ギリシャに残るギリシャ神殿を10箇所ピックアップして一覧としてまとめていきます。有名なパルテノン神殿はもちろん、ポセイドン神殿やアフェア神殿などまで確認していきましょう。
紀元前7世紀から紀元後2世紀頃にかけてまで、ギリシャ神話の神々や英雄を祀った神殿が多く建築されました。
これらの古代から残る神殿、またはその跡は、古代ギリシャの文化や歴史を探る上でも非常に貴重な遺跡であると同時に、現在は多くの人々に人気な観光名所となっています。
そんな古代から残るギリシャ神殿は、現在のイタリアやトルコに残る物も含まれば全部で41箇所あり、現在のギリシャに残るものだけに限ると22箇所あると考えられます。
この記事では、古代ギリシャに建てられた神殿の中でもギリシャで見つかる物のうち、10箇所をピックアップして、それぞれ紹介していこうと思います。
ギリシャの神殿1:オリンピアのゼウス神殿(アテネ)
ゼウス神殿、またはオリンピアのゼウス神殿は、ギリシャの首都アテネのアクロポリスからおよそ500m南東に位置する神殿で、その名前の通りギリシャ神話における最高神で全知全能の神である「ゼウス」へ捧げられたもの。
古代のギリシャにおいては最も大きな神殿として知られ、紀元前6世紀に建設が始められました。
しかし、実際にこの神殿が完成したのは、それからおよそ640年後の西暦2世紀、ローマ帝国のハドリアン皇帝によってだと言われています。
ローマ帝国時代、104の巨大な支柱と共に建設が完成し、現在でもその内の16本の支柱は、在りし日の姿を留めています。
今日ではギリシャにとって重要な歴史的、文化的遺産であり、観光客も多く訪れる遺跡の一つです。
ギリシャの神殿2:ヘラ神殿(オリンピア)
ゼウス神殿が見つかるオリンピアにはさらに、ゼウスの妻でギリシャ神話における最高女神であるヘラを祀ったヘラ神殿の跡を確認することが出来ます。
紀元前590年頃に完成し、元々この神殿には、古代ギリシャの多くの文化遺産や奉納品が保存されていましたが、紀元前4世紀前半に起こった地震によって倒壊してしまいました。
それでも、ギリシャの歴史や文化を知る上では貴重な遺跡であり、また、一部しか残っていないものの、神殿の跡は古代ギリシャ建設の良い見本だと言われます。
ちなみに、オリンピアのヘラ神殿跡は現在、4年に1度開催されるオリンピックの際に、聖火が灯される場所として使われています。
ギリシャの神殿3:アフェア神殿(エギナ島)
ギリシャ中部にあるサロニコス湾に浮かぶエギナ島では、紀元前14世紀頃のとても古い時代に信仰されていた女神アフェアを讃えるための、アフェア神殿を丘の上に見つけることが出来ます。
紀元前480年頃に建立され、古代ギリシャ建設の建築様式の一つであるドーリア式の支柱が、当時は32本建てられていました。
しかし、長い時間の中でその多くは崩壊してしまったため、修復家の努力の末、現在は一部が再建され、25本の支柱が残っているのみです。
ちなみに、この神殿の名前の由来ともなった女神アフェアは、この地域で多産と農業の女神として崇められていたものの、古代ギリシャのポリス(都市国家)であるアテナイによって同地が支配された結果、ギリシャ神話に登場する女神アテナと同一視されていくようになりました。
そのため、この神殿は「アテナ・アフェア神殿」と呼ばれることもあります。
ギリシャの神殿4:デルフィ遺跡(デルフィの考古遺跡)
デルフィの遺跡または、デルフィの考古遺跡(デルフォイの考古遺跡)と呼ばれるこの遺跡は、それ自体は神殿ではありません。
しかしこの場所は、古代ギリシャにおいて多くの要人達が訪れて政治や外交の指針を求めた「アポロンの神託」または「デルフォイの神託」と呼ばれる、神からのお告げ(助言)がなされる非常に重要な場所でした。
アテネから北西へおよそ180cmほど行った、ギリシャの中央部辺り(パルナッソス山の南麓)に位置し、紀元前4世紀頃に造られたと考えられています。
そして古代ギリシャ世界でこの場所は、神託を得られる場所として大切にされたアポロン神殿を中心に広がり、現在でもその神殿の跡を確認することが出来ます。
さらに、同遺跡にはまた、デルフィの人々がアポロンと並んで崇拝していた女神アテナを祀った「アテナの聖域」も存在し、そこには紀元前4世紀に建てられたアテナ新神殿を見つけることが出来ます。
ギリシャの神殿5:エレクティオン神殿(アテネ)
エレクティオン神殿は紀元前421年ごろから紀元前407頃、ギリシャ神話の英雄「エリクトニオス」を捧げるためにアテネのアクロポリスの北側へ建設された、イオニア式(古代ギリシャ建設の建築様式の一つ)の神殿。
また、名前の由来となっているエリクトニオスだけでなく、ギリシャ神話の神であるポセイドンとアテナにも捧げられたとされます。
ちなみに、この神殿は古代の建造物としてはとても複雑な構造をしており、それが多くの人の興味を引いていますが、中でも南側にある「少女の玄関」が最大の目玉。
6本のカリアティッドと呼ばれる支柱に支えられおり、そのカリアティッドは少女の姿をしているにも関わらず、重い玄関の屋根を安定して支えられるように設計されているのが特徴です。
ギリシャの神殿6:アポロン神殿(コリントス)
