人類の進化の謎や過程について見ていきましょう。進化の中で起こった知っておきたい出来事を、いくつかピックアップして紹介していきます。
人類の祖先とチンパンジーの祖先が分かれたのは200万〜1000万年前と言われ、その後、現在の人類の祖先であるホモサピエンスが現れたのが、数十万から100万年または200万年ぐらい前だといわれています。
このように、非常に長い時間を掛けて人間は進化を続けてきたわけですが、その過程では様々な謎や衝撃的な出来事が起こっています。
そこで、これら人間の進化の過程で起きた謎や出来事の中でも、あまり知られていないけど、知っておきたいことを紹介していこうと思います。
早速確認してみましょう。
人間の進化の謎を解き明かせ!人類の進化の過程で起こった興味深い8つの出来事
進化の過程によって人間は遺伝的多様性が極めて低くなった
人間の遺伝子は謎多き存在でしたが、近年の科学の発達によって遺伝子解析が進んだ結果、人間はヒト科の中でも遺伝的多様性が最も低くなっているということが判明したそう。
これは、現在地球上にいる人間は、全て東アフリカで生活していた人類の小集団に行き着くというのが主な理由。
遺伝的多様性を説明するために遺伝学者は「有効個体数」と呼ばれる単位を用いますが、これは簡単に説明すると、「全体の人口の遺伝的多様性を再生するために必要な人の数」を指しています。
そして、人間の有効個体数は1万5千人ほどといわれており、地球上にいる実際の総人口が70億を超えることを考えると、驚くべき低い数字であるといえるのです。
例として比較してみると、ネズミ科の一種などは有効個体数が73万3千と言われます。
8万年ほど前に人口が大きく変動している謎
人類の進化の過程で、8万年ほど前に何かが起き、人類の有効個体数が減少しているという謎が存在します。
先述したように、有効個体数は実際の人口ではなく、遺伝的多様性を示すものです。
つまり、8万年前に遺伝的多様性が大きく低下したことになります。
この理由については、「インドネシアのスマトラ島のトバ火山が噴火して壊滅的な大惨事となった」という説から、「小さな集団内での近親交配によるもの」といった説までいくつもの仮説が存在し、人間の進化における一つの謎になっています。
人間は進化の過程で他の人類とも遭遇していた!
ホモサピエンスは、数十年万年前にアフリカからヨーロッパ、アジアに進出したとの話を聞いたことがある人は多いかもしれません。
しかし、私たちの直接の祖先であるホモサピエンスと同じ共通祖先を有する、ホモエレクトス(ホモサピエンスはホモエレクトスから分かれたと言われる)も100万年以上にわたり、断続的に同じルートでアフリカを後にしていたことはあまり知られていないことだと思います。
ホモサピエンスがアフリカを後にした後、自分たちととてもよく似た人類(ネアンデルタール人やホモエレクトスの子孫達)と同じ地域に暮らすこともあり、実際に遭遇していた可能性が高いと考えられます。
これらの人類すべてが初期の人類であり、ユーラシア大陸を数十万年も放浪していたのです。
一部ネアンデルタール人の血を引いているかもしれない謎
ネアンデルタール人と言えば、現在の人類の直接の祖先であるホモサピエンスとは異なる進化の過程を辿った人類で、進化の過程で絶滅してしまったことが知られていますが、実は現在存在している人間の中にネアンデルタール人の遺伝子が数%混入しているとする説が発表されています。
そのネアンデルタール人の遺伝の一部というのは、非アフリカ系の人々に受け継がれているというのです。
これは、クロマニヨン人(南フランスで発見された現生人類の直接の祖先)がヨーロッパ、中東、そしてアジアに進出した際、各地域ですでに生活をしていたネアンデルタール人との間に子孫を残した可能性を示唆しています。
6万5千年前にはすでに船でインド洋を航海するほどまで進化していた?
現生人類は、約6万5千年前にオーストラリアに上陸していたということが、最近の研究によって分かっています。
一体どのようにしてアフリカの沿岸からオーストラリアへたどり着いたのでしょうか?
