メコンデルタはベトナムで有名な観光地の一つですが、その自然環境によって、川を中心に生活する特徴的な文化や習慣が発達してきました。
ベトナムには数多くの観光名所がありますが、その中の一つとしてメコンデルタが挙げられます。
メコンデルタは、その独特な自然環境から、ベトナムにある他の地方とは異なった文化や生活習慣が発達しており、ベトナムを知る上では一度は訪れておきたい場所です。
この記事では、そのメコンデルタについて、まずは場所や特徴の定義を確認し、その後に、メコンデルタを訪れるなら抑えておきたいいくつかのおすすめな観光地を紹介していきます。
ベトナムのメコンデルタとは?
ベトナムは大きく分けて8つの地方に分けることが出来ますが、メコンデルタとはその中の南西部に当たる地方。
ベトナム南西部、ホーチミン市とカンボジアの間に位置する三角州一帯のこと。
(Mekong Deltaとある部分がメコンデルタ地方)
東南アジア最大のメコン川が分岐して分流となって南シナ海へ抜ける低湿地帯を指し、その面積は40,500㎢にもなる巨大な地域で、以下の12省がこのメコンデルタ一帯に属していることでも知られます。
- アンザン省
- ヴィンロン省
- カマウ省
- キエンザン省
- ソクチャン省
- チャーヴィン省
- ティエンザン省
- ハウザン省
- バクリエウ省
- ベンチェ省
- ドンタップ省
- ロンアン省
また、メコンデルタに流れる東南アジア最大のメコン川の長さは4000kmを越え、川の流れ自体はヒマラヤ山脈から始まり、中国、ミャンマー、ラオス、タイ、カンボジアを経てベトナムに至ります。
この「多くの国々をまたいで長い距離を水が移動していく」というのが大きな理由となり、メコンデルタの水は濁っている特徴を持つと同時に、その土地は非常に栄養豊富で肥沃になっているのです。
結果、メコンデルタは「生物多様性の宝庫」とも言われ、毎年多くの生き物が新種として発見されています。
一方で、ベトナム産の米と水産物のうち半数以上がこのデルタ地帯で生産されてるなど、この地域はベトナム経済と食において非常に重要。
そこには2000万人弱の人々が、稲作や果樹栽培、そして漁業などを営んで暮らしており、さらに観光客に人気な水上マーケットなどが、この土地独特の文化を育んでいます。
メコンデルタに行くなら訪れてみたい観光地
メコンデルタはベトナムの一地方というだけでなく、観光地としても知られる場所。
水上マーケットや自然のなかを巡るサンパン船など、多くの訪れてみたい観光地やアクティビティがあります。
ここからは、せっかくメコンデルタに行くなら検討してみたいいくつかの観光地を紹介していきます。
メコンデルタの観光地1:ミトー
ミトーはメコンデルタ地方にあるおよそ16万人が住む都市で、同地方では最も訪れる観光客が多い都市。
ホーチミン市から日帰りでやってくるメコン川クルーズの客を始め、連日数えきれないほどのツアー客がやってきます。
というのも、ここには有名な水上マーケットや寺院、地元の果樹園など、見るものがたくさんあるからです。
ちなみに、ホーチミンからはバスを使って2時間ぐらいで来ることも可能です。
ヴィンチャンパコダ
ヴィンチャンパコダとして知られる1849年に建設されたこの仏教寺院は、約2,000㎡の敷地面積を誇るミトーの観光名所の一つ。
中国、ベトナム、クメール、そしてヨーロッパのスタイルを混ぜ合わせた建築様式で知られ、様々な仏像、美しく飾られた門、陶器の破片で作られたモザイク柄のデコレーション、複雑で細かい木工細工の内装は、この寺院の魅力です。
ちなみに、午前10時頃にこの寺院を訪れると、僧侶たちが唱える心休まるお経を聞くことが出来ます。
ミトーでサンパンクルーズ
