ギリシャの文化と歴史|特徴的な11のポイント(宗教や言語など)!

ギリシャの文化と歴史に関して、特徴的な11のポイントを紹介していきます。宗教や言語など、ギリシャを理解する上で役立つことだと思います。

ヨーロッパ最南端の国ギリシアは、古代から脈々と受け継がれる長い歴史を持つ国。

ヨーロッパで最古の国の一つであり、その歴史は何千年も遡ることができます。

そしてだからこそ、ギリシャの文化はとても深く、また、建築、芸術、政治、言語、文学、哲学、その他多くの分野で西欧諸国はもちろんのこと、遠くはアジアの文明にまで影響を与えてきました。

この記事では、そんな奥行きのあるギリシャ文化や歴史について、興味深くて特徴的な11のことがらを紹介していきます。

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ギリシャの文化や歴史1:国民の大多数はギリシャ正教徒

ギリシャの文化面でまず抑えておくべき特徴の一つが、ギリシャの人口の大部分がギリシャ正教徒であるという点。

ギリシャ正教、又の名を「正教会」や「東方正教会」は、1世紀頃に出来たキリスト教の教派の一つ。

その発祥は現在のギリシャにあたり、ローマ帝国が東西に分割統治されて以降は、現在のギリシャも領内に含んでいた東ローマ帝国の国教となったことから、この地域では長い歴史の中で、文化や社会に浸透し、さらに人によってはアイデンティティの一部となってなっていったことで、現在も多くの人々が信仰する宗教として残り続けました。

そして、現在のギリシャでギリシャ正教会は「国教」に制定されており、2017年に行われた調査によると、人口全体の90%がギリシャ正教徒だと判明しています(参照:Pew Research Center

ただし、ギリシャ正教徒以外にも少数派として異なる宗教を信仰する人々もおり、正教徒も含めた各宗教の割合を表すと以下の通りになります。

  • ギリシャ正教会90%
  • 無宗教4%
  • その他のキリスト教宗派(カトリックは除く)3%
  • イスラム教2%
  • その他の宗教(カトリックを含む)1%

ギリシャの文化や歴史2:公用語はギリシャ語

Easy Greek 1 – What do you like about Thessaloniki?

多くのギリシャ人にとって、宗教と同様にギリシャ人としてのアイデンティティ確立へ大いに貢献しているのがギリシャ語。

ギリシャで公用語とされているギリシャ語は、インド・ヨーロッパ語族のヘレニック語派に属する言語で、ギリシャ北東部で隣接している北マケドニア国境付近の地域に住んでいる一部の人以外、ほぼ全ての人がギリシャ語を母語としています。

そしてギリシャ語は3000年以上、ギリシャを含めた東地中海諸地域において共通言語や日常言語、さらには文学や公式記録用の言語として使用されてきた長い歴史を持つことから、ギリシャ人にとってはある意味で誇りだとさえ言えるかもしれません。

ちなみに、ギリシャ語が属するヘレニック語派に含まれる言語として現存するのはギリシャ語のみになるため、この点では希少な言語だと言えそうです。

ギリシャの文化や歴史3:ギリシア語文字は後世に与えた影響が大きい

ギリシア語のアルファベットは2500年以上も前に作られたとされ、現在のギリシャ語は24文字から成り、そのうち7つは母音。

このように母音と子音とからなるアルファベットで、「母音を表す文字と子音を表す文字を区別するようにした」点で当時としては画期的で使いやすかったことから、周辺地域に住む他の多くの民族によっても模倣されていきました。

そして、周辺地域に広まっていったギリシャ文字はいくつもの文字の基礎となり、そこにはラテン文字も含まれていました。

ラテン文字はその後、西ヨーロッパで話されている全ての言語のアルファベットの基礎となっていった点を考えると、ギリシャ文字が後世に与えた影響は計り知れないのです。

ちなみに、「アルファベット」という言葉は、ギリシャ文字体型の伝統的配列の一番目(アルファ)と二番目(ベータ)の文字名称が基になっています。

そして、現代社会においても、ギリシア文字の多くは科学や数学で使われており、上に挙げたα(アルファ)やβ(ベータ)を始め、他にもγ(ガンマ)やδ(デルタ)などを見覚えある人は多いでしょう。

ギリシア文字名前/読み方英語のアルファベット表記
Ααアルファa
Ββベータb
Γγガンマg
Δδデルタd
Εεエプシロンe
Ζζゼータz
Ηηエータey
Θθテータth
Ιιイオタi
Κκカッパk
Λλラムダl
Μμミューm
Ννニューn
Ξξクシーks
Οοオミクロンo
ピーp
Ρρローr
Σσςシグマs
Ττタウt
Υυウプシロンu
Φφフィーph
Χχキーch
Ψψプシーps
Ωωオメガoh

