失敗国家(破綻国家)とは?一覧をランキング形式で確認して具体的な理解を深めよう

失敗国家(破産国家)について知っていますか?その定義から、ランキング形式で21ヵ国の具体例を確認して理解を深めていきましょう。

失敗国家(破綻国家)とはどのような国を指すのでしょうか?

国際開発や国際関係に携わると、「失敗国家」という言葉を耳にすることがあります。

この失敗国家は、文字通り失敗した国家を指しますが、その具体的な特徴や定義を理解することは重要です。

さらに、日本とは一見関係なさそうですが、国際社会に影響を与えることもあり、失敗国家を解決することは、世界の平和や安定のためにも大切です。

その失敗国家について、詳しい定義や特徴を確認し、その後にランキング形式で上位21ヵ国を一覧としてまとめたものを掲載しておきます。

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失敗国家(破綻国家)とは?

失敗国家あるいは破綻国家とは、国家として失敗した国、または機能しなくなった国のこと。

つまり、主権国家として必要になる基本条件や政府責任が機能不全に陥ることで、インフラ(電気、水道、医療、通信網、交通、警察)全体が低下し、そこに住む人たちにとって最低限の人間らしい生活を営むのが困難になった国々です。

また、その劣悪な環境や中央政府の管理体制の崩壊により、社会秩序も乱れ、法律や社会的なモラルも無くなって犯罪が横行するなど、治安面でも非常に危険な状態となります。

さらに、政府の力が失われた結果、出入国の管理体制や社会維持の為の警察力が低下するため、誰でも簡単に出入りでき、結果、国際的に活動するテロリストたちの温床ともなるなど、国際社会にとっても不安要素となっています。

失敗国家の定義

失敗国家に関しては、明確に定まった定義はありませんが、アメリカのワシントンDCに拠点を置くNGO「平和基金会(The Fund for Peace)」によると、以下の4つの点を挙げており、1つないし複数の条件に当てはまり、甚大な影響を受ける国家を「脆弱国家(Fragile Country)」と定義しています。

  • 領土支配の喪失、あるいは公権力の独占の喪失
    • (loss of control of its territory, or of the monopoly on the legitimate use of physical force therein)
  • 正統な合議制意思決定機関の腐敗
    • (erosion of legitimate authority to make collective decisions)
  • 公益事業の提供不能
    • (inability to provide public services)
  • 国際社会の一員としての外交活動の不能
    • (inability to interact with other states as a full member of the international community)

失敗国家に共通する特徴

また、国が違ったとしても、失敗国家に共通する特徴として、以下のような点を挙げることができます。

  • 中央政府機能または統治能力の弱体化
    • 政府による税金の徴収がほぼ実行不可能
    • 国民への支援がほぼ不可能
    • その他の公共のサービス提供がほぼ実行不可能
    • 領土のコントロールが出来ない
    • 汚職や犯罪がはびこり悪化
  • 経済の急速な悪化
  • 非国家主体(政府とは独立して影響力を行使する人々や集団)の介入
  • 大量の難民の発生
  • 故意ではない人口の移動

失敗国家(破綻国家)の一覧をランキング形式で確認

失敗国家(破綻国家)とはどのような国を指すのかを見てきたところで、ここからは失敗国家の一覧をランキング形式で確認していきたいと思います。

今回ランキングは、平和基金会(Fund For Peach)が発行しているFragile States Index 2018 – Annual Reportを参考に、上位21ヵ国を一覧としてまとめてあります。

失敗国家ランキング21位:ニジェール

女性一人当たり7人の子供を産むという世界記録を持つ西アフリカの内陸国ニジェールでは、極端な人口数によって社会や経済が悪化した状況が続いており、失敗国家の一つとして数えられています。

多くの家庭では十分な教育と食料を子供に用意することが出来ず、女性が社会進出することも困難で、行政による公共サービスは劣悪です。

失敗国家ランキング20位:パキスタン

インドの西にある南アジアの国家パキスタンは、巨額の債務、貧困、過激なイスラム過激派の存在、不安定な治安などにより多くの面で未開発。

特に治安面とテロの可能性などによって、世界的にも最悪な評価を受ける失敗国家の一つです。

また、国民の半数以上は1日2ドル未満で暮らさざるを得ない劣悪な環境に陥っています。

失敗国家ランキング19位:エリトリア

アフリカの角と呼ばれる、アフリカ半島東端(北東部)に位置する小国のエリトリアは、1993年にエチオピアから独立して以来、独裁政治の統治下にあった国。

長きに渡る国内政治腐敗やエチオピアとの軍事的衝突などで国民が苦しめられた結果、エリトリアは人権、人口に対する負担、国家の正統性などに関して多くの問題を抱えている失敗国家となっています。

