アフリカの貧困の原因・理由として考えられる7つのこと

アフリカは資源に富んだ国である一方、そこに住む人々の多くは貧困に喘いでいます。それはなぜなのか?考えられる原因や理由を7つ見ていきます。

アフリカ大陸には、未だ根深い貧困に喘いでいる人々が驚くほど多く存在します。

アフリカ諸国の多くは、世界中で多くの需要のある天然資源の主要産出国というポジションを持ちながら、なぜ未だに貧困に苦しんでいるのでしょうか?

貧困はテロの温床や世界経済の足かせになるため、貧困問題を見つめ直すことは世界の安全や経済の発展に大切なことです。

今回は、アフリカが貧困から抜け出せない原因や理由として考えられる7つのことを見ていきます。

国際開発や国際関係の分野に興味がある人は特に、知っておきたいことだと思います。

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アフリカの貧困の原因と理由① 教育や知識のギャップ

アフリカには、子供に基本的な教育すら受けさせる余裕のない家庭が多く存在します。

子供の基礎教育を政府プロジェクトに掲げている地域もあるにもかかわらず、多くの地域で学校が不足しており、また学校があっても家から遠く、さらに家庭が貧しいために幼い子供たちが家の仕事に従事させられていたりと、教育の機会が奪われてしまっているのです。

結果、アフリカ諸国のなかには識字率が非常に低い国や、基礎的な教育や知識が足りないために、単純労働以下の仕事しか得られず、貧困が貧困を呼ぶ状況が生まれてしまっています。

大部分のアフリカ人の若者は不幸にも教育と技能が欠如しているため、定職に就けずにいるのです。

さらに、コネという形での汚職も、アフリカ大陸の就業率を下げて貧困を生み出す原因となっています。

アフリカ諸国が貧困から抜け出して競争力を持つためには、教育改革にもっと投資すべきであり、教育に対する社会の考え方も変わっていく必要があります。

アフリカの貧困の原因と理由② 健康に関するインフラや環境

健康と貧困は相互に関連しています。

国が質の高い医療インフラおよび制度を国民に提供できなければ、やがて国民の生産性は下がり始め、経済は停滞し始めるて貧困が増えるという罠に陥る危険性が高まります。

貧困と健康の関係は「原因と結果」どちらにもなり得るという点も覚えておく必要があります。

貧困になると生活環境が悪化して健康を害するリスクが高まり、逆に、健康状態が悪化すると、貧困に陥ってしまうリスクが高まるのです。

つまり、健康と貧困は負の連鎖を引き起こし、一度その連鎖にハマるとなかなか抜け出せなくなってしまい、これがアフリカの貧困状態で暮らす多くの人々の状況なのです。

また、貧困は個人だけの問題でなく、家庭や地域社会を支えるために働こうという気力を失わせてしまい、その地域の貧困状況の悪化に拍車をかけていきます。

病気は必要最低限の設備を持たない貧困層の地域で特に早く広がります。マラリアの流行などは主な例です。

マラリアは蚊帳や虫よけ剤などのシンプルな物があれば、簡単に防ぐことが出来ますが、アフリカの貧困地域では、そのような物資でさえ不足しており、そこに暮らす人は利用出来ずにいるのです。

また、アフリカに蔓延するHIV/AIDSなどもアフリカの貧困の増加に寄与しています。

アフリカの貧困の原因と理由③ 内戦やテロ

アフリカの貧困の理由として、テロなどの内戦が貧困の原因となっているという点も挙げられます。

戦争は人々を混乱させて貧困状態に追い込みます。

ビジネスや商業活動は途絶え、道路や通信網が遮断され、人々が生活のために必要な稼ぎを得る手段を破壊します。

またビジネスの崩壊だけでなく、散発的な移民や難民の発生、仕事の放棄、食糧不足や人々の人間性の欠如なども引き起こします。

そして、商業の停滞によって産業が崩壊して人々は仕事を失い、投資家はテロ関連国に対する信頼を失くし、その地域全体の経済が下落します。

貧困は、これらの要素が複合的に組み合わさることによって起こるのです。

さらに、多数の死傷者がでることで戦争やテロで犠牲になった地域は言うまでもなく資産を失い、貧困レベルがさらに増すことになります。

一例として、アフリカでも随一の経済規模を誇るナイジェリアでは、テロ組織「ボコ・ハラム」によって2010年頃から始まった残虐行為に巻き込まれて10万人以上が亡くなり、死傷者を出すばかりでなく、同国の社会と経済全体に悪影響を及ぼしきました。

特に、ナイジェリア北部の経済と文化の中心年であるカノでは、テロ活動などによって、それ以前と比べ、商業活動が2015年までに80%近く落ち込んでしまっとも言われます。

結果、2014年にはアフリカ最大の経済国であったのに、2016年に世界銀行が発行した経済予測では、ナイジェリア経済は下落を続けると報告されるなど、経済に大きな影響をもたらしてきました。

アフリカ諸国では頻繁に内戦が勃発しており、それが、アフリカが貧困から抜け出せない理由の一つとなっているのです。

アフリカの貧困の原因と理由④ 蔓延する汚職問題

ケニアでは賄賂という言葉を“Kitu kidogo”または“chai”という言葉(ざっくり訳すと「ちょっとしたもの」や「お茶」の意味)に置き換えて使われることがありますが、このことが示していることからも分かる通り、権力者(民間企業の一部も含む)や公職者によって汚職が公然と行われています。

