プーチンが人気な理由とは一体何か?ロシア国民に支持される5つの理由を探る

プーチンが人気な理由について見ていきます。なぜプーチンは長期政権を維持してこれたのか?その理由を深ぼっていこうと思います。

現代ロシアの皇帝とも言えるウラジーミル・プーチン大統領は、2000年に大統領の座に着くと、途中で首相の時期も含みながらも、現在まで20年近く権力を維持しています。

しかし、ロシアにおいて大統領は国民による直接選挙で選ばれるため、国民からの支持を得ないと大統領の座に居座ることは出来ません。

つまり、ロシア国民の中でプーチンは、高い人気を維持しているということであり、その支持率は8割を超えると言います(※W杯に紛れて年金支給開始年齢を引き上げようした結果、2018年の8月時点では31.1%まで一気に下落した。参照:Newsweek

その理由とは何なのでしょうか?

プーチンが人気な理由について探っていきます。

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なぜプーチンはロシア国民に人気ななのか?考えられる5つの理由とは?

プーチンが人気な理由① 強いプーチン ≒ 強いロシアの構造

ロシアでプーチンが人気の理由の一つに、あえて仮想敵を作り、その的に立ち向かう「強いプーチン=強いロシアの指導者」というイメージ工作があります。

ロシアのクレムリンは、過去何年にも渡り、

「自分たちは有害な外国によって包囲された国だ」

と自らを表現するプロパガンダを続けてきました。

例えば、2014年にウクライナのクリミアが一方的な宣言によってロシア側へ編入された結果、西側諸国がロシアに経済制裁を行いましたが、これはロシア政府だけでなくロシア国民の中にも、反西欧の姿勢を高めることになりました。

This is PUTIN.

プーチン大統領のすごいところは、自分自身を最大限に使って国威発揚していることです。

過去には自らの肉体をあえて露出して一般公開したり、トラをねじ伏せる様子を撮影させ、自らの強さをアピールすると同時に、国民に対して「自分こそが今のロシアに必要な”強い”リーダーであり、敵に囲まれる中でロシアは強くあるべきだ」というメッセージを送ることに成功しています。

その結果、一部のロシア国民の中に、

  • プーチンがいなければ今日のロシアはない
  • プーチンを攻撃することはロシアを攻撃することと同じだ

といった考えが醸成されていくことになり、「プーチン ≒ ロシア」という図式が成り立つことになったと考えられ、特に愛国心を持つロシア人の間でプーチン人気を不動のものとしているのではないでしょうか。

結果、2014年11月にブリスベンで行われたG20サミットにおいて、プーチンが他の国に冷たくあしらわれた際には、それまでプーチンをを批判していた人達ですら、ロシアに対する侮辱であると受け取ったと言われます。

プーチンが人気な理由② クリミアへの固執から編入の成功

クリミアはロシアにとって特別な場所。ロシア人の多くはクリミアを「栄光」と「誇り」の地と考えています。

19世紀に当時のロシア帝国軍が、英国、フランス、トルコ軍と戦ったのも、1941年と1942年のセヴァストポリの戦いで、250日間ドイツ軍を阻止したのも、ここクリミアであり、ロシア人にとっては「強いロシア」を象徴する場所です。

また、ロシア帝国時代には、クリミアはロシア・ロマン主義の中心的場所で、ロシア人にとっては精神的にも意味のある場所でした。

その後、ソビエト連邦時代の1921年にクリミアは「クリミア自治ソビエト社会主義共和国」としてソビエトに組み込まれます。

しかし1954年に、当時のソビエト書記長だったニキータ・フルシチョフの主導で、クリミアはロシアからウクライナへ帰属替えが行われ、ウクライナの一部と変更されてしまいます(※当時はロシアもウクライナもソビエトの一部であったため、この帰属替えは大きな問題とはならなかった)

ロシアの愛国主義者たちはそれ以来、クリミアの返還を強く望んできました。

プーチンは常にクリミア返還に対して強い意欲を示し、この愛国主義者達から支持を得ていた中で、最大のチャンスが2014年3月に訪れます。

プーチン大統領はウクライナの親欧米派が、親ロシア派のウクライナ大統領ヴィクトル・ヤヌコーヴィチを失脚させたのを受けて、兵をクリミア半島へ派遣したのです。

その後、国民投票(公平性は怪しまれる)が行われ、「クリミアに住む人々(ロシア人が過半数以上)の多くは、ウクライナを離脱してロシアに統合されたい」という結果が出たことで、プーチン大統領は国際的な反発を尻目に移譲を認めました。

結果、このプーチンの決定はロシア国内で大いに歓迎され、ロシア人の80%以上がこの以上に賛成しているという結果が出たほど、ロシア国内による人気を確固たるものにしたのです。

プーチンが人気な理由③ メディアをガッチリ握っている

プーチンがこれほどの人気を誇り、維持し続けている理由として、プーチンはロシアで最も影響力のある各報道機関をガッチリと抑えており、世論を自らが希望する方向に操れるというのがあるかと思います。