ギリシャのペロポネソス地方にある都市「コリントス」はかつて、二つの都市国家、アテナイとスパルタのちょうど中程に位置し、交通と交易の要衝として、古代のギリシャ時代にはギリシャ世界における経済の中心地となり、非常に活気のある都市でした。
そして、このコリントスには紀元前7世紀から6世紀頃に建てられたとされる、アポロ神を祀ったドーリス式のアポロン神殿跡があります。
現在は土台部分と7本の支柱のみが現存していますが、かつては立派な屋根を38本の支柱が支えていたと考えられ、また、西側には神殿の玄関があったと言われます。
ギリシャの神殿7:アポロ・エピクリオス神殿(バッサイ)
ギリシャ南部ペロポネソス半島に位置し、古代ギリシャではアルカディア地方と呼ばれていた地域にはバッサイと呼ばれる遺跡があり、そこにはコティリオン山がそびえ立ちます。
そして、コティリオン山の中腹、海抜およそ1131mの所にあるのがギリシャ神話に登場する神「アポロ」を讃えるために建設された、アポロ・エピクリウス神殿。
紀元前450年から紀元前400年頃に建設されたと推定されています。
一方で、人里離れた場所のためか、ギリシャの神殿の中では最も過小評価されている神殿の一つ。
しかし、その人里離れた場所に位置していることが功を奏し、長い歴史の中でさえ、戦争による破壊やその他の破壊活動を免れ、現在であってもとても良い状態で保存されている、非常に文化的価値の高い建造物でもあります。
そのため、1986年には世界遺産(文化遺産)としてユネスコに登録されました。
ギリシャの神殿8:ポセイドン神殿(スニオン岬)
ギリシャの首都アテネから南南東へおよそ70km行った所にあるスニオン岬は、アテネから日帰りでいける小旅行先として人気の観光地。
そして、このスニオン岬にはポセイドン神殿と呼ばれる古代の神殿遺跡が残っています。
ポセイドン神殿は、ギリシャ神話に登場する海の神「ポセイドン(ポセイドーン)」に捧げるため、アッティカ地方の最南端に古代ギリシャ人の手で紀元前440年頃に建設された神殿。
海に囲まれた国家ギリシャでは、国にとっても、そこへ暮らす人々にとっても、海の神ポセイドンを祀るこの神殿は大変重要な意味を持ち続け、これまで多くの人々が、安全な海の旅を祈願するために、捧げ物を携えてやってきました。
過去には高さ6mの大理石が美しく並び、拝殿にはポセイドンの像があったと言われますが、歴史の中で破壊や崩壊に直面し、現在は円柱の一部(16本)だけが残されています。
ギリシャの神殿9:ヘーパイストス神殿(アテネ)
ギリシャの首都アテネの一部が古代の時代にアテナイと呼ばれていた時、その中央北西部にはアゴラと呼ばれる広場や市場が存在していました。
その、アゴラ地区(現在のアテネのパルテノン北麓に位置)にあるのが、ヘーパイストス神殿。
紀元前5世紀頃に建築家イクティノスによって、アテネの北東に位置するペンテリコ山から採掘した大理石で建てられた神殿で、アテネで見つかる神殿の中では最も過小評価されているかもしれない神殿です。
というのも、画像で見てもわかる通り、この神殿の保存状態は非常に良好で、ギリシャに存在する神殿の中でも最も保存状態が良い神殿の一つの割には、そこまで有名じゃないから。
元々は鍛冶と火の守り神であるヘーパイストスを祀るために建設されましたが、7世紀から1834年までは、ギリシャ正教の教会として利用されていた過去を持ちます。
ギリシャの神殿10:パルテノン神殿(アテネ)
女神アテナに捧げるために建立されたパルテノン神殿は、疑いの余地なくギリシャで最も有名な古代の神殿遺跡。
ギリシャの首都アテネのアクロポリス上に位置し、アテネへ訪れた観光客の多くが一度は訪れるなど、ギリシャ国内の観光地として最も人気がある場所の一つです。
当初は女神アテナの壮観な彫像を所蔵する目的で、紀元前447年に建設が始まり、紀元前438年に完成しました。
しかし、紀元前480年に起きたペルシア戦争の中で破壊され、その後、再建されましたが、紀元後6世紀にはキリスト教世界に組み込まれてマリア聖堂として利用され、オスマン帝国の支配下ではモスクとして利用されるなど、数々の歴史の流れに巻き込まれてきました。
さらに、オスマン帝国によって火薬庫として使われていた1687年、ヴェネツィア共和国に攻撃され、保管していた火薬が大爆発を起こした結果、神殿は大きな損傷を受け、現在のような姿になってしまったのです。
とにかく、パルテノン神殿は古代ギリシャのアテナイを象徴する建設物であり、また、世界文化遺産にも登録されているため、アテネを訪れるのであれば決して見逃すべきでないギリシャ神殿です。
合わせて読みたい世界雑学記事
- ギリシャ神話の神一覧|名前や種類(オリュンポス十二神・ティーターン)などを確認
- 古代オリンピック|種目や始まりなどオリンピックの歴史を確認!
- パンクラチオン|古代ギリシャのスポーツ/格闘技のルールや歴史
- ギリシャの文化と歴史|特徴的な11のポイント(宗教や言語など)!
- →こちらから世界の文化やギリシャに関する情報をさらに確認出来ます
ギリシャの神殿一覧|パルテノン神殿からポセイドン神殿やアフェア神殿まで!のまとめ
ギリシャに残る、古代ギリシャ時代に建てられた神殿を10箇所紹介してきました。
古代ギリシャ時代の文化や歴史、さらに神話は非常に興味深く、紹介したギリシャ神殿を訪れることで、そのギリシャ文化やギリシャ神話の一端を感じ取ることが出来るでしょう。