大天使ラファエルとはどのような天使なのでしょうか?その意味することから象徴する色、そして大天使ラファエルが担う役割を確認していきましょう。
数多くいる天使達の中でも、非常に強力で特別な力を有するとされる天使達は「大天使」と呼ばれ、その中でもさらに中心的な存在として三大天使がいます。
この三大天使達とは、大天使ミカエルと大天使ガブリエル、そして大天使ラファエルです。
つまり、大天使ラファエルとは、ミカエルとガブリエルに次いで、天使達の中では最も重要で中心的な天使なのです。
一方で、大天使ラファエルの起源や意味とは何なのでしょうか?また、大天使ファラエルを象徴する色や、その役割とはどういったものなのでしょうか?
大天使ラファエルについて詳しく見ていきます。
大天使ラファエルの起源や基本的な意味を確認しよう
大天使ラファエルが最初に登場したのは、旧約聖書外典であり正典からは外されることもある「トビト記」においてでした(※トビト記はユダヤ教では外典として扱い、カトリック教会と正教会では旧約聖書続編または第二正典となるなど、外典なのか正典なのかは扱いが分かれる)に。
トビト記の中で、善行を積んでいた登場人物「トビト」の失明を癒して彼を救うため、神によって差し向けられたのがラファエルです。
そして、トビトを救った後、
わたしは、栄光に輝く主の御前に仕えている七人の天使の一人、ラファエルである。
(引用:日本聖書協会)
と名乗ったことで、ラファエルという天使の存在が知られるようになりました。
また、自らの口から名前を名乗った天使は大天使ラファエルだけであり、その点からも、非常に重要な天使として位置付けられているのが分かります。
「ラファエル」の意味
大天使ラファエル(Raphael)は、ヘブライ語の”rophe”を起源にしており、この言葉の意味は「治癒」。
このことからも分かる通り、ラファエルは身体的そして精神的な治癒の役割を司るとされており、その名前は「神は癒される」や「神は癒す」を意味します。
つまり、大天使ラファエルは、
- 癒しの天使
- 心と体の調和と平和を手助けする力を持っている大天使
であり、ラファエルが人々の心、精神、体を癒すよう努めていることにより、人は平穏と健康を満喫出来ると言えるのです。
そして、大天使ラファエルは、傷ついた個人を治癒したり、治癒を施す人々を助ける力を持っているだけでなく、旅人が安全に旅を行えるよう、上空から見守っているとも言われます。
ちなみに、ラファエルの癒しの対象となるのは人間だけでなく、そこには動物も含まれます。
そのため、動物が怪我した場合の対応に当たる獣医師や動物保護団体も、大天使ラファエルの支援を受けているのです。
大天使ラファエルの色は「エメラルドグリーン」
ラファエルは癒しの天使であることからも、この大天使を象徴する色は「エメラルドグリーン」だと言われます。
そのため、大天使ラファエルの存在を信じる人達の中には、
人が自らの周辺空間にエメラルドグリーンの光を見た時、その光はラファエルが出す天使の光線であり、ラファエルがその人を訪れている可能性がある。
と主張する人もいます。
実際、新緑のエメラルドグリーンは美しい自然を象徴する色です。
さらに、エメラルドグリーンは心身をリフレッシュしてストレスを緩和させるなど、リラクゼーション目的で用いられたり、健康の回復を願う病院のカーテンに使われていたりします。
このような効果や用途を考えると、エメラルドグリーンが癒しの天使ラファエルを象徴する色である点は、非常に理解しやすいかと思います。
ちなみに、ラファエルは自らの存在を示すことに熱心な性格を持っているため、求めに応じてラファエルがやってきた場合、その助けを求めた人の周りにはっきりと、エメラルドグリーンの光の閃光や輝きが見えると言われます。
大天使ラファエルの役割
役割① アイデアや方法を提案して治癒を促す
大天使ラファエルは、怪我や病気などで苦しんでいる人に対して直接に、またはその怪我人や病人を助ける人を介して間接的に、方法やアイデアを提案して治癒を促す役割を持っています。
これは、特に「トビト記」の中で主人公トビトの失明を治したことからも明確でしょう。
このトビト記の中でラファエルは、
魚を切り裂き、胆のうと心臓と肝臓を取り出して取って置きなさい。ほかのところは捨ててしまいなさい。魚の胆のう、心臓、肝臓は薬として役に立つからです。
(中略)
さあ、魚の胆のうを取り出しなさい
(引用:日本聖書協会)
と、トビトの息子トビアに伝え、トビアが父トビトの両目にその胆のうを塗るとそれが薬となり、失明の原因となっていた白い膜を剥がすことに成功。トビトは目が見えるようになったという話が残っているのです。
また、「エノク書」の40章には、
人間の子どものあらゆる病気やケガを治す4人の御座の天使の1人