それに関しては、小さな船を使って海を渡ったと言われており、葦を束ねて作られたのではないかと考えられています。
ただし、
当時は現在に比べて海水位がはるかに低く、東南アジアの島々から豪州に至るまでの航海距離も今より短かった。
(引用:AFP)
と考えられているため、現在の海で考えるよりは楽に航海出来た可能性があります。
そうは言うものの、当時の船は非常に簡易なものであり、そこまで航海技術も発達していなかったはずなので、当時の人類にとってこの大航海は「ロケットで月まで飛行した」といったところかもしれません。
現生人類は常に火と共に生きている
現代の人類である先祖が数十万年前に火を使い始めた後、原生人は常に火を道具として使い、それが人類の進化を加速させる上でとても重要な一歩であったと考えられています。
火は様々な道具を作る上でも文明を築くためにも、最も重要な道具であるだけでなく、火を使って料理を始めたことで、それ以前に比べて多くの食物を摂取出来るようになり、摂取エネルギーやタンパク質摂取量を高め、体や脳の発達に繋がったのではないかとも言われているのです。
つまり、現代に生きる我々人間は生まれつき火を使いこなすように出来ており、火に依存して生きていると言っても過言ではない存在かもしれないのです。
人類の進化の中で「文化」の歴史はまだ5万年に及んでいない
ホモサピエンス自体は何十万年も前から存在していたとされていますが、5年前まで現代における文化に相当するものが発達していなかったと考えられる点は興味深いです。
つまり、人類は長い間、記号を使ってのコミュニケーション、芸術、装飾品、骨角器などを発展させることがないまま生きていたことになります。
もちろん文化を発展させる以前の人類もある程度洗練された道具、そして火を生活に利用していました。
しかし、現代において文化と呼ばれるものの基本となる芸術や、記号を使ったコミュニケーションが存在していたことを証明するものはほとんどないのです。
ちなみに、この時代に文化と呼べるものが急激に発展するまで、言語は存在しなかったとの考えを示す説もありますが、そうであったか否か証明することはほぼ不可能といってよいでしょう。
人類は今でも急速に進化を続けている
現代人とそれ以前の人類とを比べると違いが明確に分かる一方、今この時を生きる人々は自分達が進化を止めてしまったように感じるかもしれません。
しかし、進化のスピードはゆっくりなため気づかないだけで、現代に生きる我々人間もゆっくりではありますが進化を続けているのです。
実際、現代の人間の遺伝子においても自然淘汰が起きていることが一部で確認されており、その結果、特定地域の人口全体に自然淘汰の結果が急速に広がっていることを示す調査結果も存在します。
例えば、オランダ人の平均身長は男性が184cmで女性が170cmほどと非常に高い特徴がありますが、これはほんの数十年の間に起こった自然淘汰が原因だと考えられています(詳しくは→オランダ人の平均身長と高い理由を探ってみた結果)。
また、人間の遺伝子変異の一部は脳の大きさと発達に関連し、他の遺伝子変異は、乳製品を例とする特定の種類の食品に対する耐性や、病気に対する耐性などと関連しているとされ、その時代における脳の使い方、食生活や流行する病気などによっても、どんどん人類は進化していくものと考えられるのです。
人間の進化の過程で起きた衝撃的なこと5選!
さて、ここからは人間の進化の過程で起きたいことの中でも、衝撃的でちょっとした雑学知識として知っておきたい出来事を簡単に紹介していきます。
話のネタとしても披露出来るので、興味があれば確認してみましょう!
① 骨が細くなっちゃった!
大昔、我々人類の祖先はもっと太い骨格を持っていたとされます。
しかし、人類が道具や火を使い、肉体的な強さが以前に比べて必要なくなってきた結果、およそ5万年ほど前から、人間の骨格は小さく細くなっていたったのです。
最近、なんでもないことで骨折してしまったなんて人は、人類の祖先に文句を言いましょう。
② 新陳代謝がゆっくりになったおかげで長生きになっちゃった!
我々人類は、他の哺乳類に比べてカロリー消費がおよそ50%程度低いと言われています。
つまり、燃費が良いってこと!
その結果、新陳代謝がゆっくりになり、他の哺乳類に比べてより長生き出来る能力を獲得したのです。
人類の進化万歳です!
③ 半分はバナナ!?
多くの人が大好きなバナナ。
簡単に皮が向けて甘くて美味しいあのフルーツが、人間と半分の遺伝子を共有しているとしたらどうしますか?
実は近年の遺伝子解析の結果、人間とバナナのDNAは50〜60%が一致することがわかったそう。
また、鶏はおよそ60%で牛はおよそ80%の遺伝子を共有するらしく、いつも何気なく食べている大抵のものが実は共食いだっていう話になりますね。
④ 目の色が茶色なのは誇らしい!
日本人はほぼ全ての人が茶色の瞳を持っているはず。
しかし、アニメやゲームキャラに影響されすぎなのか、最近ではカラーコンタクトなどを付けて、わざと瞳の色を青くしたりする人もいます。
実は、人間の進化の過程で青い目が出現したのはごく最近のこと(1万年ぐらい前)とされており、それまではほぼ全ての人が茶色の瞳を持っていたとされています。
つまり、人間の目の色は元々茶色なのであり、アニメやゲームに大勢出てくる他の色の瞳を持ったキャラはノンセンスってことです。
ちなみに、現在青い目を持った人は全人口の中でおよそ8%しかいないとされています。
⑤ パンチを受けるように顔が大きくなった
自分の顔が大きいからと小顔に憧れる人は、人間の進化の過程にクレームを出しましょう。
というのも、実は人間の顔はパンチを受けても大丈夫なように顔が大きくなったという説があるから。
これは、進化の過程で女性、食料、縄張りを巡って男性同士が喧嘩した際、殴り合ってきたため、パンチを受けても致命的にならないように発達したのではないかというのがその理由です。
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人間の進化の謎や過程を解き明かそう!知っておきたい人類に起こった出来事のまとめ
人間の進化は長い年月を掛けて起こってきたものであり、その過程では多くの出来事が起こりました。
それぞれに理由があり、また、中には謎のまま残っているものもありますが、どれも非常に興味深いものばかりです。
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