ドイツの川について見ていきましょう。ドナウ川やライン川といった主要な4つの河川から、長さの点でトップ10に入る6つの川までの、合計10の川を紹介していきます。
他の多くの国と同様に、西ヨーロッパを代表する国ドイツでも、国の発展に河川が重要な役割を担ってきました。
ドイツを流れる多くの河川のおかげで、ドイツは内陸でも発達した水路を保有することが可能となり、他のヨーロッパ諸国との行き来が出来るようになっています。
また他にも、ドイツを流れる河川は、水力発電、レクリエーション、国境、豊かな生態系の維持など、様々な役割を担っているのです。
そんなドイツの河川の中から、長さを軸にした場合にトップ10に入る河川を、4つの主要な河川とそれ以外の6つの河川に分けて紹介していきます。
ドイツの主要な川トップ4
ドイツの主要な川1:ドナウ川
ドナウ川はドイツ南西部のバーデン地方にあるドナウエッシンゲンの黒い森(シュワルツワルト)を水源とし、南東に流れ、ウィーン、ブラチスラバ、ブダペスト、中欧のベルグラードの4つの首都を通ってから、ドナウデルタから黒海に流れ込む川。
ドイツを代表する有名な川ですが、他にもハンガリー、セルビア、クロアチア、オーストリア、スロバキア、ルーマニア、モルドバ、ウクライナ、ブルガリアを流れていることから、合わせて10のヨーロッパ諸国をまたぐ国際河川としても知られます。
また、全長2860kmはロシアのヴォルガ川に次いでヨーロッパでは2番目に長いとして有名で、もちろんドイツを流れる川としては最長です。
ドイツ国内では2000万人以上に水を供給しており、その美しい景観は毎年600万人以上の観光客を魅了。
歴史の中ではドイツに誕生した多くの作曲家や芸術家などにインスピレーションを与えてきました。
ドイツの主要な川2:ライン川
ライン川はドイツで2番目に大きな川で、長さは1233km。
川の水源はスイスのトーマ湖とパラダイス・グレイシャー(氷河)で、ドイツではカールスルーエ、マンハイム、ヴィースバーデン、ボン、及びデュースブルグを流れます。
さらに、オーストリアとフランスにも流れており、フランスではドイツとの国境を成し、最後はオランダのロッテルダムにあるフックで北海に流れ出ます。
深い谷間、そしてブドウ園や城がある深い谷を蛇行しながら流れ、ドイツでは主要な観光スポットになっており、また、「父なるライン川」とも呼ばれ、これまで多くの芸術家達を魅了してきたなど、ドイツ文化の発展にも大きく貢献してきました。
また、ライン川には、イル川、マイン川、ラーン川、ルール川など、数多くの支流があることでも知られます。
ドイツの主要な川3:エルベ川
エルベ川はチェコ共和国の山々を水源とし、ドイツ西部および東部を流れる川。
その後、北東に流れを変えてハンブルグ港から北海に注ぎ、長さは全長1091kmで、ドイツ国内では3番目に長い川です。
ヴルタヴァ川、ムルデ川、エーゲル川、ハーゲル川、ザーレ川、およびヴァイセ・エルスター川がエルベ川に流れ込んでおり、ドイツ東部では、トルガウ、マグデブルグ、アーケン、デッサウなどの河港として利用されています。
そんなエルベ川は、ドイツにおいては歴史的に大きな意味を持つという点で、ドイツにとっては非常に重要であると言えるでしょう。
冷戦時代にドイツが東と西に分かれていた頃、ドイツを東西に隔てていたのがエルベ川なのです。
また、早世したアドルフ・ヒトラーの遺灰が流されたのが、エルベ川だという話も残っています。
ドイツの主要な川4:マイン川
上で紹介してきたドイツの主要な3つの川は、どれも水源または河口を国外に持つため、純粋に国内に全てが位置するドイツの川ではありませんが、524kmの長さを持ち、ドイツを流れる川としては6番目に長いマイン川は、全てがドイツ国内に収まる川。
純粋なドイツ国内の川としては最長であり、水源はドイツの南に位置するバイエルン州のクルムバッハで、二本の短い源流である赤マイン川と白マイン川が合流してマイン川となります。
ちなみに、白マイン川はフィヒテル山地を水源とし、赤マイン川はフレンキシェ・アルプが水源です。
そして、ドイツ国内を東からフランケン地方を抜けて西に横断するように流れ、その後、ドイツ西部の南寄りにある都市マインツでライン川と合流します。
そんなマイン川は、バイエルン州のヴュルツブルクで主要な水路として使われ、また、ダムや堰堤(えんてい)が作られているなど、現地の人々にとっては日頃の生活から重要な川となっています。
さらに、ドイツでサイクリングをする上で最も人気だとされる、長さ595km以上にも渡るマイン川自転車道がマイン川沿いに設置されており、多くのサイクリストを引きつけています。
ドイツの川として抑えておきたいその他6つの長い川
ドイツにおける主要な川として上に挙げた川はそれぞれ、ドイツの川としては、
- 1番目に長い川:ドナウ川(2860km)
- 2番目に長い川:ライン川(1233km)
- 3番目に長い川:エルベ川(1091km)
- 6番目に長い川:マイン川(524km)
でした。
以下では、それ以外にも覚えておきたいドイツにおける6つの長い川を、簡単に紹介しておきます。
