ミャンマーの格闘技を紹介していきます。ラウェイやナバンレスリング、そしてポンイ・サインまで、ミャンマー発祥の格闘技を5つ見ていきましょう。
ミャンマーは、ラオス、バングラデシュ、インド、中国、タイと国境を接している東南アジアの国。
軍事政権による統治によって2000年代後半まで、外国資本などに対して様々な制限が掛けられていたことなどから、東南アジア最後のフロンティアとして呼ばれます。
一方で、外国への制限が外された後には、ミャンマーが有する独特な文化も注目されるようになっていきました。
そのミャンマー文化の1つが同国で誕生し、国境を接する周辺国家の影響を受けながら発展していったミャンマー発祥の格闘技です。
この記事では、ミャンマーの格闘技を5つ紹介していこうと思います。
ミャンマーの格闘技1:ラウェイ
2015年辺りから、一部の団体がラウェイの大会を日本で開催し始めたこともあり、おそらく日本においては、ミャンマーの格闘技の中で最も有名なラウェイ。
非常に過酷で危険なミャンマーの立ち技系格闘技であり、また、1000年近い歴史のある神聖な国技とされる、簡単に言うと「ミャンマー版キックボクシング」または「ミャンマー版ムエタイ」です。
その大まかなキックボクシングやムエタイとの違として、ラウェイでは、
- グローブは着用せずにバンデージのみを巻く
- 寝技以外の関節技はOK
- 投げ技はOK
- 故意でない限り金的攻撃もOK
といった点が挙げられ、もちろんムエタイで許されている肘打ちもOKです。
また、試合前には選手たちによって舞踏の儀式が行われるなど、神聖な国技としての特徴も際立ちます。
ちなみに、ラウェイでは長年、自分へのダメージを抑えながら、相手へのダメージを最大化する頭突き方法が研究されて発展してきましたが、その最適な頭突き方法とは、額を相手の額にぶつけるのではなく、自分の頭頂部を相手の顔面へ真っ直ぐに突き上げるように当てることです。
ミャンマーの格闘技2:ナバン・レスリング
ナバン・レスリング、またはシンプルに「ナバン」と呼ばれるのは、ミャンマーの伝統的なレスリングと言える格闘技。
元々は古代インドのレスリングが起源だとされますが、ナバン・レスリングはミャンマーで独特な発展を遂げていきました。
インドのレスリングでは体を覆い被せたりして相手を制圧することが好まれますが、ナバンでは相手の喉を締めたり、アームロックやレッグロックといった関節技も多く見られます。
また、ナバンは一見すると、それぞれ無関係な組み技系格闘技が集約して進化したようにも見えます。
組み技系格闘技と言う点では、上述したラウェイとは対極にあるミャンマーの伝統的な格闘技だと言えるでしょう。
ちなみにナバンは、カレン族、カチン族、チン族の間で人気ですが、ヨーロッパ、特にフランスでも、僅かながらながら人気があります。
ミャンマーの格闘技3:バンドー
ミャンマーの「バンドー」とは、より防御に重きをおいたミャンマー発祥の素手の武術または格闘技のこと。
「バンドー」という言葉は時々、ミャンマーの格闘技全般を指して使われることがありますが、この使い方は間違いで、正確にはここで紹介する特定の武術を指します。
バンドーは中国のカンフーの要素をかなり多く取り入れた武術で、猿、雄牛、コブラ、パンサー、鷹といった動物の動きを元にした型を見つけることが出来ます。
練習には基本的に二人一組になって組手で行われることになり、相手の攻撃を避け、パンチでカウンターアタックをし、関節技をかけるかテイクダウンするといったテクニックが用いられます。
また、バンドーの中ではナイフ、棒、槍、剣といった武器も使われます。
ミャンマーの格闘技4:バンシャイ
バンシャイは武器を使うことを基本としたミャンマー発祥の格闘技で、インドと中国武術の影響を強く受けています。
主に使われる武器は剣、棒、槍で、攻撃にはその武器を用いて相手を打ったり突いたりし、逆に防御には、手に持った武器で相手の攻撃を遮るだけでなく、相手の武器を奪うといった技も含まれます。
また、バンシャイの興味深いテクニックとして、「鞘に入ったままの剣を使う」という特徴を挙げることが出来るでしょう。
伝説によれば、ミャンマーの戦士の中には敵を殺さないよう鞘に入ったままの剣で戦った戦士がいたとされ、これが、鞘に入ったままの剣で戦うテクニック発展の背景となっていると言われます。
この不殺生の考えば、ミャンマーで支配的な上座部仏教と騎士道的な決闘からきたものなのではないでしょうか。
一方で、試合では相手同士が型通りの動きをするなど、部分的には中国武術の太極拳にも似ているところがあります。
ミャンマーの格闘技5:ポンイ・サイン
ボンイ・サインは、西暦9世紀頃に生きた僧「ウパリ」によって作られたとされるミャンマーの格闘技。
(出典:wikipedia)
ヒンドゥー教と仏教の非暴力や非攻撃の考えに基づいており、相手を攻撃して痛めつけるのではなく、自らを守ることを突き詰めた自己防衛の為の武術または格闘技です。
自分と他人、さらに自然とも調和させることを目的に、身体と精神を鍛錬することが求められるため、練習では技だけでなく心(感情)のコントロールも強調されます。
心の鍛錬レベルによって、相手に対する動きや反応の鋭さも変わってくるとされるのです。
ちなみに、ポンイとは「僧侶」という意味で、サインとは「格闘技、武道、武術」を表す言葉です。
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ミャンマーの格闘技|ラウェイからポンイ・サインまで5選!のまとめ
ミャンマー発祥の格闘技を5種類紹介してきました。
現代では、立ち技系の格闘技と組み技系の格闘技など、様々な要素が混じり合った総合格闘技が人気を呼び、また発展し続けていますが、ミャンマーには、この総合格闘技の基礎となっている要素を持つ格闘技が昔から存在していたことが分かります。
日本、韓国、中国、タイなどのものと比べてあまり知られていませんが、周辺国の影響を受けながら発展してきたミャンマーの格闘技は、実はとても奥深く、他の格闘技にも取り入れられる要素を多く有していると言えそうです。