世界一深い海溝をランキングにして紹介していきます。マリアナ海溝から日本海溝まで、最も深い11の海溝を確認していきましょう。
大陸を囲む大洋や海は、地球表面のおよそ70%をカバーすると言われ、海中には地球の表面で言うところの、高原、谷、平野、山、盆地に似た構造を見つけることが出来ます。
そして、これら海中で見つかる構造は、地上にあるものと比べて巨大なのが特徴。
海中にある山は地上にある山よりも高く、同じように海中にある平野は地上のものよりも大きく広がり、これは、海中にある谷底や盆地と言える海溝にも当てはまります。
海溝とは「海底が細長い溝状に深くなっている場所」のことで、世界中の海にはいくつもの海溝が存在していますが、その中には圧倒されるほどの深さを誇るものが見つかるのです。
この記事では、世界にある海溝の中から深さでトップ11にランクインする海溝を紹介していきます。
世界一深い海溝ランキング1:マリアナ海溝
「世界一深い海」や「世界一深い海溝」とされるのが、北西太平洋に位置するマリアナ海溝。
さらに詳しく言えば、世界で最も深いこの海溝の中でも「チャレンジャー海淵(かいえん)」と呼ばれる部分が、世界で最も深いとされ、10,994mにもなる最深部の深さによって、マリアナ海溝はギネス世界記録にも「世界一深い海溝」として認定されています。
また公式な記録とは認められなかったものの、1957年にソ連によって行われた計測では、11,034mという報告もありました。
そんなマリアナ海溝は、全長が約2,550kmなのに対して幅は平均69kmと、細長い三日月形の傷のような形状をしているのが特徴です。
マリアナ海溝の深い穴(溝)は、海洋にあるリソスフェア(地球の地殻とマントル最上部の固い岩盤を併せた部分)の一点に向かって動こうとした、プレート同士の衝突によって生まれました。
衝突の最中に、ある一つのプレートがマントルへ向かって下がり、そのプレートが下に向かって折れ曲がったことにより、二つのプレートが接触する線上に窪みが生まれたのです。
ちなみにマリアナ海溝の底では、海底の水圧の高さから水の密度が4.96%も高くなり、また、その水圧は108.6MPa(1cm²に1,086kgの重さがかかる)となり、地上で掛かる圧力のおよそ1080倍もの高さになります。
一方で、そのような過酷な環境にも関わらずマリアナ海溝には生き物が棲息しており、これまでの調査の結果、カレイ、大型のエビ、巨大な甲殻類、そして深海に適応した一部の魚などが確認されています。
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世界一深い海溝ランキング2:トンガ海溝
トンガ海溝は太平洋の南西部と、トンガ諸島の東から南方に伸びるトンガ・ケルマデック海溝が沈み込む部分の最北端に位置する世界で、世界最深級にの水深を誇る世界で2番目に深い海溝。
最深部は10,800m±10mとされますが、中には10,882mという記録が残っていたり、2019年に潜水艇に乗って実際に人が最深部まで降りていった際には、10823m±10mという数値が計測されたりしています。
(濃い青の部分がトンガ海溝)
このトンガ海溝の最深部はホライゾン海淵と呼ばれ、そこには多くの堆積物と一緒に何種類かの生物も棲息しており、チャレンジャー海淵に次いで二番目に深く、南半球では一番深い場所です。
また、トンガ海溝は太平洋プレートがトンガプレートの下に沈み込んで出来たと考えられており、ニュージーランドの北島から北東に向かってトンガまで2500kmほど伸びています。
さらに、トンガ海溝を形作ったプレートの動きは、日本海溝やマリアナ海溝にある火山の噴火を引き起こしていることでも知られます。
世界一深い海溝ランキング3:フィリピン海溝
フィリピン諸島東方のフィリピン海西端にある海溝のフィリピン海溝には、ガラテア海淵と呼ばれるこの海溝で最も深い部分がありますが、その水深はなんと10,540mにもおよび、フィリピン海溝は世界で三番目に深い海溝としてランクイン。