例えば、ロシア国民の90%以上は、クリミアに関する報道を、政府の影響下にある国内のTV放送で確認していたとされます。

ロシアの国営放送は、プーチン大統領の礼賛に終始しており、同時にそのメディアが好意的に報道するロシア政府は、西側諸国の報道こそ偏っていると主張することで、ロシア国民の間では西側諸国を仮想敵と見なし、その的を強く牽制するプーチンが英雄的存在に映っているのかもしれません。

また、2014年の10月に、プーチンはロシアのメディアに対する外国資本を「20%までに制限する」新しい法律に署名しました

そのため、ロシアの2大独立系メディアである、ヴェドモスチ( Vedomosti )とフォーブス・ロシア(Forbes Russia)も、政府に対する批判的な報道が難しくなり、クレムリン寄りへ路線変更せざるを得ない状況になっています。

このように、ロシアでプーチンがいつまでも人気を維持出来るのは、メディアを通して世論をコントロール可能だからという点を挙げることが出来そうです。

プーチンが人気な理由④ プーチンに代わるライバルがいない

また、プーチンに代わるライバルがいないというのも、プーチン人気を不動のものにしている理由の一つです。

ライバルとなりうる人を全て排除してしまえば、国家の将来を守る父親像を描くのも簡単。

実際、プーチン大統領を支持するロシア人の中には、プーチンを支持する理由として「ほかに誰がいる?」と答える人もいます。

2000年に執権を握って以来、プーチンの側近たちは反対勢力の信頼を次々と失墜させ、告訴し、失脚させてきました。

これは確かに、当時のロシア社会に蔓延した腐敗を排除するには必要だったと考えられますが、同時に将来的にプーチンの敵となる勢力がほぼ全て解体させられ、力を失ってしまったのです。

一方で、2011年と2012年には、プーチンロシアに対する大規模な街頭デモを行なった、弁護士で政治活動家のアレクセイ・ナワリヌイが有力なライバルとして浮上します(ウォールストリートジャーナルでは、「ウラジーミル・プーチンが最も恐れる男」と紹介された)

しかし、ほどなくしてナワリヌイ氏には数々の犯罪歴があると報道され、市長選で非常に強い支持率を誇っていたものの、若手のリベラルな支持層以外に影響力を広げることができませんでした。

また、2014年にプーチンがクリミアを自国に編入して国民の間でプーチンに対する支持が高まった結果、アレクセイ・ナワリヌイの勢いは失われていき、プーチンにとっては恐れるほどの人物ではなくなっていったのです。

このように、ロシア国内には現状、プーチンに台頭する勢力や人物がおらず、出現したとしても影響力が大きくなる前に失墜させられてしまうため、プーチンの人気が揺るぎないものになっていると言えるのではないでしょうか。

プーチンが人気な理由⑤ 世論調査も操作されているのか?

プーチンが人気な理由を幾つか述べてきましたが、一度立ち止まって考えたいのが、

  • 世論調査ではプーチンは愛されているとされるが、そもそも調査自体が信用できるのか?

という疑問。

例えば、政府批判をすることで報復を恐れる人々に政治に関する意見を聞いても、その結果は歪んだものになってしまうと推測が出来、その結果をそのまま信用することは出来ません。

盗聴したり、名前を控えられたりする危険があるため、大統領を愛しているというのが一番安全なのです。

特にソ連時代、共産党の支配下では、表現の自由、思想・信条の自由、集会・結社の自由等が厳しく制限されていたことを考えると、国民の中でも特に年齢が高めの層では、クレムリンに対して反対の意見を言うことを避ける傾向にあるのではと推測出来ます。

加えて、世論調査を行った調査員または調査団体がクレムリンの影響下にないとも言い切れません。

結果、プーチンがロシア国民に人気なのは確かだとしても、実際には世論調査で示されるほどの人気はないかもしれないのです。

ロシアで人気のあるプーチンだが懸念もある

プーチン大統領が2000年に権力を握って以来、原油価格の上昇もあってロシアは豊かになっていきました。

貧困率は低下して中流階級が広がり、ロシア国民による消費力が高まりました。

世界中のリゾート地に、ロシア人たちの姿が多く見られるようになったのです。

しかし近年は、世界で3位か4位の原油生産量を誇るロシア経済を支えてきた原油価格が低迷し、西欧諸国が課した制裁によって、景況感は企業、消費者共に低い状態で、ロシアの経済は停滞しています。

さらに、2000から2011頃までは1米ドル30ルーブル前後で安定していたのが、2012年からルーブルの価値が少しずつ下がり始め、2014年のクリミア問題と西側諸国の経済制裁によって、一気に1ドル70ルーブル近くまで価値を下げ、現在でも1ドル65〜70ルーブルの間で停滞しています。

プーチンが大統領になってから当初人気を支えていた理由が、経済の回復にあったことを考えると、このまま経済が低迷し、失業率が大幅に上昇するようなことがあれば、プーチン人気の低迷につながってしまうかもしれません。

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プーチンが人気な理由とは一体何か?ロシア国民に支持される5つの理由を探るのまとめ

プーチンは現代の国際社会でも稀に見る影響力を持った人物。

その影響力を支えるのはロシア国民による支持率ですが、その支持率には何かしらの力が働いているのかもしれません。

世界のことって面白いよね!By 世界雑学ノート!

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