ナイアガラの滝に関して観光情報も含めた豆知識を紹介していきます。実際に訪れる前に、その特徴やちょっとした歴史などを抑えておきましょう。
北アメリカ大陸における最大の観光名所の一つと言えば、アメリカとカナダの国境に位置するナイアガラの滝。
ナイアガラの滝が作り出す「大量の水が一気に落ちる光景」は、圧倒的な自然の力による脅威だけでなく、想像を絶するほどの自然美を人間に見せつけてくれます。
では、そんなナイアガラの滝について、どれほどのことを知っているでしょうか?
観光目的で訪れる人も含め、ナイアガラの滝へ興味がある人向けに、基礎データも含めて抑えておきたいちょっとした豆知識を紹介していきたいと思います。
ナイアガラの滝とは?
ナイアガラの滝とは、北アメリカ大陸北東部に位置する「ナイアガラ川」の滝のことで、アメリカ大陸においては最も有名な自然景観の一つ。
カナダのオンタリオ州とアメリカ合衆国のニューヨーク州との間にあり、二つの国を分ける国境となっています。
(地図で分かる通り滝はちょうど国境線の上に位置する)
そして、ナイアガラの滝自体は滝口に位置するゴート島によって、
- カナダ滝(ホースシュー・フォールズ)
- 落差56m、高さ53〜55m、幅675m(三日月状になった弧の部分の長さ)
- カナダ側に位置する
- アメリカ滝
- 落差58m、高さ21〜34m、幅330m
- アメリカ側に位置する
- ブライダルベール滝
- 落差55m、高さ24〜31m、幅15m
- アメリカ側のルナ島とゴーと島の間に位置する
※「落差」とは滝の上から川までの高さ。また「高さ」とは滝の上から積み上がった石までの距離で、川から落ちて積み上がった石の高さは場所によって異なる。
の3つに分けることが可能です。
そして、ナイアガラの滝の落差は最大でも58mとそこまで高くはないものの、全体の幅は1kmを超えることから流れる滝の水量は圧倒的で、平均して毎分110,000㎥の水が流れ落ち、多い時には最大で毎分168,000㎥もの水が流れ落ちると言われます。
加えて、堆積物がなく透明な水も、ナイアガラの滝の美しさを際立たせている特徴の一つです。
そんなナイアガラの滝は現在、大自然の景観としての重要性が認識され、オンタリオ州とニューヨーク州はそれぞれ、隣接した土地の権利を獲得して州立公園に変え、周辺環境を維持しています。
観光情報を含めてナイアガラの滝に関して知っておきたい10のこと
ナイアガラの滝に関する基本情報を紹介してきましたが、ここからは、ちょっとした観光情報を含む、ナイアガラの滝に関して知っておきたい10の知識を紹介していこうと思います。
ナイアガラの滝を見るにあたっておすすめな場所
観光目的でナイアガラの滝に訪れるなら、ベストスポットから滝の景観を観察したいはず。
そこで、カナダ側とアメリカ側それぞれ、以下の場所から滝を眺めてみるのが良いかと思います。
- カナダ側
- クイーンビクトリア公園
- アメリカ側
- プロスペクト・ポイント公園
また他にも、ナイアガラ渓谷には「レインボーブリッジ」というアーチ状の橋が掛かっており、カナダとアメリカ間を行き出来ると同時に、ナイアガラの滝を見る場所としてもおすすめです。
さらに、アメリカ側からゴート島へ橋を渡ってやってくることもあるかと思いますが、その場合はエレベーターで滝の足元まで降りていってみましょう。
流れ落ちる水のカーテンの背後にある「風の洞窟」を訪れることが出来る上、大迫力の滝をより近く感じられるはずです。
観光地として100年以上の歴史がある
昔はなかなかたどり着くのが大変だったナイアガラの滝も、1825年にエリー運河が開通して以降、そのアクセスは容易になり、19世紀後半に一帯は「世界のハネムーン・キャピタル」と言われて主に新婚夫婦向けの観光地として人気を集めました。
現在では毎年夏になると、1,200万人以上の人々が滝やその周辺地域を訪れます。
ナイアガラの滝を遊覧する観光船「霧の乙女号」に乗って滝つぼまで行ったり、ブライダルベール滝の端まで下るツアーは人気です。
ナイアガラの滝は北米最大の滝ではあるが世界最大ではない
毎分110,000㎥で流れ落ち、その全体の幅が1kmを超えるナイアガラの滝は北米最大の滝。
しかし、この「最大」という称号はあくまでも「北米」に限ったことである点はお忘れなく。
実は世界中を見渡すと、もっと大きな滝が存在します。
(世界最大イグアスの滝)
例えば、アフリカのジンバブエとザンビアの国境にあるヴィクトリアの滝は、幅が1708mで落差にいたっては最大で108m。
そして、南米のアルゼンチンとブラジルにまたがるイグアスの滝は、幅が2700mで落差は最大で82mにもなり、このイグアスの滝が正真正銘「世界最大の滝」となります。
ちなみに、ナイアガラの滝、ヴィクトリアの滝、イグアスの滝を3つ合わせて「世界三大瀑布(せかいさんだいばくふ)」と呼びます。
ナイアガラの滝下りをした最初の人は63歳の女性だった
ナイアガラの滝が観光地として世間一般に人気になってからこれまでの間、10人を超す人が、危険なナイアガラの滝下を実行に移しています。
その命知らずのチャレンジャーの中でも、最も最初にこの滝下を試みたのは、当時63歳だった未亡人アニー・エドソン・テイラーという高齢の女性でした。
貧しかったテイラーは1901年に滝を訪れ、カナダ滝を手製の樽に入って下り、富と名声を得ることを考え付いたのです。
アメリカ滝ではなくなぜカナダ滝を選んだかについては正確なことは分かりませんが、アメリカ滝の方は高さが低いものの、滝壺にはいくつもの巨大な岩が転がっていたことを考えると、彼女の選択は正しかったと言えるでしょう。
とにかく、アニー・エドソン・テイラーは、1901年10月24日に滝下を決行します。
テイラーが入った樽がナイアガラ川に流され、20分後に滝を下っていったのです。
このチャレンジは無事に成功してテイラーは生還したものの、望んだような富を手にすることなく、結局はナイアガラの滝下りを最初に試した人という記録だけが残りました。
五大湖は全てナイアガラの滝と繋がっている!
