アメリカの人種・民族構成|白人・黒人・アジア人・先住民族

アメリカの人種・民族構成について大まかに見ていきましょう。白人、黒人、アジア人、先住民族など、人種のるつぼと言われるアメリカを知る上では押さえておきたいことです。

世界最大の経済大国である「アメリカ合衆国」に対しては、「人種のるつぼ」というイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。

実際、世界一の経済大国として、また、アメリカ国内でも使用される英語が事実上の世界言語となっている現代の国際社会において、アメリカは大きな存在感を示してきた結果、同国にはこれまで異なる人種背景や民族背景を抱える人々が多く移り住んできました。

そのため、アメリカ国内には少数先住民のルーツを持つ人々までを考慮した場合、数百から1千近い民族的背景を持つ人々が集まっていると言え、実際に人種のるつぼと言える状況が生まれているのです。

この記事では、そんなアメリカの人種と民族状況について簡単な紹介をしていこうと思います。

アメリカの国税調査で分類される主要な人種グループを見ていき、また、その中では民族的な解説も加えていきます。

ちなみに、ここでいう人種と民族とはそれぞれ、

  • 人種
    • → 骨格・皮膚・毛髪などの形質的特徴によって分けた人々の区分
  • 民族
    • → 文化的な共通点によって分けられた人々の集団

となります。

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アメリカの人種や民族の後世状況

「人種のるつぼ」と呼ばれるアメリカ合衆国の人種や民族後世状況を、大まかにですが確認していきましょう。

アメリカの人種・民族:白人系

アメリカの国勢調査やその他の調査によると、実施年度や調査ごとによって多少の差はあるものの、アメリカ全国民の75〜80%が「白人」に分類されます。

しかしこれはどういうことでしょうか。

まず、国勢調査ではこの「白人」という項目は基本的に「ヨーロッパ系の祖先をもつ人々」を意味し、例外としてアラブ系、ペルシャ系、(人種的な)ユダヤ系なども含まれます。

つまり、人種で言えば「コーカソイド」に分類される人々のことです。

そして現在、彼らの大半が英語を話し、そのルーツに関わらず「白人系アメリカ人」として分類され、このことがまた、アメリカは今だに白人国家であるとイメージされる理由の1つです。

ただ、1つにまとめられる「白人系アメリカ人」を掘り下げてみると、ヨーロッパの多様な民族にルーツを持つ人々によって複雑に織りなされていることがわかります。

最大の白人系アメリカ人民族グループはドイツ系

アメリカ国内におけるヨーロッパ系の最大民族グループは、19世紀に集団移民してきたドイツ系の人々で、その割合は全体の約17%。

その後に続くのが、入植順にアイルランド系(約12%)とイギリス系(約9%)で、この3つのヨーロッパ系アメリカ人グループだけで、アメリカ人口の40%程度を占めています。

そして、その後にイタリア系、ポーランド系、フランス系、スコットランド系、オランダ系、ノルウェー系、スウェーデン系、ロシア系、ウェールズ系、チェコ系、ハンガリー系、スペイン系、ポルトガル系、デンマーク系、ギリシャ系などが続き、実に多様なヨーロッパ各国が白人系アメリカ人の起源として挙げられるのです。

ちなみに、この白人系アメリカ人の中でも南部に集中している人々は、自分たちのことを「ホワイト・アメリカン(白人系アメリカ人)」という民族的なグループとして考える傾向にあります。

ヒスパニックやラティーノ

上に見た白人系アメリカ人の中には、アメリカ合衆国内で比較的よく見かける、あるヨーロッパ系の集団が抜けていることに気づくかもしれません。

その集団とはヒスパニックとラティーノグループで、ヒスパニックとはスペイン語圏を起源に持つ人々であり、ラティーノはスペイン語に関係なく南米を起源に持つ人々のことです。

では、なぜこの2つのグループが上記の解説に含まれていなかったかというと、アメリカの国勢調査ではヒスパニックおよびラティーノは、民族的に分類したグループとして別項目に載せているから。