小さくてグラグラする木製のボート「サンパン」に乗って、巨大なメコン川の支流である運河の数々を巡ってみましょう。
この方法はメコン川を行き来するには一番人気であり最適な方法で、ボートの上からは花畑や果樹園、寺院、川沿いのレストランなど、水辺にあるあらゆる種類の観光スポットを見ることができます。
また、ミトーはこのサンパン船によるクルーズに最適な場所として知られます。
メコンデルタの観光地2:カントー
カントーハメコンデルタ地方では最大の都市で、素晴らしい眺めで知られるカイラン区の水上マーケットが有名な場所。
その水上マーケットには想像をこえるほど種類豊富な果物や、見事な花々を積んだ舟が数えきれないほど浮かびます。
昨今は工業化が進んでいますが、歴史的には周辺地域の文化の中心地となってきたため、メコンデルタ地帯を知る上ではぜひ訪れてみたい場所であることは間違いありません。
さらに、カントーの魅力として、「都心の快適な施設を利用しながら気軽に日帰りで風光明媚な農村を観光しに行ける」という点も挙げることが出来ます。
さらに、大都市であるため、夜の街も活気にあふれています。
ニンキエウ船着場
ニンキエウ船着場はカントー市の中心部から近い場所に位置しており、メコン川の大きな支流であるハウ川の川沿いにあり、7000㎡の広さを誇る公園の中にあるのが特徴。
カントーのシンボル的存在としても知られます。
あらゆるところに多くのバー、レストラン、そしてホテルが立ち並び、観光客に人気の繁華街となっているため、カントーに来てどこに行ったら良いのか分からなくなったら、とりあえずニンキエウ船着場に来てみましょう。
日没の頃にこの場所を散策し、色とりどりの漁船が沢山停まる素敵なウォーターフロントの写真を撮り、川岸のレストランでディナーを楽しみ、近くのナイトマーケットを探索してみれば、充実した時間を過ごせること間違いなしです。
カイラン水上マーケット
カントー市内から車で20分ほど南へ行けば、メコンデルタ最大の水上マーケットとして知られるカイラン水上マーケットを訪れることが出来ます。
メコンデルタに住む人々はメコン川を中心に生活しており、水上マーケットは観光客にとっては単なる観光名所に過ぎないのに対し、現地の人々にとっては生活の一部。
そのため、観光地として楽しむだけでなく、現地の人たちが実際にどのように商売をして食事をし、暮らしをしているのかなども垣間見れます。
このマーケットは午前3時から開いていますが、最も賑わうのは午前5時頃。
上に挙げたニンキエウ船着場からボートで簡単に行くことができます。
メコンデルタの観光地3:カイベー
カイベーは比較的ホーチミンから約3時間と近いこともあり、メコンデルタへ日帰りで訪れる観光客にとっては目的地の一つに含まれることが多い町。
大都市のカントーとは違い、昔ながらの町並みが残った小さな町で、ゆっくりと時間を過ごしたい人にはおすすめな場所です。
中でも、この地域にある水上マーケットを訪れるのは人気なアクティビティとなっています。
カイべー水上マーケット
カイべー水上マーケットはカイベー観光の目玉。
卸売り船と小売船があり、卸売りに関して言えば、メコンデルタ地域でも有数の市場になります。
フルーツだけでなく、布地、日用品、新鮮な魚介類、食べ物、そして飲み物などが、ボートからボートへと渡されて取引されるのです。
カイべー果樹園
ベトナム全域で消費される果物の半分以上はメコンデルタで生産されており、メコンデルタ地方に属する省のあらゆる場所にたくさんの果樹園がありますが、カイベーの果樹園はその中でも最大級の規模を誇ると言われます。
マンゴー、グレープフルーツ、グアバ、リンゴ、パラミツ、ドラゴンフルーツ、マンゴスチン、プラム、ドリアンなど、様々な果物が栽培されていて、園内のツアーに参加すれば食べ頃の果物を収穫してその場で食べることができます。
