ブラジルの格闘技一覧|ブラジリアン柔術からフカフカまで7選!

ブラジルの格闘技を一覧にして紹介していきます。世界的に有名なブラジリアン柔術から、そこまで知られてはないフカフカまで、7種類の格闘技を見ていきましょう。

南米最大の国ブラジルは人種るつぼとしられ、その多民族・多文化な環境から、非常に独特で興味深いものが多く誕生してきました。

そしてこのことはまた、格闘技に関しても同じ。

ブラジルでは世界の格闘技界に大きく影響を与えたブラジリアン柔術や、その特徴的な動きで知られるカポエイラなどが誕生し、またそこまでは有名でないにしろ、他にも複数の格闘技が発展してきました。

この記事では、そんなブラジル発祥の格闘技7つを一覧にして紹介していきます。

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ブラジルの格闘技1:ブラジリアン柔術

ブラジリアン柔術は言うまでもなく、ブラジルで誕生した格闘技の代表格でしょう。

ブラジリアン柔術は日本の柔道がもとになったもので、ある数名のブラジル人の一族により、柔道の主に寝技を基に改変されて発展してきました。

ここでいうブラジル人の一族とは、日本の格闘技ファンの間でも有名な「グレイシー」一族のことで、その中でもカーロス・グレイシー(カルロス・グレイシー)という人物が創始者になります。

カルロスやエリオ・グレイシーといったこの格闘技の発展に貢献したグレイシー一族の中でも初期のメンバーの功績は、柔道を習い、そして自分たちに有利なように活かしたことでしょう。

そして、その後のグレイシー一族の功績は、グレイシー柔術を基に世界の格闘技シーンでその有効性を証明したことです。

Brazilian JIU JITSU – Technique Wins Power

大柄でなかったグレイシー一族は、柔道の寝技攻撃の技術に注目し、それを見違えるような形態の武術に改変。

その結果、現在は世界中のプロ総合格闘家のほぼ全てが多かれ少なかれ学んでいる、グラップリングの技術が誕生して発展しました。

そして今日、グレイシー柔術の武道的な側面が簡略され、より競技として発展したブラジリアン柔術は、護身術として、スポーツとして、総合格闘技として、その他、思いつく限りのすべての目的のトレーニングとして、世界中の人々に愛されています。

ブラジルの格闘技2:カポエイラ

カポエイラは、ブラジリアン柔術に次いで有名なブラジルが起源の格闘技であり、世界で最も珍しい武術の1つだと言えるでしょう。

カポエイラはかなり独創的です。

カポエイラは武術または格闘技の中でも、どちらかと言えば攻撃的な武術にあたると言えるでしょう。

しかし、カポエイラは他の攻撃的な武術と同じとは到底言えません。

というのも、カポエイラは主に攻撃に「足」を使い、攻撃の途中で「びっくりするようなアクロバティックなあらゆる足技」を繰り広げ、加えて、トレーニングや競技は音楽に合わせて行われることが多く、こういった要素がカポエイラを極めて独特で風変わりな格闘技にしているからです。

Best Capoeira Brazil

そんなカポエイラの背景には、ある意味で悲しい歴史があります。

かつてブラジルへ強制的に連れてこられ、コーヒープランテーションでの労働を強いられた奴隷達にとって、唯一の自己防衛手段であり、カポエイラの踊り(動き)は元々、奴隷の身分にあった人々が武術を練習している事実を隠すことを目的に発展してきたと考えられているのです。

奴隷制度が存在していた時代、奴隷には武術のトレーニングをする権利は認められておらず、ただ踊っているようにみせかけてトレーニングを行うというこの革新的な方法が考え出されたのでした。

ちなみにカポエイラでは、ホーダ(Roda)と呼ばれる円陣を組んでトレーニングが行われますが、その中では2人、あるいはもう少し大人数のカポエィリスタ(カポエイラをする人)が、「スパーリング」を行い、それにあわせてカポエイラ特有の楽器による演奏や音楽と歌が流されます。

ブラジルの格闘技3:バーリトゥード

ブラジリアン柔術が世界的に知られるようになって評価されたのは、実践に近い戦いにおいて優れた効果を発揮出来たからですが、その効果を発揮する上で大きな役割を果たしたのが「バーリトゥード」です。

バーリトゥードを文字通り訳すと、ポルトガル語で「何でもあり」という意味。

要するにバーリトゥードとは、現在主流な総合格闘技以前の「総合格闘技」、言い換えれば「ブラジル流ルールなしの格闘技」です。

このバーリトゥードは、20世紀初頭のブラジルが発祥。

イギリスやアメリカでおこなわれていたキャッチレスリングと同じく、バーリトゥードは主にカーニバルや旅して周るサーカス用の出し物でした。

しかし、バーリトゥードの人気が高くなり始めるにつれて、より本格的な競技スポーツへと変貌を遂げることとなりました。

Vale Tudo highlight

ただし、流行する過程では、ルールなしの闘いの結果として起こる怪我の数や種類の多さによって、メディアからはネガティブな意味で注目を浴びて一般大衆からは避難された結果、現在では主に、アンダーグラウンドで興行されています。

ちなみに、ルールの導入によって表舞台で存続することに成功した現在主流な総合格闘技は、「何でもあり」を信条とする非常に限定されたルール違反しか持たない伝統的なバーリトゥードとは、大きく異なっています。

