オーストラリア英語の特徴や訛りと歴史|発音や綴りなど抑えておくべきこと

オーストラリア英語の特徴や訛り、そして歴史を紹介していきます。英国や米国の英語とは少し違う、独特なオーストラリア英語について詳しくみていきましょう。

オーストラリアは、英語圏の留学先や移住先として非常に人気の高い国。

そのため、英語を勉強したい人や、英語を使って生活したいという人の中には、オーストラリアへ行くことを考えている人もいるかと思います。

一方で、同じ英語圏の国と言っても、オーストラリアの英語はアメリカやイギリスの英語と比べると異なる点も多く、独特な特徴を持っています。

そこで、オーストラリアの英語が気になるという人向けに、オーストラリア英語の特徴や、現在の姿になった歴史的な経緯の仮説を紹介していこうと思います。

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オーストラリア英語の特徴ってなんだろう?

オーストラリア英語の特徴① 独特な「指小辞」を良く見かける

オーストラリア英語の特徴の一つとして目立つのが、文法的に言えば「指小辞(ししょうじ)」という物に近い単語の変化を良く見かけるという点。

指小辞とは、「愛情、愛着、親近感など」のニュアンスを込めたりする用法のことで、オーストラリア英語の中では例えば、

ノートテキスト

  • afternoon(昼)という言葉の代わりに
    • → 「arvo」という単語が使われることが良くある

といった感じ。

単語の最初の数文字だけを残して短縮したり、また、残した最初の数文字に加えて後半にa, o, ieやyといった音をつなげて作るものです。

How to speak Australian : Abbreviate Everything

この指小辞の例を他にも挙げれば、

  • budgerigar(セキセイインコ)
    • budgie
  • dog(犬)
    • doggy
  • mosquito(蚊)
    • mossi
  • thank you (ありがとう)
    • ta
  • Australian(オーストラリア人)
    • Aussie
  • barbecue(バーベキュー)
    • barbie

などがあり、非常に一般的に用いられます。

ちなみに、「オーストリア人がなぜ指小辞を使うことを好むのか?」については、諸説ありますが、次のような説は、オーストラリア人の性格を表していたり、オーストラリアの文化を表していると言えるかもしれないので紹介しておきます。

  1. 仮説① 指小辞はスラングと同じで「形式ばった」表現ではないから
    1. 平等主義を愛するオーストリア人はインフォーマルな言葉を使うことが好き
    2. 指小辞を好むオーストリア人は、そうすることで「見栄を張らない」話しぶりになるのを望んでいるのかもしれない
    3. 通常の言葉を使うよりも、指小辞を使う方がよりカジュアルで、素朴で、フレンドリーに聞こえる
  2. 仮説② より柔らかい響きのアボリジニの言語に近づけようとしているから
    1. 歴史の中でアボリジニの言葉を文章中に入れる機会が増えたのではないか
      • 実際、今でもオーストラリアの田舎では地名に使われていることが多い
    2. もしかしたらオーストラリアの独特な指小辞は、文章の中にアボリジニの言葉を一緒に使っていく際に発明された(派生した)のかもしれない
    3. その後、少しずつ全国民の会話の中に取り入れられるようになり、アボリジニの言葉が使われない時でも、スラングとなって会話に残ったのではないだろうか?

実際のところは謎に包まれたままですが、オーストラリア人の多くは英語を喋る際に、独特の指小辞を好むのは確かです。

オーストラリア英語の特徴② 綴り(スペリング)

オーストラリア英語のスペイングに関して言えば、オーストラリア英単語は「イギリスのスペリングが基本になっているけど、例外として意識的にアメリカのスペリングが用いられていることもある」と言えば的確かも。

例として、通常は次のようにイギリスのスペリングが採用されます。

  • organization(組織)
    • organisation
  • color(色)
    • colour
  • labor(労働)
    • labour
  • harbor(港)
    • harbour

ただし、例外として、

  • Australian Labor Party(オーストラリア労働党)
  • Victor Harbor(ヴィクターハーバー)

など、米国のスペリングを「意図的に」用いる場合もあります。

これは、「Australian Labor Party」は20世紀初頭、アメリカの自由主義的なイデオロギーに賛同することを表明するために、そして、イギリスの「British Labour Party」との混乱を避けるために、党名にはアメリカ風の「Labor」を用いることにしたのが理由。

また、Victor Harborについては、他のHarbourが付いた地名と異なり「サウスオーストラリア州に属するユニークな地域である」という意味合いを込めて、あえてアメリカ風の「Harbor」を用いたと言われます。

オーストラリア英語の特徴③ 英国や米国とも違う英語の発音(訛り)

オーストリア人は英語の発音が独特」だとか「オーストラリア英語は訛りがある」ということを、オーストラリア英語について少し調べたことがある人なら耳にしたことがあるはず。

また、英語の発祥地であるイギリスの「標準発音(※標準と言っても全ての人が使っているわけではない)」と言われるクイーンズイングリッシュ(BBCイングリッシュ)に誇りを持つイギリス人の中では、かつて、オーストラリア人の英語発音はバカにされていた歴史があります。

Australian English

では、そんなオーストラリア英語の発音に関する際立った特徴とはどんなものなのでしょうか?