メコンデルタの観光地4:チャウドック
チャウドックはメコンデルタ地方の北端、ベトナムとカンボジアの国境近くにある街で、「ベトナム〜カンボジア間」を移動する場合だけでなく、メコンデルタ地方へ来た際に時間があるなら訪れてみたい場所の一つ。
というのも、この街には、クメール人、華人、イスラム教徒のチャム族、そしてベトナム人が混在しており、宗教と人種が多様な街として知られ、ベトナムの別な側面を見ることが出来るから。
もちろん、メコンデルタの多くの地域がそうであるように、周辺には水田が広がり素晴らしい田園風景が楽しめます。
サム山
チャウドック市街近くに位置するサム山は、地元民に人気なちょっとした穴場。
この山を登るのはちょっとしたアドベンチャーですが、そこからの眺めは息を飲むほど美しく、一面に広がる田んぼ、高床式の家屋が立ち並ぶ村々、そして絶景の自然などを頂上から眺めることが出来ます。
さらに、片側はカンボジアでもう片側はベトナムと、島国日本では味わえない大陸ならではの国境を見ることも出来ます。
メコンデルタの観光地5:ソクチャン
カンボジア国内に次いで2番目にクメール人(東南アジアの一民族)の数が多い都市であるソクチャンでは、ベトナムの他の都市とは異なる文化を発見できるので、文化に興味がある人は訪れたい場所です。
なかでも、粘土で作られた仏像や獅子などが並ぶビュソン寺やコウモリ寺は、クメール文化や歴史を感じるためにも見ていきたいもの。
さらに、落ち着いた雰囲気や、街を囲む水田の眺めなどは、のんびりと時間を過ごしたい人にとっては最高でしょう。
メコンデルタの観光地6:タンラップビレッジ
タンラップフローティングビレッジは、メコンデルタのロンアン省にあるエコツアーリズムスポットで、同地域においては代表的な湿地帯の一つ。
カユプテの森林を通る小道を歩きながら散策してメコンデルタが誇る大自然に触れ合ったり、そびえ立つ木々をボートで抜けながら運河を進んでいくのは、自然好きにはたまりません。
さらに、現地の食べ物を楽しんだり、キャンプ、バーベキュー、ピクニックなど数々のアウトドアアクティビティーを楽しむこともできます。
ちなみに、ここを訪れるのに一番良い時期は11月。この頃は蓮の花が咲き、周りに生い茂る緑に違った色を添えてくれます。
メコンデルタの観光地7:カンザー生物圏保護区
カンザー生物保護区は、メコンデルタ地方にあるユネスコによって指定を受けた保護区。
豊かなマングローブ林や湿地帯ならではの生態系を守っているだけでなく、この地域にある農村地帯を侵食の被害から守る役割を負っているなど、メコンデルタにとっては非常に重要な場所です。
ホーチミン市から近いこともあり、多くのツアーが出ているので、観光地の一つとして候補に入れておくと良さそうです。
メコンデルタの観光地8:トラムチム国立公園
メコンデルタ地方のドンタップ省にあるトラムチム国立公園は、いくつかの珍しくて貴重な鳥を保護するために1998年に指定されました。
約76㎢の広大な敷地面積を有し、現在は200種類もの鳥たちが生息し、その多くは絶滅危惧種や珍しい鳥だと言います。
また、「ベトナムの鳥の王国」とも呼ばれる通り、ここにいる鳥たちの数は、ベトナム全体に生息する鳥のおよそ1/4を占めるとされます。
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メコンデルタとは?ベトナムで有名な観光地のまとめ
ベトナムの南西部に位置するメコンデルタについて詳しく見てきました。
メコンデルタには、同地方の象徴と言っても良いであろう巨大な川の迷路、高床式水上家屋、そして田んぼなど、見応えがあるものが非常に多くあります。
この記事で紹介した観光地と合わせて、メコンデルタの魅力を発見していきましょう。