ブラジルの格闘技4:ルタ・リーブリ

ルタ・リーブリは、ブラジル発祥のフリースタイルレスリングと言える格闘技。

ブラジリアン柔術の興隆期に激しいライバル関係にあったために有名になった、寝技や組み技を主体とした、ブラジリアン柔術とは別系統のブラジル武術と言え、今日でもこのライバル関係は続いています。

実際、ルタ・リーブリは、ブラジリアン柔術を始めたくても柔術着を購入できない貧困層の受け皿となってきた歴史があり、両者は何かと因縁があります。

ただし、ルタ・リーブリは世界的な広がりと認知度の点で、ブラジリアン柔術の足元にも及びません。

Mimoun Arbaoui | Luta Livre Highlights

 

1920年代にマスター・タトゥと呼ばれる「エウクリデス・ハテム(Euclydes Hatem)」によって創始されたルタ・リーブリは、組み技と寝技を基本としているため、相手を「降参させる」ことにかなりの重点を置いています。

また、格闘家のなかでもルタ・リーブリの競技者は、「脚固め」を使った攻撃で悪名高く、ブラジリアン柔術とライバル関係にあった初期の頃、その闘い方でブラジリアン柔術に対して優勢に立ったこともありました。

そのため、実践においてはブラジリアン柔術と同じぐらい効果的な格闘技だと言われることがあります。

しかし、ブラジリアン柔術が世界的に名声を得て発展を遂げた一方で、その有効性にも関わらずトレーニング人口が増えなかったルタ・リーブリは、ブラジル国内におけるよりローカル色の強い格闘技としての道を歩んでいきました。

ブラジルの格闘技5:コンバト

コンバト(Kombato)は、1980年代後半にブラジルで登場した武術または格闘技。

基本的には「様々な武術を取り入れた効果的な護身術」と言えば分かりやすいでしょう。

イスラエルのクラブマガや、ロシアのシステマと似ていて、主にボディガードなど、護衛を職業とするプロが練習しています。

Diego Marroni, exame de marrom de Kombato

フィリピン武術のエスクリマに詳しく、他にも多くの武術に精通していたパウロ・アルブケルケという人物によって率いられたチームが創始しました。

パウロは持てる知識のすべてを使って、コンバトに発展するシステムを考案していったのです。

クラブマガやシステマと同じく、コンバトには「市民向け」と「軍人向け」の両バージョンがあります。

また、コンバトはシナリオに沿ってトレーニングを行う護身術としての性格が極めて強い格闘技であるため、競技会などはありません。

ブラジルの格闘技6:フカフカ

ブラジルの民俗レスリングと言えるのが「フカフカ(Huka huka)」と呼ばれる格闘技。

一般にはほとんど知られていない格闘技で、マットグロッソ州に暮らすブラジル先住民のバカイリ族とシングー族に起源を持つとされます。

ブラジルのこの地域周辺では人気が高く、毎年開催される大規模な部族大会もあります。

Xingu – Huka Huka

フカフカでは、対戦者は両者ともに膝をついた状態で始めるのが特徴。

また、首長が最初に土俵のような戦いの場に入り、そして対戦相手を選びます。

さらに、フカフカでの勝ち方は、ブラジリアン柔術や他の一般的な組み技または寝技系格闘技とは正反対と言え、競技者は「対戦相手を上へ抱え上げる」ことを目指して闘うのです。

そして、抱え上げた後は対戦相手を落として再び地面につけます。

この一連の動きはまた、土着部族の若い男性の筋力を試す伝統的なやり方でもあります。

一方で、伝統的な民俗格闘技とされますが、実はサンパウロ警察では、警官のトレーニングにこのフカフカが取り入れられているという話もあり、身体強化においては大変効果的で実用的な格闘技のようです。

ブラジルの格闘技7:マクレレ

「格闘技のようなダンス」や「ダンスのような格闘技」と描写されるマクレレは、カポエイラと似ていますが、刀、槍、木の棒といった武器を使う点で大きく異なります。

マクレレの歴史はあまりはっきりとは分かっていませんが、昔のブラジルにおける部族間抗争の時代に起源があると考える人がいたり、アフリカから連れてこられた奴隷達が伝えたと考える人達がいたりします。

いずれにせよ、マクレレもまたカポエイラと同じく、自己防衛のために考案されたようです。

História do Maculelê / Um Quê de Negritude

また、マクレレでは、

  • サトウキビプランテーションで使われていたマチェテ(中南米の現地人が使う山刀)と、サトウキビの枝を使ってトレーニングする
  • マクレレの最中には燃えるたいまつを使う

といった興味深い特徴を確認することも出来ます。

ちなみに、燃えるたいまつを使う点に関しては、昔、奴隷が奴隷船の「船長」と戦うために炎を灯した枝を使ったことに由来するという説があります。

そんなマクレレは、ブラジルの土着文化に極めて根強く定着しており、また、マクレレの英雄的存在の格闘家が善事のためにマクレレを行ったとする様々な物語が今日まで伝わっています。

そして、その類似性から、カポエイラと合わせてトレーニングが実施されることもあります。

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ブラジルの格闘技一覧|ブラジリアン柔術からフカフカまで7選!のまとめ

ブラジル発祥の格闘技を7つ紹介してきました。

ブラジルの格闘技と言えば、ブラジリアン柔術とカポエイラが世界的に有名ですが、見てきたようにこの2つ以外の格闘技も存在します。

そしてこのことは、世界的に見てもブラジルが、格闘技界で数々の実績を残し、格闘技強豪国の地位を築いてきた大きな要因となっているのかもしれません。

世界のことって面白いよね!By 世界雑学ノート!

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