アルメニア観光を考えているなら、治安情報などを含めた旅行前に知っておきたいいくつかのことを確認してみましょう。現地で暮らしているから分かる情報も豊富に紹介していきます。
南コーカサスの小国アルメニアは近年、観光地として人気が出ているのか、毎年のように観光客が増えていて、2019年の上半期の観光分野における流通額は2018年の上半期に比べて10%も伸びていると言われます。
また日本人観光客も少しずつ増えているようです。
この記事を読んでいる人の中にも、アルメニアへ観光で訪れてみたいという人が多いと思うので、アルメニアで生活している筆者の目線から、アルメニアを訪れたいなら事前にしっておくと良さそうな13のことを紹介します。
アルメニアを訪れようと考えている人は参考にしてください。
アルメニアに観光や旅行で訪れる前にしっておきたい13のこと
アルメニアの歴史
アルメニアの魅力の一つは、その歴史にあると思ってます。
かつてはアルメニア人の一大居住地域であるとして「大アルメニア」と呼ばれたアルメニア高原は、世界最古の文明発祥地の一つであるとされる場所で、例えば私の妻の実家の近くにある開けた土地では、本当かどうかは分からないですが、紀元前9世紀頃から紀元前585年まで存在した古代の王国「ウラルトゥ」時代に遡る遺跡などが発見されることがあるらしいです。
それと、アルメニアには首都のエレバンも含め、他の街や村でも多くの修道院や教会が点在しています。
アルメニアは西暦301年にキリスト教を世界で初めて国教とした国なので、その頃に建てられた2000年弱の歴史を持つ修道院や教会が多いんです。
特に「初のキリスト教国=アルメニア」という事実は、アルメニア人のアイデンティティや文化に浸透しているので、アルメニアへ観光や旅行で訪れるならこの部分の歴史については事前に理解しておくと、アルメニアでの滞在がもっと充実すると思います。
またアルメニア人は20世紀前半、当時のオットマン帝国(現在のトルコの前身国家)によって、アルメニア人大虐殺という悲劇的な出来事を経験しています。
この出来事もアルメニア人のナショナリズムやアイデンティティに強く結びついているので、事前に理解しておくことを強くおすすめするのと同時に、結構センシティブなトピックだったりするので、軽い気持ちで話題に持ち出すのは避けた方がいいです。
アルメニアのキリスト教について詳しく知りたければ「アルメニアの宗教|世界最古のキリスト教国の宗教事情を語る」も参照してください。
アルメニアの宗教
上でも触れた通り、アルメニアはキリスト教を国教とした最古の国で、この点をアルメニア人達はとても誇りにしています。
実際、アルメニアに住む人たちが主な宗教は「キリスト教」で、アルメニア独自の宗派である「アルメニア使徒教会」に属している人が92~93%います。
そのため、アルメニア観光の醍醐味の一つは、(ある意味で)原始キリスト教に触れられることだと思うので、このアルメニア使徒教会について知っておくと、期間が短い旅行中であってもアルメニア人のことをもう少しだけ理解出来るようになるかもしれないです。
ちょっとした豆知識としては、アルメニアのキリスト教が「使徒教会」と呼ばれるのは、イエス・キリストの使徒であるタダイとバルトロマイの二人が西暦1世紀前半にアルメニアへキリスト教を広めたのが理由です。
ちなみに、キリスト教徒と言っても、その信仰心は人によって大きく異なります。
また、仏教徒であってもイスラム教徒であっても、多くの民族が行き交ってきた地に住んできたアルメニア人は、他人の宗教に関して寛容的で、実際に首都エレバンにはブルーモスクと言われる、隣国イランで大多数の人が信仰するイスラム教シーア派のモスクが建てられています。
アルメニアで通じる言葉
アルメニアの公用語はアルメニア語です。
外国で生まれた一部のアルメニア人を除いて、ほとんどのアルメニア人はアルメニア独自のアルメニア語を日頃から使っています。
ただし、元々ソ連を構成していた共和国の一つだったこともあり、ロシア語も流暢に話す人が多く、ロシア語が喋れれば基本的にはどこに行っても不自由しないです。
それと、最近では英語を喋れる若いアルメニア人が増えているので、英語を喋れれば基本的に都市部だったら結構なんとかなります(田舎だと大変だと思います)。
なので、アルメニアのエレバン以外も周るのであれば、
- ロシア語を喋れれる人
- 基本的にどこでも楽しめます
- 英語を喋れる人
- エレバン以外に行くならガイドをつけた方がいいかもしれないです
- 日本語しか喋れない人
- エレバンも含めてガイドがいた方がいいと思います
