スイスの文化と習慣|伝統や特徴が分かる11のポイント

スイスの文化と習慣に関して見ていきましょう。小国スイスが築き上げてきた伝統や特徴などを知る手掛かりとなる、11のポイントを紹介していきます。

中央ヨーロッパに位置する小国スイスは、世界で最も裕福な国の1つとして知られ、国民の生活水準はとても高く、多くの人が豊かな中産階級に属しています。

そんなスイスは、地理的な位置関係から周辺のヨーロッパ諸国に影響を受けながらも、独自の文化を育んできました。

スイスの文化や習慣にはどのような特徴が見て取れるのでしょうか?

この記事では、スイスの文化や習慣を知るために知っておくと良さそうな、11のポイントを紹介していきたいと思います。

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スイス文化と習慣1:4つの公用語が公用語が特徴!

中央ヨーロッパに位置する小さな内陸国であるスイスは、周囲のフランス、ドイツ、イタリアの文化から大きな影響を受けている点が一つの特徴で、これは言語についても同じことが言えます。

というのも、スイスには以下の4つの言葉が公用語として制定されているから。

  1. ドイツ語
  2. フランス語
  3. イタリア語
  4. ロマンシュ語

スイス国内ではそれぞれ、およそ64%、20%、6.5%、0.5%の割合で話されており、残りの10%弱は公用語ではない他の言語が話されています。

このような状況から、スイス国内では2つの言語を話せるバイリンガルや3つの言語を話せるトライリンガルの人々が多く、4つや5つの言語を話せる人も決して珍しくはありません。

また、4つの公用語の中でロマンシュ語は、最も耳慣れない言語かと思いますが、これはフランス語やイタリア語が属するインド・ヨーロッパ語族のロマンス語派に含まれる言語で、スイスでも極めて限られた土地で使われています。

ちなみに、上でも見た様に、スイスには支配的な言語がないため、文学作品のほとんどはフランス語、ドイツ語、イタリア語、ロマンシュ語のどれかで著されているのが一つの特徴です。

スイス文化と習慣2:宗教はキリスト教の2大勢力が大多数を占める

宗教面からスイスを一言で表せば「キリスト教国」というのが最適。

というのも、宗派に関係なくひとまとめにした場合、キリスト教を信仰する人々の割合は70%前後に達するから。

カトリック教徒が全人口の40%前後を占める多数派となっていて、その次に30%前後の人々がプロテスタントを信仰。

このようにキリスト教が大多数を占めることから、祝祭日は地域によって異なるものの、キリスト教の祝祭日は国中で盛大に祝われるのが特徴です。

ちなみに、このキリスト教の2大勢力が、そこまで大きなも差なく信仰されている点は、異なる文化圏に属する複数のヨーロッパの国に囲まれ、それぞれの文化に大きく影響されているスイスらしさを表していると言えます。

一方で、キリスト教以外の宗教で言うと、およそ人口の5%を占めるのがイスラム教で、他の宗教、例えば仏教やヒンドゥー教、そしてユダヤ教の信徒割合は、それぞれ1%以下です。

また、人口のおよそ1/4程度は無宗教や無神論の人々になります。

スイス文化と習慣3:スイス料理

周辺国の影響を受けたスイス料理

伝統的にスイス料理はシンプルな食材で作られ、地域によってイタリア、ドイツ、フランス料理の影響を受けていると言えるでしょう。

そんなスイス料理の名前を具体的に一つ挙げるとツーヒャー・ゲシュネッツェルテス。

この料理は、細切りにした仔牛肉とマッシュルームのクリーム煮に、ジャガイモのロスティ(ガレット)を付け合わせた伝統料理です。

また、ピッツァやパスタにも人気があり、キッシュやタルトも食べられます。

ちなみに、スイスで良く使われる食材はジャガイモとチーズです。

スイスと言えばチーズやチョコレート

良く使われる食材であるチーズは、スイスを代表する食材として有名。

チーズに関して例を挙げれば、アッペンツェラー、ヴァシュラン、エメンタールは特筆すべきで、フォンデュのようなチーズ料理は国内で人気です。

また、チーズと同様にチョコレートでもスイスは世界的に知られていますが、国内では飲み物としてチョコレートドリンクが販売されていたりします。

スイス文化と習慣4:実は世界的な作曲家を輩出しているスイス

スイスと作曲家はあまりイメージとして結びつきにくいかと思いますが、実はスイスは世界的にも名声を得た作曲家を複数輩出してきています。

例えば、

  1. フランク・マルタン
  2. アルテュール・オネゲル
  3. オトマール・シェック

などは、スイス人作曲家の代表例でしょう。

また、現代に生きるスイス出身の作曲家として、アンドレアス・フォーレンヴァイダーは世界的にも有名。

ハープを主な楽器とする彼の楽曲はグラミー賞を受賞したこともあり、国際的に高い名声を得ています。

さらに、スイスでは国際的な音楽祭が開催されており、ルツェルンやヴェルビエで開かれる音楽祭は世界的なクラシック音楽の祭典として知られます。

スイス文化と習慣5:芸術思想や芸術様式の発達

芸術で有名なフランスやイタリアに囲まれているため、芸術の国としてスイスの名前が挙げられることはそこまでありませんが、実はスイスは、芸術において新しい流れを生み出してきた国でもあります。

