ミャンマーの民族|ビルマ族からカヤー族まで主要な8民族

ミャンマーの民族について見ていきましょう。ビルマ族からカヤー族まで、ミャンマーの主要な8つの民族集団を紹介していきます。

ミャンマー連邦共和国、通称ミャンマーは、東南アジアのインドシナ半島西部に位置する国で、北東で中国、東でラオス、南東でタイ、西でバングラデシュ、北西でインド、南西でアンダマン海のベンガル湾と接します。

そして、異なる国と国境を接する地理的な理由から、歴史の中でミャンマーには、様々な民族が入って定住し、同時に多様な文化が花開いてきました。

現在、ミャンマー政府が公式に認めた民族集団の数は135にも及びます。

この記事では、その多くのミャンマーに暮らす民族集団の中から、特に抑えておきたい主要な8つの民族集団を一覧にして、それぞれを簡単に紹介していこうと思います。

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ミャンマーの民族1:ビルマ族

自称「バマー族」、通称「ビルマ族」と呼ばれる人々は、ミャンマー国内の人口の過半数以上を占める、ミャンマー最大の民族集団。

ミャンマーの総人口の約68%がビルマ族と言われます。

多くの亜部族が含まれ、また、彼らの民族衣装や文化などは、他の様々な民族の影響を受けて発展してきました。

そして、ビルマ族のおよそ9割に及ぶ人々は上座部仏教を信仰していることもあり、ミャンマーでは仏教徒が多数派となっています。

また、ビルマ族が話すビルマ語はミャンマーの公用語です。

ミャンマーの民族2:モン族

モン族は東南アジアに住み着いた最初の集団の一つと呼ばれる人々。

伝統的な民族衣装であるロンジーと、その勇気と純潔を表す伝統的なロンジーの赤色は、モン族を語る際にしばしば話題となります。

紀元前1500年頃には東南アジアに到達していたと推測されており、また、後に現在のミャンマーのバゴーがある土地に移ってきたことで、ミャンマーに最初に定住した人々となりました。

古くからの豊かな伝統と文化を受け継いでおり、ミャンマーに文字と仏教をもたらしたのも、推計人口800万に及ぶモン族だと言います。

そのため、大多数が仏教徒(上座部仏教徒)であり、その文化はかなりの点で仏教の影響を受けています。

そしてまた、モン族の文化と言語は、古代ビルマとタイで支配的だったことでも知られます。

ちなみに、モン族のほとんどが暮らすモン州は、ミャンマー南部でバゴー地方域、タニンダーリ地方域、そして、カイン州と接しており、アンダマン海に面した美しいビーチで有名です。

