アンデス山脈|地図や動物など南米に在る世界最長の山脈に関する知識

アンデス山脈は南米を縦に走り、その長さによって世界最長の山脈として知られています。地図や動物など、アンデス山脈に関する知識を見ていきましょう。

世界にある山脈の中で有名なものと言えば、世界一の標高を誇るエベレストを始め、突出した標高を誇る山々が連なるヒマラヤ山脈と、もう一つはアンデス山脈でしょう。

アンデス山脈は、南アメリカ大陸を北から南に縦断し、南米にある7つの国をまたがる「世界山頂の山脈」という称号を持つ山脈です。

そして、アンデス山脈には他の地域では見かけることが難しい数々の固有種を含んだ、多くの動物が生息し、また、南米の文化や文明に影響を与えてきた自然の地形として存在してきました。

この記事では、そんなアンデス山脈について詳しく見ていきたいと思います。

まずは、アンデス山脈の基本的な知識を確認し、その後、抑えておきたい6つの豆知識を紹介していきます。

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アンデス山脈とは?

アンデス山脈とは、南アメリカ大陸の西海岸寄りに位置し、全長およそ7,000〜7,500kmに渡って南北に細長く連なる山地(山脈)のこと。

ベネズエラ、コロンビア、エクアドル、ペルー、ボリビア、チリ、そしてアルゼンチンの7カ国にまたがっており、その長さは山脈として世界最長

一方で、長さに対してその幅は比較的狭くなっており、山脈の東西を結ぶ幅は200kmから700kmほどです。

アンデス山脈の地図:西側を縦に延びる茶色の部分がアンデス, 出典:wikipedia

そして、アンデス山脈には西半球並びに南半球に限定した場合、最高峰レベルの山々の多くが位置しており、最も高い標高はアルゼンチンに位置するアコンカグア山の頂上で6,960.8m

これは、アジアを除く地域において世界最高峰です。

また、エクアドルにあるチンボラソ山は赤道直下に位置する山であり、山頂は標高6,268mしかないものの、地球の回転による赤道付近の膨らみにより、地上のどの地点よりも地球の中心(核)から離れた場所。

さらに、チリとアルゼンチンの北部国境にあり、アンデス山脈の一部に含まれる標高6,893mのオホス・デル・サラード山は、世界最高峰の火山として知られています。

アンデス山脈の地形や気候の特徴

縦に非常に長く延びるアンデス山脈は、3つの地域(北アンデス、中央アンデス、南アンデス)に分けられるのが特徴で、また、気候や地形、そして生息する動植物達は地域ごとに異なってきます。

おおよその北・中央・南が分かる地図, 出典:wikipedia

3つの地域それぞれの特徴を大まかに表すと以下のようになるでしょう。

  • 北アンデス
    • ベネズエラ、コロンビアに位置する
    • 多湿であり、熱帯林や雲霧林(うんむりん)などが存在する
  • 中央アンデス
    • エクアドル、ペルー、ボリビアにまたがる
    • 北アンデスに比べて季節変動があり、生息する動植物も乾季と雨季で異なる
  • 南アンデス
    • チリとアルゼンチンにまたがる
    • 乾燥した地域と湿度の高い2つの地域に分かれ、その環境の差は大きい

そして、アンデス山脈にはおおよそ、

  • 600種の哺乳類
  • 1,700種の鳥類
  • 600種の爬虫類
  • 400種の魚類、
  • 200種以上の両生類

を含む、3,700種ほどの動物が生息していると考えられ、「生物多様性の楽園」とさえ言えるのです。

アンデス山脈に生息する動物の例

アンデス山脈には非常に多くの種の動物が生息していますが、以下にアンデス山脈を代表する7種類の動物を紹介しておきましょう。

アンデス山脈の動物① アルパカ

アルパカはラクダ科に属する家畜化された哺乳類で、アンデス山脈を撮影した映像や画像によく登場するために、その姿を見たことがある人は多そうです。

南アメリカに元々生息しており、ペルー、ボリビア、エクアドル、チリ北部の標高の高い高原において、群れで飼育されているのが一般的。

草食動物であり、干し草や牧草を常食とします。

アンデス山脈の動物② メガネグマ(アンデスグマ)

