独裁国家の一覧として、トルクメニスタン、ベラルーシ、北朝鮮など20ヵ国をまとめて紹介していきます。それぞれの国に関する基本情報や、独裁体制とされる理由などを見ていきましょう。
日本が承認している国が世界には196ヵ国(2018年現在)ありますが、その中には個人または一つの政党が絶対的な権力を持ち、その強権を使って国を運営する独裁国家が存在します。
例えば、日本の安全保障上で無視することが出来ない北朝鮮は、日本の中では「独裁国家」として最もイメージされる国だと思いますが、他にもトルクメニスタンやベラルーシなど、世界中に多くの独裁国家が実は存在しているのです。
この記事では、そんな独裁国家として知られる20ヵ国を一覧としてまとめ、それぞれどのような国でなぜ独裁国家とされるのかを簡単に紹介していこうと思います。
独裁国家1:アゼルバイジャン
アゼルバイジャン共和国、通称アゼルバイジャンは、南コーカサス地域に位置する国の一つ。
北のロシア、北西のジョージア、西のアルメニア、そして南のイランと国境を接し、東はカスピ海に面しています。
また、油田をはじめとした天然資源を持っているため、豊富な天然資源から得られる収入を基にした経済発展が首都バクーを中心に見られるものの、それ以外の地域には未だに貧困が蔓延するなど、表と裏の顔を持つ国です。
そんなアゼルバイジャンは、ソ連崩壊後の1992年に設立された「新アゼルバイジャン党」が一党独裁を続けており、その党首であるイルハム・アリエフ大統領が事実上の独裁者として君臨する独裁国家となっています。
独裁国家2:トルクメニスタン
トルクメニスタンは、中央アジアに位置する国家の1つで、カザフスタン、ウズベキスタン、アフガニスタン、イラン、そしてカスピ海に接する国。
また、同国が位置する地域は何世紀にも渡って文明の中心であった過去を持ち、15世紀半ばまで重要な隊商路として使われたシルクロードの重要な停留地でした。
現在のトルクメニスタンは、トルクメニスタン民主党による事実上の一党独裁体制が出来上がっており、2006年に急死したニヤゾフ大統領の後継となったグルバングル・ベルディムハメドフは、ニヤゾフ時代の独裁体制を変えはしたものの、形を変えた独裁国家運営を行っていると言われます。
独裁国家3:ウズベキスタン
ウズベキスタン、正式にはウズベキスタン共和国は、中央アジアに位置する二重内陸国。
二重内陸国とは、海に出るために少なくとも2つの国境を越えなければならない内陸国のことです。
カザフスタン、タジキスタン、キルギス、アフガニスタン、そしてトルクメニスタンに国境を接しています。
一方で、旧ソ連を構成していた共和国の一つであったウズベキスタンが独立してからは、イスラム・カリモフが権力を集約して2016年に亡くなるまで君臨し、ほぼ独裁政権を作り上げ、それ以降はカリモフの後継者シャヴカト・ミルズィヤエフが大統領に就任し、事実上の独裁体制を継続しています。
独裁国家4:エジプト
エジプトはアフリカの北東の隅に広がる国で、シナイ半島で形成される陸橋経由によりアジアの南西隅にも位置しています。
また、1億人弱が居住するエジプトは、北アフリカおよびアラブ諸国の中では1番目に、アフリカでは3番目に、世界では15番目に人口が多い国としても有名です。
そんなエジプトは、チュニジアから始まったアラブの春の流れに乗って、2011年、30年以上にも渡る長期独裁政権を築いていたムバラク大統領が退陣されられました。
しかし、2018年12月現在、2期目の大統領の座についているアッ=シーシー大統領は、大統領選で対抗馬らを事前に拘束するなど強権を発動しており、ムバラク時代へ逆戻りしていると指摘されるなど、独裁者としての顔が現れています。
独裁国家5:エリトリア
通称「エリトリア」と呼ばれるエリトリア国は、アフリカの角と呼ばれる地域に位置する国家の一つで、西はスーダン、南はエチオピア、南東はジブチと国境を接しています。
また、エリトリアの北東から東に渡る長い海岸線は紅海に面し、対岸にはサウジアラビアとイエメンが位置し、同国の人口は約500万人で、9つの民族が公式に認められている多民族国家です。
しかし、「アフリカの北朝鮮」と揶揄されるほどの独裁国家として知られ、民主正義人民戦線が一党独裁体制を敷いており、大統領であるイサイアス・アフェウェルキは1993年からずっと権力トップの座に居座り続けています。
独裁国家6:ベラルーシ
ベラルーシ共和国、通称「ベラルーシ」は、東ヨーロッパに位置する内陸国。
北東はロシア、南はウクライナ、西はポーランド、北西はリトアニアおよびラトビアと国境を接しています。
また、首都はミンスクで総面積は207,600㎢。その40パーセント以上が森林地域で、サービス産業と製造業が同国の経済を支えています。