(フィリピン東部の沿岸部を縦に走るのがフィリピン海溝)
全長は1,320km、幅は30kmとなり、フィリピンの東部に広がっています。
また、ミンダナオ海溝としても知られるこの海溝は、平均的な水深でさえ6000mを超えることから、1970年までは「世界で一番深い場所だと考えられていた」歴史を持ちます。
そんなフィリピン海溝は、ユーラシアプレートと小さなフィリピンプレートの衝突によって、何百万年も前に生まれました。
そして、フィリピン海溝があるフィリピン海には他にも、マニラ海溝、東ルソン海溝、ネグロス海溝、スールー海溝、そしてコタバト海溝といった比較的有名な海溝がありますが、この中ではフィリピン海溝が最も際立っています。
世界一深い海溝ランキング4:ケルマデック海溝
世界一深い海溝ランキングで2位にランクインするトンガ海溝は、トンガ・ケルマデック海溝の北に位置する海溝ですが、一方でトンガ・ケルマデック海溝の南半分に当たるのが、世界で4番目に深い海溝とされるケルデマック海溝。
この海溝は、太平洋南西部にある70以上の海山からなる列である「ルイビル海山列」と、ヒクランギ海台の間に、1,000kmに渡って広がっており、北にあるトンガ海溝と共に2,000kmにも及ぶ直線に近い形のケルマデック・トンガ海溝を形成しています。
(濃い紫のラインの北がトンガ海溝で南がケルマデック海溝)
そして、太平洋プレートがインド・オーストラリアプレートの下に沈むことで作られたケルマデック海溝の最深部の深さは10,040mに及び、世界で4つしかない10,000m級の海溝の1つとなっています。
この海溝には様々な種類の生物が生息しています。
例えば、海溝の底では、全長が約34cmにもなる巨大な端脚類(たんきゃくるい, ヨコエビなどの甲殻類の1つ)が確認されています。
また数年前、ケルマデック海溝は大々的にニュースで取り上げられたことがありました。
無人潜水機のネーレウスが、ケルマデック海溝の調査中に水深9,900mの地点で高い水圧により破裂したのが原因です。
世界一深い海溝ランキング5:伊豆・小笠原海溝
太平洋にあり、日本の房総半島沖から南東方向に連なる伊豆・小笠原海溝は、最深部が水深9,780m、環境庁によると水深9,788mになる世界で5番目に深い海溝。
(紫のラインの北側が伊豆・ボニン海溝で南側がマリアナ海溝)
フィリンピン海プレートと太平洋プレートが沈むことで誕生したこの海溝はまた、「伊豆・ボニン海溝」としても知られており、日本からマリアナ海溝の北部へと続くことから、マリアナ海溝が延長したものだとされることもあり、マリアナ海溝と合わせて「伊豆・小笠原・マリアナ海溝」と呼ばれることもあります。
ただし、通常、両者は分けて考えられることが多く、この場合、小笠原諸島に含まれる母島から南東にいったやや浅い部分が、一般的には2つの海溝の境界線とされます。
世界一深い海溝ランキング6:千島・カムチャッカ海溝
太平洋北西部のカムチャツカ半島南部に発し、千島列島南岸に沿って北海道南東部に至るのが「千島・カムチャッカ海溝」。
(出典:wikipedia)
別名「千島海溝」と呼ばれるこの深い海溝は、最深部で9,550mに達し、また、その大部分は7,000m以上であるなど、全体的に非常に深い海溝として知られ、この地域での海底火山の活動を引き起こしていると考えられています。
地球上の2つのプレートが出会うことで、下にある方のプレートが滑ってマントルに1年で数cm沈み込む場所は「沈み込み帯」と呼ばれますが、この千島・カムチャッカ海溝を作った沈み込み帯は、白亜紀後期に発達したものだと言われます。
そしてまた、この沈み込み帯は千島列島とカムチャッカ火山弧を生み出しました。
世界一深い海溝ランキング7:ヤップ海溝
西太平洋・フィリピン海南部にあるヤップ海溝は、世界で最も深いマリアナ海溝の南端から連なる海溝。
(赤色の矢印の先がヤップ海溝, 出典:ResarchGate)
