イギリス国旗の意味と歴史|ユニオンジャックの色やデザインの裏側

イギリスの国旗が持つ意味や歴史について見ていきましょう。ユニオンジャックと呼ばれる旗の色やデザインの裏側にあるストーリーとは何なのか?興味があればチェック必須です。

かつて大英帝国(イギリス帝国)を築き、世界中に植民地や領土を抱えたイギリスは、近現代の世界において非常に強い存在感を示してきました。

このような歴史的背景もあり、ユニオン・フラッグやユニオン・ジャックという名前でも知られるイギリスの国旗は、世界で最も認知度の高い国旗の1つと言えるでしょう。

一方で、そこまで有名であるにも関わらず、大多数の人は、この国旗のデザインの裏に隠された意味やストーリーについては詳しくないでしょう。

そこでこの記事では、イギリス国旗の意味や歴史について、詳しく見ていこうと思います。

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イギリス国旗の意味

イギリスの国旗、つまりユニオンフラッグ(ユニオンジャック)を分解していくと、いくつかの要素に分けられることが理解できます。

その要素とは以下の3つ。

  • イングランドの守護聖人である聖ジョージの十字架
    • (セント・ジョージ・クロス)
  • アイルランドの守護聖人である聖パトリックのX型十字架
    • (セント・パトリック・クロス)
  • スコットランドの守護聖人である聖アンドリューのX型十字架
    • (セント・アンドリュー・クロス)

この3つの十字架が重なるようにして構成されているのです。

イギリス国旗の色

では、イギリスの国旗が持つ色にはどういった意味があるのでしょうか?

国旗を3つに分解した上で、詳しく見ていきたいと思います。

イングランドの守護聖人である聖ジョージの十字架

まず、イギリス国旗を構成するイングランドの守護聖人である聖ジョージの十字架は、「白地に赤い十字」というのがデザインとなっているわけですが、このデザインは別名「聖ゲオルギウス十字」とも呼ばれています。

聖ゲオルギウス(英語名:ジョージ)は、キリスト教の聖人の一人で、数多くのドラゴンを退治したことでも知られる人物。

そして、聖ジョージの十字架にある「赤色」は、このゲオルギオスの血を意味しているのです。

アイルランドの守護聖人である聖パトリックのX型十字架

聖パトリック十字と呼ばれるアイルランドのこの旗は、「白地に赤い斜め十字」で構成されているのが特徴。

この十字が使われ始めた初期の記録は、18世紀後半頃に遡るとされていますが、この十字の起源については未だにはっきりとわかっておらず、色が何を意味しているかについては確実なことが言えません。

スコットランドの守護聖人である聖アンドリューのX型十字架

スコットランドの「聖アンドリュー十宇(セント・アンドリュー・クロス)」は、その名前にあるスコットランドの守護聖人「セント・アンドリュー」を象徴している旗で、イギリスの国旗よりは薄めの青の下地と白の斜め十字がデザインされています。

セント・アンドリューはX字型の十字にかけられて殉教してしまったと言われ、この旗に描かれたX型十字は、セント・アンドリューの命を奪った十字にあたるのです。

また当初、このX型十字と周囲の色に関しては特に決まりがありませんでした。

しかし、長い年月の中で徐々に色が固定されていき、1385年には白のX型十字と黒の周囲と定められ、17世紀には白のX型十字と青と定められました。

ただし、それぞれ白と青に決まった背景には、他の国の旗と簡単に区別が付けられるようにするといった実用的な理由があったようで、深い意味があるわけではなさそうです。

イギリス国旗の歴史

別の国だったイングランドとスコットランドの王位を「ジェームズ」が統一

エリザベス1世が亡くなった1603年当時のイギリスでは、イングランドとスコットランドがそれぞれの君主と議会を有する「完全に別の国家」としてそれぞれ存在していました。

そんな中、エリザベス1世は独身だったために子どもがおらず、従弟にあたるスコットランド王ジェームズ6世をイングランド王の後継とすることを遺言。

スコットランド王は、同時に2つの国家を統治するという珍しい立場となり、スコットランドではジェームズ6世として、そしてイングランドではジェームズ1世として国を治めることとなったのです。