そんなベラルーシは現在、アレクサンドル・ルカシェンコが1994年から大統領の座に居座り、ルカシェンコ派以外が政権を担うことは皆無な状態が続いているなど、ヨーロッパ最後の独裁国家と言われることもある国です。
独裁国家7:カンボジア
カンボジア、正式にはカンボジア王国は、東南アジアのインドシナ半島南部に位置する国家で、かつてはクメール帝国として知られていました。
北西はタイ、北東はラオス、東はベトナムと国境を接し、南西はタイランド湾に面します。
そして、1500万人余りの人口を抱え、国民の約95パーセントが国教である上座部仏教の信徒で、またカンボジアには、ベトナム人や中国人、チャム族の他、数多くの少数民族が暮らしています。
1998年からずっと同国の首相の座に座り続けるフン・センの政権がほぼ独裁政権と化し、政府に批判的なメディアが閉鎖に追い込まれるなど、独裁国家の様相を見せています。
独裁国家8:カメルーン
カメルーン共和国、通称カメルーンは、中央アフリカに位置する国家で、西はナイジェリア、北東はチャド、東は中央アフリカ共和国、南は赤道ギニア、ガボン、コンゴ共和国と国境を接しています。
その地質学的および文化的多様性のために「ミニアフリカ」と呼ばれ、この地理区分には海岸地帯、砂漠、山地、熱帯雨林、サバンナ地域などが存在します。
そんなカメルーンの大統領として、1982年以来ずっと権力を握り続けているのが、ポール・ビヤ大統領で、国の中枢機関の人事権を握るほか、反対者に対して強硬な姿勢をとるなど、独裁家な側面も持つことから、カメルーンは独裁国家として指摘されることがあります。
独裁国家9:チャド
チャド共和国、通称チャドは、中央アフリカに位置する内陸国で、北はリビア、東はスーダン、南は中央アフリカ共和国、南西はカメルーンとナイジェリア、西はニジェールと国境を接しています。
国土面積はアフリカで5番目に大きく、地理的には北の砂漠地域、中央のサヘル地域、南の肥沃なスーダン・サバンナ地区に区分され、国名の由来となったチャド湖は、国内では最大で、アフリカでは2番目に大きな湿地帯です。
またチャドは、言語が異なる200以上の異民族からなる複合民族国家という特徴を持ちます。
一方でチャドは、1990年から大統領の座に居続けるイドリス・デビによって支配されている状況が続き、また、世界有数の腐敗大国でもある独裁国家として名指しされます。
独裁国家10:イラン
正式にはイラン・イスラム共和国という名前を持つイランは、北西をアルメニア、事実上独立したナゴルノ・カラバフ共和国、アゼルバイジャンに接し、北東はトルクメニスタンに、東はアフガニスタンとパキスタン、南はペルシャ湾とオマーン湾、西はトルコとイラクに接している中東の大国の一つ。
中東では2番目、世界では18番目の大きさの国土を誇り、およそ8000万人の人口を抱えます。
そしてイランには、民主的な選挙で選ばれる大統領が存在するものの、事実上のトップは「最高指導者」と呼ばれるイスラムの法学者であり、その任期は終身制。
そのため、1989年以降はアリー・ハーメネイーが最高指導者の座に居続け、強権を発動しているかどうかは別として、事実上の独裁体制が可能な基盤が存在しています。
ちなみに、最高指導者は行政・司法・立法の三権の上に立ち、軍の最高司令官であり、イスラーム共和国の諜報機関および治安機関を統轄する一方で、大統領は最高指導者の専権事項以外に関して、行政府の長として政策を執行する役割と持つとされます。
独裁国家11:キューバ
キューバ共和国、通称キューバは、カリブ海に位置する島国で、国土はキューバ本島といくつかの群島で構成され、同国最大都市のハバナが首都です。
2015年7月には、それまで国交が途絶えていたアメリカと国交を正常化して再開するなど、近年はより開けた国になってきたイメージの強いキューバですが、キューバ共産党による一党独裁体制が続いています。
言論の自由などが制限されているとも言われ、また、政府に反対する者に対しては逮捕・投獄・虐待も行われていると考えられています。
独裁国家12:赤道ギニア
赤道ギニア共和国、通称「赤道ギニア」は、中央アフリカに位置する国家で、かつてはスペインの植民地でした。
そのため、赤道ギニアはスペイン語を公用語とする唯一のアフリカ国家で、現在の人口はおよそ120万人ほど。
国土は大陸部と、複数の島々から構成されています。
そんな赤道ギニアでは複数政党が認められていますが、事実上、最大与党で独裁政党である赤道ギニア民主党が圧倒的多数を占め、また、1979年以降はずっとテオドロ・オビアン・ウゲマが大統領に居座っているため、独裁国家の一つとして数えられています。
独裁国家13:カザフスタン
カザフスタン、正式にはカザフスタン共和国と呼ばれるこの国は、中央アジアに位置する世界最大の内陸国。
270万㎢強の国土は西ヨーロッパを凌ぐとされるほど大きいですが、その人口は2000万に満たないとされます。
