ジャワ人の特徴や文化を見ていきましょう。多民族国家インドネシアにおいて最大の人口規模を誇り、非常に礼儀正しい人々です。
東南アジアの国インドネシアは多民族国家の一つ。
そこには大小様々な300を超える民族が住んでいると言われ、なかでも最大規模を誇るのがジャワ人と呼ばれる人々です。
ジャワ人の人口規模は非常に大きく、インドネシア国内のおよそ40%を占めるだけでなく、諸外国にも比較的大きなコミュニティを作って暮らしています。
この記事ではそんなジャワ人達について詳しく見ていこうと思います。
ジャワ人とは?
ジャワ人とはインドネシアのジャワ島の先住民族の一つ。
ジャワ島へ紀元前1500〜紀元前1000年に移ってきた台湾を起源とする人々だと考えられており、その数はインドネシア内でおよそ9500万人(2010年当時。現在は1億人を超えていると考えられる)、インドネシア国内人口全体の40%を占める最大民族グループです。
人口はジャワ島の中部と東部を中心に集中している一方、インドネシア全体にも生活拠点が広がっており、また、海外への出稼ぎや移住によって、周辺国を含めた外国にも比較的多くのジャワ人が住んでいます。
例えば、
- マレーシア:150万人
- サウジアラビア:150万人
- 台湾:19〜24万人
- 香港:15万人
- シンガポール:15万人
- UAE:11〜12万人
を筆頭に、他にもスリナム、中国、ヨルダン、カタール、オランダ、オーストラリアなどの諸外国に、大小様々な規模のコミュニティを抱えるため、世界全体のジャワ人の人口規模は1億〜1億1千万ほどに上るのではないでしょうか。
イスラム教が大半を占めるジャワ人
ジャワ人の大多数はイスラム教徒ですが、ヒンドゥー教、仏教、土着の宗教(土地の霊に対する信仰など)、イスラム教(特にスーフィー教)の影響を受けた「ケジャウェン」も伝統的な信仰として残っており、イスラム教の戒律を厳格に守っているジャワ人はそこまで多くありません。
また、数は少ないもののキリスト教徒や仏教徒、そしてヒンドゥー教徒などもいます。
言語はジャワ語
インドネシアに住むジャワ人の多くはジャワ語(オーストロネシア語族の言語)を話します。
しかし、ジャワ語はインドネシアの公用語ではないため、住人の大多数がジャワ人でない地域に住むジャワ人達は通常、インドネシア語も喋れるバイリンガルであることがほとんどです。
ただし、ジャワ人が多数派でない地域に生まれたジャワ人の中には、インドネシア語しか喋れない人達もいるようです。
また、ジャワ語はブラーフミー文字(古代にインド周辺で発生し、南アジア、東南アジア、チベット、モンゴルのほとんどの文字体系の祖となった文字)から派生した「ハナカラカ(Hanacaraka)」という文字で表記されてきましたが、インドネシアの独立と同時に、現在はラテンアルファベットに置き換えられています。
加えて、同じジャワ語でも話し言葉は、
- くだけた話し方
- 丁寧語・敬語
- くだけた話し方と丁寧語・敬語の中間
の3つに大きく分けることが出来、話し相手の社会的ステータスなどによって、微妙に表現方法が異なってくる特徴を持ちます。
インドネシア最大の民族ジャワ人に関する特徴的な5つの話
ジャワ人の文化は礼儀正しさで良く知られている
世界的に見てもジャワ人は、礼儀を重んじるという点で優れた人々。
例えば、ジャワ人に道を開けてあげれば、必ず小さなお辞儀と一緒にお礼を言ってくれます。
また、言葉遣いにも大変気遣いが行き届いており、大抵の場合は相手の気持ちを気にしながら丁寧な言葉を選んで話に耳を傾けてくれます。
そして、ルールを守るという点でも優れており、その場所で禁止されていることや避けるべきことなどに関しては、可能な限り遵守しようと心がけてくれる人たちなんです。
ジャワ人のテーブルマナー
また、礼儀正しさに関連して、ジャワ人のテーブルマナーについても触れておきます。
ジャワ人のマナーでは、食事中に席を立つのは不作法。
そのため、ジャワ人の伝統文化の中では西洋諸国のように立食パーティーはまず行われません。
