪名高い事件では、ゴム業界の財界人が、シンタ・ラルガ族の村にダイナマイトの弾薬を投げ込むよう部下の男たちに命令。

ダイナマイト攻撃をかろうじて生き延びた先住民も、村に押し入ったゴム会社の労働者達によって殺害されてしまいました。

軍事独裁政権とアマゾン先住民族の生活

このようなアマゾン先住民の状況を目撃した当時の連邦検事は、1967年に、殺人から土地の盗奪、奴隷化にいたる残虐行為と犯罪を目録にした、7000ページにおよぶ報告書を発表。

この報告書は国際的な見出しとなり、ブラジルに居住する先住民族の利益と文化を保護するための政府機関「国立先住民保護財団(FUNAI)」が設立されるに至りました(この機関は今日も先住民問題の政府担当機関となっている)

さらに、1969年には非営利団体(NGO)である「サバイバル・インターナショナル」が設立。

このようなアマゾン先住民族を取り巻く環境の好転によって、ブラジルの先住民人口は再び、徐々に増加し始めます。

しかし、1964年から始まった軍事独裁政権のせいでアマゾン地域は、1960年代、1970年代および1980年代、水力発電、大規模牧場経営、鉱山開発や道路建設などを目的とした軍による開発が行われたため、多くの先住民の土地や命が失われ、何十もの民族グループが永遠に消滅。

1985年になって22年間におよぶ軍事独裁政権がようやく終焉を迎えた結果、先住民や先住民の支援者らは、権利拡大を求めて懸命にロビー活動を開始出来るようになり、ようやく先住民にも多くの権利が認められていくようになりました。

今日でもアマゾン先住民族を取り巻く環境は十分に改善されたと言えない

ただし今日でさえ、アマゾン先住民族の多くは、脅威にさらされていると言えます。

と言うのも、ブラジルは引き続きアマゾン開発と産業化の積極的な計画を推し進めているから。

例えば、文明と未接触の先住民族が暮らす地域の近くに、複数の水力発電ダムが建設されようとしており、これによって多くの先住民グループの土地、水、そして生活環境が奪われる懸念が生じています。

さらに、ブラジル南部では、グアラニー族など多くのグループが、道路沿いの掘っ建て小屋で劣悪な生活を強いられています。

加えて、こうした部族の首長や代表者達は、「先住民による先祖伝来の土地所有」を良しとしない現地の牧場経営者らに雇われた民兵の武装集団によって、組織的に狙われるなど、命の危険にさらされていると言います。

このように、アマゾン先住民族には過去数十年で多くの権利が認められてきたものの、実際には未だに社会的、そして人的な脅威が多く取り巻いており、先住民の多くはインフルエンザや麻疹といった外から持ち込まれた病気に対して免疫を持っておらず、これもまた大きな問題となっているのです。

合わせて読みたい世界雑学記事

アマゾン先住民族|ヤマノミ族や未接触部族などの生活・歴史・現状のまとめ

アマゾン先住民族について、その生活や歴史、そして現状についてまで見てきました。

アマゾン地域が話題に上る時、多くの場合は動物や植物が話題となりますが、そこに住む先住民族達にももっとスポットを当てていくべきです。

世界のことって面白いよね!By 世界雑学ノート!

error:Content is protected !!