また、ロシア、中国、キルギス、ウズベキスタン、トルクメニスタンと国境を接し、平野、大草原、大河、岩石渓谷、丘陵、雪山、砂漠などの地理的多様性が見られます。
そして、ソビエト連邦から独立して以来、ヌルスルタン・ナザルバエフ大統領が一貫してその地位に座り続け、また、「ヌル・オタン」と呼ばれる政党が単独過半数を占める事実上の一党独裁体制が続いている独裁国家として知られます。
独裁国家14:北朝鮮
北朝鮮、公式には朝鮮民主主義人民共和国は、朝鮮半島北部の東アジアの国で、日本にとっては安全保障上無視できない国の一つで、アジアにおける独裁国家の代名詞的存在。
建国者である金日成政権以降、実質的には独裁体制の世襲が行われており、現在の北朝鮮の独裁者は金正恩。
同国の最高指導者として、国家、党、軍の最高職位をいくつも兼職しているため、個人の手中へ権力が集中している状態となっています。
独裁国家15:ルワンダ
ルワンダ共和国、通称ルワンダは、中央および東アフリカに位置する内陸国で、ウガンダ、タンザニア、ブルンジ、コンゴ民主共和国と国境を接しています。
またルワンダの人口は、フツ族と、ツチ族、ピグミー・トゥワ族の3つの主な民族で構成されており、過去には大多数派フツ族によるツチ族への大虐殺(ピグミー・トゥワも一部虐殺された)として知られるルワンダ虐殺が起こりました。
そんなルワンダの大統領には2000年以降、現職のポール・カガメが居座り続け、近年では政権に対する反対派へ弾圧を加えているなど、独裁的な政権になりつつあるとの批判があります。
独裁国家16:スーダン
スーダン、正式にはスーダン共和国は、北アフリカのナイル川流域に位置するアラブ共和国であり、北方はエジプト、東方は紅海、エリトリア、エチオピア、南方は南スーダン、南西方は中央アフリカ、西方はチャド、北西方はリビアと国境を接している国。
また、アフリカで3番目に大きい国であり、この地には過去、多くの古代文明が発生してきた歴史も持ちます。
そして現代の大統領「オマル・アル=バシール」は、ワシントンポストによって過去には「世界最悪の独裁者ランキング」で一位にされたこともあり、スーダンは独裁国家の一つとして知られています。
独裁国家17:シリア
シリア、正式にはシリア・アラブ共和国は、西アジアの国であり、西はレバノンと地中海、北はトルコ、東はイラク、南はヨルダン、南西はイスラエルと国境を接している国。
肥沃な平原、高い山々、砂漠で構成されており、アラブ人、ギリシャ人、アルメニア人、アッシリア人、クルド人、チェルケス人、トルコ人など、多様な民族や宗教グループが共存して暮らしてきました。
一方で、ここ最近ではシリア内戦によって国は疲弊しています。
そのシリアは、50年以上に渡ってバアス党による一党独裁体制が敷かれており、バッシャール・アル=アサドが事実上の独裁者として国を支配しています。
独裁国家18:中国
世界最大規模の人口を抱える東アジアの大国中国は、経済成長が著しく、現在の世界においては急激にその影響力を高めています。
一見すると自由経済を導入し、また、過去に比べると民衆に課された様々な制限が緩められているとは言え、中国は中国共産党によって統治される一党独裁国家であり、自由主義を国家の理念として置く西洋諸国や日本からは考えにくい多くの検閲などが存在します。
独裁国家19:ベトナム
ベトナム社会主義共和国、通称ベトナムは、東南アジアのインドシナ半島東端に位置する国で、人口はおよ9500万人であり、世界でも12、13番目ぐらいに人口の多い国。
日本人にとっては観光地などとしても人気ですが、その名前からわかる通り、社会主義体制を敷く国であり、ベトナム共産党による一党独裁制が敷かれている独裁国家の一つです。
結果、同国には国権の最高機関とされる一院制の国会が存在しますが、国会議員の90%以上がベトナム共産党員であるため、本来の国会が持つ立法府としての重要な役割は果たしていないとされます。
独裁国家20:ベネズエラ
ベネズエラ、正式名称「ベネズエラ・ボリバル共和国」は、南アメリカの北部に位置する国。
東のガイアナ、西のコロンビア、南のブラジルと国境を接し、また、カリブ海とも接しています。
世界最大の原油埋蔵量を抱えるとされる一方、幾度にも渡って政策の失敗を繰り返し、2018年前半にはハイパーインフレが起きてしまうなどしたため、経済は疲弊し、治安の急速な悪化などが起こっています。
そのベネズエラでは、1999年に大統領に就任したウゴ・チャベスによって独裁的な政治運営がなされ、2013年にチャベスが急死してから後を継いだニコラス・マドゥロの政権も独裁色が強いため、現在、独裁国家の一つとして名前が知られています。
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世界情勢を理解するためにも、ちょっとした知識として覚えておくのがおすすめです。