ベトナムのスポーツについて見ていきましょう。人気な競技5つと伝統的に取り組まれてきた競技5つ、合計10のスポーツを紹介していきます。
東南アジアのインドシナ半島に位置する国ベトナムでは、世界中の他の国々同様にスポーツが盛んにおこなわれています。
例えば、ベトナムにおいて最も人気が高いと言われるスポーツは、他の多くの国でも同様に大人気なサッカーです。
一方で、ベトナムには伝統的なスポーツやベトナム発祥のスポーツも数多く残されており、こういったスポーツは文化的に重要な価値を持ちます。
この記事では、そんなベトナムのスポーツ事情を理解するために、ベトナムで人気または人気が高まりそうなスポーツを5つと、伝統的に取り組まれてきたスポーツ5つを紹介していこうと思います。
ベトナムで人気または人気が高まりそうなスポーツ
サッカー
サッカーはフランス人によって、1896年にベトナムに持ち込まれました。
フランス統治時代のベトナム南部である「コーチシナ」にサッカーは持ち込まれ、後に植民地の北部や中央地域で主に広がっていったのです。
現在では他の国と同じように、サッカーはベトナムで最も人気の高いスポーツになっていると言え、国民の多くが熱狂しています。
ちなみに、北と南にベトナムが分断されていた時代、それぞれ異なった国家であったこともあり、ベトナムには代表チームが2つ存在していましたが、現在は統合され、ベトナムサッカー連盟によって管理されています。
また、ベトナムには日本で言う所のJリーグである「Vリーグ」が存在し、その中でもVリーグ1と呼ばれるディビジョンはベトナムサッカーリーグのトップディビジョンとしてベトナムサッカーを盛り上げています。
バスケットボール
かつては全く人気なスポーツではなかったものの、国を上げて取り組んだ結果、バスケットボールは現在、ベトナムにおいて人気上昇中で注目のスポーツの1つになりました。
2016年にはベトナムバスケットボール協会(VBA)が設立され、これ以降、毎年6月から9月一杯まで「VBAベトナムプロバスケットボールリーグ」が開催されるようになり、バスケットボールに対する認知が特に若者を中心に高まっています。
加えて、この人気上昇のトレンドによって、多くの投資が入ってくる様になっていることを考えると、今後さらにバスケットボールはベトナムで盛んなスポーツとなっていくでしょう。
バドミントン
バドミントンもベトナム人の中では人気の高いスポーツです。
特に若者や中年層の間で盛んにプレーされ、ベトナム代表が国際試合に参加する際は、強豪国チームの一つとして考えられる、数少ないスポーツの一つにもなりました。
これは、おそらくベトナムにおいて、バドミントンは庶民の間で広く根付いているスポーツだからと言えるでしょう。
と言うのも、バドミントンは公園や道幅の広い通りなどにおいて、誰もが気軽に楽しむことが出来るスポーツで、また、ベトナムでは楽しみながら出来るフィットネス的なスポーツだと考えられているから。
また、その人気を反映してか、街の中ではあらかじめ引かれているバドミントン様のコートの線を見つけることも出来ます。
このような環境が整っているため、ネットとラケットがあれば、すぐに友達を呼んでバドミンントンを楽しめ、これが高い人気維持に加えて競技人口の底上げに繋がっているのではないでしょうか。
卓球
中華圏の影響が強い地域では必ずと言って良いほど人気な卓球は、やはり地理的に中国に近くて中華圏の影響を受けるベトナムでも人気なスポーツの1つ。
年齢に関係なく高齢者でも楽しめる老若男女のスポーツとして親しまれており、ベトナムには卓球に特化したトレーニングセンターもあり、またプロスポーツにもなっています。
さらに、大都市には卓球専門のお店や、卓球を気軽に楽しめる施設も充実しており、レクリエーション的なスポーツとしても愛されています。
ちなみに、ベトナムはかつて卓球の強豪国として知られていました。
ラグビー
ラグビーもベトナムで近年人気が高まっているスポーツの一つと言えるでしょう。
ラグビーは、ベトナムがフランス統治下のフランス領インドシナだった時代、サッカーと同じようにこの国に持ち込まれました。
そのため、当初は主にフランス系移民の間で盛んにプレーされました。
その後、ベトナムが独立すると、食糧危機や政治的・経済的危機が起こり、さらに当時はベトナムでラグビーをプレー出来るような環境もほとんどなかったことから、長期に渡ってラグビーの発展は停滞することになりました。
しかし、近年は以前に比べて経済や社会が安定してきたこと、さらに、フランスとベトナムの歴史的な関係の深さによって、ベトナム代表チームで頭角を現した選手はフランスに渡ってプレーする機会が得られるようになってきたことなどから、主に大都市を中心にその人気が高まってきています。
ベトナムにおける伝統的なスポーツ
