ドイツ食文化の特徴を紹介していきます。有名な食べ物や食事マナー、さらにはレストランへ行った時に知っておきたい習慣などを見ていきましょう。
ヨーロッパの強国ドイツは観光地としても比較的人気で、10月にドイツのミュンヘンで開催されるオクトーバーフェストは世界最大規模の祭りと言われ、毎年600万人ほどの人々がそのためだけにドイツを訪れます。
そして、オクトーバーフェストに参加する人たちの多くが楽しみにしているのが、ドイツビールやソーセージなど。
そう、ドイツには他のヨーロッパの国と同様に豊かな食文化があり、美味しくて独自の料理がそれぞれの地方にあるんです
この記事ではそんなドイツの食文化を少しでも知るためにも、食事マナーや有名な食べ物など、知っておきたいドイツ食文化の特徴を10個ピックアップして紹介していきます。
ドイツの食文化の特徴1:ドイツの朝食
一般的なドイツの朝食に関して言えば、丸パンを切って何かを塗って食べるというのが一つの特徴として挙げられるでしょう。
この「何か」とは、
- チョコレート風味の甘いヌテラ
- 蜂蜜
- ジャム
- バター
- スライスしたサラミ
- チーズ
など様々で、家庭によっては他のものを塗ることもあります。
そこへ、コーヒーや紅茶が添えられて1日を開始する朝食が始まるといった感じです。
ドイツの食文化の特徴2:炭酸水が好まれる
ドイツの食文化に関して事前に調べずにカフェやレストランへ行き、そこで水を頼んだ場合、炭酸水が出てきてびっくりするかもしれません。
実はドイツにおいて「標準的な」水は炭酸水なんです。
そのため、レストランで水を頼む場合、炭酸なしと頼んでおかないと炭酸水が出てくることになります。
また、炭酸水が標準なので、スーパーへ行ってミネラルウォーターのボトルを買おうとしても、そのほとんどは炭酸入りだったりします。
このように炭酸水が当たり前のように飲まれているドイツでは、炭酸水を他のものと割って作った飲み物「シューレ」も当たり前のように飲まれます。
ちなみに、ショーレで最も一般的なのは、炭酸のアップルジュースである「アップルショーレ」で、大抵のお店のメニューには載っており、スーパーにも瓶で売られています。
ドイツの食文化の特徴3:コーヒー好き!
ドイツと言えばコーヒーというイメージはあまり一般的でないと思いますが、コーヒーはドイツの食文化にはなくてはならないほどドイツ人に愛されている飲み物です。
街中には至る所にカフェがあり、他にもパンが売っているベーカーリーでも一杯ずつ入れたてのコーヒーを注文出来たり、もちろんレストランでも当たり前にコーヒーが提供されていて、コーヒー好きならどこでも飲むことが出来る環境が整っているんです。
また、ドイツ人が大好きなビールの年間消費量よりもコーヒーの方が多いことなどからも、ドイツ人がどれだけコーヒー好きか分かります。
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ドイツの食文化の特徴4:礼儀正しく食事をする
他の国と比較して、ドイツで食事をする時にはより礼儀が重んじられる傾向にあると言えます。
例えば、いくつかの具体例としてディナーにおける次のような習慣を挙げておきましょう。
- 食事中に大声で会話をしたり大きな音を立てることは好まれない
- 手で食べられる場合でもフォークとナイフの利用が好まれる
- ディナーでフライドポテトを食べる時など
- 着席して食べる際にはナイフとフォークの両方を同時に使うことが好まれる
- 例えば、ナイフを使って料理を切ってから、片手に握ったフォークだけで食べ物を刺して食べるのは好まれない
- ディナー中に片手を膝におくことは行儀が悪いと見なされることがある
- テーブルに両肘をつくことも嫌がられる
また、皆で一緒に食べたり飲んだりする時は、誰かが「Guten Appetit(”食事を楽しんでください”という意味)」と言うか、乾杯の音頭をするまで待つことが一般的です。
ドイツの食文化の特徴5:パン・ベーカリー・プレッツェル!
