マオリ族(マオリ人)はニュージランドの先住民であり、現在もニュージーランドに多く暮らします。そんな彼らについて、歴史や特徴など詳しく見ていきます。
ニュージーランドの先住民であるマオリ族の名前を耳にしたことがある人は多いでしょう。
特にスポーツ好きであれば、ニュージーランドのラグビー代表を通して、マオリ族について興味を持った人も多いはずです。
マオリ族は非常に興味深い歴史や文化など、いくつもの特徴を持っており、世界の人々が持つ多様性を再認識させてくれます。
そのマオリ族に関して基本情報から、もう少し深く知るために抑えておきたい10の特徴までを紹介していきます。
これからニュージーランドへ行く予定のある人や、世界に興味がある人は確認してみましょう。
ニュージーランドの先住民「マオリ族(マオリ人)」とは?
マオリ族あるいは「タンガタ・フェヌア」は、ニュージーランドの先住民。
その起源は東ポリネシアの島々に遡り、これらの島々から何百年も前にカヌーでニュージーランドまで旅してきたのが始まりです。
もともと「マオリ」とは、マオリ族の言葉で「普通」という意味で、この土地へ西洋からの入植が始まった当初、自分たちを西洋人と区別するために「Tangata Maori(タンガタ・マオリ=普通の人)」という意味で使っていました。
しかし、発音しにくいという理由で、イギリス人が「マオリ族」を指す際に、タンガタ(人間の意味)ではなく「マオリ」を採用したことから、今日に至るまで「マオリ族」と呼ばれています。
また、現在では、豊富な伝統や伝説を特徴とするマオリの文化が、ニュージーランド社会の一部、そして国のアイデンティティとなっているほどで、ニュージーランドにおいてなくてはならない存在になっています。
ちなみに、マオリ族の人々はニュージーランドに生息していた様々な鳥や魚を獲り、より温暖な北島を好んだことで、ニュージーランドの北島に多く住んでいます。
ニュージーランドへ行くと「マオリの文化をめぐる旅」というのが人気で、とくに北島で盛ん。北島の都市であるロトルアでは、独特のマオリの村を訪れ、マオリの食べ物で地中の熱い石の上で調理する「ハンギ」を体験できます。また、伝統の踊りを鑑賞したり、その土地のマラエ(集会所)を訪ねたりするのも良いですよ!
マオリ族の文化
マオリ族には伝統や伝説に彩られた豊かな文化があります。
伝説は物語によって世代を超えて伝えられてきており、その中でニュージーランドの島々の誕生などが語られてきました。
また、マオリ族の文化継承に重要な拠点となってきたのがマラエ(マオリ族の人々が集う共同の「広場」を含む地区)で、「ファレヌイ」(集会所)や「ファレカイ」(食堂)があり、マオリ族のコミュニティにおける社会的、文化的、精神的な、生活の中心的役割を果たしています。
さらに興味深いことに、マオリの人々は部族(イウィ※マオリ語で部族の意味)の一員としてアイデンティティを共有しており、同時に、マオリ文化では家族がとても大切でありその定義は広く、直近の家族、姻戚、血縁によって繋がる全ての人々が家族とみなされます。
そして、マオリの文化では踊りがとても大切です。
カパ・ハカ(Kapa Haka:マオリの伝統芸能)は歌、踊り、表情が一体となって表現され、踊りの動き一つ一つに意味があり、言葉と結びつけられているのが特徴的な伝統芸能です。
マオリの伝統的な戦いの踊りはハカと呼ばれ、ラグビーのオールブラックス(ニュージーランドのナショナルチーム)が試合の前に踊ることで有名ですね!
マオリ族の言語
マオリ族の言語「マオリ語:テ・レオ・マオリ/ Te reo Maoriとしても知られている」は独特で、ポリネシア諸語の一つとして数えられています。
その知識がニュージーランドから失われようとしていた時代もありましたが、現在ではその使用が推進、推奨されています。
強のニュージーランドでは、マオリ語は第二の公用語であり、ほとんどの学校で基礎的なマオリ語が教えられているのです。
マオリ族の歴史
マオリ族はニュージーランドの先住民と考えられています。彼らはずっと昔にポリネシアから航海用カヌーに乗ってやってきたのです。
このポリネシアを出発した人々の移動は「大艦隊」と呼ばれ、7艘(そう)のカヌーに乗ってニュージーランドへ到着したと言われています。
ちなみに、その7艘の航海用カヌーは、
- アオテア(Aotea)
- アラワ(Arawa)
- クラハウポー(Kurahaupō)
- マタアトゥア(Mataatua)
- タイヌイ(Tainui)
- ターキティム(Tākitimu)
- トコマル(Tokomaru)
と呼ばれたそうです。
そして、ニュージーランドに定住した彼らポリネシアの人々は、独自の文化、言語、そして伝統を築いていき、また西洋人との接触もありながら、現在の「マオリ族」というアイデンティティを確立していったのです。
一方で、ヨーロッパ人がこの地に入植するようになると、土地をめぐる戦いが起こります。
1840年にワイタンギ条約が作られ、マオリの諸部族の首長によって署名されたことで、ニュージーランドの主権が部分的にイギリス王室に与えられました。
しかし、マオリ語の内容と英語に翻訳された内容が異なっていたため、マオリの人々は、自分たちが土地の主権を持ち続けていると考えていたなど、この条約の内容についての混乱が長年にわたって続いてきたのです。
ニュージーランドの先住民マオリ族に関する特徴的な10のこと
ニュージーランドの先住民であるマオリ族の文化で一番よく知られていることといえば、ニュージーランドのラグビー代表チーム、オールブラックが行うハカ。
(オールブラックスのハカ)
ただ、それ以外のマオリ族の特徴については、あまり知られていないかと思います。