王位統一の証としてイングランドとスコットランドの旗が重ねられた

この結果、1606年春、2つの国家の王位統一の証しとしてジェームズは、イングランドの赤い縦の十字を、スコットランド国旗に重ねる形で新しい旗を制定。

この旗は(初代)ユニオン・フラッグとして知られ、現在のイギリス国旗の先駆けとなりました。

そして、この新しい旗の制定にあたりジェームズは、イングランドとスコットランド両国に所属するすべての船舶に対し、中央の主要なマストの先端にこの旗を掲げることを定めました

さらに、イングランド船の前方のマストにはセント・ジョージ・クロスを、スコットランド船にはセント・アンドリュー・クロスを掲げさせました。

ちなみに、入植者を乗せて北アメリカ大陸を目指したスーザン・コンスタント号、ゴッドスピード号、ディスカバリー号も、イングランドの所属船であり、出航時期は1606年の12月であったことから、同年の春から施行されていた国王令に従い、旗を掲げて航海に出ています。

象徴から正式な国旗に採用される

ジェームズにより1606年に制定されたユニオン・フラッグは、1707年まで国旗ではなく、あくまでも「象徴的な旗」として使われ続けました。

その後、アン女王(1665〜1714年)の治世となると、イングランドとスコットランド両国の議会は1707年、連合王国である「グレートブリテン王国」として統一

この連合王国の統一という一大イベントに合わせて、アン女王は101年の歴史を持つユニオン・フラッグを、新しい国家の国旗として公式に採用したのです。

アイルランドが一部になって現在に伝わるイギリス国旗が出来上がった

その後、1801年にはアイルランド王国とグレートブリテン王国が合同する形で、「グレートブリテン及びアイルランド連合王国」が成立。

これによって、アイルランド守護聖人セント・パトリックの旗印である、赤の斜め十字を含めたかたちで国旗はデザインし直され、現在でも使われているイギリス国旗が出来上がったのです。

ウェールズの国旗はどこへ行ってしまったのか?

イギリス国旗が如何に形成されていったかの歴史を見ていくと、スコットランドとアイルランドがイングランドと一体化していく流れに合わせて、その姿を変えていったことが理解出来ます。

一方で、現在のイギリス、つまりグレートブリテン及びアイルランド連合王国は、

  1. イングランド
  2. ウェールズ
  3. スコットランド
  4. 北アイルランド

の4つの国で形成されていることが知られていますが、イギリスの国旗にはウェールズの国旗に描かれている「赤い竜」のシンボルが描かれていません

これについては、歴史の中で13世紀末という非常に早い段階でウェールズはイングランドの属国となり、一体化していったため、その国旗のシンボルが旗に取り入れられなかったというのが背景にあります。

また、他の3つの旗はそれぞれ十字架であったのに対して、赤い竜というシンボルはあまりにもデザイン的に異なるため、上手く組み合わせるのが困難であったことも、その理由の一つにあるようです。

イギリス国旗にまつわるその他の豆知識

最後に、イギリス国旗にまつわる豆知識として、上記で触れた以外の点を簡単に紹介しておきましょう。

国旗は左右対称ではない

パッと見ただけではなかなか気づきませんが、イギリス国旗は左右対称ではありません

斜め線を見ると、赤と白の幅が左右で異なっているのが分かると思います。

これは、セント・アンドリュー・クロスと、セント・パトリック・クロスが完全に重なり合ってしまわないようにセント・パトリック・クロスの斜線を反時計回りにずらしてあるのが理由です。

国旗を上下逆さに掲げることの意味

国旗を上下逆さまに掲げることを無礼だと考える人もいます。

ただし、国旗を逆さまに掲げることは遭難信号を意味するとして一般的に受け入れられているため、かつてイギリスの船が世界中を航海した時代には、ユニオン・フラッグが上下逆さまに掲げれることが比較的よくあったのかもしれません。

特定の日に掲げられる

異なる国の連合であるイギリスを象徴したユニオン・フラッグは、特別な日に掲げられます。

例えば、

  • 皇族の誕生日
  • 聖パトリックの祝日
  • 聖アンデレの日(セント・アンドリュース・デー)
  • 議会の開会日

などで、いくつかの決められた日において、イギリス国旗が高々と掲げられるのです。

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イギリス国旗の意味と歴史|ユニオンジャックの色やデザインの裏側のまとめ

イギリスを象徴するユニオンフラッグ(ユニオンジャック)の裏側にある意味や、そのデザインが形作られていった歴史を見てきました。

イギリス国旗は、イギリスという国が形成された歴史を反映している、文化的にも歴史的にも意味が深い旗なのです。

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