これに関しては、有名な(そして非常に顕著な)次のポイントを挙げることが出来ます。

  • a(エイ)の発音が「」または「アイ」になる

そのため例えば、

  • mate(友達)
    • マイトゥ
  • today(今日)
    • トゥダイ
  • data(データ)
    • ダータ

といった感じで発音します。

そして、この特徴的な発音によって、

I’m going to hospital today.(私は今日、病院へ行きます)

をオージー発音にすると、

アイム・ゴーイング・トゥ・ホスピタル・トゥダイ

となり、これを英語圏やアメリカの英語に慣れた人が聞くと、

I’m going to hospital to die.(私は病院へ死にに行きます)

となっちゃうオージージョークも存在します。

「R」発音に関する話へ物申しておきたいこと

オーストリアの英語では、「R」を発音する時、「下を巻かないで発音すると」いった情報もありますが、これは半分事実で半分嘘なので注意。

オージーが「R」を発音する時の舌の使い方は、

  • 単語の最初や途中に「R」が来る場合
    • 舌を巻く(例:Threeの時の「r」は巻く)
  • 単語の最後に「R」または「R+母音」が来る場合
    • 舌を伸ばしたままにする傾向がある(例:Miranda Kerr → ミランダ・カー)

となります。

また、巻き舌にしないから「カタカナ英語に聞こえる」といった話もありますが、これも現地に長く滞在してそんなこと一回も思ったことはありません

例えば、上のミランダ・カーの場合、決してカタカナの「カー」ではなく、舌の動きを最小限にとどめて発音したRの「カー」なので、実際にはかなり違います。

そうそう、オージーで英語では、他の英語と比べて舌の動きは最小限にとどめ、鼻濁音(鼻に抜けて発音される濁音)が多いといった特徴もあるので、これが、上記のR発音に繋がっているんだと思います。

オーストラリア英語の発音に関するいくつかの豆知識

ちなみに、オーストラリア英語の発音に関しては、次の2点も豆知識として覚えておくのがおすすすめです。

社会的な階級による発音の違いはほとんどない

オーストラリアは多様な人が住む国なので、オーストリア人の英語発音を一括りにして語ることは難しいですが、国内における発音の違いに注目すると、オーストラリアの独自性を表す特徴の一つが明らかになります。

それが、オーストラリア国内では社会的な階級による発音の違いが無いっていう点。

イギリスでは社会的な階層によって喋り方に大きな違いが見られ、また、アメリカでは東部や西部、南部といった地域によってアクセントが大きく異なります。

一方、オーストラリアでは性別」や「信条の違い」によって喋り方が変わってくることがあるのが特徴。

同じ地域で育ち、同じ学校に通い、同じ職に就いた二人が全く異なった喋り方をするといったことが起こり得たり、一緒に育った兄妹が性別の違いによって、全然違うアクセントで喋るなんてこともあります。

ちなみに、自らの経験を話すと、オーストラリア国立大学大学院の国際情勢学の修士課程に在籍していた際、教授の一人に、同分野では世界的に有名でNATO本部にも顔を出したりと、オーストラリア国内ではかなりハイクラスな人がいました。

しかし!

その教授の英語は、シドニーのバスの運転手の英語とほとんど変わらない発音だったんです。

彼の発音を聞いた時、最初はかなりびっくりしましたよ。

3つの発音の種類

さらに、オーストラリアの英語を大別すると、次の3つの種類の発音があると一般的に考えられています。

The 3 Australian Accents: General, Cultivated & Broad | Australian Pronunciation
  • カルティベイテッド・アクセント(Cultivated Accent)
    • 人口の約10%が喋ると言われ、そのほとんどは女性
    • イギリスの上流階級を真似している感じだけど、やはりオーストラリアの独特な「a」の発音が残るなどの違いは残る
    • なんとなくセクシーに聞こえる
  • ジェネラル・アクセント(General Accent)※ミドルアクセントとも言われる
    • 人口の約8割がこのような喋り方をする
    • これぞオージーといった感じで比較的聞きやすい
  • ブロード・アクセント(Broad Accent)
    • 人口の約10%が喋ると言われ、そのほとんどは男性(上で触れたバスドライバーや大学の教授はこの喋り方をしていた)
    • 都市部から離れたローカルなおっさんなどはこの喋り方をする人が多い
    • 慣れないと最初は聞きにくい

このような違いは、「男性は気さくで見栄を張らずにフレンドリーであるべきだ」という考えや、逆に、「女性は洗練されていて丁寧であるべきだ」といった考えに影響を受けているのかもしれません。

