フランスの国旗の意味、色、歴史などを紹介していきます。トリコロールとして知られ、興味深い起源を持つフランスの国旗について詳しくなりましょう。
フランスの国旗はどういったものでしょうか?
フランスでは三色旗と呼ばれ、世界的にはフレンチ・トリコロールや単にトリコロールとして知られるフランスの国旗は、青、白、そして赤色の、同サイズの3つの長方形の帯で構成されているのが特徴です。
一方で、フランスの国旗はその始まりにおいて、ヨーロッパの歴史上で最も重大な出来事の一つを起源としており、大変興味深くて象徴的なものだとも言えます。
この記事では、そんなフランスの国旗が持つ意味や色、歴史、そして豆知識などを紹介していこうと思います。
フランス国旗の色と意味
フランスの国旗に使われている色
フランス国旗は、縦と横の長さが1:1.5の比率で、そこに青、白、赤の三色が使われているのが特徴。
それぞれの色は、青が左側に、白が中央に、そして赤が右側に配置されるようにデザインされており、現在、最も一般的に使用されているフランスの国旗では3つの色の幅が均等になっています。
ただし、海軍を始め、海上で使用する場合は「青:白:赤=30:33:37」の幅になっている国旗、つまり、青の帯の幅が一番狭く、三色のうち白の帯の幅がもっとも広くなっている国旗が、通常は利用されます。
フランスの国旗の色に秘められた意味
公式に示されている各色の意味
フランスの国旗が持つ色に関しては、現在、フランス政府のウェブサイトによると公式に、それぞれ以下の意味を持つとされています。
白の意味は「国王」
白は16世紀後半からフランス革命までフランスを支配した、ブルボン家の象徴であり白百合に由来する伝統色で、そこに起源を持つ色として、現在のフランス国旗「トリコロール」においては「国王」を表すとされています。
赤と青の意味は「パリ」
一方で、トリコロールの赤と青はパリ市を表し、実際にパリ市の標章(エンブレム)に用いられていました。
例えば、歴史の中でパリの革命家は、伝統的に赤と青(のエンブレム)を掲げてきました。
同様に、フランス革命の中で起きたバスティーユ襲撃(1789年、パリにあるバスティーユ牢獄を襲撃した事件)において、パリの民主達は帽子に青と赤の花形帽章を着けていました。
トリコロールの色に関する非公式だが一般的に受け入れられている別の解釈
一方で、フランスの国旗に描かれる色は、他にもいくつかの解釈がなされています。
① 歴史上で重要な人物を示すという解釈
まず、一つ目の解釈は、フランスの歴史上で重要な人物を象徴しているというもので、非公式ながらこちらも広く受け入れられています。
この解釈によると、それぞれの色が象徴するものは以下の通りになります。
- 青
- トゥールのマルティネスや聖マルティネスと呼ばれる人物を象徴
- トゥールのマルティネスは殉教をせずに聖人の地位に上げられた初めての人物でキリスト教における聖人
- 赤
- パリのディオヌシウスや聖ディオニジオまたはサン・ドニと呼ばれるイン物を象徴
- フランスの守護聖人に数えられるキリスト教の殉教者でカトリックにおいては聖人
- 白
- 聖母マリアまたはフランスの英雄ジャンヌダルクを象徴
② 国の標語を象徴しているという解釈
また、フランスには標語として「自由、平等、友愛」が規定されていますが、トリコロールの各色はこの3つをそれぞれ示していると言われることもあります。
この場合、各色の意味は以下の通りです。
- 青・・・自由
- 白・・・平等
- 赤・・・友愛
③ フランスの旧体制の身分制度を表すという解釈
さらに、そこまで人気が無いものの別な解釈としては、旧体制における身分制度を表すというものも存在します。
この場合は、
- 青・・・貴族
- 白・・・聖職者
- 赤・・・ブルジョワジー
となります。
フランス国旗の歴史
現在、フランスの国旗として知られるトリコロールは元々、フランス革命(1789〜1799)と切っても切れない旗で、このフランス革命以降、フランスの国旗はほぼデザインを変えることなく現在にまで使われ続けてきました。