また、ジャワ人の人たちは食事中、周りの人に気を使い、極力音を立てないように食事することを心がけ、そのためにもスプーンやお皿をとても丁寧に使うのがマナーだとされています。
ジャワ人の生活について
典型的なジャワ人の家庭は両親とその子供達で構成されていますが、他の親戚が一緒に住んでいることもあります。
そして、結婚に関しては恋愛結婚もあるものの、両親によってアレンジされたお見合い結婚が多く、また他のイスラム教徒と比べて、ジャワ人社会では女性は比較的自由に夫と別れることが出来るため、離婚も容易であるのが特徴です。
(出典:fineartamerica)
また、都会に住むジャワ人の多くは伝統や慣習を守りながらも、近代的なアパートに住んでオフィスワークなどに従事している人も多い一方、農村部に住むジャワ人は農業に従事する人が多く、米を中心に、トウモロコシやキャッサバ、ピーナッツ、大豆などを育てて生計を立てています。
独自の暦を持っている
ジャワ人のコミュニティには、イスラム教、ヒンドゥー教(仏教)、ヨーロッパの文化が融合した独自の暦が存在します。
この暦では2つの周期が含まれるのが特徴で、次のようなものです。
- 一般的なカレンダーのようなサイクル
- 7日間単位のサイクル
- 「ペカン・パンカワラ」と呼ばれるサイクル
- パサランという5日間のみで構成される
世代間で受け継がれる独特な文化
ジャワ人は先祖から代々文化が受け継がれており、世代を超えて伝統や慣習を維持してきている民族です。
そして、この「一つの世代から次の世代へ慣習を保持すること」は「nguri-nguri budaya Jawa」と呼ばれ、その結果、独特の芸術、伝統、儀式、哲学などが維持されると同時に、ケジャウェンのような、ヒンドゥー教、仏教、イスラム教、土着の信仰などが融合した独特の信仰または慣習が生まれてきたのです。
ウェトン(Weton)という占星術が存在する
ジャワ人のコミュニティにはウェトン(Weton)と呼ばれる占星術が存在します。
このウェトンでは、人の性格、性質、運命を占うことが出来るとされ、ジャワ人にとっては人生の一つの道しるべのような形で用いられるらしい。
ちなみにジャワ人の社会には、ジャワ人としての規範的な行動を描写した7つの基本哲学が存在すると言われ、その一つが、「アロン‐アロン・ワトン・クラコン(Alon-alon waton klakon)」という安全に関する哲学。
これは、「慎重さ、警戒感、粘り強さ、安全」についての深い考えに基づいており、人生の教訓として「常に注意を怠るな」という考えに結びつき、ジャワ人がウェトンを一つの道しるべとする理由なのかもしれません。
そして同時に、マナーやルールを守るジャワ人の特徴も表していると言えるかもしれません。
インドネシアの公用語ではないのにGoogle翻訳に採用されている
インドネシアにおいてジャワ語は国の公用語ではありません。
しかし、インドネシア人口の40%がジャワ人であることから、インターネットの普及によってジャワ語の需要が高まった結果、2013年からGoogle翻訳に採用されるようになっています。
そのため以前はなかったものの、現在、Google翻訳を立ち上げると、言語翻訳のオプションにジャワ後が含まれているのが確認出来ます。
また、このことからも予想できる通り、インドネシアにおいて最も利用される検索エンジンはGoogleです。
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ジャワ人の特徴や文化|インドネシアの最大民族でジャワ島に昔から住む人々のまとめ
インドネシア人口のおよそ40%を占める、インドネシア国内最大民族のジャワ人について見てきました。
ジャワ人はとても独特で興味深い人々。
インドネシアを訪れる機会があれば、ジャワ人の最大拠点であるジャワ島を訪れてみて、より詳しく現地で伝統的なダンスや音楽、そして食文化などに触れてみるのも良いかもしれません。