しかし実は、ニュージーランドに最初に定住した先住民であるマオリ族はハカ以外に、文化的にも歴史的にも、奥深く興味深い特徴をたくさん持っているのです。
そこで、マオリ族をもっと詳しく知るためにも、あまり知られていないけど興味深い、10個の特徴的な点を紹介していきます。
マオリ族の特徴① 昔はパ(Pa)に住んでいた
「パ」とは、マオリ族がかつて住んでいた要塞化した村のこと。通常、パは丘に位置して横に掘り下げられたテラスがあり、高い柵に囲まれていました。
現在でも、多くのマオリ人は自分の祖先のパがどこかにあったかは知っているようですが、残念ながら、ほとんどのパの建築物は残っていません。
ただし、ロトルアやギズボーンなどの一部の地域には、マオリの観光グループが作り直した村があり、パがどんな様子だったかを知ることが出来るようになっています。
マオリ族の特徴② かつては書き言葉が無かった
ニュージーランドにヨーロッパの開拓者が来る前は、マオリ語に書き言葉はありませんでした。
そのため、物語を通して言い伝えたり、彫刻に示したり、マラエ(マオリ族の人々が集う共同の「広場」を含む地区)に集まって話を共有しながら歴史を教え続けていたそう。
これこそが、マオリ族が素晴らしい語り部である理由の一つですね。
マオリ族の特徴③ おでこと鼻を押し付け合って挨拶をする
マオリ族の伝統的な挨拶は、ホンギと呼ばれています。
ホンギでは2人がおでこと鼻を短時間押し付け合い、目を閉じて深呼吸をするのですが、これは、魂と出会いがある「命の息吹」の共有を意味しています。
マオリ族の特徴④ 1番歴史の浅い文化の1つ
マオリ族がニュージーランドに到着した時期というのにはいくつかの説がありますが、最も信ぴょう性がある時期とされるのが西暦1280年頃(参照:Wilmshurst, 2011)。
つまり、現在からおよそ700年強前にニュージーランドへたどり着いたことになります。
もともとポリネシアのいち地域に住んでいたマオリ族は、ニュージーランドへ到着してから徐々に独自の歴史や文化を形成していったとされ、現在までたったの700年しか経っていないため、マオリ族の文化は世界的に見て最も歴史の浅い文化の1つと考えられているのです。
マオリ族の特徴⑤ 翡翠は大切な石
南島のウエストコースト地方で主に採掘されるグリーンストーン(翡翠)は、マオリ族の人にとって大切な石。
マオリ語では「ポウナム」と呼ばれ、非常に貴重とされています。
翡翠は武器・装飾品・道具など、様々な目的で昔から使われてきていますが、現在ではお土産屋さんなどで、翡翠のペンダントを見つけることが出来ます。
それぞれのペンダントの形には特別な意味があるとされ、ニュージーランドへ来た際には自分の気にいった形の翡翠ペンダントを、お土産として検討してみると良いかもしれません。
マオリ族の特徴⑥ すべてに伝説がある
マオリ族は素晴らしい語り部であり、ニュージーランド各地のたいていの山・川・湖・その他の重要な史跡には、マオリ族の口頭伝承によって伝えられている伝説があります。
野生生物や翡翠などに関しても、どのように誕生したかなどの伝説が残っています。
これらマオリ族の伝説は、子供達に知恵や教訓を教えるために語り継がれてきたのです。
マオリ族の特徴⑦ ハカは戦の踊りだけではない
試合開始前にラグビーのニュージーランドナショナルチームによって行われる迫力満点なハカは、戦の踊りだとしばしば思われています。
確かに戦の踊りとして使われることが多いですが、実際は、葬儀に使われるものや、やる気を導き出すためのものなど、戦以外の場面で踊られる様々なタイプのハカがあります。
マオリ族の特徴⑧ マラエに行く前にポウヒリを受ける
マオリ族の集会場であるマラエは、マオリ族を知るためにも重要な場所です。
しかし、マラエでマオリ族に会いたいのであれば、まずはポウヒリという儀式で歓迎されなければいけません。
ポウヒリにはマオリ族の戦士による挑戦・歌・詠唱が含まれ、逆に訪れた人は、自らが敵ではなく平和目的で来たことを示す必要があります。
とはいえ、決して恐るようなものではなく、マオリ族の文化や歴史体験としておすすめです。
マオリ族の特徴⑨ タトゥーはそれぞれ唯一無二
「タ・モコ(ta moko)」は、マオリ族の文化における伝統芸術としてのタトゥー。
マオリ族のタトゥーは人それぞれ唯一無二で、タトゥーを見ればその人の血筋・知識の深さ・属する部族の社会的地位が分かるとされます。
ちなみに、もともとマオリ族のタトゥーは、尖った骨の先につけた染料を皮膚に埋め込むようにして行われていましたが、現在ではほとんどの人が近代的なタトゥーの方法を選んでいます。
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マオリ族の特徴⑩ 伝統的なハンギは土の下で調理される
マオリ族の文化において最も伝統的で人気のある料理の1つは、ハンギと呼ばれる料理。
そのハンギの特徴は、肉と野菜を地下でじっくり調理する料理っていう点。
ニュージーランド(特にマオリ族の伝統文化体験が出来る観光スポットが多いロトルア)では、ハンギを試せる機会がたくさんあるので、ニュージーランドへ行く機会があれば試してみるのがおすすめです。
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マオリ族の歴史や特徴|ニュージーランド先住民について詳しくなろう!のまとめ
ニュージーランドの先住民であるマオリ族は、有名なハカだけでなく、非常に面白い文化的な特徴をもった民族。
ニュージーランドを訪れることがあれば、マオリ族の伝統文化体験ツアーに参加してみるも面白そうです。
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