ギリシャの文化や歴史4:ギリシャ神話を忘れちゃダメ

ギリシャに古代より伝わる文化といえば、ギリシャ神話は忘れてはならないでしょう。

最高神ゼウスはこのギリシャ神話に登場する神として最も有名だと思いますが、他にもオリュンポス十二神、巨神族、英雄、怪物など、様々な神話的存在が登場し、人間のような愛憎劇を繰り広げることもあります。

そして、ギリシャ神話に登場するオリュンポス十二神は、ギリシャ国内に点在する神殿などで祀られており、この地でずっと人々や社会に影響を与えてきたことが分かります。

そんなギリシャ神話はまた、西洋哲学の源流とさえ言えるソクラテスアリストテレスの思想に影響を与えただけでなく、ヨーロッパから西アジアまで広がったヘレニズム文化の一部となっていたことから、ヨーロッパにおける精神的な基盤の一要素となっただけでなく、遠くはアジアまで影響を与えた世界規模の伝承文化だと言えるのです。

ギリシャの文化や歴史5:アテネのアクロポリスはギリシャの歴史的重要建造物が集まる場所

アクロポリスはギリシア語で「高い都市」という意味で、ギリシア国内には「アクロポリス」と呼ばれる場所が数多くありますが、その中で最も有名なのがアテネのアクロポリスで、多くの観光客が訪れます。

アテネの市街を見渡す小高い場所にあり、石の壁に囲まれた要塞で、かつてはアテネを敵の攻撃から守っていました。

そして、そこにはアテネの偉大さを記念するための重要な建造物がいくつかあります。

例えば、パルテノン神殿はアテネの名前の由来である知恵と戦いの女神「アテナ(アテーナー)」の神殿として重要で、また、アテーナー・ニーケー神殿とエレクテイオン神殿は、それぞれアテナとポセイドン(に加えてアテネとエリクトニオス)に捧げられた重要な神殿として知られます。

そんなアテネのアクロポリスは、文化的・歴史的重要性から、1987年にユネスコの世界遺産に登録され、2007年にはヨーロッパの文化遺産リストに「卓越した遺産」として発表されました。

ただし、多くの建造物は歴史の中で風化したり破壊されてしまったため、修復が繰り返されており、最も有名なパルテノン神殿も、今日に至るまで大掛かりな修復工事が続けられています。

また、多くの歴史的遺物は大気汚染によるさらなるダメージを防ぐために、2007年に開館した新しいアクロポリス博物館に移されています。

ギリシャの文化や歴史6:オリンピックは古代ギリシアで始まった

現在開催されているオリンピックは近代オリンピックと言われる、1896年にギリシャのアテネで初開催されたものが直接の起源になりますが、この近代オリンピックのモデルとなったものは「古代オリンピック」と呼ばれる、紀元前776年にギリシア南西の海に近い都市国家オリンピアで始まったものでした。

この古代オリンピックの目的は最高神ゼウスを讃えることであり、4年ごとに開催され、競技にはランニング、レスリング、戦車競技、ボクシング、パンクラチオン、ペンタスロンが含まれ、勝利者には聖なるオリーブの木の枝から作られた冠と名誉が与えられました。

一方で、当時のオリンピックへは女性の参加は認められておらず、代わりに女性の祭典として、ゼウスの妻ヘーラーを讃える「ヘライア」が4年ごとに開かれ、若い女性による年齢別のランニング競技が行われました。

その後、古代オリンピックは、紀元後393年にローマ帝国によって禁止されたことで終わりを告げます。

そして、時を経て開催された近代オリンピックは、世界の国々がスポーツのために集まることで世界平和につながると考えたフランスの教育者によって、1896年に始められたのです。

ギリシャの文化や歴史7:美しい島々はギリシャを知る上で大切!