4番目に長いドイツの川:オーデル川(854.3km)
チェコ北東部のズデーテン山脈に源流を持ち、その後ポーランドとドイツを通るオーデル川は、3つの国をまたぐ国際河川であり、その長さは854.3km。
その長さの大部分となる742kmはポーランド領内を流れ、そのうち187kmは国境線としてドイツと共有されるなど、ポーランドとドイツの正式な国境として大切な役割を果たしています。
古代ローマ人は、ゲルマニア地方の奥地にあったこの川をヴィアドルス川と呼んでいたとされ、また、記録によって多くの部族がかつて、この川の流域に住んでいたことが分かっています。
5番目に長いドイツの川:モーゼル川(545km)
フランスの東北部にあるヴォージュ山脈に水源を持つモーゼル川は、ライン川へ合流する川の1つで、フランスを抜けるとルクセンブルクへ入り、ドイツとの国境を流れる国際河川。
545kmの全長はドイツを流れる川としては5番目の長さになります。
湾曲した形と穏やかな流れが特徴で、ドイツ国内ではワイン生産地として有名。
また、ドイツ西部の都市コブレンツでライン川と合流する地点はドイチェス・エックと呼ばれ、ドイツ国内の観光名所の1つとなっています。
7番目に長いドイツの川:イン川(517km)
アルプス山脈を形成するスイスのグラウビュンデン州にあるエンガディン地方が水源となるイン川は、約517kmの全長を抱え、ドイツを流れる川としては7番目の長さを誇る川。
スイスとドイツ以外にもオーストリアを通り、最後はドイツのバイエルン州のパッサウでドナウ川に合流します。
また、その一部はドイツとオーストリアの境界線となっていることでも知られます。
8番目に長いドイツの川:ヴェーザー川(452km)
ドイツの中央部にあるハン・ミュンデン周辺の中低山地に水源を発し、その後、ドイツ北部へ向かって流れ、最後には北海へ注ぐヴェーザー川は452kmの全長を持ちます。
ドイツを流れる川としては8番目に長く、全域が国内に全て位置する純粋なドイツ国内の川としては、マイン川に次いで2番目です。
現在はドイツ政府によって連邦水路に指定され、また、川沿いには多くの観光資源があることから、ドイツ国内の川としては、マイン川ではないものの比較的重要な川の1つになっています。
9番目に長いドイツの川:ザーレ川(413km)
ドイツのバイエルン州北部に位置するフィヒテル山地を水源とし、最終的にはエルベ川へ合流するザーレ川は、全長413kmで、ドイツを流れる川としては9番目に長い川。
また、ドイツ国内に全てが位置するドイツ国内の純粋な川としては、マイン川とヴェーザー川に次いで3番目となります。
ルック城やハイデックスブルク城、また、ルーデルスブルク城やバート・ケーゼンといった古城のほとりを流れ、さらに、川沿いを走るザーレ自転車道があるため、一部の観光客やサイクリストらには良く知られるドイツの川です。
10番目に長いドイツの川:シュプレー川(400km)
チェコとドイツ東部の国境付近にある山地が水源となり、その後、ドイツ東端のバウツェンやコトブスなどの年を流れてベルリンへ向かい、エルベ川の支流であるハーフェル川に合流するシュプレー川は、約400kmの長さを持つ、ドイツを流れる川としては10番目に長い川。
大部分はドイツ国内に位置しているものの、一部がチェコ領内を通るため、国際河川となります。
ベルリン郊外でハーフェル川に合流する前にはベルリン市内を流れ、ここでは遊覧船が通って観光客を楽しませたり、また、ベルリン市民にとっても憩いの場となっていたりと、ドイツの最大都市であり首都であるベルリンにとっては重要な川です。
ドイツの川の長さトップ10ランキン表
最後に、長さを基にして上で紹介してきた10のドイツの川をランキング表にまとめておきます。
順位 | ドイツの主要な河川 | 長さ |
1 | ドナウ | 2850km ※10ヶ国を流れる国際河川 |
2 | ライン川 | 1233km ※6ヶ国を流れる国際河川 |
3 | エルベ川 | 1091km ※2ヶ国流れる国際河川 |
4 | オーデル川 | 854.3km ※3ヶ国を流れる国際河川 |
5 | モーゼル川 | 545km ※3ヶ国を流れる国際河川 |
6 | マイン川 | 524km ※純粋な国内河川 |
7 | イン川 | 517km ※3ヶ国を流れる国際河川 |
8 | ヴェーザー川 | 452km ※純粋な国内河川 |
9 | ザーレ川 | 413km ※純粋な国内河川 |
10 | シュプレー川 | 400km ※2ヶ国流れる国際河川 |
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ドイツの川|主要なドナウ川やライン川を含めた長さトップ10のまとめ
ドイツを流れる10の川を紹介してきました。
見てきた様に、数々の川によってドイツは世界でも有数の発達した河川網を有します。
今日のドイツが発展しているのは、この天然資源を上手に利用してきたというのも1つの要因であることは間違いないでしょう。