スコットランドの城を紹介していきます。有名なエディンバラ城はもちろんのこと、他にもアイリーンドナン城からダンロビン城まで、押さえておきたい15のお城をみていきましょう。
イギリスには非常にドラマチックで華やかな長い歴史があり、国内には多くの城が点在していますが、イギリスを構成するスコットランドは中でも特別かもしれません。
というのも、古くからの城が多く、まるでファンタジーに出てくるような姿で残っており、その姿はまるで、訪れた人を物語へ誘うかのような佇まいを持っているからです。
実際、その美しさと特別な雰囲気によって、スコットランドの城の中には度々映画やテレビ番組の舞台として使用されてきたものもあります。
この記事では、そんなスコットランドの城の中から、押さえておくべき15の城をピックアップして一覧として紹介していこうと思います。
- スコットランドの城1:アイリーン・ドナン城
- スコットランドの城2:バルモラル城
- スコットランドの城3:フロアーズ城
- スコットランドの城4:エディンバラ城
- スコットランドの城5:スターリング城
- スコットランドの城6:グラームス城
- スコットランドの城7:クレイギーヴァー城
- スコットランドの城8:ファイビー城
- スコットランドの城9:デュアート城
- スコットランドの城10:カルツェーン城(カリーン城)
- スコットランドの城11:フレイザー城
- スコットランドの城12:インヴァレリー城
- スコットランドの城13:サールズテーン城
- スコットランドの城14:ストーカー城
- スコットランドの城15:ダンロビン城
- 合わせて読みたい世界雑学記事
- スコットランドの城|アイリーンドナン城からダンロビン城までのまとめ
スコットランドの城1:アイリーン・ドナン城
アイリーン・ドナン城は、スコットランドで有名な城の1つ。
この城はアルシュ、ドゥイッヒ、ロングの三つの入り江に囲まれた、スコットランド西海岸の小さな島に建っていて、周りには絵のような高原地帯の風景が広がっています。
この城は13世紀に建てられ、18世紀に起きた四国同盟戦争(注)中に一度破壊され、20世紀に再建されました。
また、スコットランドにはかつて、氏族と呼ばれる人々の集団が重要な役割を持っていましたが、アイリーン・ドナン城は、その氏族の中でもマッケンジー氏族とマクレー氏族の本拠地だったと言われます。
ちなみに、なぜ、この城が有名になっているかというと、「ハイランダー」や「007-ワールド・イズ・ノット・イナフ-」などのヒット映画にこの城は度々登場してきたからで、今日でも、写真や本、その他の映像媒体で、一番絵になるスコットランドの城の1つとして頻繁に掲載されています。
※四国同盟戦争とは、1718年から1720年まで行われた、スペインと四国同盟(オーストリア、イギリス、フランス、ネーデルラント連邦共和国(オランダ)の4カ国)およびサヴォイア公国(当時シチリア王国を称する)との間に行われた戦争
スコットランドの城2:バルモラル城
広大なバルモラル城は、スコットランド北東部のアバディーンシャーに位置しています。
19世紀中頃からこの城は、英国王室のメンバーによって使われてきており、今日に至るまで、この城は英国王室が個人所有しています。
そんなバルモラル城は、14世紀後半に建てられ、当初はスコットランド王のロバート2世が狩猟の際のロッジとして所有し、その後、何人かの手に渡って最終的に英国王室の所有となったのです。
また、王室の邸宅として使われ始めたことで、元々あった城は王室にふさわしい大きな城へと1856年に生まれ変わり、現在の姿となりました。
このような歴史から、城塞として建てられたわけでもなく、また、使用されてきたわけでもないため、厳密に言えば、バルモラル城は城ではなく王室の避暑地と言え、今日も英国王室の夏の休暇地として使用されています。
スコットランドの城3:フロアーズ城
スコットランド南東部のロクスバーグシャーにあるフロアーズ城もまた、その名前にも関わらず、実際には休暇地や避暑地として使われてきた歴史を持つ建造物。
1720年代に建てられたこの城は、シンプルであると同時に、ほとんどの英語圏の国々で建てられた1714年から1830年までの一連の建築様式「ジョージアン様式」の建築の良い見本と言われ、ここは現在、ロクスバラ公爵の邸宅として使われています。
また、フロアーズ城は人が住む城としてはスコットランドで一番大きな城であると同時に、城内は、上質な美術作品や、磁器類、そして独特で新しく修復されたタペストリーで溢れています。
スコットランドの城4:エディンバラ城
スコットランドの城の中ではおそらく最も有名で、スコットランドの首都エディンバラで有名な観光スポットと言えば「エディンバラ城」。
キャッスル・ロックと呼ばれる岩の上に建ち、その下に広がる都市を優雅に見渡しており、この城には年間150万人以上の観光客が訪れます。
過去の歴史において、エディンバラ城は要塞として重要な役割を担っていましたが、同時に王家の住まいとしても使われていました。
