オーストラリアの食文化について見ていきます。歴史を感じさせる特徴から、具体的な14の食べ物や料理を確認していきましょう。
南半球で最大の国土を誇るオーストラリアは、その歴史に中で数多くの移民達を受け入れてきました。
そのため、オーストラリアは多文化・多民族国家として知られますが、このことは食文化にも反映されています。
この記事では、そんな多民族国家オーストラリアが持つ食文化について、歴史を軸にして見た場合の特徴から、14の具体的なオーストラリアならではの食べ物や料理を紹介していきます。
オーストラリアの食文化とは?歴史を軸に見ていく特徴と概要
オーストラリアの食文化の特徴を簡単に説明するならば、
オーストラリア先住民およびヨーロッパ、アジア、そして太平洋諸島からの移民を含む世界各国様々な文化から影響を受けて、過去数百年の歴史の中で築かれた独自の食文化
と言えるでしょう。
このオーストラリア食文化の特徴の裏側を知るためにも、オーストラリアの歴史を3つの時期に分類して、それぞれにおける食文化や変容を以下で見ていきましょう。
オーストラリア先住民アボリジニの食文化「ブッシュタッカー」
オーストラリアには5万年〜10万年以上前から、オーストラリアの先住民であるアボリジニの人々が住み着き、狩猟採集可能な土地由来の動植物に基づく独自の食文化「ブッシュ・タッカー」を発展させてきました。
そのアボリジニの食文化「ブッシュタッカー」では、
- オーストラリアに存在する5,000にもおよぶ動植物が食されていた
- 例えば、カンガルー、ワラビー、エミューに始まり、ボゴング蛾、オオボクトウの幼虫、トカゲ、ヘビなどが食されていた
- ブッシュベリー、果物、はちみつも食生活に多く取り入れられていた
- 魚も捕獲されていた
- 地域によって料理方法は異なるものの、火を焚き直火で調理する方法が一般的であった
といった特徴が確認されています。
イギリスやアイルランドを中心としたヨーロッパの食文化が持ち込まれる
1788年から1900年にかけてオーストラリア各地がイギリスの植民地となっていく過程で、オーストラリアの食文化は、イギリスそしてアイルランドからの移民によって大きな影響を受けることとなりました。
牛肉、羊肉、小麦などの農産物が主食として現地の食生活に普及していくようになるのです。
例えば、開拓当初は多くの困難に遭遇したものの、イギリスの植民地化が進んでいく中で、羊や牛の家畜の放牧がオーストラリア各地で広く展開され、オーストラリアは農業大国として発展していきました。
また、サトウキビや小麦を始め、その他多くの果物や野菜の栽培が各地で行われるようになります。
ゴールドラッシュ時や戦後に他の食文化も多く持ち込まれた
そして、19世紀半ば頃に始まったゴールドラッシュと共に、中国人をはじめとするより多様な文化背景を持った多くの移民がオーストラリアへ移り住み、彼らが持ち込んだ食がオーストラリアの食文化へ少しずつ浸透し始めました。
さらに、第二次世界大戦後の多文化主義へ向けた移民政策の下、主に地中海そして東アジア、西アジア系のオーストラリア移民が増加し、その影響によりオーストラリア料理もさらに多様なものとなっていったのです。
オーストラリアはこのような歴史を踏んでいることから、先住民アボリジニの食文化と、多文化主義政策の結果生まれた食の基盤に加えて、グローバリゼーションの影響を反映したものが、今日のオーストラリアの食文化だと言えるのではないでしょうか。
オーストラリアの食文化を知るために14のオーストラリアの食べ物や料理を確認してみよう!
歴史的な視点を軸にして、オーストラリアの食文化について見てきましたが、実際にオーストラリアの食文化を代表する料理にはどのようなものが含まれるのでしょうか?
