マレーシアの民族について見ていきましょう。マレーシアは、マレー人、華人、インド系住民の主要民族に加えて、オラン・アスリと呼ばれる少数先住民達やその他の民族から成り立つ多民族国家です。
東南アジアには特徴的な文化を持つ国々がいくつもあり、その地域するマレーシアもまた独特な国。
日本の90%近い国土面積を有するのに対して人口数はわずか3000万人程度ですが、諸外国との領土問題をめぐる複雑な歴史が繰り返されてきた結果、アジアの一国でありながらも他とは違った国際色豊かな独特の文化風土を産み出し、さらに、非常に複雑な文化背景をもつ多民族国家として成長してきました。
マレー系、中華系(華人)、インド系の3つの主要民族に加え、元々マレーシアにいた少数先住民達「オラン・アスリ」や、その他の異なる複数の民族達が共存し、民族構成が極めて複雑な国の一つとして世界的に知られています。
この記事では、そんなマレーシアにおける民族構成を知るためにも、マレーシアの民族についてまとめていこうと思います。
マレーシアの民族① マレー系
マレーシアに住む人々の大多数は民族的にはマレー人(マレー系)に分類されますが、これは驚くべきことではありません。
マレー人はマレー・ポリネシア語族に属し、1500年ほど前にボルネオ島、スマトラ島、そしてマレー半島にまで移り住んできた人々の子孫のことで、オーストロネシア語族・西オーストロネシア語派に属するマレー語を話します。
そんなマレー人は、マレーシア政府によって発表された2015年のデータによると、マレーシア 人口のおよそ50%を占めているとされ(出典:Population by States and Ethnic Group”. )、多数派であることから国家経済や文化、政治面にも強い影響力を持っています。
また、マレー人の多くは現在、イスラム教スンナ派に属しています。
これは、マレーシアにイスラム教が伝わった15世紀から始まっていったことで、当時のマレー王朝であるマラッカ王国が、イスラム教へ改宗したことに遡ります。
結果、多数派のマレー人の国であると言える現在のマレーシアの国教はイスラム教に定められていると同時に、マレー人にとってイスラム教は、民族性やアイデンティティの1つとも言えるほど重要になっています。
マレーシアの民族② 中華系(華人)
マレーシアで2番目に数の多い中華系民族は、マレー系の人々と異なりマレー半島土着の民族ではなく、その名前から分かる通り、中国を起源とする人々です。
また、中華系マレーシア人達は、自分たちのルーツである中国語を操れる人が多いですが、その中国は北京語(標準中国語)ではなく、広東語や福建語、客家語、潮州語(まれに上海語)といった南方系方言であるのが一般的です。
国内人口の約23%を占め、その多くは19世紀に英国植民地時代の錫鉱労働者として中国本土から渡ってきた移民をルーツに持ち、また、一部の人々はそれ以前の時代から貿易業を営んでいました。
ちなみに、中華系と総称されていますが、民族的にはさらに細かいグループに分かれており、マレーシア国内にはそれぞれのコミュニティが生活しています。
広東語話者はマレーシアの首都近郊、北京語話者は南部、そして福建語話者は北部に集中しているといった具合です。
マレーシアの民族③ インド系
3番目に多いのが人口の約6.5〜7%を占めるインド系。
19世紀後半から20世紀初頭にかけて大英帝国が最盛期を迎えていた時代、インド出身者は商機を求めて大英帝国の領土内を移動することが可能で、中には大英帝国の植民地であったマレーシアにやってきた者達もいました。
また、多くのインド人が労働力としてイギリス人によってこの地へ連れられてきました。特に、鉄道建設や大規模農園での労働力として重宝されたのです。
それが、現在のマレーシアに住むインド系住民の多くの祖先達です。
ただし、インド系と言っても、民族的にはさらに細かく分けることが可能で、例えば、タミル人、パンジャーブ人、テルグ人などが含まれ、中でも南インド出身のタミル人達はインド系マレーシア人全体の約85%を占めるとされます。
そして、インド系マレーシア人の間では主に、ヒンドゥー教、イスラム教、シク教が信仰されていますが、およそ85%の人々はヒンドゥー教を信仰しています。
マレーシアの民族④ オラン・アスリ
オラン・アスリとは単一の民族を表すものではなく、マレー半島の先住少数民族全般を指す言葉です。
オラン・アスリという語には「元々の人々」という意味があるとされ、マレーシア国内には複数の少数先住民族のグループがあります。
オンス・アリには18の民族が含まれ、主にマレーシアに住んでいる民族の数は17。多くはサバ州やサラワク州に居住しています。
また、こうした地域の土着信仰の多くは、キリスト教やイスラム教の伝来とともに淘汰されてきました。
さらに、人々の大半は今なお長屋での共同生活を送っている一方で、こうした共同体においてマレー風の文化の影響は色濃くなっています。
そして、現在でもオラン・アスリが住民の大半を占めるサバ州、サラワク州一帯ではマレー人は少数派です。
以下にオラン・アスリに含まれる民族の例をいくつか挙げてみましょう。
カダザン・ドゥスン族、バジャウ族、ムルット族
サバ州に居住する最大の民族集団はカダザン・ドゥスン族、バジャウ族、ムルット族などで、その大半が水田耕作やその他の農業活動に従事し、全国的に人気がある精巧なビーズ細工の技術を持ち、古くから一部遊牧的な生活を営んできました。
また、バジャウ族は魚をとりながら船上で生活し、ムルット族は吹き矢を用いた狩猟民族で知られますが、どちらも食料を求めて住みついた人々です。
こうした民族に属する人々も現在は定住化が進んでいますが、伝統的な慣習は残っています。
ダヤク族
また、オラン・アスリの1つでボルネオ島を中心に居住する人々の多くはダヤク族と呼ばれ、さらに、亜民族と言える異なる類型に分けることが出来ます。
例えば、イバン族、ビダユ族、オラン・ウル族などです。
そんな、ダヤク族と総称される人々の持つサラワク文化の特徴は、100世帯は収容できるような長屋で営む村全体の共同生活にあります。
また、現在は多くの人々が農業や漁業に従事しており、サバ州同様にビーズ細工を始めとする伝統的な工芸品を作っています。
マレーシアの民族⑤ その他の民族グループ
マレーシアの民族として上記に挙げた以外にも、多民族国家マレーシアにはまだまだ異なる民族集団がいます。
例えば、ユーラシアンと呼ばれる、旧宗主国からやってきたヨーロッパ人とアジア系住民の混血や、チンディアンと呼ばれる中華系住民とインド系住民の混血、そして、中東、ネパール、フィリピン、ミャンパマー、ベトナムなどからの移民の子孫達です。
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マレーシアの民族構成|マレー人・華人・インド系・オランアスリのまとめ
東南アジアに位置するマレーシアには約3000万人が住んでいますが、人口の約半数がマレー族で、多数派として国を代表する民族とみられています。
そして、2番目に大きな中華系と3番目に大きなインド系で、3つの主要民族グループを形成しています。
ただし、マレーシアにはマレー半島に元々住んでいた少数民族達や、その他の移民の子孫なども多く暮らしており、こういった民族的背景によって、マレーシアは国際色豊かで、あらゆる面で独特な文化を持つ興味深い国となっているのです。