というのが私からのアドバイスになります。
ちなみに、外国人がアルメニア語を喋るとアルメニア人の反応が超よくなるので、ちょっとした挨拶として以下のフレーズを覚えておくとよいです。
- バレヴ(Barev)・・・こんにちは
- バレヴゼズ(Barev dzez)・・・こんにちは(丁寧な表現)
- イェス・ジャポナチ・エム(Yes Japonatsi Em)・・・私は日本人です
- イェス・自分の名前・エム(Yes 自分の名前)・・・私は「自分の名前」です
- メルシ(Merci)・・・ありがとう(カジュアルな表現)
- シュノラカリューチュン(Shnorakalutyun)・・・ありがとう
- ハジョグチュン(Hajoghutyun)・・・さようなら(グッドラック的な意味を持つ)
- ステスチュン(Tsetsutyun)・・・さようなら
アルメニア人の人口
実際には国内に250万人程度しかいないと思いますが(多くの人が海外へ出稼ぎに行っているため)、公式な発表ではアルメニア国内には約300万人のアルメニア人が住んでいるとされています。
ただし長い歴史の中で、そして歴史の部分で述べたアルメニア人虐殺によって、多くのアルメニア人はアルメニア以外の国に離散し、現地で暮らしています。
これらディアスポラと呼ばれ人々を含めると、世界中に住むアルメニア人は1000万人以上になります。
特に、アルメニアという国や民族を理解する上では、このディアスポラの存在はとても重要で、アルメニアにも多くのディアスポラが住んでいたり観光に訪れていたりするので、この点について事前に詳しくなっておくと、旅行をもっと楽しめるようになるはずです。
アルメニアの通貨と両替について
アルメニアの通貨は「ドラム(DRAM:AMD)」で、その時によって異なりますが100円に対しておよそ400〜450ドラムです。
両替に関しては、ズヴァルトノッツ国際空港を始め、街中に多くあるので、結構簡単に出来ます。また、両替のレートもかなり安いのと、どこでもあまり大きくは変わりません。
ただ、日本円での両替はHSBCやAmeriabankなどの一部の場所でしか出来ないので、現金を持っていくなら事前に米ドルかユーロに換えておくのが良いと思います。
また、VISAやMASTERのクレジットカードが使えるATMが都心部であればどこにでもあるので、最悪クレジットカードでのキャッシングでも不便は感じないはずです。
安いアルメニアの物価
発展途上国に分類されるアルメニアの物価は、日本人から見るととても安く感じられると思います。
私の感覚値的には、平均して日本の物価の1/4〜1/6程度。
特にフルーツは日本人から見るとありえないほど安くて、イチゴ、サクランボ、桃などが、1kgで200円以下なんてことも良くあります。
また外食も安く、日本だと5000円払わないと食べれないようなクオリティのものが、現地では1000円ほどで食べられます。
ヨーロッパ旅行なんかと比べると、外食に対して躊躇うことなく楽しめると思います。
治安がとても良いアルメニア
初めてアルメニアを訪れる人は、治安に関して不安に思うかもしれませんが、アルメニアの治安はとても良いです。
どれぐらい良いかと言うと、夜中であっても女性が一人歩き出来るぐらいで、結構、夜中まで多くの人が出歩いているためかなり安心感を感じます。
またCrime Indexという客観的な数値で見ていくと、
- 日本:15.91
- 香港:18.10
- アルメニア:20.78
- スイス:21.18
- フィンランド:22.75
- デンマーク:24.72
- シンガポール:27.70
- 韓国:29.24
- オーストラリア:42.70
(数値が低いほど安全)
となり、日本には及ばないものの、一般的に安全だとされるスイス、フィンランド、デンマーク、シンガポールなどよりも安全で、さらに韓国やオーストラリアと比べると安全面で大差をつけています。
純粋にホスピタリティーが高い人が多い
アルメニアを訪れた日本人は、なぜかこの国を気にいることが多いです。
私が思うにその理由の一つは、アルメニアに住むアルメニア人の多くがホスピタリティー(おもてなし)に熱いからだと思います。
例えば、初めてアルメニアへ行って各地を周っていると、初めてなのにも関わらず、いきなり夕食に誘われたりします。
すると人によっては「怪しい」と思ってしまうかもしれませんが、基本的に彼らが夕食に誘っている時は、純粋におもてなししたいと思っていることが多いです。
ただ、男性である私の経験上の話なので、「女性の一人旅で男性に夕食へ誘われた」といった場合は気をつけた方が良いかもしれないです。