メガネグマは、南アメリカ唯一のクマの在来種で、ベネズエラ、コロンビア、エクアドル、ボリビア、ペルーを含むアンデス山脈の森林地帯に生息しています。

体長は120〜200cmほどで黒い毛並みをしており、高い視力を持ち、目の周りにメガネのように黄色または白色の斑紋があるのが特徴です。

アンデス山脈の動物③ アンデスコンドル

ベネズエラやコロンビアの山間部においては少数となっているものの、基本的にはアンデス山脈全域で確認出来る大型の鳥。

草原または標高5000m弱の高山地帯に生息し、大型動物の死体を漁って食べるため、空中から死肉が目につきやすい開けた生息環境を好みます。

アンデス山脈の動物④ アンデスヤマネコ

(出典:wikipedia

標高が比較的高い中央アンデスの山間部に生息するネコ科の動物で、その体長は60cm前後。

最近では数を減らしており、アンデス山脈においてはとても希少な動物の一種となってり、野生のアンデスヤマネコの合計は2,500匹を下回るかもしれないと言われています。

アンデス山脈の動物⑤ チチカカミズガエル

(出典:pinterest

ペルー南部からボリビア西部に広がるチチカカ湖の固有種であり、絶滅寸前であるとされている巨大なカエル。

多く生息していた時期もあったものの、狩猟目的での捕獲、大気汚染、湖に放水されたマスによる捕食などからその数は減少しています。

アンデス山脈の動物⑥ アンデスガン

大きめの体つきをしたカモ科に分類される鳥。

黒と白の混ざった色の羽を持ち、くちばしはピンク色、そして足はオレンジ色となっています。

ペルー、ボリビア、アルゼンチン、そしてチリにおけるアンデス山脈において、標高3000mを超えたあたりに生息しています。

アンデス山脈の動物⑦ チンチラ

最近はペットとしても飼われることが多くなったげっ歯類の動物で、中央アンデスそして南アンデスの一部において生息が確認されています。

ただし、自然環境の破壊や毛皮を目的とした乱獲が進んだ結果、アンデスの自然に生息するチンチラは大幅に数を減らしていると言われます。

世界最長の山脈アンデスにまつわる6つの興味深い話

南米を北から南に縦断する世界最長の山脈「アンデス」について見てきましたが、このアンデスの存在は、そこに住む生き物達の多様性を広げてきただけでなく、土着の文化や歴史、多様な料理など、数々の側面に対して影響を与えてきました。

そのため、南米とアンデス山脈を切り離して考えることは出来ず、また、アンデスが持つ息を飲むほどに美しい光景は、この地をとても魅力的なものにしています。

ここからは、そんなアンデス山脈をもっと知るためにも、6つの興味深い話を紹介していこうと思います。

アンデス山脈には標高の高い都市が数多くある

アンデス山脈は、5000万年以上前に、南アメリカと太平洋の地殻が衝突したことで出来ました。

大地は盛り上がり、標高が高くなっていったわけですが、この土地の先住民達の一部は、そんな標高の高いアンデス山脈の一部に住み着きました。

その結果、現在のアンデスには世界的に見てとても標高の高い町が複数存在します。

(標高5100mにあるラ・リンコナダ)

例として、以下のような町を挙げることが出来るでしょう。

  • ラ・リンコナダ(標高:5100m
    • ペルーにあり世界で最も高所にある居住地
  • エル・アルト(標高:4159m
    • ボリビアにある都市の一つ
  • ポトシ(標高:4090m
    • ボリビア南部にある都市
  • フリアカ(標高:3825m
    • チチカカ湖近くにあるペルーの都市
  • ラパス(標高:3593m
    • ボリビアの都市で事実上の首都だと言われる
  • クスコ(標高:3400m
    • インカ帝国時代には首都として機能していたペルーの都市

