エイブラハム・リンカーンの身長はどのぐらいだったのでしょうか?また、その高身長を引き起こした原因とはなんだったのでしょうか?
1861年から1865年までアメリカ合衆国第16代大統領を務めたエイブラハム・リンカーンは、在職中に輝かしい偉業を成し遂げました。
アメリカ南北戦争で北部州側を指揮して南部州側と戦い、また、南北戦争中に行った「奴隷解放宣言」は、アメリカの歴史はもちろんのこと、世界の歴史へ大きなインパンクを与え、「偉大な解放者」や「奴隷解放の父」と呼ばれることとなりました。
一方で、エイブラハム・リンカーンについて語られる際には、その「高身長」がイメージされることもよくあります。
この記事では、高身長になった原因の仮説までを含め、リンカーンの身長について詳しく見ていこうと思います。
エイブハム・リンカーンの身長はどれぐらい?
ではまずは、エイブラハム・リンカーン元大統領の身長を簡潔に紹介しておきましょう。
リンカーンの身長はずばり、
- 193cm(6フィート4インチ)
でした。
エイブラハム・リンカーンが生きたのは1809年から1865年当時の19世紀。
アメリカ人男性の身長は100年前、現在の平均とされる176.3cmから6cmほど低かったとされることから、さらに古い時代を生きたリンカーン時代の当時、おそらくアメリカ人男性の平均身長は170cmを下回ってたと推測出来ます。
このことから考えると、現代においても身長が高いと見なされる193cmの高身長を誇ったリンカーンは、まさに巨人と言える人物でした。
実際、リンカーンは若い頃、レスリングでも圧倒的な強さを誇っており、約300回の対戦でたった1回しか負けたことがないという逸話は有名です。
また、193cmの体躯は、次に背が高かったといわれる第36代アメリカ大統領リンドン・ジョンソンと2.5cmほどの差があり、今なお、史上最も身長の高いアメリカ大統領となっています。
なぜリンカーンはそこまで高身長になったのか?
リンカーンがもつ体格の特徴は、身長だけではありませんでした。
執務室にいるリンカーンの姿については、とAbraham Lincoln’s DNAという本のなかで、当時のジャーナリストが以下のように表現したと記されています。
- 「ぶらぶらと長い腕」
- 「手は異様なほど大きく…足との釣り合いがとれていない」
こうしたいくつかの特徴から、リンカーンの高身長は単に大きく成長した結果ではなく、「マルファン症候群」に依るものだったという可能性を提唱する医師もいます。
マルファン症候群とは、比較的稀な遺伝子の異常からくる病気で、最初の症例が発見されたのはリンカーンの死後数十年経った頃です。
そのため、当時はまだこの症状が、リンカーンの高身長の原因だと疑われることはなかったと考えられるのです。
リンカーンがなぜ高身長になったかの確実な理由は分かりませんが、1つの可能性として「丸ファン症候群」は有力だと言えるでしょう。
では、マルファン症候群とはどのような症状なのでしょうか?
エイブラハム・リンカーンの高身長の原因としてどれほど当てはまるのかについての議論も含め、以下で簡単に紹介していきます。
マルファン症候群とは?
マルファン症候群とは遺伝子の異常で、細胞と細胞をつなぐ「糊(のり)」の様な役割を果たす体の結合組織に影響を及ぼす、先天異常症よる結合組織病。
通常は遺伝性で、両親のどちらかが患者の場合、その子どもには50%の確率で遺伝する可能性があるとされます。
ただし、病気による要因の無い低身長の両親の間からも発生することがあるなど、一部は遺伝子の突然変異によって起こってしまうようです。
マルファン症候群に対する治療法はありませんが、症状を個別に治療していけば寿命を伸ばしていくことが可能だと言います。
マルファン症候群の症状は?
マルファン症候群の患者の多くは、
身長が高くてひょろりとした体躯を持ち、関節が柔らかい
のが特徴です。
しかし、結合組織は全身にあるため、症状はさまざまであり患者によって異なります。
よく見られる症状や特徴は、
- 長い手足と指骨
- 細長い顔
- 心雑音や大動脈拡張などの心臓血管異常
- 視力異常
- 腹部や足の痛み など
があるようです。
リンカーンは本当にマルファン症候群だったのか?
最初に「リンカーンがマルファン症候群だったかもしれない」という説を唱えたのは、オハイオ州にいた医師で、1962年のことでした。
これは、リンカーンの母親も同じように、非常に背が高かった事実に注目してのことだとニューヨーク大学医学部の情報サイトの記事で触れられています。
その2年後、カルフォルニア州の医師が、リンカーンと血縁の可能性がある若いマルファン症候群の患者を治療したことで、この議論がさらに熱を帯びることとなり、それ以来、医師や科学者らによる研究が続きました。
ただし、マルファン症候群で見られる身体的特徴を、リンカーンは複数持っていたことは事実としても、「それ以外の心雑音や視力異常といった、マルファン症候群の患者に顕著な他の症状がなかった」ことを指摘する声も上がっているのは確かです。
そのため、2009年にはノースカロライナ大学のジョン・ソトス博士が、リンカーンが悩まされていた症状は「マルファン症候群とは別の遺伝子障害によるものだった可能性」を指摘しています。
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リンカーンの身長とは?高身長になった原因とは?のまとめ
エイブラハム・リンカーンは193cmの高身長を誇り、当時としてはまさに巨人と言えるような人でした。
その高身長を引き起こした原因として、単に大きく成長しただけでなく、マルファン症候群という遺伝子の異常も考えられていますが、別の遺伝子障害の可能性も指摘されているなど、その理由はまだ確実には断定されていません。
現在もリンカーンのDNA研究は行われており、2009年には上述したソトス博士によって、リンカーンが暗殺された夜に上演された芝居に出演した女優の、衣装に残された血痕の調査が行われています。
その結果、リンカーンが持っていたかもしれないとソトス博士が推測していたMEN2Bという遺伝子異常が見つかりましたが、まだ断定には至っていません。
このような状況から、今後、さらに研究は進んでいくかもしれない一方で、リンカーンの高身長に関しては新しい説が浮上してくる可能性も考えられます。