アメリカとカナダの国境付近にはナイアガラの滝以外にも、五大湖と呼ばれる5つの湖の存在を確認できます。
このうち4つは、ナイアガラの滝と同じように両国にまたがっているわけですが、他にもこの五大湖とナイアガラの滝は「水を共有している」という点で切っても切り離せないんです。
五大湖のうち、スペリオル湖、ヒューロン湖、ミシガン湖の3つははエリー湖に通じています。
そして、エリー湖の水はナイアガラの滝へと流れていきます。
最後に、ナイアガラの滝によって流れ落ちた水は、その後にオンタリオ湖に流れ込みます。
つまりまとめると、
- スペリオル湖、ヒューロン湖、ミシガン湖の水 → エリー湖に流れる
- エリー湖の水 → ナイアガラの滝に流れる
- ナイアガラの滝の水 → オンタリオ湖に流れる
という水の繋がり(流れ)を五大湖とナイアガラの滝の間に確認出来るのです。
地質学的にみると滝の歴史はまだ浅い
壮大で圧倒的な迫力を見せるナイアガラの滝ですが、およそ1万2千年前に五大湖を形成する要因となった氷河によってナイアガラの滝が生まれて、現在見られるような特徴を持つようになったと言われます。
そのため、実は誕生してからの歴史はまだまだ浅いのです。
氷河が溶けながらナイアガラ川に流れ込んで地形を横切り、そして滝を削りだしました。
ちなみに、驚くべきことに滝はまだ成熟期にはないと考えられ、これからさらなる年月を掛けて、ゆっくりと発展していく(上流側へ侵食していく)ようなのです。
滝の保護に関わったフレデリック・ロー・オルムステッド
フレデリック・ロー・オルムステッド(1822〜1903年)は、アメリカ生まれの造園や都市計画のプロとして知られ、生きていた当時は、ニューヨークにあるセントラルパークを始め、アメリカ国内にある数々の有名な公園や施設の建設に携わりました。
また他にも、
- イエローストーン国立公園 ※アメリカ最初の国立公園
- フェアモントパーク
- マウンテンビュー墓地
- コロラド州立大学
- シカゴ大学
などは、彼の業績のほんの一部に過ぎません。
そんなオルムステッドはまた、ナイアガラの滝の美しさに魅せられた一人でした。
滝の景観を守るため、滝周辺の環境保全目的でニューヨーク州に対し、一帯の私有地買収の申し立てを他の文化人や政治家と共に行い、ナイアガラ保護区の設置を実現した張本人なんです。
保護区が設置されてからは、カルバート・ヴォークスと共に、公園の景観設計に取りかかりました。
滝によって大量の電力が生み出されている
大量の水が流れるナイアガラの滝は現在、大量の電力を生み出す電力源という役割も持っています。
1881年に最初の水力発電所がナイアガラ川に建設され、1896年には40㎞以上離れたニューヨーク州のバッファロー市まで送電できるようになりました。
その水量の一部を人口的に水力発電施設に流すことで、現在はおよそ240万キロワットの発電量を誇り、これは全米で見ると4番目ぐらいに大きな生産量を誇る水力発電施設だと言われます。
フランス人宣教師によって歴史上初めて文書に記された
ナイアガラの滝が文書の中に記録として現れたのは、17世紀後半のことでした。
1604年、フランス人探検家のサミュエル・ド・シャンプランがこの地域の滝について記していますが、その説明はところどころ辻褄の合わない不正確なものであることから、「この地にある滝」に関して偶然耳にした地元民の話を、あくまでもまとめて想像したものだと考えられています。
実際にナイアガラの滝を目撃して記録に残されるまでは、それから70年以上経ってからのことでした。
フランス人宣教師ルイ・エヌパンが1678年にこの地へ派遣された際、ナイアガラの滝の実物を目にし、それを記録として記したのです。
その後、エヌパンがフランスへ帰国して出版した書物には、その時の圧倒的な感動が、ナイアガラの滝の描写と共に綴られています。
全米最古の州立公園「ナイアガラ・フォールズ州立公園」
ナイアガラの滝のアメリカ側には、「ナイアガラフォールズ市」という人口約5万の市が隣接しますが、そこには「ナイアガラ・フォールズ州立公園」が存在します。
アメリカ側のナイアガラの滝は現在、この公園内に位置する形となっており、ナイアガラの滝を観光で訪れるのであれば、通常、訪れることになるであろう場所です。
で、このナイアガラフォールズ州立公園ですが、実はアメリカ国内にある「州立公園」としては最も古い公園として有名で、ナイアガラの滝を保護するために1885年に建設されたんです。
ナイアガラの滝を見るだけでなく、博物館や映画館、その他レクリーエーション施設など、その他にも公園に訪れた観光客向けの設備が多く整っています。
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ナイアガラの滝の豆知識!観光情報や地図など知っておきたい情報のまとめ
ナイアガラの滝に関する豆知識を紹介してきました。
紹介した情報を事前に覚えておけば、実際に観光でナイアガラの滝を訪れた時に、さらに楽しめること間違いなしだと思います!