しかし、それ以前のフランス国旗は、統治者が誰かによって何世紀もの間に幾度も変わってきたという歴史を持ちます。
例えば、1200年代のフランス王の紋章は、黄金のユリの花(フルール・ド・リス)の描かれた青い盾型紋で、16世紀後半からフランス革命までフランスを治めたブルボン王朝の旗には、白地にフルール・ド・リスが描かれています。
フランス革命に起源を持つトリコロール
現代にまで続くトリコロールの旗は、フランス革命当時、民兵達が使っていた標章に由来します。
1789年7月末に新しい警察組織としての役割を担った民兵組織が結成されると、その司令官であるラファイエット侯爵マリー=ジョゼフ・イブ・ギルベール・ドゥ・モーティエが、エンブレムとして青、白、赤のロゼットを作りました。
これが、フランスの国旗に描かれる3つの色がフランスの象徴として使われた始まりだと言われています。
その後、後にトリコロールと呼ばれるシンプルなデザインの国旗が作られましたが、この三色の旗は革命中にはあまり使われませんでした(※ただし、トリコロールはフランス革命を象徴するようになった)。
しかし、フランス革命を通して政権をとったナポレオン・ボナパルトが開始した「フランス第一共和制」においては、トリコロールが正式な国旗として採用され、ナポレオンが1815年に妥当されてからはしばらくの間、白色の無地の旗が国旗として使用されましたが、1830年、ルイ・フィリップを国王に置く7月王政でトリコロールは復活し、それ以来変わることなく使用されています。
ちなみに、白色の無地の旗が使われた期間には、「1814〜1815年」と「1815〜1830年」の二つが含まれます。
その他のフランスの国旗にまつわる豆知識
最後にフランスの国旗にまつわるその他の豆知識を紹介しておきます。
トリコロールには2パターンある
海上で使われる3色の幅が違うものを除いて、トリコロールには2つのパターンが存在します。
その2つとは、
- 明るい色調の旗
- 暗い色調の旗
です。
掲げる場所の光加減や雰囲気によって使い分けられ、例えば、テレビやコンピュータなど、デジタル表示に使用されるのは明る色調の旗である場合がほとんどです。
歴史の中では三色の順番が変わることもあった
フランス革命の中で生まれたトリコロールに関しては、当初、配色に関する規定がありませんでした。
そのため、現在でこそ「青→白→赤」という順番ですが、当時は「赤→白→青」の順番で作られた旗が混在していたなど、様々なパターンの旗が掲げられていました。
「青→白→赤」に統一されたのは、ナポレオンによって第一共和制が設立されてから2年後の1794年からです。
元々、三色の幅が違ったトリコロール
現在でも海上において使用される旗や海軍が使用する旗では、青、白、赤の幅がそれぞれ30、33、37とバラバラですが、トリコロールが作られた当初は、海上使用に関係なく三色の幅は異なっていました。
この三色の帯の幅が等しくなっていったのは、1853年以降だと言われます。
フランスの国旗は世界の多くの旗に影響を与えた
フランスの国旗は史上最も影響を与えた旗の一つとして見なされ、世界中の多くの国旗の基盤となっています。
さらに、国旗だけでなく、フランス語圏に属する地域では、トリコロールの影響を受けた地域の旗が使用されているのを発見できます。
例えば、フランス語を第一言語とするカナダの州および準州では、独自の旗が使用されており、その多くが、フランスのトリコロール旗を基にデザインされているのです。
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フランスの国旗|意味・色・歴史までを確認!のまとめ
フランスの国旗に関して、意味や色、そして歴史や豆知識を見てきました。
見てきたように、フランスの国旗は非常にシンプルなデザインを持ちますが、そこに含まれている意味にはとても興味深いものがあることが分かります。