ドイツの食文化を語る上で言及しておくべき特徴の一つが「パン」。
ドイツにはベーカリーがそこら中にあると言っても過言ではなく、いろいろな形、大きさ、味のパンが売られています。
また、ドイツにはどんなに小さな鉄道の駅にもベーカリーがあり、他の業種やお店は日曜日の営業が許可されていないにも関わらず、ベーカリーだけは営業を許されていることからなどからも、ドイツの食文化でパンが欠かせないことが分かります。
小さなパン「Brötchen」やサンドイッチ「Belegte Brötchen」
シンプルな食パンの他に、ベーカリーで「ブルーチェン(Brötchen)」は欠かすことの出来ない存在と言えるでしょう。
これは(小さな)ロールパンを意味する言葉で、基本的には「小さなパン」全般を指します。
こぶし大の丸パンであることが多く、外側は比較的パリパリで、内側は柔らかい白パン。
地方によってパンも特色がありますが、標準的な丸パンは共通です。
また、「ビリーグトゥ・ブルーチェン(Belegte Brötchen)」と呼ばれるサンドイッチも、ベーカリーに売っています。
これは、中にサラミ1枚かチーズ1枚が入ってバターが塗られているだけの、とてもシンプルな食べ物です。
プレッツェル
さらにドイツ発祥の食べ物として有名なプレッツェル(焼き菓子)も、ドイツの食文化を象徴する存在でしょう。
ドイツのバイエルン州最大の都市ミュンヘンなどでは、「バスケットボールのゴールか!?」と見間違うほどの大きさのプレッツェルを持ち歩く人の姿を見ることがありますが、標準的なプレッツェルは手のひらほどの大きさです。
ドイツでは伝統的なスナックとして食べられてきました。
ちなみに、今でこそドイツ全国で見かけるプレッツェルですが、その起源は南ドイツのバーデン地方の焼き菓子で、それが北部にまで広がっていったと一般的には考えられています。
そのためか、プレッツェルに関しては南部ドイツの方でより多くの種類を見つけることが出来ます。
ドイツの食文化の特徴6:ドイツソーセージ
ドイツの食文化や食べ物といえば「ソーセージ」が連想されるのには理由があります。
どの地方にも、どの街にも、特有のソーセージがあるからです。
また、各地域に根ざした生産者農家が複数軒集まって、自分の農場でつくった農産物を持ち寄って直接販売する市場「ファーマーズマーケット」に行けば、2ユーロほどでブルーチェン(Brötchen)の上にソーセージを乗せた軽食を楽しめます。
そして、ドイツではいろいろな形のソーセージを見つけることが出来、さらに、ソーセージを使った料理も豊富にあるんです。
例えば、大きな乾燥ソーセージを薄くスライスしたサラミは、ピザやブルーチェンに載せて食べられます。
他にも、ブリューヴルストやブラートヴルストといったソーセージを焼いて、そこにカレー風味のケチャップをかけた非常にシンプルな料理「カリーヴルスト」は、ドイツでとても一般的に食べられる人気な料理です。
ドイツの食文化の特徴7:シュニッツェル
ドイツのレストランへ行った際に最もよく見かける肉料理と言えば「シュニッツェル(Schnitzel)」で、ドイツの食文化を象徴する食べ物の一つと言えるでしょう。
いわゆる「カツレツ」を意味するこの料理は、薄く叩いた肉にパン粉をつけてフライパンで揚げたもの。
牛肉、豚肉、鶏肉、他にも七面鳥の肉など、なんでも使われますが、ウィーンに近いエリアでは仔牛の肉を使うことが多くなるためか、日本ではシュニッツェルと言えば「子牛のカツレツ」が連想されることが一般的だと思います。
また、シュニッツェルの付け合わせは大抵ジャガイモで、ソースは地方によって異なり、レモンが添えられているだけのこともあれば、マッシュルームソースが添えられていることもあって様々です。
ちなみに、ドイツのシュニッツェルはとても大きいので、よっぽどお腹が空いていない時以外は、誰かとシェアするのがおすすめです。
ドイツの食文化の特徴8:ドイツビール
ビールはドイツに欠かせない飲み物であり、ドイツ食文化の象徴的飲み物とさえ言える存在。
ドイツにおいて、ビールはどこでも手に入るだけでなく安価でもあります。
レストランで500mlのジョッキを頼んでも3〜4ユーロ程度、スーパーであれば500mlで1ユーロ程度です。
さらに、ドイツには、全国どこにでも売っているブランド以外に、各地特有のローカルビールが1つや2つはあることも、ドイツにおけるビール人気を表していると言えるでしょう。
そんなドイツビールを知る上では、次の2つの違いを押さえておくべきでしょう。
- ピルス
- ヘーフェヴァイツェン
ピルスは色が薄くて少し苦味があるのが特徴で、ビール純粋令に従い、大麦、ホップ、酵母、水を使った伝統的なものです。
一方のヘーフェヴァイツェンは小麦でできたビールで、曇っていてピルスよりも甘めなのが特徴。また、ヘーフェヴァイツェンは背の高い曲線状のガラスに入れて飲みます。
もちろん、この2つの種類以外にも、多種多様なビールのバリエーションがドイツにはあり、色の濃いビールや滑らかなビールまで、いくつも試すことが出来ます。
ドイツの食文化の特徴9:ポメス!