アンデスの山の多くは火山性

アンデス山脈には大小様々な山が存在しますが、そこには多くの火山も含まれます。

例えば、最初の方で紹介した標高6,893mのオホス・デル・サラード山は、世界で最も高い活火山として有名。

一方で、エクアドル中央部、エクアドルの首都からわずか75kmほどの場所には、コトパクシ山という標高5,897mの活火山があり、アンデス山脈にある火山としては最もアクセスしやすいと言えます。

このコトパクシの5000m付近には氷河があり、仮にこのコトパクシが噴火した場合、溶岩や火山灰ではなく、大量に存在する氷河が溶けることによる被害の方が大きいと言われています。

海に点在する島もアンデス山脈の一部

アンデス山脈は、南米大陸の北側から南側まで走っているわけですが、実は海の中にまで繋がっていたりします

そのため、アンデス山脈の一部は島となって水面に顔を出しており、北に延びたアンデス山脈の一部として、カリブ海のアルバ島、キュラソー島、そしてボネール島などが挙げられます。

一方で、南側のパタゴニア付近にも、アンデス山脈の一部である島が点在しています。

ちなみに、アンデス山脈の北側は北アメリカまで、そして南側は南極にまで繋がり、南極にある山々は、アンデス山脈の続きに当たる地形と考えられているんです。

アンデス山脈は世界最大の鉱物貯蔵量を誇る

アンデス山脈は、世界最大の鉱物資源を貯蔵する場所であるとも言われます。

例えば、世界最大の金鉱山はペルーのヤナコチャにある鉱山。また、チリとペルーの銅の年間発掘量はおよそ世界の半分にも上るとされます。

さらに、未だ発見されていない銅はアンデス山脈には7億5000万トン、金は1万3000トンもあるとされ、未発掘の銀は25万トン、レアメタルの一つであるモリブデンは2000万トンもあると推定されています。

アンデスは世界の食料事情を大きく変えてきた

現在では世界中で一般的に食べられているジャガイモトマト。実は、アンデスが発祥だというのを知っていましたか?

この二つは、ヨーロッパ人がこの地へやってきた後、世界中に植民地を築いていた当時のヨーロッパ諸国へ持ち帰られ、そこで栽培されて世界各国に広まっていきました。

そのため、アンデス山脈が無ければ、世界の食糧事情は大きく変わっていた可能性が考えられるのです。

また、コカの葉もアンデス山脈の西の斜面で栽培されていたのが発祥。

派生的に生まれたコカインは、世界中で様々な問題を引き起こしていますが、コカの栽培はヨーロッパ人が南アメリカに到着する遥か前から行われており、アンデスの高山部では、高山病の緩和に効果があるとしてコカ茶がよく飲まれています

有名な観光地が多く点在する

縦に非常に長いアンデス山脈には、世界的に有名な観光地が多く存在します。

例えば、アンデス山脈のペルー南部とボリビア西部にまたがる淡水湖「チチカカ湖」は、航海可能な最高地点にある湖として有名。

また、ボリビアのウユニ塩湖は標高3700mにあり、鏡のように空を反射させる白銀の景色がとても有名な観光地です。

(マチュピチュ遺跡)

さらに自然だけでなく、マチュピチュ遺跡のような文化資源も豊富で、これらの観光地全てを含めると、毎年非常に多くの観光客がアンデス山脈を訪れていることが分かります。

ちなみに、そんなアンデス山脈だからこそ、旅行者は多くのアクティビティを楽しめることが出来ます。

一例を挙げると、

  • クライミング
  • ハイキング
  • ラフティング
  • サイクリング
  • 乗馬
  • スキー

など。

また他にも星を観察したりと、冒険好きにはたまらない場所かもしれません。

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アンデス山脈|地図や動物など南米に在る世界最長の山脈に関する知識のまとめ

南米を縦に走る世界最長の山脈「アンデス山脈」について見てきました。

アンデス山脈は南米の自然や文化においては欠かせない場所で、そこには多種多様な動物が生息し、また、その景観は多くの人を魅了してきました。

南米へ旅行に行く際は、このアンデス山脈にある観光地は必須で訪れておきましょう。

みたい場所でしょう。

世界のことって面白いよね!By 世界雑学ノート!

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