ミャンマーの民族3:カイン族

カイン族またはカレン族やヤン族と呼ばれる人々は、推計人口およそ700万人のミャンマー最大の民族集団。

カイン族にも亜部族が含まれ、それぞれ独自の言語的特徴と名前を有し、例えば、最大グループのスゴー族とポー族では異なる方言が話されています。

なかでもこのスゴー族はカイン族の中心的集団であり、その人口は100万人以上。

カイン州の山岳地帯とシャン州高地に集落を作って暮らしている他、イラワジ川とシッタウン川のデルタにも少数が暮らしています。

一方で、スゴー族に次いで大きなカイン族系部族のポー族は、約75万人の人口規模を有して主にイラワジ川デルタに暮らしています。

ちなみに、カイン州はズウェカウィン山、洞窟、仏教寺院などで知られる場所です。

ミャンマーの民族4:シャン族

シャン族もミャンマー最大級の民族集団の一つ。

その多くはミャンマー東部のシャン州で暮らしており、一部は北部のカチン州や中国、タイ、そして国境を接するラオスに暮らしています。

全世界では最大で約600万人のシャン族がいるとされ、そのうち、ミャンマーには最大500万人が住んんでいます。

そのシャン族は人口のほぼ全てが上座部仏教徒であり、シャン族の言語とされるシャン語は大きく三つに分けられ、タイ語と似ているのが特徴。

東部方言はタイ北部の方言に似ており、南部の方言にはミャンマー語からの借用語があり、北部方言は中国語の影響を受けています。

また、食に関して、シャン族の麺は伝統食として有名です。

ちなみに、シャン族の多くが住むシャン州は、シャン族の土地として知られますが、そこには他にも、コーカン族、ラフ族、パラウン族、パオー族、ワ族といった多くの民族の小集団が暮らしており、中でもコーカン族とワ族はそれなりの人口規模を抱え、特にワ族はシャン州の中で事実上の支配地域を確立しています。

ミャンマーの民族5:ラカイン族

(出典:wikipedia

ラカイン族はアラカン族とも呼ばれ、ミャンマー北西部のベンガル湾沿いに広がるラカイン州のアラカン地域で最大の民族集団。

一部はバングラデシュ南東部の地域に暮らします。

紀元前から王国を築いてきた古い歴史を持ち、ミャンマーの総人口の5〜6%にあたる300万人前後の人口規模を有し、そのほとんどは上座部仏教を信仰。

また、ラカイン族にはムロ族、テット族、クミ族など多くの亜部族が含まれます。

そして、伝統的な踊りでも知られ、彼らが暮らすラカイン州には美しい場所が多くあります。

ミャンマーの民族6:チン族

チン族はミャンマー北西部のチン州で暮らしている民族集団。

総人口の推計は約150万人で、チベット・ビルマ諸語を話し、そこには他の民族集団と同じように異なる亜部族が含まれることから、それぞれの集団と居住地域によって、異なる方言が話されています。

また、イギリス植民地時代には多くのイギリス人宣教師がこの地へやって来て宣教活動を行ったため、チン族人口の80〜90%はキリスト教徒だとされます。

ただし、中には上座部仏教とともに部族信仰を守っている少数派もいます。

そして、チン州は素晴らしい景観をもつビクトリア山とレー湖で有名ですが、そこで見つかるチン族の村は通常、数百軒の家から成り、また伝統的に各戸独立式で、村ごとに長老会議や首長によって管理されてきました。

ミャンマーの民族7:カチン族

カチン族は、主にミャンマー北東部、そして中国およびインドとの国境地帯に暮らしている民族集団で、ミャンマーにおいては有数の民族の1つ。

カチン族の多くが暮らすミャンマーの州はその名も「カチン州」で、カチン族について語られる時には一緒に名前が挙がるミャンマー最北の州であり、州内にあるカカボラジ山は、標高5,889mを誇るミャンマー最高峰として有名。

また、カチン州は景観が美しいことで知られるだけでなく、翡翠のような天然資源でも知られます。

そして、カチン族は言語的に多様な民族であり、そこにはジンポー族、マル族、ラシ族、アツィ族、リス族、ラワン族といった亜部族グループが含まれますが、基本的な共通語としてはカチン語と呼ばれるジンポー語が使われているのが特徴です。

全体の推計人口は100〜150万人であり、その半分以上はキリスト教徒とされます。

ミャンマーの民族8:カヤー族

カヤー族の人々は赤カヤー族またはカレンニー族とも呼ばれ、タイとの国境地帯のカイン州と、ミャンマー東部のシャン州の間の山岳地帯で孤立して生活しています。

(出典:wikipedia

人口推計約30万人とされるカヤー族の人々は、ミャンマー最古の先住民族で、6〜7世紀に中国から移住してきました。

そして、植民地時代にキリスト教の宣教活動が行われたため、カヤー族の多くはキリスト教を信仰していることで知られ、また、仏教徒も比較的多くいるとされます。

一方、キリスト教も仏教も広く信仰されているのにも関わらず、カヤー族の間では今日でも精霊信仰が重要な位置を占めています。

ちなみに、カヤー族とカレンニー族は同義的に扱われることがほとんどですが、カレンニー族はかやー族に含まれる1つの集団だとされることもあります。

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