ドイツを訪れるまではあまり耳にしないう言葉だと思いますが、ドイツではソーセージと同じように人気なのが「ポメス」。
簡単に行ってしまえば、なんの変哲もないフライドポテトのこと(ドイツではポメスと呼ばれる)です。
ドイツの食文化には、肉とジャガイモがよく登場するのですが、肉料理であるソーセージと並んでジャガイモ料理のポメスが多くのドイツ人に愛されている事実は、このドイツの食文化の特徴を良く表していると思います。
ちなみにポメスを注文すると、通常はマヨネーズかケチャップのどちらをかけるか聞かれます(他のソースを揃えていることもあります)。
ドイツの食文化の特徴10:ドイツのレストランにおける習慣
ドイツの食文化として、レストランへ行った時に覚えておきたいいくつかの特徴的な習慣も確認しておきましょう。
基本的には案内を待つ必要はない
欧米諸国の中には、レストランへ行った時に店員の案内を待つのが習慣となっている国がありますが、ドイツでは基本的に、高級なレスイトラン以外では案内を待つことなく着席してOK。
お店の中へ入って空いているテーブルを見つけたら、そのまま向かって着席しましょう。
さらに、カフェや混んでいるカジュアルなレストラン、さらにバーでは、見知らぬ人と相席するのも、事前に相手へ尋ねれば問題ありません。
テーブルに置かれているパンやプレッツェルは有料の場合が多い
ドイツの飲食店に入ると、テーブルにバスケット入りのパンやプレッツェルが置かれていることがありますが、大抵の場合、これは無料のサービスではないので注意。
食べた場合は後で請求されることがほとんどです。
飲み物に氷が入っていることを期待すべからず
ドイツで冷たい飲み物を頼んだ場合、飲み物に氷が入っていることを期待してはいけません。
ドイツでは基本的に、氷を入れないのが普通で、もしも氷が必要なら別途オーダーする必要があります。
ただし、通常は十分に冷えていることが多いので、そこまで毎回注文する必要はないかと思います。
水は注文しなくてはだめ
さらに、日本では飲食店で当たり前に出てくる水も、ドイツでは別途注文する必要があり、もちろん有料です。
この際、上でも述べた通り、そのままだと炭酸水が出てくるので、もしも普通の水が欲しければ「炭酸水じゃない水が欲しい」旨を伝える必要があります。
ナイフとフォークの置き方
ナイフとフォークの置き方を知っておかないと、ドイツのレストランでは間違った合図をお店の人に送ってしまうことがあるので、次の2つは抑えておきましょう。
- 皿の上でナイフとフォークを交差させる
- 食事を中断していることを意味する
- 皿の端にナイフとフォークを並べて置く
- 食事が終ったことを意味する
特に、知らず知らずのうちに皿の端にナイフとフォークを並べて置いてしまうと、間違ってウェイターまたはウェイトレスが皿を持って行ってしまう可能性があるので注意しておきましょう。
チップは10%程度
ドイツのレストランでも、他の欧米各国と同じようにチップの習慣があります。
食事終了後に勘定書きがテーブルに持ってこられたら、金額を切り上げて支払っておきましょう。
例えば22.5ユーロの勘定書きであれば、24か25ユーロを支払うといった感じで、大体の目安として10%程度のチップを含めておきます。
ちなみに、ドイツのレストランでは支払いの最中にウェイターまたはウェイトレスが、テーブルのそばで待っているので、もしもチップを含めたちょうどの金額の現金がない場合は、店員にチップを含めていくら払いたいか伝えてあげましょう。
例えば、50ユーロ札しか持っていない時に、勘定書きが22.5ユーロでチップを含めて25ユーロ払いたいと伝えれば、しっかりと25ユーロのお釣りを持ってきてくれます。
また、クレジットカードを使う場合も、チップを含めた金額を伝えてあげれば、希望したチップ込みの額で支払うことが出来ます。
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ドイツ食文化の特徴|有名な食べ物から食事マナーまでのまとめ
ドイツの食文化に関する10の特徴を紹介してきました。
美味しい食べ物を求めてドイツに行くという人はそこまで多くなりかもしれませんが、見てきたようにドイツの食文化は非常に豊か。
とても美味しい料理もたくさんあるので、それも楽しみの1つとして頭へ入れておくと良いかもしれません。