ベトナム伝統のスポーツ1:ベトナムレスリング
北部の村で非常に人気のあるベトナムレスリングは、ベトナムでも最も一般的な伝統的スポーツの一つ。
400年以上の歴史があるとされ、かつては祖国防衛のための屈強な人間を選ぶために行われていました。
一方で、現在は一般の人たちによって楽しまれ、また、祭事的な催しとして開催されています。
伝統的なベトナムレスリングのルールは比較的シンプルで、競技は大抵、短い儀式で始まり、その後に二人の選手が登場して舞を披露し、レスリングの先駆者に対する敬意と感謝の意を示します。
この後、選手はお互いに礼を交わし握手をし、競技が始められるのです。
そして、人々はレスリングコートの周囲に集まって、二人のレスラーが戦っている間は声援を送り、さらに太鼓の音が周囲の雰囲気を盛り上げます。
そんなベトナムレスリングの選手には、強さだけでなく速さも求められます。
また、殴ることは許されていませんが、相手を地面に投げ飛ばしたり押し倒したりすると勝利が決まります。
ベトナム伝統のスポーツ2:ボビナム
ボビナムは、1936年にグェン・ロックという名前の人物によって作られた「ベトナム発祥の総合武術または格闘技」。
1938年以降には一般的にも知られるようになりました。
当時はフランスの植民地であったこともあり、この格闘技には、ベトナムレスリングの基盤に加えて、東洋の武術だけでなく、西洋の格闘技の要素も多く取り入れられているのが特徴。
手や、肘、脚、膝の他、剣、ナイフ、のみ、鉤爪、扇などの武器の使用も伴います。
そんなボビナムは、ベトナムで最も発展した格闘技の1つであり、ベトナム発祥のスポーツというだけでなく、現在は世界各地でも少しずつ競技人口が増えているなど、世界規模での格闘技ならびにスポーツになる可能性を秘めています。
ちなみに、2002年には初めてボビナム世界選手権が開催されました。
ベトナム伝統のスポーツ3:牛レース
牛レースは、南ベトナムに住むクメール人地域では伝統的に行われてきたスポーツで、クメール暦の10月15日(9月下旬から10月上旬にかけて)に、アンザン省バイヌイで開催されています。
出場者はレースの開始時にくじ引きで決められ、レースが始まると、乗り手は引き綱と自らの技術で牛を操り、鞭を使って牛を出来る限り速く走らせるのです。
ただし、その道のりは大抵、ひどくぬかるんでいるのが特徴で、求められる技術は簡単ではありません。
一方で、このぬかるみによって、牛が走ると激しい水しぶきが起こり、観客にとっては非常にエキサイティングなスポーツになるため、レースの雰囲気は非常に盛り上がり、とても人気があります。
ベトナム伝統のスポーツ4:ボートレース
東南アジアで最長のメコン川が流れ、さらにメコンデルタなどもあるベトナムは、河川に関しては非常に豊かな国の1つ。
このような自然環境もあってか、ベトナムではボートレースが伝統的に行われてきました。
例えば、中国に由来する幅が狭くて非常に長い船「ドラゴンボート(30人ぐらいまで乗船可能)」に乗って行う「ドラゴンボートレース」は、1000年近い歴史を抱えていると言われ、水の神に感謝し、平和な新年と豊作を祈るための行事として行われてきました。
レースで一着でゴールするために、漕ぎ手は懸命に出来る限り速くボートを漕ぐだけでなく、チーム間の優れた協調性と精神力が必要とされることから、ボートレースは身体と精神両面を鍛錬するスポーツとしても認知されています。
ベトナム伝統のスポーツ5:綱引き
綱引きは、比較的シンプルかつ世界中で人気のあるスポーツであり、ベトナムでも伝統的に取り組まれてきました。
特に豊作を祈願し、さらにはコミュニティ間の連帯を高めるために広く楽しまれています。
ちなみに、ベトナムで伝統的に行われてきた綱引きの基本的なルールは日本のものと同じで、二組のチームがロープを引っ張り合い、一方のチームが中央線よりも自陣側に綱を引き込むことが出来れば勝ちです。
そんな綱引きの試合は、豊作を祈願するために行われるということもあり、春祭りまたはベトナムの伝統的な祭りの際に行われることが一般的です。
また、2015年には、ベトナムの綱引きが、カンボジア、韓国、フィリピンの綱引きと一緒に、ユネスコの無形文化遺産に登録されました。
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ベトナムのスポーツ|人気なサッカーから発祥のボビナムまでのまとめ
ベトナムのスポーツ事情を知るためにも、人気または人気が上昇しそうなスポーツと、伝統的なスポーツを合わせて10種類紹介してきました。
ベトナムでは他にも、例えば、水泳や陸上競技、射撃やシェスなど、様々なスポーツが取り組まれており、将来的にはさらに多くの競技で世界的な競合として頭角を現してくるかもしれません。