ギリシャはバルカン半島に位置する本土だけでなく、他にも多くの島からも構成されているわけですが、ギリシアの島々はこの国の歴史、文化、伝統に欠かすことができません。

エメラルド色の海、美しいビーチ、日没の風景、古風な村、暖かく親切な人々など、エーゲ海とイオニア海に散りばめられたどの島にも、その島独特の魅力があります。

例えば、キクラデス諸島のサントリーニ島は、真っ白な壁と青い鎧戸とドアを持つ家々で知られ、緑豊かなイオニア諸島のケファロニア島では、かつてベネチア共和国に統治されていた時代の影響を感じられます。

また他にも、ギリシア最大の島クレタ島は、古代ギリシャ最古の文明の一つ「ミノア文明」の発祥地として知られるなど、ギリシャの歴史や文化を知る上では無視出来ません。

ギリシャの文化や歴史8:新年に食べるヴァシロピタ

ギリシャでは「ヴァシロピタ」と呼ばれるケーキを新年に食べる習慣があります。

食べ物としては全く異なるものの、これは日本でいうところの新年に食べるお雑煮みたいな感覚だと言えるかもしれません。

ケーキの名前は聖バシリオス(アギオス・ヴァシリス)の名前の日が1月1日であることに由来し、ギリシャ人の家庭によっては家で焼いたり、お菓子屋さんなどで買ってくることもあります。

そして、ヴァシロピタはコインを一枚入れて焼かれているのが特徴で、このコインが自分に切り分けられた部分に入っているか期待しながら食べるのが最大の楽しみなのです。

ちなみに、切り分けたケーキを配る際は決められた順番があり、その場にいる年長者の人から年齢順に最年少の人まで順番に配られます。

そしてその場にいない家族と友人、家、教会、貧しい人々のためにも、ケーキは切り分けられます。

ギリシャの文化や歴史9:アテネ名物「エヴゾネス」はいかが?

アテネの中心部には、オスマン帝国から独立したギリシャ王国の憲法が発布された場所であり、その名前もずばり「憲法」を意味する有名な広場「シンタグマ」がありますが、そこには直立不動の衛兵「エヴゾネス」が立っています。

「エヴゾネス」はギリシア陸軍の中でもエリート兵士達で、「無名戦士の墓」と呼ばれる戦争で戦士した無名の兵士の墓の前で守備をしています。

兵士は1回につき1時間ほど、48時間で3回の任務に当たるわけですが、別の衛兵と交代するまで直立不動でいなければなりません。

そして一時間ごと、1日に合計24回、交代の儀式が行われます。

また、シンタグマ広場から道路を挟んだところには国会議事堂があり、ここでは日曜日にマーチングバンドの演奏付きの大規模な衛兵交代が見られます。

ギリシャの文化や歴史を感じるちょっとした行事としておすすめです。

ギリシャの文化や歴史10:誕生日よりも「名前の日」が盛大に祝われる

ギリシアでは、名前は通常、ギリシャ正教における守護聖人から採られます。

そして、ギリシャ正教会で聖人が祝われる日「聖名祝日」は、聖人を記憶する日として祝われるだけでなく、その聖人の名前を持つ人も「名前の日」として祝われ、ギリシャにおいては誕生日以上に大切にされるのです。

例えば、5月21日には「コンスタンティン」と「ヘレン」が祝われます。

あらゆるコンスタンティン(またはコスタ、グス、ディノといったバリエーション)とヘレン(エレン、エレーニ、レナ)の名前を持った人達も、家族や友人から「名前の日おめでとう」とお祝いされ、プレゼントをもらうこともあるのです。

逆に言うと、一般的な名前の起源となった聖人が祝われる日には、多くの人へお祝いのメッセージやプレゼントを送ることになるので忙しくなります。

ギリシャの文化や歴史11:邪悪な目

「邪悪な目」は、悪意のある視線によってかけられる呪いという概念で、怒り、妬み、嫉妬などがこの呪いを生み出すとギリシャでは考えられてきました。

そして、この邪悪な目によって呪われると、不運に見舞われたり、病気が降りかかるとされます。

そこで、この邪悪な目に対する魔除けのお守りとされるのが「マティ」と呼ばれる、「目」をモチーフにした青色を基調にしたお守りで、これを身につけることで、呪いを防いでくれると考えられているのです。

そのため、ギリシャ国内ではたまに、家やオフィス、ベビーベッドの上などに飾られているのを見かけることがあります。

ちなみに、邪悪な目の呪いの概念はギリシャだけでなく、周辺地域にも同じように存在し、例えばトルコでは、マティではなくナザール・ボンジュウと呼ばれています。

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ギリシャの文化と歴史|特徴的な11のポイント(宗教や言語など)!のまとめ

ギリシャの文化と歴史に関する11の特徴的なことがらを紹介してきました。

ギリシャにはとても豊かな文化と歴史が存在します。

そのため、今回紹介したポイントはほんの一部に過ぎませんが、ギリシャに関するちょっとした豆知識として知っておくと良いかと思います。

世界のことって面白いよね!By 世界雑学ノート!

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