失敗国家ランキング17位:ブルンジ

東アフリカ国家に含まれ、周りをルワンダ、コンゴ共和国、タンザニアに囲まれている内陸国の小国ブルンジでは、およそ85%の国民が想像を超える貧しさの中での生活を強いられているとされています。

一人当たりのGDP(名目)はおよそ300ドル程度しかなく、経済的にほぼ壊滅していると言える状態になっています。

失敗国家ランキング17位:ケニア

東アフリカに位置し、南東部分がインド洋に面するケニアは、政治の腐敗や貧富の格差の増大などによって、経済的にも社会的にも不安定さが残る国の一つ。

人口のおよそ50%が貧困の基準以下の生活を強いられているとされ、また、約40%の人口が失業状態にあります。

失敗国家ランキング16位:ギニアビサウ

西アフリカに位置し、西は大西洋に面するギニアビサウでは、3分の2以上の人々が1日2ドル以下での生活を強いられています。

また、企業家層がいなく識字率も低いため、劣悪な経済環境を発展させるための基本的な条件が揃っていないことから、今後の発展の展望も非常に乏しい失敗国家です。

失敗国家ランキング15位:エチオピア

エチオピアは1991年に隣国のエリトリアから分裂することで独立を勝ち取った東アフリカの国家。

近年は目覚ましい経済成長率を記録しているものの、未だに世界最貧国の一つであり、特に国家経済が農業に依存しているため、干ばつと飢饉に悩まされる問題を抱えています。

また、エリトリアと一緒だった頃は、エリトリア南部にあるアッサブ港を利用できたものの、独立後は内陸国となってしまったため、国外への輸出はもっぱら隣国の港を有料で使うといった状況に陥ってしまっています。

失敗国家ランキング14位:ナイジェリア

西アフリカに位置するナイジェリアは、アフリカ最大の人口とアフリカ屈指の経済規模を誇るものの、政治的腐敗が横行し、乏しい雇用環境、劣悪なインフラ整備に悩まされている国。

また、ボコ・ハラムなどの凶悪なテロリストの温床ともなったりと、失敗国家の一つとして数えられます。

失敗国家ランキング13位:ギニア

西アフリカ諸国に含まれ、アフリカ大陸西端に位置するギニアは、度重なるクーデターや軍事政権のため、法治国家としての機能が不全状態に陥っている失敗国家。

一般市民に対しての治安部隊による拷問や、女性に対する拷問など、人権面での懸念も多く残っています。

失敗国家ランキング12位:ハイチ

中央アメリカの西インド諸島内に含まれる小国ハイチも、失敗国家として良く名前が挙げられます。

元々多くの問題を抱えているこの発展途上国では、2010年に大地震に見舞われたことで、大統領府、財務省、外務省が倒壊した結果、政府機能は麻痺状態に陥ってしまうなど、最悪な状態となりました。

さらに悪いことに、コレラが大流行した結果、およそ6%の人口がこの病に犯されるに至っています。

失敗国家ランキング11位:イラク

中東・西アジア地域にあり、長い歴史を持つイラクも、現在では失敗国家の一つになってしまっています。

サダムフセインによる旧イラク共和国の滅亡後、治安維持を大義名分として駐留していた米分部隊が2011年に撤退したものの、国内におけるテロや暴動は続き、2017年12月9日にイランのアバーディ首相によりISILからイラクが解放されたと宣言されるまで、何万という人が命を落としています。

その後も未だに安定した政府運営や機能が回復されてるとは言い難い状況が続いています。

失敗国家ランキング10位:ジンバブエ

世界でも最も悪名高い独裁者の一人、ロベルト・ムガベが2017年まで権力を握っていたこの国は、ハイパーインフレの為に発行された100兆ジンバブエドル紙幣が話題になるなど、経済破綻が著しいアフリカ大陸南部の内陸国。

