南極大陸を除いた全ての大陸に分布するとされるカエルは、世界中におよそ7000種が存在すると考えられています。
それに加えて、毎年何かしらの新種が確認されており、2019年には「ミニ・マム」という学名が与えられた8~10mmほどの極小サイズの新種のカエルが発表され、話題になりました。
しかし、世界一小さいカエルは、さらに小さな体長を持っています。
この記事では世界一小さいカエル(世界最小のカエル)について紹介します。
世界一小さいカエルは「Paedophryne amauensis」というカエル
ずばり世界一小さいカエルとされるのは、東部パプアニューギニアの固有種で学名「Paedophryne amauensis」を持つカエル。
(出典:wikipedia)
鼻先から肛門までの長さ(体長)は7.7mmで、カエルとして世界最小であるだけでなく、数ある脊椎動物の中でさえ世界最小とされる生き物です(このカエルが発見される以前は7.9mmの東南アジアの魚「Paedocypris progenetica」が世界最小の脊椎動物とされていた)。
2009年8月、ルイジアナ州立大学の爬虫類学者クリストファー・オースティンと、博士課程の学生エリック・リットマイヤーが、パプアニューギニアの生物多様性を探る遠征中、パプアニューギニアの中央州にあるアマウ村(Amau Village)に立ち寄った際にこの世界最小のカエルを発見。
約2年半の検証研究を経て2012年に新種として発表されました。
ちなみに、学名にある「amauensis」は発見されたアマウ村に由来しています。
世界最小のカエルが持つ特徴
特徴1:発見するのがとても困難
この世界最小のカエルは、その体の小ささから鳴き声も非常にか弱く、昆虫の羽音程度の大きさでしかありません。
加えて森林の地表面を覆う葉の間にカモフラージュしているため、発見するのは非常に困難。
実際、発見者のオースティンとリットマイヤーは、
- 森の中で夜行性のカエルの声を録音している時に三角測量を使って未知の動物の出所を特定
- 地面に落ちていた葉っぱを一握りすくってビニール袋に入れる
- 小さなカエルが飛び回っている姿を確認
という手順で、世界一小さいカエルの発見に至ったのです。
特徴2:オタマジャクシの段階は無い
また、この世界最小のカエルはオタマジャクシの段階を踏まずに成長することが知られています。
陸上で生活し、その成長過程にオタマジャクシの段階はない代わりに、成体のミニチュア版とも言える「ホッパー」という状態で孵化するするのです。
特徴3:水分が多くある場所に依存して生活している
この世界一小さいカエルは、主に海抜177〜800mの熱帯の湿り気が多い「湿潤」地帯や森に生息しています。
これは、体の体積に対して皮膚表面の面積比が比較的大きいため、体内の水分が蒸発しやすく、すぐに水分を失ってしまうため、水分を多く含む落ち葉に覆われた地表面に依存するからです。
普段は熱帯林の湿った落ち葉の間に隠れるようにして生活しています。
その他の特徴
他にも世界最初のカエルは、以下の様ないくつかの興味深い特徴を備えています。
- 骨格は小さくて7つの仙椎しか存在しない
- 体長の30倍の長さジャンプが可能である
- 薄明かりの時間帯(夕暮れまたは明け方)に主に活動する
- 小さな無脊椎動物を捕食する
- オスは8400~9400Hzの非常に高い周波数で甲高い昆虫のような鳴き声で仲間を呼ぶ