その芸術の流れとは、20世紀初めにスイスで生まれたダダイズム。

これは、

第一次世界大戦に対する抵抗やそれによってもたらされた虚無を根底に持っており、既成の秩序や常識に対する、否定、攻撃、破壊といった思想が大きな特徴

となる芸術思想。

また、20世紀半ばには清潔感・可読性・客観性を追求したグラフィックデザインの様式「スイス・スタイル」が同国で発展し、デザイン分野における中心地となりました。

ちなみに、スイスには非常に質の高い美術館が多く存在します。

スイス文化と習慣6:男女や家族に関する社会通念

先進国の中でさえも幸福度が非常に高い国として上位にランクインするスイスは、過去の制度にとらわれずに社会通念の変革を行ってきました。

例えば、かつてスイス社会には古くからの家長制度があり、男女の役割ははっきりと分けられていました。

しかし、現代のスイスではこのような役割分担は消えつつあります。

より男女の平等に関して先進的な考えやシステムを導入していった結果、教育や社会進出の面ではまだ男性が女性より優位であることは事実ですが、その差は埋まりつつあります。

また、離婚や再婚も頻繁に行われています。

さらに、かつては大家族が普通でしたが現代では核家族化が進んでおり、加えてスイス社会では個人のプライバシーがとても尊重されています。

スイス文化と習慣7:地域によって異なる民族衣装

スイスの文化を表現する物の一つとして民族衣装がありますが、このスイスの民族衣装はカントン(地方行政区画)ごとに異なり、似たものもあれば大きく違うものもあります。

また、男性の物なのか女性の物なのかでも状況は違い、男性用の物は簡素で、地方ごとの際立った特徴はそこまで無いのに対して、女性用の物は色鮮やかで地方間での差異が目立つのが特徴です。

ちなみに、地域によって異なるものの、民族衣装の特徴の一例を挙げるとすると、

  • 男性様の民族衣装
    • 山岳地帯・・・革の半ズボン(山を歩いたり登ったり狩りをしたりするときに動きやすいから)
    • 低地・・・シャツと長袖のジャケット、ズボンとストッキングかウールのタイツ、帽子
  • 女性の民族衣装
    • パフスリーブのついた色鮮やかなワンピース
    • 手の込んだ頭飾り
    • レースのついたエプロン
    • ボンネット(ヨーロッパの伝統的な帽子)
    • 刺繍のあしらわれたカバン
    • コルセットと足首まであるスカート
    • エプロン

といった組み合わのスタイルだと言えるかと思います。

ちなみに、階級によっても状況は異なり、農民が着ていた民族衣装は地域によって異なる傾向にあるものの、貴族階級が着ていた民族衣装は国内だけでなく、近隣諸国の貴族達の物と比べてもそれほど大きな違いはなかったりします。

スイス文化と習慣8:生活の一部になっているスポーツ

スイスにおいて、スポーツ、特にアウトドアのスポーツに参加することは、生活の一部であり多くの人にとっては習慣になっていると言えるでしょう。

例えば人気がある種目として、サッカーや登山が挙げられます。

さらに、地理的にウィンタースポーツに適した国であるため、スイス国内ではウィンタースポーツも非常に盛ん。

スキー、ソリ、アイスホッケー、スケート、そしてスノーボードなどは、多くのスイス人に楽しまれているスポーツです。

ちなみに、ウィンタースポーツで有名なスイスには、海外からも多くの人々が訪れます。

スイス文化と習慣9:挨拶における注意点

親しい友人以外と会う場合、スイス国内では頻繁に「学術称号」や「職業上の肩書き」が使われます。

例えば、学術称号で言えば博士号を持っている人に対しては、「Dr.(ドクター)」をつけて挨拶をするといった具合です。

このように、親しい仲である人以外、挨拶においては敬意を示すことが大切になってくるため、称号や肩書きがなくても、「Mr.(ミスター)」や「Mrs.(ミセス)」、「Miss(ミス)」などと一緒に苗字で呼ぶことが一般的です。

アメリカの様にファーストネームで呼び合うのは、非常に親しい友人や家族の間でのみ行われると考えておいた方が良いでしょう。

スイス文化と習慣10:時間厳守

スイス人は社会倫理や労働倫理が非常に高いことで有名で、これは時間についても同じことが言えます。

スイスには時間厳守の習慣があり、約束事に遅れて来るというのは失礼とみなされるので注意。万が一遅れる場合は事前に相手へ連絡することが大切です。

この点については日本と似ていると言えるでしょう。

ただし、パーティーやディナーに招待された場合、最大で15分程度遅れることは許容範囲です。

スイス文化と習慣11:覚えておきたいマナー

また他にも、以下のようなマナーがスイスにはあるので覚えておきましょう。

  • 招待されたら花、お菓子、ワイン等のささやかな贈り物を持っていく
  • 握手をする際はしっかりと目も合わせる
  • 携帯電話を使用する場合は大声を出さない
  • プライバシーには気をつける
    • スイス人は、プライバシーを大変重視して大切にしています
    • 個人の収入や資産に関する質問は失礼と見なされることが多いので注意です
  • 小綺麗な服装が好まれる
    • 身だしなみには気を配っておきましょう
  • 相手との距離も気をつける
    • よっぽど親しい仲でない限り、会話中に相手へ近づきすぎるのは失礼と見なされることがあります
    • 少なくとも腕の長さ分程度は相手から距離をあけておきましょう
  • 公共の場でごみを散らかしたり、爪を綺麗にするようなことは控える
    • 日本では電車の中でメイクを直したりする人がいますが、こういったことは失礼と見なされるので控えましょう
  • 並んで待つ
    • 他の人が待っている場合は、追い抜くことはせずに列を作って待つのがマナーです

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スイスの文化と習慣|伝統や特徴が分かる11のポイントのまとめ

スイスの文化や習慣に関して、11のポイントを紹介してきました。

永世中立国として世界平和の推進を誇りに思い、高い倫理観を持つスイスには洗練られた文化と習慣があります。

スイスの時計産業などは世間一般的にも非常に有名ですが、それ以外の文化や習慣についても知っておくことで、よりスイスについて理解が深まると思います。

世界のことって面白いよね!By 世界雑学ノート!

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