また、劣悪なインフラ環境や、100万人以上の人がHIV/AIDSに犯されているなど、社会的にも不安定な失敗国家です。

失敗国家ランキング9位:アフガニスタン

中東・中央アジアに位置する内陸国のアフガニスタンは、米国主導の下に政権交代が行われた後、10年以上にわたる国連の支援の下、国の再建を進めていますが、未だに国家として上手く機能していません。

またテロの脅威など、治安は未だに回復しておらず、国民の安全な生活が脅かされている状況が続いています。

さらに、幼児の死亡率は25.7%、国民のおよそ2/3は貧困状態に陥っているなど、社会的な安定にはまだ程遠い状況にあります。

失敗国家ランキング8位:チャド

アフリカ中央部に位置して国土が大きな内陸国チャドは、平均寿命が49歳と、世界で最も短命な国家の一つとして知られています。

公共のインフラ設備はほぼ皆無で、国民の人権は著しく侵害され、また、東にスーダン、南に中央アフリカと、それぞれ失敗国家が隣接し、非常に不安定な情勢に陥っています。

失敗国家ランキング7位:スーダン

北東アフリカに位置し、東が紅海に面しているスーダンは、1990年代まで長引いた内戦や経済制裁、2011年に起きた南スーダンの分離独立などで、経済的に非常に危うい状態にある国。

また、アラブ系民兵によって非アラブ系住民の虐殺が行われたダルフール紛争など、中央政府による社会維持機能などにも疑問符が持たれています。

失敗国家ランキング6位:コンゴ民主共和国

中部アフリカに位置して西の一部が太平洋に面する大きな国土を抱えるコンゴ民主共和国は、蔓延するエイズ、栄養失調、汚染、その他の疾病と共に、内戦によって何千もの命が失われている失敗国家。

また、毎年およそ40万人の女性がレイプの被害にあっているとも言われ、人権面でも劣悪な状況が続いています。

失敗国家ランキング5位:中央アフリカ

アフリカ大陸中央部にある内陸国家の南アフリカは、アフリカ諸国の中でも最貧国に数えられる失敗国家。

1960年の独立以来、度々クーデターに見舞われ、また無政府状態の期間が続いたなど、国家としての機能がとても低下しています。

また、難民や治安面に関する指標では最悪のスコアを示しているなど、失敗国家の典型例の一つとして考えられるような国です。

失敗国家ランキング4位:シリア

ここ最近の内戦や政治的悪化によって、何十万という人の命が奪われたり、多くの難民を生んだ中東・西アジア地域に属するシリアも失敗国家の一つ。

イスラム国からは土地を奪い返したものの、未だに国内は荒れ、中央政府が十分に機能しておらず、まだまだ国民が安心して正常な生活を送れるとは言い難い状況が続いています。

失敗国家ランキング3位:イエメン

中東のアラビア半島の南に位置するイエメンは、隣に石油大国サウジアラビアを抱える国。

しかし、イエメン自体は最も貧しい国家として知られます。

また、国内ではイスラム過激派が勢力を誇り、治安面では非常に大きな不安要素を抱える失敗国家になっています。

失敗国家ランキング2位:ソマリア

東アフリカのアフリカの角という地域にあり、東がインド洋に面しているソマリアは、度重なる戦争によって大きく荒廃し、平均寿命は51歳、幼児死亡の割合は10人に2人といわれる失敗国家。

また、ブラジャーを着用した女性を公開むち打ちの刑に処するなど、人権面でも最悪な国の一つです。

さらに、経済は崩壊状態であり、多くの難民も出していることから、失敗国家としても常にランキング上位に顔を出しています。

失敗国家ランキング1位:南スーダン

2011年にスーダン共和国の南部10州が分離独立して出来た南スーダンは、東アフリカの内陸国。

過去に起きた内戦の結果、未だに回収できない地雷に冒されて安全の面で最悪な状況が続き、さらに基本的な予防接種を受けることすら容易ではないインフラ状況など、国家としては非常に不安定な状態になっています。

また南スーダンは国連の支援に大きく依存しているため、その点でも国家としての機能に欠けており、失敗国家からの脱却は困難を極めそうです。

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失敗国家(破綻国家)とは?一覧をランキング形式で確認して具体的な理解を深めようのまとめ

失敗国家(破綻国家)について詳しく見てきました。

国際社会において脅威となり得る失敗国家に関する理解を深めておけば、世界で起こる出来事の裏側がもう少し分かりやすくなると思います。

世界のことって面白いよね!By 世界雑学ノート!

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