ここではオーストラリアの食文化を理解するためにも知っておきたい、オーストラリアを代表する14の料理や食べ物を紹介していきます。
オーストラリアの食べ物1:ミートパイ
歴史の中で多くのイギリス移民がやってきたオーストラリアには、イギリスの伝統的な料理も数多く持ち込まれているわけですが、その一つがミートパイ。
小麦粉、バターを多く使ったパイ生地の中にひき肉をいれて焼き上げたもので、オーストラリアでは手のひらサイズの比較的小ぶりな物が一般的。
フルーツの入ったデザート的なパイとは異なるため、始めて食べた人は少し異様に感じるかもしれませんが、何回かミートパイを口に運んでいれば意外に美味しいことに気づくかと思います。
オーストラリアでは非常にポピュラーで、街角にある小さなお店やパン屋さん、そしてスーパーでも見かけることが出来、さらに専門店だってあるので、様々な種類のミートパイを試してみるのがおすすめです。
オーストラリアの食べ物2:フィッシュ・アンド・チップス
ミートパイと同じぐらいイギリスを代表する料理と言えばフィッシュアンドチップスで、これもまた、オーストラリアに持ち込まれた結果、今日のオーストラリアでは広く一般的に食べられています。
白身魚のフライにフライドポテを添え、その上に塩やグレイビーソースなどを掛けて食べることが多い、イギリス文化を継承したオーストラリアの伝統的なファストフード。
栄養満点なだけでなく、手頃に食べられ、さらに思った以上に美味しいので、多くの人に愛されています。
オーストラリアの食べ物3:ベジマイト
ベジマイトは外国人が食べると、たいていの場合は「嫌い!」とか「不味い!」と思う食べ物。
色々な野菜をイースト菌で発酵させて香辛料を添加した濃い茶色のペーストのことで、バターと一緒にパンやトーストに塗る食べ方がオーストラリア人の中ではポピュラーな食べ方。
またオーストラリア人は他にも、アボカド(オーストラリア人はアボカドも大好き!)や溶かしたチーズ、トマトと一緒に食べたりします。
とにかくベジマイトは、臭いや見た目だけでなく、慣れないと強い塩味がするだけで味も酷く感じますが、オーストラリアの食文化を知りたいなら一度は挑戦すべき食べ物です。
オーストラリアの食べ物4:チキンパルミジャーナ
チキンパルミジャーナは、オーストラリアのパブのメニューに載っている一般的な料理の一つ。
簡単に言えば、美味しいトマトソースと溶かしたチーズが乗った、チキンのシュニッツェル(パン粉をまぶして揚げたチキン)で、作り方も非常に簡単です。
また値段もお手頃なので、現地のバーへ行くと、ビールを片手にチキンパルミジャーナを楽しむ人の姿を良く見かけます。
オーストラリアの食べ物5:パブロワ
オーストラリアだけでなくニュージーランドでも人気だとして挙げられるのが、パブロワと言われる食べ物。
ホイップクリームとフルーツを飾ったメレンゲケーキで、オーストラリアまたはニュージーランドのどちらが最初に発案したのかは不明ですが、フルーツとクリームのバランスが絶妙で非常に美味しいデザートです。
ケーキ屋さんやパン屋さんであれば大体の場所で売られており、スーパーで売られていることもあるので、オーストラリアでデザートが食べたくなった際にはおすすめです。
オーストラリアの食べ物6:ウィチェッティグラブ
オーストラリアの先住民アボリジニの食文化「ブッシュタッカー」を体験出来る食べ物を試してみたいなら、ウィチェッティグラブを試してみては!?
ウィチェッティグラブは、オオボクトウと呼ばれる蛾の巨大な幼虫(イモムシ)のこと(それ以外の虫の大きな幼虫を指すこともある)で、豊富なタンパク質を含んでいるため、アボリジニ達にとっては貴重な栄養食。
少しだけ生臭さが残るチキンの様な味で、そのタンパク質含有量は牛肉のステーキに匹敵すると言われるほどです。
そこまで一般的な食べ物ではないですが、オーストラリアの食文化に興味があれば、ウィチェティグラブを見かけた際には是非試してみましょう。
オーストラリアの食べ物7:バービー
バービーとは「バーベキュー」のこと。
オーストラリア人と言えば「バーベキュー」と言われるほど、今日においてバーベキューは、オーストラリア人の生活、習慣、文化に溶け込んでいます。
ちなみに、焼き物にはソーセージ、バーガー、ステーキ、シーフードなどが含まれ、さらにビールを片手に食べるのが典型的。
また、オーストラリア人にとって欠かせないバービーをいつでもどこでも出来る様、オーストラリアの公園やビーチには、バービー専用の場所が備え付けてある場合が多々あります。
もちろん庭付きの家に住んでいる人は、自宅でバービーをやる場合もよくあります。
オーストラリアの食べ物8:カンガルーの肉
オーストラリアの国章にも描かれるカンガルーと言えば、オーストラリアを代表する動物ですが、同時にオーストラリアの食文化を代表する食材だとも言えるかも。
と言うのも、オーストラリアに多く生息するカンガルー達の新鮮な肉は、一般的なスーパーの棚で簡単に見つけることが出来る上に、レストランでも見かけることがよくあるから。
カンガルー肉は脂肪の非常に少ない赤身肉でとてもヘルシー。
焼きすぎると硬くて食べるのが辛いですが、焼き加減次第ではとても美味しく食べることが出来ます。
カンガルー肉を使った料理は色々ありますが、おすすめはマリネされたカンガルー肉のグリルです!