ところで、「オーストラリアの労働者階級の男性が元イングランド代表のベッカムのような訛りで英語を話す」とか、「オーストラリアの北部と南部で発音が違う」という話もありますが、あれは事実ではないと思います。

④ これだけは抑えておくべきオージー英語のフレーズ

オーストラリア英語の中でも特徴的で日常的に良く表現として、次のようなフレーズも知っておきましょう。

  • G’day mate! (Good day, mate!)
    • Helloのくだけた感じ
    • 「こんにちは」の意味
  • No worries
    • No problem、Don’t worry、you’re welcomeなどをまとめた感じ
    • 「気にしないで」とか「OK!」という意味
  • Bloody
    • Veryのくだけた感じ
    • 「とても」とは「ものすごく」といった意味
  • 〜ei / 〜ey / 〜eh ?
    • 文章の最後に付ける表現で、主に男性が使う傾向にある
    • 決して多くの人が使うわけではないが、耳にすることがある
    • 例)It’s bloody cold, ei (ey/eh)?
      • It’s bloody cold, isn’t it?の「isn’t it」の部分が変化したもの
    • 「〜じゃない?」とか「〜だよね?」といったことを軽く聞きたい(同意を得たい)場合に用いる

オーストラリア英語の歴史:なぜ今のオージー英語になったのか?

オーストラリア英語の特徴を見てきましたが、ここからは、その独特なオーストラリアが形成されていった歴史的な流れの仮説について簡単に紹介していこうと思います。

オーストラリア英語の始まり

1788年にこの地へ、イギリス人の入植者が到来したのがオーストラリア英語の始まり

オーストラリアを目指した英国の船団は11隻の船から成っており、そこには英国全土様々な地域から、様々な英語方言を話す人達が乗っていました

つまり、入植者たちは異なる単語を使っていたり、異なる発音をしていたため、互いに意思疎通を図るのに困難な状況が生まれていたようなのです。

(出典:timetoast.com

そこで、イギリスの入植者達が行ったのが、方言のばらつきを標準化すること。

その結果、オーストラリアがイギリスの植民地となってからおよそ50年後には、オーストラリアに入植してきた「オーストラリア人」達は「地球上で最も純粋な英語」を話していたとも言われます。

そしてこの英語が、上でも触れた8割のオーストラリア人が喋る「ジェネラル・アクセント」の基盤となっていったのだと考えられます。

発音を矯正する動きが起こる

最初の植民船団から約100年以降、1880年代から1890年代にオーストラリア国内で英語の発音を矯正していくような動きが起こりました。

そしてこのことが、現在のオーストラリア英語に含まれる3種類のアクセントのうち、ジェネラル・アクセントを除く2つを発生させたようなのです。

その際に起こった動きとは、

  • 標準的な「南部英語 ※容認発音とも言う(Received Pronunciation, RP)」を正しいとした

というもの。

容認発音とは、イギリス英語の伝統的な事実上の標準発音であり、

世間にはイングランド南部の教養のある階層の発音、公共放送・BBCのアナウンサーの発音(BBC English)、王族の発音としても知られ、外国人が学習するのはこの発音

(引用:wikipedia

のこと。

また、クイーンズイングリッシュ、BBCイングリッシュ、オックスブリッジイングリッシュなどはこの発音の範疇に属します。

当時のオーストラリアでは、この「容認発音」が正しく、他の発音は間違っているといった流れが生まれたってわけ。

その結果生まれたのが、クイーンズイングリッシュやBBCイングリッシュに比較的近いと言われるカルティベイテッド・アクセント

一方で、この英語発音の矯正の流れに対するような形で現れたのが、ブロード・アクセントだと考えられるのではないでしょうか?

実際、オーストラリアの作家でありジャーナリストなどとしても活躍する「ケル・リチャード」は、

  • 発音矯正の動きが起こる前は、まだ「カルティベイテッド・アクセント」と「ブロード・アクセント」は存在していなかった。

と主張しています(参照:ABC NEWS

さらにアボリジニの単語や他の移民の影響も加わった

このようにオーストラリア英語の発音が分岐(または誕生)していく過程ではさらに、

  • オーストラリアの先住民であるアボリジニの言語が影響を与えた
    • シャープで形式ばって聞こえる英語の単語が、より柔らかい響きのアボリジニの単語に近づいた
    • そのような音を出すために、独特な発音が含まれるようになった
  • 植民地時代初期から続く人々の移住も影響を与えた
    • ゴールドラッシュを求めて押し寄せた移民達
    • 20世紀後半に増えた東ヨーロッパからの移民達

といったことが起こり、イギリスやアメリカとも異なる独特なオーストラリア英語が誕生したのではないかと考えられるのです。

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オーストラリアに行く予定があったり、オーストラリアで英語を学ぼうと考えている人は参考にしてみてください。

世界のことって面白いよね!By 世界雑学ノート!

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