この2つのグループはアメリカ国内で強烈な存在感を示しているため、多くの人口調査において個別に数えられる傾向にあるのが理由です。

アメリカ国民全体の約17%がヒスパニックおよびラティーノに分類され、その3分の2がアメリカの南に位置する隣国メキシコの出身者で占められています。

このことは、アメリカ南西部の大半は1848年までメキシコの一部だったことを考えれば、驚くべきことではありません。

そして、メキシコ以外の国ではプエルトリコ、キューバ、ドミニカ、コスタリカ、グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグア、パナマ、エルサルバドル、アルゼンチン、ボリビア、チリ、エクアドル、パラグアイ、ペルー、ベネズエラの出身者がおり、ヨーロッパ出身者同様に非常に幅広い地域から成ります。

ただし、ここで1つ注意しておかなければならないのが、ヒスパニックおよびラティーノとは人種の分類ではないため、白人系が大半を占めているものの、中には異なる人種、例えば黒人系やアジア系なども少なからず含まれている点です。

アメリカの人種・民族:黒人系

アメリカ国内で2番目に人口が多いのがアフリカ系アメリカ人。

つまり、「黒人系アメリカ人」に分類される人々で、全人口のおよそ13%に相当します。

現在アメリカにいる黒人の大多数は祖先がアフリカへルーツを持ちますが、自身はアメリカ国内で産まれています。

彼らの多くは西・中央アフリカから直接北アメリカに送り込まれた奴隷か、カリブ海を経由して北半球に送り込まれた奴隷、いずれかの子孫ですが、1865年に奴隷制度が廃止された後にアメリカへやってきた家系もかなりの数存在。

国内にいる約300万人は、エチオピア、ガーナ、ナイジェリア、ソマリアを中心とするアフリカのサハラ砂漠以南の地域からやってきた人の子孫だと認識しています。

そんな黒人系アメリカ人の多くは、アメリカの歴史の中で常に差別の対象となってきました。

実際、アメリカ社会では1960年代まで、黒人系アメリカ人は多くの地域で法的に排除されてきたこともあり、黒人問題として争いの種となり続けていました。

そして、現在であっても完全に差別は無くなっておらず、人種間の不平等問題は残り続けています。

アメリカの人種・民族:アジア系

アメリカ国内の人種規模で見た場合、白人系と黒人系の次に挙げられるのはアジア系で、全人口の5%前後が該当します。

その中でも多数派は中華系。

中国からの移民が大量にアメリカにやってきたのは19世紀のことで、結果としてアメリカ政府は、1882年から1943年まで中国からの移民を禁止する措置を採ったほどです。

結果として、彼らはアメリカへの移住を禁止された初の民族集団となり、その後に中華系人口の増加が初期の増加数を上回ったことはありません。

また、中華系移民の後には、インド、ベトナム、韓国、タイなどからの移民も増えていきました。

ちなみに、アメリカの国勢調査においてアジア系とは、東アジア、東南アジア、そして南アジアに起源を持つ人々と定義されています。

アメリカの人種・民族:先住民族・太平洋諸島民

アメリカの人種構成を見る上で最後に触れておきたいのが、北アメリカ大陸や太平洋諸島の先住民族の子孫達。

アメリカ国民の約1%がアメリカ先住民族、0.2%がハワイ・太平洋諸島の先住民族を祖先に持つ集団となり、全人口に対する割合が小さいのは、19世紀における同化政策や先住民族根絶政策の結果によるところが大きいと言えるでしょう。

ただし、それでも今日のアメリカ国内には550を超える民族または種族が存在し、その多くは独自の言語を有し、学術的にも別個の少数民族とされ、こうした民族もまた、アメリカの一部であり人種のるつぼを構成しているのです。

なかでも大規模なのがナヴァホ族、チェロキー族、チプワ族、スー族で、こうした先住民族に対して長年行われた暴力行為や保留地政策は、今なお多くの厳しい批判があります。

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アメリカの人種・民族構成|白人・黒人・アジア人・先住民族のまとめ

アメリカにおける人種や民族構成について簡単に見てきました。

こうした分類を見ていくと、アメリカには世界各地にルーツを持ち、異なる民族的背景を持つ数多くの人々がいることがわかります。

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