オーストラリアの食べ物9:エミューの肉
カンガルーと同じようにエミューもオーストラリアの国章に描かれている上に、オーストラリアの食文化では食されます。
その肉はこれまたカンガルーと同じ様に赤身で、薄切りにして焼くととても歯ごたえがあって美味しい肉。
臭みはほとんどなく、そこまで強いクセもないため、興味があれば試してみると良いかもしれません。
ただし、カンガルー肉ほどは一般的でないため、普通のスーパーではほとんど見かけることはなく、またレストランで食べようとするとそれなりに値段が張ります。
オーストラリアの食べ物10:ティムタム
オーストラリアに行ったことがある人、またはオーストラリアへ行った人からお土産をもらったことがある人なら、オーストラリアを代表するお菓子「ティムタム」を知っているかもしれません。
これは、たっぷりのチョコレートでコーティングされたビスケットのようなお菓子で、現地のスーパーへ行けばどこでも見つけることが出来る上に、様々な種類のティムタムを見つけることが出来ます。
ちなみに、ティムタムだけで食べると口の中が甘くなり過ぎてしまうので、コーヒーや紅茶などと一緒に食べるのがおすすめです!
オーストラリアの食べ物11:フェアリーブレッド
フェアリーブレッドは、子供の誕生日パーティーなどでは定番の食べ物で、一種のデザートのようなもの。
通常は三角形に切った食パンにバターやチョコレートを塗り、その上にたっぷりのスプリンクル(シュガースプレー)を掛けただけのシンプルな食べ物です。
現地で子供を祝う際のちょっとした食文化として知っておきたいおやつだと思います。。
オーストラリアの食べ物12:ラミントン
オーストラリアのクイーンズランド州が発祥で、現在はオーストラリア中で広く食べられているラミントンは、オーストラリアの食文化を代表するデザートの一つ。
四角いスポンジケーキを、チョコレートやラズベリーソースでコーティングして、ココナッツをまぶしたものです。
3時のおやつに紅茶と一緒に食べるのが最高です!
オーストラリアの食べ物13:アンザックビスケット
「アンザック」とは、第1次世界大戦で一緒に戦った、オーストラリアとニュージーランドの連合軍の兵士達を意味する言葉。
そしてアンザックビスケットとは、戦時中、栄養たっぷりで簡単に食べれる保存食として、妻や恋人達が焼き、戦争に行く兵士達へ贈られたとされるビスケットです。
ココナッツ、ゴールデンシロップ、そしてオーツ(大麦)が原料で、長持ちするのが特徴。オーストラリアの現代史における歴史を映す食べ物だと言えるでしょう。
オーストラリアの食べ物14:ゴールデンゲイタイム
「ゴールデンゲイタイム(Golden Gaytime)」となかなかにインパクトのある名前の食べ物が何かって?
それは、ストリーツ(Streets)というアイスクリームブランドが発売しているアイスクリームのこと。
(出典:CentralTelegraph)
タフィー(トフィー)と呼ばれるキャンディーと、バニラのアイスクリームをチョコレートに浸して、ビスケットのかけらでコーティングしてある商品が一般的。他にもいくつかの異なる味も存在します。
そして、オーストラリア人の多くはこのゴールデンゲイタイムが大好きで、オーストラリアの代表的な食べ物であることは間違いありません。
ちなみに、このゴールデンゲイタイムのゲイ(gay)とは、「明るい、楽しい」と言う意味で、このアイスクリームの広告には、
It’s hard to have a Gaytime on your own!
ゲイタイム(楽しい時間)を一人で過ごすのはむずかしい(のだからゴールデンゲイタイムをお供にいかが?)!
と言った掛け言葉が書かれています。
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オーストラリアの食文化と代表的な食べ物&料理14選!のまとめ
オーストラリアの食文化について、代表的な食べ物や料理14種類までを含めて紹介してきました。
オーストラリアへ行く機会があるなら、是非これら現地の食べ物と一緒に、オーストラリアの食文化へ浸ってみましょう。