1990年代前半までは、最も深い場所で8,650mとされていましたが、1995年に行われた「よこすか」による海底地形調査によって新しい最深部が見つかり、現在は8,946mの地点が最も深いとされる、世界で7番目に深い海溝です。
フィリピン海プレート、太平洋プレート、カロリンプレートの境界に位置し、総延長は700kmとなり、北北東から南南西方向へ伸びています。
また、太平洋の周囲を取り巻く火山帯である「環太平洋火山帯」の一部を形成している海溝でもあります。
世界一深い海溝ランキング8:プエルトリコ海溝
プエルトリコ海溝は、カリブ海と大西洋の間に位置し、プエルトリコのすぐ北側に東西に伸びる海溝。
この地域では最も深い海で、地球上でもトップ10にランクインする深い海溝であり、この地域に多くの大規模な津波や地震を引き起こしてきました。
その最深部とされるミルウォーキー海淵の水深については大きく分けて2つの数値があり、1つは8,376mとされるもの、もう一方は8,605mとされるもので、後者の場合だと世界で8番目に深い海溝となります。
この海溝の完全なる全体像を掴もうする努力は、かなり前から行われていました。
最初にプエルトリコ海溝の海底を調査したのは、フランスの深海探査艇であったアルシメードで1964年のことでした。
その後、2012年にロボット車両式の探査機がこの海溝の特質を調査するために送り込まれ、2018年には、ヴィクター・ヴェスコーヴォという名前のアメリカ人探検が、リミティング・ファクター号に乗船して海面に下ろされ、約2.5時間の下降の後に8,376mの海底に到達しました。
世界一深い海溝ランキング9:サウスサンドウィッチ海溝
プエルトリコ海溝に次いで大西洋で深い場所として知られるのが、サウスサンドウィッチ海溝。
プエルトリコ海溝と同様に、その最深部の深さに関しては大きく2つの説があり、1つは2019年に確認された8,266mという数値で、もう1つは8,428mという数値です。
南アメリカプレートの最南端の部分が、小さなサウスサンドウィッチプレートの下に沈み込んで出来たサウスサンドウィッチ海溝は、活火山弧とも連携しており、その全長は956km。
サウスサンドウィッチ諸島の約100km東を南北に走ります。
世界一深い海溝ランキング10:ペルー・チリ海溝
ペルー・チリ海溝、別名アタカマ海溝は、東太平洋のペルーとチリの沖合約160kmのところに位置している海溝で、世界にある海溝の中では10番目に深い海溝。
最深部「リチャーズ海淵」は水深8,065mに達します。
ナスカプレートの東端が、南アメリカプレートの下に沈み込み、プレート同士が接近している境界「収束型境界」が出来た結果、誕生しました。
一方で、その全長は約5,900kmで平均的な幅は64km、また面積は約50万㎢と、長さや面積の大きさではトップクラスです。
世界一深い海溝ランキング11:日本海溝
日本列島の東側に位置する海溝には、日本海溝と呼ばれる環太平洋火山帯の一部を形成する海溝があります。
海洋プレートの太平洋プレートが、大陸プレートのオホーツクプレートの下へ沈んだことで誕生しました。
最も深い地点は8,020mと言うのが最も一般的に知られていますが、2009年に公開された論文で最深部は8,046mになると発表されています。
ちなみに日本海溝の北側は千島・カムチャッカ海溝へ、南側は伊豆・小笠原海溝へそれぞれ続くため、日本海溝はこの両海溝の延長であるとの見方もあります。
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世界一深い海溝ランキング!最も深い海溝トップ11を紹介!のまとめ
世界一深い海溝トップ11をランキング形式で紹介してきました。
世界の表面の大部分をカバーする海には、人間がまだ知らない不思議なことがたくさん隠されています。
その1つがこれら圧倒的な深さを誇る海溝。
深海部分は調査するのが非常に困難なため、海溝の詳細についてはあまり知られていないのです。