(引用:幻想世界神話辞典)
として、ラファエルが描かれています。
このようなことから大天使ラファエルは、治癒に関する新鮮な情報や新しいアイデアをもたらし、対象となる人を、苦しめている病気や怪我から救う役割を担っていることは明白でしょう。
また、対象となる人の不健康の根本原因が「憎悪」といった精神面に依る場合も、大天使ラファエルは何らかの方法を用いて教えてくれると考えられます。
医療の専門家を導く
ちなみに、大天使ラファエルは医療関係者を導くといった役割も持ちます。
これによって、対象となる人の治療と回復を間接的に促しているのです。
例えば、病気に苦しむ人を診察する医師に対して、適切で正しい判断が出来るようにしたり、手術を行っている医者が正常な意識を保っていられるように保護するといった具合です。
そして、医療関係者が患者の対応に自信を持てない場合、その人へアイデアや閃きを与えたり、別の医療関係者の手助けが得られるように導くといった役割も担います。
さらに、この間接的な支援は医療関係者のみに限らず、怪我や病気で苦しむ人を支えている最愛の人に対するケアにまで及ぶとされます。
役割② 自然に対する認識を改善して自然保護を促す
癒しの天使であるラファエルはまた、自然保護の点でも役割を担っているとされます。
大天使ラファエルは、人間が自分自身や身近な人々にだけでなく、もっと広い地球全体の環境に対しても治癒を促進するように仕向けることに熱心なのです。
そのため例えば、人が周囲の自然の美しさや素晴らしさに気付き、その自然を大切に扱いたい衝動に駆られる時、それは大天使ラファエルによって引き起こされた可能性があると考えられます。
そして、ファラエルの存在を感じ、ラファエルの庇護を受けたいのであれば、
- 自然の中に捨てられたゴミを拾い集める
- 粗大ゴミが自然の中に廃棄されないための活動をする
- その他、自然環境に対して好ましい行いを続ける
など、美しい自然環境を次世代に残し、世界をより良い場所にするための役割を担っていくことが大切だと言えるでしょう。
役割③ 壊れた人間関係の修復を促す
治癒や回復を促す「癒しの天使」の力は、人間関係の修復にまで及ぶとされます。
つまり、大天使ラファエルは体調不良同様に、人間関係の中で生じた亀裂や、感情的または精神的な問題も癒してくれるという意味なのです。
これは、人間関係に由来していると言っても、そこで生じた感情的な問題は精神を弱め、最終的には身体的な病気を引き起こしてしまうため、癒しの天使であるラファエルには看過できないことだからです。
大天使ラファエルは、人間関係の悩みを抱える人に勇気を与え、自らの気持ちを相手にしっかりと伝えるように導いたり、周囲の人々に対して本当の感情を表現できるように導いたりすると言われます。
役割④ 旅人を保護する
一方で大天使ラファエルは、旅人が安全に旅を行えるように上空から見守る役割も持つと言われます。
なぜ、「癒しの天使」は旅人を守る役割を持つのでしょうか?
これに関しては、トビト記の中でトビトがラファエルに、
わたしの息子トビアはメディアに行こうとしています。一緒に行って道案内をしていただけませんか。兄弟よ、報酬は差し上げます。
(引用:日本聖書協会)
と訪ねた際、ラファエルは、
一緒に行きましょう。わたしはどの街道もよく知っています。メディアに行き、その地方の平野を歩き回りました。山岳地帯とその辺りの街道もよく知っています
(引用:日本聖書協会)
と答え、トビトの息子トビアの旅へ付き添って、旅の中で危険が降りかからないように彼を守ったことから分かります。
役割⑤ イスラーフィールとしては音楽を司る
旧約聖書を聖典とするユダヤ教やキリスト教と同じ、アブラハムの宗教に含まれるイスラム教においてもラファエルは、「イスラーフィール」という名前で信じられています。
(出典:wikipedia)
ただし、イスラム教におけるイスラーフィールは最後の審判の裁きを知らせるラッパを吹くとされ、ラッパを持った姿で描かれると同時に、音楽を司る天使だとされます。
そのため、例えば、天国において神を讃える歌を1000以上の異なる言葉で歌ったり、音楽に携わる者をサポートしたりといった役割を持つと言われます。
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大天使ラファエルとは?意味・色・役割を確認してみようのまとめ
三大天使に含まれる非常に重要な天使であるラファエルについて見てきました。
ラファエルの意味は「神は癒す」で、癒しを象徴するエメラルドグリーンがラファエルに対応する色。
そして、癒しとは異なる役割も一部抱えるものの、基本的な役割としては治癒や回復を促すことであるのが分かります。