また、この城はスコットランドの最も重要な城と要塞の一つであったため、スコットランド独立戦争やジャコバイト蜂起などの動乱や紛争に巻き込まれてきました。
実際、12世紀にこの城の基盤が建てられて以降、実に20回以上の包囲攻撃を受けており、その数は英国だけでなく世界でも一番多いとされています。
現在は、エディンバラのシンボルとされており、12世紀に建てられた城内で最も古い建物「セント・マーガレット教会堂」などが、多くの観光客を惹き付けています。
スコットランドの城5:スターリング城
スターリング城は、歴史的にも建築的にもスコットランドの最も重要な城の一つ。険しい岩の上に建っている印象的なこの要塞はまた、戦略上の要所となってきました。
一方で、スコットランドとイングランドが連合を組んで1つの国家体系となるまで、王室の邸宅として使われていた歴史も持ち、スコットランド女王のメアリーは、1542年にスターリング城で戴冠式を行い、その他のスコットランドの王や女王たちも同様にここで戴冠式を行った歴史を持ちます。
ただし、17世紀頃には王室の邸宅としての重要性は薄れ、牢獄などの軍事用の施設として主に使われるようになりました。
また、戦いが多かった歴史の中で、多くのスコットランドやイングランドの城は包囲攻撃を受けてきましたが、スターリング城も例外ではなく、少なくとも8回の攻撃を受けています。
この城に現在残っている建物の大部分は、15世紀から17世紀の間に建てられたものですが、城そのものは少なくとも12世紀には建てられていたと考えられ、現在は国の重要な歴史的文化財となっています。
スコットランドの城6:グラームス城
グラームス城は、スコットランド東部の低地であるストラスモアの渓谷にある「グラームス村」に建てられた城。
シェイクスピアの作品の中で最も有名なものの一つである「マクベス」に登場する城として知られまています(※物語とは異なり実在したスココットランド王「マクベス」はこの城には住んでいなかった)。
この場所に元々あった要塞は、10世紀か11世紀ごろに建てられ、当初は王室の狩猟用のロッジとして使われていました。
その後の14世紀以降、グラームス城はストラスモア=キングホーン伯爵の先祖代々の邸宅となり、現代においては、この城はエリザベス女王の母であるエリザベス王太后が幼い日を過ごした場所として、また、マーガレット王女が生まれた場所として知られています。
ちなみに、17世紀から19世紀にかけて建て増しや改修が行われた結果、現在の姿となっています。
スコットランドの城7:クレイギーヴァー城
スコットランドのアバディーンシャーのアルフォードから南、グランピアン山脈の麓の丘にクレイギーヴァー城は建っており、可愛らしい荒塗りがされ、若干ピンクがかった色合いをしています。
このアバディーンシャーにある城は17世紀に建てられ、かつてはセンピル氏族の邸宅でしたが、1963年に第19代センピル卿のウィリアム・フォーブス=センピルがこの城をナショナル・トラスト・フォー・スコットランドと呼ばれる文化遺産や自然遺産の保護団体へ譲渡しました。
小塔、ガーゴイルを始め、こじんまりとしながらもまるで魔女が住んでいそうな佇まいを見ると、この城は間違えなくおとぎ話に出て来るような感じを受けます。
ちなみに、壁に囲まれた中庭や四つの丸い塔など、防御的な建物がこの城の一部として他にも存在していたとされています。
スコットランドの城8:ファイビー城
クレイギーヴァー城と同じように、アバディーンシャーにある印象的なスコットランドのお城と言えばファイビー城。
スコティッシュバロニアル様式と呼ばれる建築様式で建てられたこの要塞は、最も古い部分で13世紀までに起源を遡ると言われる古城で、内側はこの城の800年に渡る歴史を物語る価値が高く、注目度も高いアンティークで溢れています。
また、現在は18世紀に作られた壁で囲まれた広大で美しい敷地の中にあり、荘厳な佇まいをしています。
一方で、この城はオカルト好きにとっても心霊スポットの1つとして名前が知られいます。
というのも、この城は霊に取り憑かれているとして有名だからです。
事の発端は20世紀初頭、この城が建て直された時に女性の遺体が発見されて葬られたことから始まり、その後、不思議な現象が度々起こるようになったと言われているのです。
スコットランドの城9:デュアート城
スコットランドの西岸沖に浮かぶマル島にあるデュアート城は、13世紀建てられて以降、代々マクリーン氏族の居城となってきた場所。
高い岩の上に建って周囲を監視して水路をコントロールするなど、戦略上重要な場所に位置していることもあり、歴史の中では重要な要所となりました。
一方で、18世紀以降から20世紀初頭にフィッツロイ・マクリーン卿によって建て直されるまで、この城は廃墟のような状態になっていたこともあります。
その後、デュアート城は1999年に公開されたショーン・コネリーとキャサリン・ゼタ=ジョーンズ出演の映画「エントラップメント」のロケ地として使われたことで世界的にも知られるようになりました。
現在は、様々な展示品や豪華な大広間、特別な来賓のための寝室と化粧室を見学出来るだけでなく、美しい周りの景色を楽しめるスコットランドのお城として観光スポットになっています。