そして、この権力者や公職者たちの汚職はケニアだけでなく、アフリカで根強く残っており、現在のアフリカの貧困問題を引き起こしている理由の一つとして考えられます。

実際、トランスペアレンシー・インナーナショナル(Transparency Internatonal)によると、市民団体や住民による運動や活動があるにも関わらず汚職は増加しているとのことで、特に、警察組織の汚職はひどく、ほとんどのアフリカ諸国の政府は、蔓延する汚職に対して効果的な手段を取れない状態であると伝えています(参照:Transparency Inernational

また、イギリスに本社を置く事業リスクに特化したコンサルティング会社「Control Risks」によると、アフリカ諸国は汚職問題が貧困に繋がっていること、その汚職対策が重要であることを認識しているものの、汚職問題に対処するための政治的な意思や法的枠組みが、利権に関わる政府高官の間で特に脆弱だとしています。

国内に汚職がある限り、公平な競争が生まれず利益を得る一部の人間以外はどんどん貧困状態に追いやられていくだけでなく、時には内戦やテロに発展することさえあります。

したがって、アフリカの貧困の原因として強く働いている要素の一つが、汚職であることは間違いないはずです。

アフリカの貧困の原因と理由⑤ 国際的な援助

近年、国際関係の分野において、国際的な援助がアフリカの成長努力を抑制していると言われることが増えてきています。

国際的な援助として寄付に頼り始めると、永遠と寄付に依存するようになり、努力をやめてしまう、または努力に一定のブレーキが掛かってしまうのではないかという主張です。

良く用いられる例で、村人の空腹を満たすために「魚を渡す」のか「釣竿を渡す」のかというものがあります。

この二つを比較すると、

  • 魚を渡した場合
    • 短期的には空腹を満たせる
    • しかし、その後も魚を渡さないと村人は餓死してしまう
  • 釣竿を渡した場合
    • すぐには空腹を十分に満たせないかもしれない
    • しかし、自ら魚を手に入れられるようになり空腹を満たせるようになっていく

という結果が導かれます。

これまでアフリカに行われてきた国際援助の多くは、「魚を渡す」方法が主であったため、いつまでたっても自分たちで魚を取ることが出来ず、それが貧困から抜け出す上での妨げになってしまっているというものなのです。

また、健康や教育、その他の面でアフリカを援助している非政府組織(NGO)が多く存在していますが、中には「可哀想なアフリカ人」というイメージを利用しているだけで、団体を存続させるための肥やしにしているようなNGOがたくさん存在していることも問題かもしれません。

例えば、ケニアにあるキベラスラムが良い例です。

ナイロビ最大のスラムで、中心からたった5キロの場所にあるアフリカで2番目に大きな都市スラムです。

多くのNGOがこのスラムの貧困問題を謳っているにも関わらず、厳しい経済状況のなか、生活のためにゴミ箱をあさり続ける住民のために、彼らは何もできていません。

もしも、それらNGOが資金をもっと有効なことに使っていれば、現状ほどひどい貧困状態にはなっていなかったかもしれないのです。

このように、国際援助のあり方も、アフリカの貧困問題を考える上では重要な課題の一つです。

アフリカの貧困の原因と理由⑥ 地理的な不便さ

その他の貧困の原因に加えて、アフリカ諸国の中でも内陸に位置した国は、地理的に不利な状況に置かれており、それがまた貧困問題を持続させている理由です。

地理的に不利な場所に住んでいると、経済を向上させたり生活の質を上げるには、限られた資源を活用した革新的なアイデアを生み出すしかありません。

例えば、ヨーロッパのスイスなどの国は同じく内陸に位置する国ですが、周囲は安定した経済圏に囲まれて商業の基盤ができている上に、国民は革新的なアイデアを生み出すために必要な教育やスキルを高いレベルで持っています。

一方で、アフリカで最も内陸の国々は、周囲を不安定で紛争が絶えない国々に囲まれている上、国民は基礎レベルの教育やスキルでさえ欠如してしまっています。

これが、アフリカの内陸国の経済は停滞し、貧困が蔓延してしまう原因となっているのです。

南スーダンやコンゴ民主共和国に隣接する内陸国「ウガンダ」は良い例で、隣国は一年中内戦にさらされており、肥沃な土地、豊富な降雨、鉄鋼物資に恵まれるなどポテンシャルはあるものの、ウガンダは世界最貧国の一つとして貧困から抜け出せなくなっています。

アフリカの貧困の原因と理由⑦ 難しい貿易条件

アフリカが直面する現状の貿易条件というのも、アフリカが貧困から抜け出せない理由の一つです。

より貧困国に憂慮した貿易条件の下にアフリカの国々が外国と貿易を行えるのであれば、アフリカ経済の成長に貢献し、より早く貧困から脱出出来るかもしれません。

経済的に強い国がより利益を得られるような貿易戦略は、アフリカの成長努力を無駄なものにしてきました。

アメリカと欧州連合は、農業などのアフリカが競争できる分野に関して自国を保護するための政策を取っており、これが、なかなかアフリカが貿易で経済を発展させられない原因となっています。

貧困問題に取り組むNGO団体の一つPovertiesは、国際社会は自国の利益を守るよりも、貧困国の輸出や農業の発達を促せるように、優先的な商業条件を与えるべきだと主張します。

もしも、そのような条件下でアフリカ諸国が貿易を行えるのであれば、アフリカの貿易国だけでなく、内陸国にまでその恩恵が広がり、アフリカ大陸全体の経済の底上げになるため、アフリカの貧困撲滅ににつながると言えます。

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