アルメニアでの食べ物
海外旅行の楽しみの一つは、観光地を周るだけでなく、そこにある独特の食べ物を食べることだと思います。
アルメニアの料理は地中海料理に似ているものの、独自の特徴があります。
新鮮なハーブ、豆類、ナッツ、フルーツの味わいを使って味付けされ、辛味は抑えられているのが基本。また、牛肉、羊肉、鶏肉、豚肉といった肉料理とパンが定番です。
ただし、現地で取れる「イシュハン」と呼ばれるマスを使った魚料理や、最近だとベジタリアンの料理を出すお店も増えているので、基本的にはどんな人でも何かしらの料理を楽しめると思います。
特に最近、首都のエレバン中心では味とサービスがとても良いレストランが増えているので、食事にうるさい人でも満足出来るはずです。
ちなみに、夏のアルメニアでは大量のフルーツをとっても安い値段で食べれるので、日本では値段が張って食べれないフルーツを満足行くまで楽しむのがおすすめです。
アルメニアに海はない
夏にアルメニアへ訪れる場合、アルメニアには海がない点は覚えておいた方がいいです。
セバン湖と呼ばれる巨大な湖があるので泳ぐことは出来ますが、地中海の美しい海やビーチとは異なります。
「ビーチでごろごろしたい」といった時間の過ごし方をしたいなら、アルメニアを訪れた後に北のジョージアのバトゥミや、西のトルコへ行った方がいいです。
それと、海がないので海鮮を食べることは基本的に出来ないので、この点も覚えておきましょう。
ただし、私が懇意にしてもらっているASADORというレストランでは、驚くほど新鮮なシーフードを食べることが可能です。
アルメニアの交通機関
アルメニアの交通機関は非常に安いです。
街を走るミニバスやバスは、どこまで行っても1回の乗車で100ドラム(25円程度)。
またタクシーも4~5kmの初乗りで600ドラム(150円程度)というのが基本です。
さらに、エレバンの中心には北から南にかけて地下鉄のラインが一本存在するんですが、このメトロもバスと同じでどこまで行っても1回の乗車につき100ドラムで、さらに運行頻度も高くて5分に1本は来ます。
なので、アルメニア国内の移動に関しては、日本人の基準から言えば大してお金はかかりません。
ただし、流しのタクシーは外国人に対して料金をぼってきたり、また車内が凄く臭かったりするので、アルメニアへ観光目的で訪れるなら、
- GG
- Yandex Taxi
の二つの配車サービスアプリを入れておくのがおすすめです。
GGもYandexもアプリで料金が計算され、それ以上は支払いを求められないのでぼったくりに遭遇することはありません。
ただ、GGの車の方が車内が綺麗なことが多いので、私的にはよりおすすめしたいです。
ちなみに、エレバンから第二の都市であるギュムリへ行ったり、ジョージアのトビリシへ行きたい場合、地上を走る鉄道も通っていますが、車よりも時間がかかったり運行頻度がとても低いので使い勝手は良くないです。
私はギュムリやトビリシへ向かう場合、基本的にはタクシーで行っています(トビリシまで行っても1万円〜2万円弱ぐらいで済みます)。
SIMフリーのスマホがあれば携帯の使用が可能
海外旅行に慣れている人は、特定のプロバイダに制限されていないSIMフリーの携帯を使用していることが多いかと思います。
もしもSIMフリーのスマホを持っているなら、Viva Cellというローカルのプロバイダーが提供しているプリペイド型のsimカードを手に入れると、通話やネットをスマホで使うことが出来るようになるので、必要な場合はViva Cellの店舗を訪れてください。
Viva Cellのお店はエレバンの中心には複数あるので、人に聞けばすぐに見つかると思います。
エレバンにおけるWIFEのカバーエリアが凄い
また、SIMフリーのスマホを持ってなかったりsimカードがなくても、エレバンに限って言えばインターネットに困ることはそこまでないと思います。
エレバンのお店はほぼ全てがWIFIを完備しているので、カフェに入ってWIFIへ接続すれば、インターネットの利用に困ることがないからです。
実際、私の友人がアルメニアに訪れた時には、この方法でやりくりしていました。
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アルメニアの観光・旅行前にしっておきたい13のこと!治安などを現地からまとめてみるのまとめ
現地生活をしているからこそ感じる、アルメニアに観光しにくるなら事前に把握しておきたい13のことを紹介してみました。
結構それぞれ抑えておくべきポイントだと思うので、アルメニア旅行を予定している人には参考にしてみてください。