スコットランドの城10:カルツェーン城(カリーン城)
スコットランドの城の多くは、結構地味目なものが多く、豪華絢爛さや輝くような魅力からはかけ離れていると思われがちですが、カルツェーン城は例外の1つ。
スコットランド南西に位置するこの印象的な城は、緑が茂った庭の上に建っており、クライド湾の沿岸を見渡しています。
カリーン城は18世紀後期に建てられ、もともとはL字型の形が特徴的な城でした。
しかし、第10代カシリス伯爵はこの古びた城を改築して、もっと輝きを持った邸宅に建て直したいと思いました。
その結果、城は建て直され、海を見渡せる円形の塔の中に大広間が作られたり、華やかな楕円形の階段や、複数の豪華で広い部屋が作られ、豪華さで知られるスコットランドの城となったのです。
ちなみに、城の下には複数の海食洞(波浪による侵食で海食崖に形成された洞窟)があり、夏の間は一般に開放されます。
スコットランドの城11:フレイザー城
アバディーンシャーにあるフレイザー城は、Z型と呼ばれるスコットランドにある多くの城の中でも、最も精巧で壮大な城と呼ばれます。
元々、この場所には、古い塔が15世紀から16世紀初頭頃に建っていたと考えられていますが、現在の城の建設が始まったのは1575年で、建設が完了するまでに50年以上も掛かったとされます。
城内は5階建てになっており、内装は19世紀初頭から中頃に大幅に改修され、現在は庭などの一部は一年中解放され、また、結婚式や夕食会などの行事に貸し出しされることもあります。
スコットランドの城12:インヴァレリー城
スコットランド西部アーガイルのイヴァンレリー町の近くにあるインヴァレリー城は、18世紀以降、キャンベル氏族の族長であるアーガイル公爵の邸宅として使われてきました。
現在も公爵が住んでいる居城であるものの、春から秋にかけては一般公開され、武具の展示や大広間、豪華な客間やダイニングルームなどを見学することが出来ます。
ちなみに、現在の城は最初に作られたものに代わって建てられ、その工事は1743年に始まりました。
また興味深いことに、建設が終了した後、この城をもっと離れて孤立した場所に置きたいという理由から、1770年代、イヴァンリーの町はさらに奥地へと移動させられたという歴史が残っています。
ちなみにこの城は、有名なテレビドラマ「ダウントン・アビー」のクリスマスエピソードの中で使われたことでも有名です。
スコットランドの城13:サールズテーン城
サールズテーン城はスコットランドの国境付近にて16世紀頃に建てられた城で、広い緑地の美しい風景の中に建っています。
この城はローダーデイル公爵一家の邸宅で、現存している部分は16世紀、17世紀、そして19世紀の三つの時期に建設されました。
16世紀に初代メイトランド・オブ・サールズテーン卿が、世間へ向けて自身の力を誇示するため、三階建ての長方形をした石造りの天守閣と円形のタワーを各角に作るよう命じました。
そしてその後、第2代ローダーデイル伯爵は天守閣を宮殿へ作り変えたのです。
サールズテーン城の装飾的な漆喰仕上げの天井は、ヨーロッパでも最高級ものだと言われます。
スコットランドの城14:ストーカー城
美しいアーガイル・アンド・ビュートの入り江地帯には、4階建てのメルヘンチックなお城が建っています。
もともとの城砦は1320年にマクドゥガル氏族によって建てられましたが、現在の姿になったのは1440年代頃です。
今日、この城は個人所有となっていますが、事前に予約をすれば見学することが可能です。
そんなストーカー城は、アーサー王伝説のパロディとして1975年に公開されたコメディ映画「モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル」のロケ地となったことで知られます。
スコットランドの城15:ダンロビン城
ダンロビン城はスコットランドの風景に似つかわしくない、とても変わった城で、ハイランド地方に位置している城。
ハイランド地方北部で一番大きいだけではなく、スコットランド最北端にある豪邸でもあり、なんと驚くことに全部で189もの部屋があります。
元々は中世頃に起源を遡ると言われますが、13世紀からはサザーランド伯爵・公爵一家の邸宅として使われ、その後の19世紀に大部分は増築され、現在の姿へと変わりました。
壁に囲まれた庭の上の息を飲むような美しい景色の中に建っており、北海を見渡しています。
ちなみに、ダンロビン城がスコットランドの城としてかなり変わっているとされるのは、とんがり屋根の円錐形の塔があり、その姿はフランスの城に似ているからという理由です。
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スコットランドの城|アイリーンドナン城からダンロビン城までのまとめ
スコットランドにある数々の城の中から、15のお城をピックアップして紹介してきました。
スコットランドへ行く際には、これらのお城を巡ってみるのも良い時間の過ごし方になるはずです。